シカゴ・ユニオンステーションとニューヨークの中心地・ペンステーションを、サウスベンド、クリーブランド、バッファローを通り、アメリカの中でも美しい海岸線に沿って走るLake Shore Limited。
世界の経済の中心地・ニューヨークから五大湖の大都市シカゴまで19時間の大陸横断鉄道の旅です。今回はその様子を徹底的に紹介します。
Lake Shore Limitedに乗車した際の様子は、Vlogとしてまとめました。
車窓の様子については、日記形式の記事を作成しました。
アムトラックで大陸横断鉄道の旅
アムトラックはアメリカ全土で長距離をメインに鉄道を運営する公社(政府の出資による会社)です。正確にはJRとは異なる点が多数ありますが、利用者目線からしたら日本のJRのようなものと考えてもらえればOKです。
アムトラックの予約方法などについては別の記事でまとめています。
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Lake Shore Limitedは、大都市同士を結ぶ大陸横断鉄道
今回の記事で紹介するLake Shore Limitedはシカゴとニューヨークおよびボストンを結ぶ大陸横断鉄道です。以前の記事で、西海岸・サンフランシスコ郊外のエメリービルとシカゴを結ぶ列車であるCalifornia Zephyr号を紹介しました。
2023年春、このCalifornia zephyr号と今回紹介するLake Shore Limitedを使って大陸横断の旅を決行しました。California zephyr号の記事もご覧ください。
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今回は大都市ニューヨークとシカゴを19時間かけて結ぶLake Shore Limitedの様子を紹介します。
大陸横断の旅をしている乗客も多い 大陸横断のルートは多数
実際にアムトラックのCalifornia zephyr号に乗車してみて、大陸横断の旅をしている乗客も数多くいます。
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シカゴから西海岸はほとんどの列車で2泊3日の旅程となります。かなりの距離があります。一方、シカゴから東海岸、特に人口の多いボストン・ニューヨーク・ワシントンD.C.などへは1泊2日で行けます。そのため、この区間は鉄道利用も多いです。
そのため、一概に「大陸横断」と言っても、どこからどこへと横断するかを考えなくてはなりません。
寝台個室(Roomette)の利用客はラウンジも利用可能
アムトラックの列車では、個室の寝台車(Roomette)を利用する乗客は無料で駅のラウンジを利用することができます。Lake Shore Limitedの場合、始発駅となるすべての駅(シカゴ、ニューヨーク、ボストン)で利用することができます。
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アムトラックの駅に設置されているラウンジについては、別に記事をまとめたいと考えています。
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こちらがシカゴユニオン駅の構内の様子です。広々としていて快適です。が、待合室は木製の硬い椅子です。これがラウンジとなれば…
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シカゴ・ユニオン駅にあるメトロポリタンラウンジです。この通り、ラウンジであればふかふかのソファを使うことができて快適です。
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Lake Shore Limitedが出発するのは午後9:30です。僕たちは観光を終えて天気も悪かったため、早めに切り上げてラウンジで待機しました。メトロポリタンラウンジは、午後6:00前後は出発列車が多いため(通勤利用もある)混雑しますが、一通りの近郊列車などがが発車した後、午後7:00以降は空いているため使い心地も良いです。
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ラウンジ内には列車の発車案内もあります。シカゴはアムトラックの重要な拠点駅、ここから多数の列車が発着しています。
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ラウンジとはいえ軽食はないようで、スナックが置かれています。航空会社のラウンジを意識しているのでしょうから、ここは頑張って軽食も出してほしいところ。でも、長距離列車の利用客より近郊列車の利用客の方が多いから仕方がないのか。
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スナックはさまざまな種類があり、なくなれば補充されます。補充される時に別の種類のもので補充されたりします。この辺はさすがアメリカらしい。
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右側の大きなボトルはコーヒーです。アムトラックの車内にも同じようなコーヒーのタンクがあります。アメリカの人たちはコーヒーを大量に飲みます。
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僕たちはコーラを飲んでいました。
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シャワーも無料で浴びることができます。
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ラウンジの受付でお願いすれば、鍵とタオルを貸してくださいます。
Lake Shore Limitedの個室(Roomette)に乗ってきた!車内の様子を徹底的に紹介
ここからは実際にLake Shore Limitedの車内の様子を紹介していきます。California zephyr号に乗車した時と同様、ここまで詳細に解説した記事は、英語の記事を含めて存在しないでしょう。徹底的に解説していきます。
個室(Roomette)の狭いながらも快適な設備で快適な旅を
今回紹介しているLake Shore Limitedは始発のシカゴから終点のニューヨークまで19時間の旅です。長いです。
この長い旅を満喫するためにはやはり、座席車両ではなく個室車両を使うのがオススメです。
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個室車両の様子です。西海岸行きの大半の列車で使用されているSuper Linerとは異なり、2階建てにはなっていません。1階建てで、列車の高さはかなりあります。
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個室内は2つの座席が向かい合うように配置されています。2人で利用できるような構造になっています。
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ベッドにするとこんな感じ。日本人より平均的に大きな体のアメリカ人男性が寝転がっても余裕があり、寝返りが打てるほど広いベッドになります。
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上段のベッドからも景色が楽しめます。僕は今回、1人で個室を利用したのであまり関係ありませんでしたが、2人で利用する場合、これは大きい。
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そして何より、このトイレです。個室に入ると最初にトイレが目に入る。座席の横、ベッドの真横にトイレがあるのはいかにも、効率性を重視するアメリカらしい。
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トイレです。個室からでなくていいので、便利っちゃあ便利なのかな?ちなみに新型の車両では客室内にトイレがあるわけではなく、共用のトイレが設置されていました。
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トイレはさすがに、蓋をすることができました。蓋ができなかったらこんなところで寝たくはない笑。
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さらにその上には洗面台があります。朝、ここで顔を洗うことができます。この前に乗車したCalifornia Zepher号では共用の洗面台でしたがあまり不便は感じなかった。逆に、個室内に水道やトイレがあることでのメリットはあまり感じませんでした。
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続いて空調や照明などです。空調や照明は自由に調整することができます。
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アメリカ人と日本人では体感温度が違うようなので、個室ごとに空調が調整できるのは正直かなり助かる。California Zepher号とは異なり、温度は調整できないようです。
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室内の照明も同様に操作することができます。下段のベッドと上段のベッドの両方から操作できるようになっています。
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こちらは座席(下段のベッド)に設置されたライトです。
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フェイスタオルやせっけんなど、必要なアメニティ類は予め客室に備え付けられています。これはかなり助かる。
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客室内にはハンドソープが設置されています。
個室(Roomette)の狭いながらも快適な設備で快適な旅を個室内にはコンセントを完備 Wi-Fiも完備されているが…
アムトラックの各個室にはコンセントが完備されています。Lake Shore Limitedの個室は定員が2名の設計なので2つのコンセントがあります。
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客室内に設置されたコンセントです。トイレの上にあります。ベッドからやや離れているのがちょっと難点。僕はスマートフォンをベッドのところに置いておき、翌朝起きてから、スマートフォンの充電をしていました。
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Lake Shore Limitedの車内にはWi-Fiが設置されています。しかし、このWi-Fiはどうも性能が低いようで、iPhoneでは読み込み状態のまま先へは進みませんでした。ここは改善を期待します。
各個室にはテーブルも完備
各個室にはテーブルも完備されています。簡単な食事であれば難なくできます。
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テーブルは通常、閉じた状態になっています。
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テーブルを出してきた状態です。閉じたままの状態でも使えるようです。
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テーブルを広げた状態です。チェスができるようになっているのは、さすが、アメリカらしいです。
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トイレの反対側に、ゴミ箱があります。さらに、このゴミ箱の横にはトイレットペーパーが。非常に効率を重視したつくりですね。日本ではなかなか考えられないです。
荷物置き場も充実
長距離列車ということもあって、荷物置き場なども充実しています。
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こちらは上部にある荷物置き場です。個室外の廊下の天井の上に位置しています。かなり広く、国際線で預け入れが必要なサイズの荷物も入りそうなのですが、いかんせん場所が高いため、正直入れる気になりません。
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僕は上段のベッドを少しだけ下げて、そこにスーツケースをおいていました。上段のベッドの上であれば、大きなスーツケースでも広げることができます。
一部の車両では内装をリニューアルした車両を使用
一部の車両は更新が行われており、内装がリニューアルされています。
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内装がリニューアルされた車両は、濃い紫色が主体のデザインになっています。基本的な機能は、僕たちが使用しした旧型の車両と同じです。
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洗面台が設置されています。ちなみに新型の車両ではトイレは共用のトイレとなっており、個室のベッド真横にトイレはありません。
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座席は相変わらず大型の座席で、快適に使用することができます。
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枕元のパネルなど、室内の設備は旧型のものとほぼ同じです。
座席車は区間利用で混雑する
Lake Shore Limitedをはじめ、アムトラックの列車には基本的に座席車両が付いています。Lake Shore Limited号には、coach classと呼ばれる座席車両が付いています。
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Lake Shore Limitedの座席は混雑します。僕がみた限りでは、窓側の座席に空席はありませんでした。したがって、窓側の座席を確保できたとしても、隣に知らない人が乗ってくる可能性があります。座席自体は後ほど解説する通り快適ではあるものの、やはり夜行列車ではお金をかけて個室を予約するべきです。
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ここからは、同じタイプの座席が使われているCalifornia Zepher号で撮影した写真を用いて、その様子を紹介します。
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座席の様子です。座席自体は日本の特急列車のグリーン車に相当する前後間隔を有する座席になっています。
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もちろん、リクライニングが使用できます。この辺りは、夜行列車であるため睡眠をとることも考慮して設計されています。
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各座席の背面にはテーブルが設置されています。
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テーブルを広げるとこんな感じ。パソコン作業なども難なくこなすことができる大きなテーブルです。
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各座席にコンセントが配置されています。窓側に2つ設置されており、各座席1つということでしょう。
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荷物置き場はあまり広くありません。大きな荷物はデッキの手荷物スペースに入れることになります。
Lake Shore Limitedの車内設備を徹底紹介!シャワールームやダイニングカーも完備
ここまでで個室の様子や座席の様子を紹介してきました。続いては車内の様子を紹介していきます。
個室の利用客はダイニングカーで食事を楽しもう
アムトラックの個室車両(Roomette)では、食事がつきます。ダイニングカーでいただくことができます。なお、Lake Shore Limitedのダイニングは、西海岸へ向かう列車などと比べてややカジュアルなものになっています。プラスチック容器のワンプレートで提供されるため、場合によっては少し安っぽく感じるかも。
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僕はこのLake Shore Limitedに乗る前日まで乗っていたCalifornia Zepher号からずっと、オレンジジュースをよく注文していました。
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ダイニングカーの様子です。ダイニングカーは4人がけのテーブルが並んでいます。西海岸へ行く列車とは異なり、相席になることはありませんでした。
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ダイニングは天井が高く、とても広々としています。車両の半分程度がダイニング、残りの半分程度がキッチンという構造です。寝台個室の数が少ないためか、これで回っています。
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朝食です。いかにもアメリカらしい、ポットケーキとポークソーセージの朝食です。Lake Shore Limited号の朝食はこのように、プラスチック容器のワンプレートで提供されます。
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昼食です。昼食もこのような感んじで、朝食と同じワンプレートで提供されます。なお、アルミホイルに包まれているのはパンです。さらに、ブラウニーがキッチンスタッフの方のポケットから出てきたのはびっくり。アメリカらしいです。
新型車両には共用のお手洗いも完備されている
新型の車両には共用のお手洗いも完備されています(旧型の車両にはないようです)。
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旧型の車両には共用のお手洗いがないので、このお手洗いがあるのは結構助かりますね。
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ただ、各個室に鏡のついた洗面台があるので、共用のお手洗いの洗面台は簡易的なものでした。
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お手洗いの様子です。新型車両らしく新しいお手洗いが設置されています。
個室利用客にはシャワールームも完備
個室を利用する乗客は、シャワーを自由に使うことができます。
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アムトラックのシャワーは自由に使うことができます。常識の範囲内であれば、1日の回数制限も時間制限もありません。日本の寝台特急「サンライズエクスプレス」のように、シャワーカードで時間が制限されている、なんてことがありません。
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タオルなども設置されています。自由に使うことができます。
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列車の旅においてもシャワーを浴びれるか否かは重要。これによって、夜寝た時の疲れのとれ方が大きく変わってきます。ここは是非とも、シャワーを活用したいところです。
軽食などを購入できるラウンジカー
ラウンジカーでは軽食などを購入することができます。
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座席車が多く付いているため、このカフェを使われている座席車のお客さんが多くいらっしゃったようです。アメリカらしく、カフェ車両での購入には現金だけではなくクレジットカード、そしてApple PayやGoogle Payなどのスマートフォン決済も利用できます。
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朝食は朝食のメニュー、そしてランチとディナーは同じメニューになっています。アメリカの物価高を考えると、電車の中だから高額ということもなさそうです。
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飲み物(Beverages)です。飲み物はノンアルコールの飲み物からアルコールまで、幅広く揃えられているイメージです。
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スナック横のラウンジの様子です。このラウンジでくつろいでいる方が多数おられました。個室の乗客はダイニングカーを休憩スペースとしている人が多く、ここは座席車のお客さんが多数おられました。
Lake Shore Limitedの乗車の様子はVlogでまとめてあります。合わせてご覧ください。
Lake Shore Limitedについて徹底的に解説してきました。アムトラックについての情報は、どうしても日本語の情報が少ない。些細なことでも結構ですので、何か知りたいことがあればコメント欄よりご質問ください。可能な限りではありますが、お答えします。
また、「アメリカでいちばんの絶景」と言われる「California zephyr」号に乗車した際の様子も記事にしました。この「California zephyr」と今回紹介した「Lake Shore Limited」を合わせることで「アメリカさきのの旅」が敢行できます。California zephyrに関する記事も併せてご覧いただければと思います。
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