北海道と青森を結ぶ主たる手段は鉄道です。が、青函トンネルを車で通ることはできません。
車でも、もちろん車がなくても本州から北海道へ、あるいは北海道から本州へと渡る手段として今もあるのがフェリー。北海道の玄関口である函館から、北海道との連絡口として機能してきた青森まで現在もフェリーが運航されています。
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「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」の2種類があるこの航路のうち、「津軽海峡フェリー」に徒歩で乗船してきました。徹底的にレビューしていきます。
充実の船内設備で3時間の移動はあっという間
津軽海峡フェリーは、青森と函館を繋ぐフェリーとしては最も有名です。船内はかなり充実した設備で、3時間ちょっとの船旅も全然飽きることがありません。船内には売店や自販機をはじめとしてシャワールームやゲームセンターまであります。もちろん、デッキに出ることもできて潮風を浴びながら船旅を楽しむこともできます。
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共用設備については後ほどご紹介します。が、3時間の船旅でこんなに必要ないのに、と思うほど充実した設備です。メインデッキ(下層階)に共用設備がほぼ揃っています。上層階には上級座席(スイートルームなど)があります。
リクライニングでほぼベッドにもなるビューシートが圧倒的にオススメ
津軽海峡フェリーには、スタンダードシートからスイートルームまで、4段階の座席があります。僕のオススメは、スタンダードシートに600円ほど追加すれば乗ることができるビューシートです。
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このビューシートは、指定席の座席型になっています。スタンダートシートは座席型ではありません。簡単にいうと雑魚寝の場所とちょっとした休憩スペースのようなところがスタンダードシート。それに追加で600円支払うことでリクライニングシートに乗ることができるのでかなりコスパはいい。
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前列と後列がありますが、前列と後列の間が通路になっています。ので、リクライニングをするときに後ろの人に気を遣う必要が一切ありません。好き放題リクライニングを倒すことができます。
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ビューシートには、原則全席にコンセントがあります。前列だと、前の壁、少し離れたところにあります。後列は後ろにあるので充電をしながらスマホを触る、なんてことがしやすいです。後列の最大のメリットはここですね。
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「ビューシート」という名の通り、昼の航海であれば景色がいい。前方の進む先が一望できます。ただし、夜の便では安全の問題で、操舵室へと光が漏れて前方が見えなくなることを防ぐために常にカーテンは閉められた状態になります。
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スタンダードシートは自由席
スタンダートシートは全席自由席です。一応、スタンダートシートの座席はと言われたらこんな感じ。
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本当に雑魚寝って感じです。函館で見学した青函連絡船もこんな感じでした。どう考えても、同一航路を航海していた青函連絡船を意識しているものと思われます。
僕が乗ったのは昼の便でした。昼の便では、一応はチケットにどの部屋かが記載されているもののその部屋には入らない人も多くいます。船の両サイドにはロビーのような感じで休憩スペースがあります。幅の広い廊下にテーブルと椅子が置かれているという感じですね。
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雑魚寝のスペースとは違い、外を見ることができます。そして、椅子があるので本を読んだりするにはちょうど良い。パソコン作業等をしている人はあまり見受けられませんでした。パソコン作業は、雑魚寝のスペースでしている人がいました。昼の便であれば寝る人もやや少ないため、多少のタイピング音も許されます。というか、スタンダードシートはかなり部屋数が多いので、部屋によってはガラガラ、寝てる人はいないという部屋まであります。
共有設備も充実・全席でWi-Fiの利用が可能
津軽海峡フェリーでは現在、船内の全座席でWi-Fiが利用できます。「全座席」とは、座席だけではなくロビーなども含みます。ただし、車を搭載するエリアでは利用できない、ということです。実際にWi-Fiで作業を行いましたが、安定性には欠けるというのが正直な感想です。近くの地上エリアと繋いでるのか、ちょうど真ん中くらいの区間が一番不安定だったように思います。
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船内では携帯電話の電波は原則利用できますが、途中の区間では一部つながりにくかったようです。デッキへ出ると繋がりやすくなりますが、携帯のためにデッキに出るのもなあ…
船内の共用設備をどんどんご紹介していきましょう。かなり充実した設備です。
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後方のデッキからは後方を眺めることができます。夜間航行のことを考えてか、前方にはデッキがありません。ビューシートや上級席からしか前方は見ることができません。
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外にはベンチもあります。ここで流れゆく海の景色をのんびりと眺めることもできます。が、北海道という土地柄、そして海上は風が強いこともありなかなか寒いです。僕は8月半ばにこの「津軽海峡フェリー」に乗りましたが、それでも寒くてすぐに室内に入ってしまいました。
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函館港内には停泊中の船舶が多かったように思います。普通に筏を降ろして停泊しています。そんな船の真横を通り過ぎていきます。「周遊船」などでは見られない光景です。
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津軽海峡フェリーには喫煙ルームもあります。ヘビースモーカーにとってはありがたいですね。ちなみにこの区間を並行する北海道新幹線には喫煙ルームがありません。
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幼児向けスペースもあります。
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船ならではの設備、ゲームセンターもあります。出港前にここでゲームをやっていた人は3人か4人見たのに、出港後は人がいなかった。なんでだろう…?
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そしてシャワールームもあります。津軽海峡フェリーの船内シャワールームは無料です。太っ腹。ただし、タオルを持っていない場合はタオル 1枚110円、バスタオル 1枚650円を売店で購入する必要があります。シャンプーなどは備え付けです。僕は朝一番の便であり、ホテルでシャワーを浴びてきていたので利用していません。
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スタンダードシートの乗客向けの充電スペースです。スマホを放置して離れることは難しいですが、モバイルバッテリーなどを持っておくと、(自己責任でですが)多少離れることはできるんじゃないでしょううか。
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船内には売店などを含めて充実しています。飲み物の自動販売機、カップ式のものがあるのは、気持ちの問題ですがかなり好印象です。僕は毎朝コーヒーを飲みたい人なんですが、朝7時代のフェリーともなるとのんびりホテルでコーヒーを飲んでくることができませんからね。
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船内には自動販売機だけではなく売店もあります。自動販売機などの掲示を見る限り、どうもこの津軽海峡フェリーは「北海道」となっているらしくて、北海道ならではのお土産、じゃがポックルなども販売されています。なお、自動販売機・売店等含めて船内ではキャッシュレス決済が利用できません。現金決済となるので注意しましょう。
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船内には食堂はありません。3時間半の航海ですから食堂は必要ないとの判断でしょう。
その代わりに、ここまで運転してきた、そしてこの先もさらに運転しなくてはならないという人向けに軽食などが充実しています。こちらの冷凍自動販売機には、たこ焼きなどの冷凍食品に加えてハーゲンダッツなんかもありますね。
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無料で利用できる自動販売機も設置されています。先程の冷凍食品を購入してここで温めて食べることができます。もちろん、外からの持ち込みもOK。
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アルコールの自動販売機もあります。この津軽海峡フェリーに乗る人の多くは、車で乗っている人のため飲める人はかなり限られます。そういった背景もあり、自動販売機には「飲酒運転禁止」の張り紙がたくさん貼られていました。この先運転する予定がない、という人はここで購入できます。
函館と青森にターミナルを構える津軽海峡フェリーは道路的役割も
津軽海峡には青函トンネルがあります。しかし、青函トンネルは鉄道専用のトンネル。青函トンネルによって、貨物の輸送は多くを鉄道がになっています。が、車、特に自家用車はトンネルで本州から北海道へと移動することができません。したがって、北海道と本州の間を、車を持って移動する手段はフェリーに限られます。そのためこの津軽海峡フェリーと、同区間で運航されている青函フェリーは道路としての役割も果たしています。
徒歩で乗船する場合は、函館駅・青森駅からバスを利用
僕はこの津軽海峡フェリーに徒歩で乗船しました。徒歩で乗船するためには、函館駅から函館フェリーターミナルまで道南いさりび鉄道またはバスで移動する必要があります。
朝の7便「ブルードルフィン」(函館7:40、青森11:20)に乗ろうとする場合、道南いさりび鉄道の始発ではギリギリ間に合いません。バスかタクシーで移動する必要があります。函館フェリーターミナルから函館駅の間にはシャトルバスが運転されていますが、一部時間帯ではそのシャトルバスがありません。そのため「北大前」バス停から歩くしかありません。
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北大前バス停への「函館バス 18系統 茂辺地行き」始発バスは朝6時半に初バスがあります。2021年9月現在、函館駅前(1番乗りば)6:31→北大前6:42(函館フェリーターミナルへは北大前から徒歩8分)に乗れば朝一番の青森行きフェリーへと行くことができます。
昼の時間帯などにはフェリーターミナルへと直行するバスもあります。「16・16A系統五稜郭経由:北大・フェリー前行きバス」で、フェリーターミナル前下車します。名前の通り、フェリーターミナルの目の前に到着します。
徒歩乗船したが、徒歩乗船は少なかった
朝の時間帯だったこともあってか、朝のバスでフェリーターミナルの最寄りバス停である「北大前」で降りたのは僕1人だけでした。タクシーは何台か見たので、タクシーできた人は少しいたようですが、とにかく徒歩で乗船する人はやや少ないようです。
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青森港に到着してからも、ここから徒歩で下船する人は少なかったように思います。ただ、大学等からお盆休みで帰省していたと思われる大学生が、行きは車でターミナルまで送ってもらったものの帰りは徒歩下船、と思われる状況もありました。大学生だと徒歩で下船になりますよね。
スタンダードシートには運転をしてきたお客さんがたくさん
スタンダードシートに乗船されるお客さんが多いです。
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スタンダードシートには、ここまで運転してきたお客さんが多いイメージ。北海道から本州方面へと車を持って渡るためにはこの津軽海峡フェリーを使うしかありませんからね。
予約はオンラインで簡単に完結!乗船手続きも簡単!
最後に津軽海峡フェリーの予約方法などについて簡単にまとめておきます。
公式サイトから予約が可能・割引きっぷも充実!
津軽海峡フェリーの予約は原則、公式サイトから行うことができます。オンラインで予約を行うと、10%オフとなります。ただし、予約は2日前までなので注意しましょう。
また、ターミナル窓口で当日、購入することもできます。僕は念の為、オンラインで3日前に予約しました。が、結果的には予約しなくて良かったかもな、とも思っています。実際、当日その場で乗船券を購入している人が多かったです。
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津軽海峡フェリーでは、「海割」というお得な運賃が人気なようです。
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海割では、同乗者7人までは追加料金なしで乗ることができます。コンフォートなど、上級座席へのアップグレードも可能。家族で行く場合もお得です。
クレジットカードで支払い可能
公式サイトからの予約の場合は原則、あらかじめ予約の際に決済を行います。郵便振替、コンビニ支払い、クレジットカード支払いの3種類があり、
- 郵便振替の場合は28日前まで
- コンビニ支払いの場合は5日前まで
- クレジットカード支払いの場合はインターネットで予約可能な2日前まで
となっています。あらかじめ支払いを済ませておくことで、窓口に並ばずに乗船できるスマートチェックインが利用できます。車で利用する場合は、高速道路のインターのような感じでそのまま船内へと入ることができます。徒歩乗船の場合はどのみち、ターミナルから乗船するため自動チェックイン機で乗船券を発券できることくらいがメリットでしょうか。

予約を行うと予約完了メールが届きます。このメールに記載されているリンクをクリックするとQRコードが表示されます。このQRコードがあれば当日、自動チェックイン機で乗船券を発券することができます。
乗船手続きは40分前を目処にしよう
乗船手続きは、
- 支払いが済んでいない場合は40分前(7月20日から8月20日までの間は70分前)まで
- 支払いが済んでいる場合は20分前まで
となっています。支払いを済ませておくと、意外とギリギリでも大丈夫です。僕は念の為、50分前に行きましたが結構暇でした。乗船開始は出港15分前、自動チェックイン機での発券は並ばなければ1分もかからず済んでしまいます。
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発券から乗船までは、はっきりいって結構暇でした。
≪乗用車・一般徒歩のお客様へ≫
予約手続きをした際のメールより
・乗船手続き時間は出航40分前までにお済ませ下さい。また、GW、お盆前後は混雑が予想されますので、乗船手続き時間は出航70分前までにお済ませ下さい。
≪バイク・自転車のお客様へ≫
・乗船手続き時間は出航70分前までにお済ませ下さい。また、GW、お盆前後は混雑が予想されますので、乗船手続き時間は出航80分前までにお済ませ下さい。
出航時刻の60分前までに乗船口へお越しになられない際は、船舶への積み付けの関係上、バイク・自転車を積載できない場合がございます。予めご了承下さい。
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