首都圏に加えて東北まで含めた広大な地域に路線網を持つJR東日本。東北新幹線に加え山形新幹線、秋田新幹線、上越新幹線、北陸新幹線など数多くの新幹線を持っているのも特徴です。
そんなJR東日本は数多くのフリー切符を発売しています。通勤利用や出張利用なども多いことから、週末などの休日に使えるフリーパスが多いのもまた魅力。そして、首都圏や一地方など、近郊に限ったフリー切符もあればかなり広大な地域を使えるフリー切符もあります。今回はJR東日本のフリーきっぷを徹底的にご紹介します。
JR東日本ならではの、広大なエリアが使えるフリーきっぷ
JR東日本は首都圏から東北エリア、そして甲信越エリアまで広大な路線網を持っています。この広大なエリアを利用できるきっぷは主に3種類。うち2種類は、特急券を別途購入すれば新幹線・特急にも乗車できるという優れものです。
毎週末に利用が可能、新幹線も、多数の私鉄も使える「週末パス」
2021年6月のえきねっとシステム大改修で、えきねっとから予約が可能になりました。これにより、東日本の週末エリア外に住んでいる人も「前日までに購入」の条件が達成できるようになりました。
まずJR東日本の広大なアリアに及ぶフリーきっぷといえばこれ。「週末パス」です。僕も実際にこのきっぷを使って旅をしたことがあります。このフリーパスは、主に仙台エリア以南のエリアが2日間乗り降り自由となるきっぷです。このきっぷの特徴は大きく3つあります。
- 別途特急券を購入すれば新幹線や特急などにも乗ることができる
- 会津鉄道・北越急行などをはじめとした14の私鉄にも乗車することができる
- 一部の繁忙期を除いて、毎週末使うことができる
この後紹介する、三連休パスや北海道・東日本パスとは異なり、ほぼ毎週(お盆・正月など一部除外期間もあり)使うことができます。一方、エリアが少し限られていて、仙台エリアまでというのがちょっと残念なところ、JR東日本の多くの路線に乗ることができるのですが、くりこま高原以北の盛岡・秋田・青森方面は使うことができません。
また、前日までに購入する必要があるので、JR東日本エリア外に住んでいる人にとってはなかなかハードルが高いというのもまた事実です。僕は仕事の関係でJR東日本エリアに出張した際に切符を購入しました。→えきねっとで購入できるようになったため、東日本エリア外に住んでいる人でも手軽に購入できるようになりました!えきねっとでも、前日までに購入する必要があることに変わりはありませんので注意してください。
【販売終了】JR東日本全路線が使え新幹線や特急もOK、ただ日程が大幅に限られる「三連休パス」
2021年度からは発売がない旨JR東日本から発表されました。楽しみにしていたのに、残念です。
JR東日本は首都圏から東北・甲信越に広大な路線を持つこともありここが自由に使えればかなり大幅な範囲が乗り降り自由となる、と言えます。この切符はまさかのJR東日本区間だけではなくJR北海道の函館近郊(具体的には森駅まで)が乗り降り自由となる切符です。別途特急券を購入すれば特急列車や新幹線等も使えます。
例えば、首都圏から3連休を使用して函館へ行く、なんていう旅行ならめちゃくちゃお得です。東京から新函館北斗までの運賃は12,100円、このフリーパスは1万4370円(2020年の情報)ですから、片道+αで元がとれる。
しかしなかなか難しいのがここから。運賃(乗車券部分)はこれでいいのですが、特急券は別途購入する必要があります。東京から新函館北斗までの特急券は片道12,000円近くします。さらに、インターネット予約「えきねっと」を使えば「えきねっととくだ値」とよばれる運賃+乗車券の割引切符が存在します。
往復するだけで特急券が24,000円、フリーきっぷの倍以上の値段がかかってしまうことを許容できるか、ということが問題ですね。
と考えると逆に、
首都圏→山形→秋田→仙台→首都圏
や、
首都圏→甲信越→福島方面→山形/仙台など→首都圏
など、東日本エリアをワイドに観光する場合の方がお得感はありそうです。
逆にいうと、特急や新幹線などを使わないとなかなか元が取れないのがこのきっぷ。つまり、この切符の値段「14,370円」は半分騙し(なんていう言い方をするとちょっと悪意がありますが…)みたいなものであって、あくまで「そこに追加で特急料金を支払うことが前提となっている」ものと言えるでしょう。特急料金なども考慮して、旅行計画・予算などを考える必要がありそうです。
再度掲載となりますが、2021年度からは発売がない旨JR東日本から発表されました。
青春18きっぷの北海道・東日本版「北海道&東日本パス」
続いて紹介するのが、一言で行ってしまうと「青春18きっぷの北海道・東日本版」とも言える「北海道&東日本パス」です。こちらは名前の通り、JR北海道・JR東日本全線が乗り放題となります。それに加えて新幹線により経営分離されたなど、いわば「在来線の幹線」といえる青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・北越急行にも乗り降り自由となるきっぷです。
特急券などを別途購入しても、特急や新幹線などには乗車できず、普通列車・快速列車などを利用して移動する必要があります。ただし、いくつか青春18きっぷとは違うところがあります。具体的には、
- 青春18きっぷより安価な価格設定
- 青春18きっぷより長く、7日間の有効期限
- 青春18きっぷのように分割・複数人利用はできず「7日間連続フリーパス」となる
- オプション券で利用できる新幹線区間が「新函館北斗=新青森」(青春18きっぷオプション券は「奥津軽いまべつ=木古内」)
- 「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」を購入すると1日間、北海道の特急列車普通車自由席が乗り降り自由
ということが挙げられます。青春18きっぷが12,050円であり、1日あたり2,410円であるのに対し、北海道&東日本パスは7日間で11,330円、1日あたり1,619円です。JR北海道・東日本エリアだけに限定して回るのであればかなりお得であることがわかるでしょう。
有効期間に関しては、
春季:2021年3月1日~2021年4月22日
夏季:2021年7月1日~2021年9月30日
冬季:2021年12月10日~2022年1月10日
と、青春18きっぷと同様に制限が設けられています。他のふたつのフリーパスと比べてかなり制限のあるきっぷですが、急がない、のんびりぶらり旅にはもってこいの切符と言えるでしょう。
また、JR東日本はこの「北海道&東日本パス」や「青春18きっぷ」で乗れる「快速」扱いの観光列車も多く走らせています。これらをうまく活用すれば、指定席料金520円など、少しの追加料金で快適に移動することができるのでオススメです。
地域限定のフリー切符も充実!
JR東日本は、おそらくは「東京近郊」のイメージが強いでしょう。実際、JR東日本の最大の収入源が東京近郊だと思われるのですが、静岡県から甲信越、東北の先端、青森県まで広大なエリアに鉄道を持っているのがJR東日本。これらの広大なエリアの、所々にフリーパスの設定があります。ここからは、JR東日本の公式サイトから引用する形でご紹介していきます。
首都圏のフリーパス
のんびりホリデーSuicaパス
東京近郊で、休日に使うことができるフリーパス。Suicaに追加する形で利用可能(紙の切符はない)。定期券を載せていない、カードタイプのSuicaが必要、などさまざまな制限はあるが条件に合えばICカードがフリーパスになってしまうかなり便利なフリーパスです。
普通車自由席、東京臨海高速鉄道線(りんかい線)全線、東京モノレール線全線が乗り降り自由(別に特急券やグリーン券等を購入すれば、特急列車・普通列車グリーン車等も利用可能。ただし新幹線は利用不可)。
休日おでかけパス
エリアなどは先程のSuicaパスと一緒です。効力も同じ。ただしこちらは紙の切符です。Suicaを持っていない、あるいは定期券搭載のSuicaしか持っていないという場合はこちらの切符になります。ただし、Suicaより少しだけお高いのは仕方ない。
★別に特急券やグリーン券等をお買い求めいただくと、新幹線・特急列車・普通列車グリーン車等もご利用になれます。※東海道新幹線はご利用になれません。
都区内パス
先程までの切符より少し範囲が狭くなります。東京23区内の普通列車(快速含む)の普通車自由席が乗り降り自由のきっぷです。範囲が狭く、「旅行」に使うというよりは「都内の移動で、1日であっちとこっちへ行く」時に使うという感じの切符です。都区内は途中下車が原則できないため、そこを補完している感じすらあります。
東京フリーきっぷ
東京23区内のJRの普通列車(快速含む)普通車自由席と地下鉄、日暮里・舎人ライナー、都電、都バスが乗り降り自由のきっぷです。こちらは同一の切符として、Suicaバージョンと紙の切符バージョンがあります。
先程までのフリー切符より使うことができる交通機関が多くなります。東京メトロ・都営地下鉄が使えるのはかなり大きい。都内の多くの鉄道に乗ることができるようになります(もちろん、私鉄は乗れませんが)。
ヨコハマ・みなとみらいパス
横浜~新杉田間と横浜高速鉄道みなとみらい線が乗り降り自由のきっぷ。
横浜エリアであちこち行くなら便利な切符です。しかし、横浜エリアを使うなら私鉄を使う方がいいかなあって感じがしてしまうのもまた事実。
東北エリアのフリーパス
ここからは東北エリアのフリーパスのご紹介です。東北エリアは広いので、いろいろなところにポツポツとフリー切符が設定されています。
あおもりホリデーパス
土・休日に青森周辺の普通列車が乗り降り自由なきっぷです。青い森鉄道線が使えるのも大きいですね。東北新幹線の開業によって経営分離された各種路線が使えるのと使えないのでは利便性はかなり違いますからね。
いわてホリデーパス
続いての「いわてフリーきっぷ」は名前の通り岩手周辺のエリアが乗り降り自由となるきっぷです。北は大館まで行くことができ、東日本大震災の影響で鉄道復旧が断念されたBRTバス高速輸送システムも利用することができます。気仙沼や宮古など、岩手エリアの観光地を大幅にカバーしているのがポイント。三陸鉄道も使えるようになったらよりいいのになあ、とは思いますがそれは仕方ない。
ぐんまワンデー世界遺産パス
首都圏から程近く、日帰りで観光することもできる群馬。そんな群馬エリアをカバーするのがこの「ぐんま世界遺産パス」です。
群馬屈指の観光地である草津温泉へは、JRバス関東のバスがカバーしています。草津温泉に日帰りで行って、フリーパスを使うほどあっちこっち観光する人はいない気がするんだけどなぁ、って思うのは僕だけでしょうか?
五能線フリーパス
五能線をめぐる旅に便利なきっぷ「五能線フリーパス」です。五能線は日本海側を通り、非常に景色がいい。そして、そんな景色を存分に活かしたJR東日本の観光列車の先駆け「リゾートしらかみ」が走っています。「リゾートしらかみ」には、この五能線フリーパスに加え、520円の指定席料金で乗車することができます(リゾートしらかみは快速列車指定席という扱いです)。
秋田・男鹿デジタルフリーパス
秋田~男鹿エリアで使うことができるデジタルフリーパスです。スマホで購入&決済まで完了できるというのもまた魅力。スマホ画面を見せるだけでバスやJR線に乗車することができます。
小さな旅ホリデー・パス(主に仙台周辺)
仙台周辺の非常に広大なエリアが利用できる「小さな旅ホリデーパス」。東北新幹線を除く、仙台エリアの鉄道が北は平泉・新庄まで、南は新白河・只見まで使うことができます。仙山線や只見線などの絶景鉄道も使うことができ、仙台エリアの松島などをはじめとした観光地や、会津若松駅近くにある会津若松城など、観光にも使うことができるきっぷです。有効期間が1日というのが少し残念なところではありますが。
庄内・最上川パス(デジタルフリーパス)
続いては新庄から最上川周辺を経て日本海側まで利用することができるフリーきっぷ。特急券や指定席券を購入すれば、日本海側を走る特急列車である特急「いなほ」や、日本海側でリゾートしらかみと並んで観光列車となっている海里なども利用できます。
青森・弘前デジタルフリーパス セミワイド
青森周辺の観光に便利なフリーきっぷです。次に紹介するベーシック版に比べてやや広い区間が利用でき、それに加えて「ねぶたん号」が利用できます。
青森・弘前デジタルフリーパス ベーシック
こちらも、先ほどご紹介した切符と同様、青森エリアのフリーきっぷです。青森周辺を観光するなら便利ですが、青い森鉄道が利用できないのはちょっと残念なところ。
仙台まるごとパス
仙台エリアの各種鉄道や仙台市営バスが乗り降り自由となる、かなり広範囲で使えるきっぷです。北は仙台周辺の屈指の観光地である松島海岸まで、西は仙山線の8割方のエリアを含んで山形エリアの観光地である山寺まで利用することができます。JR以外の私鉄も利用できるのも
仙台まるごとパス(デジタルフリーパス)
先ほど紹介した切符のデジタル版です。効力は先ほどの切符とほぼ一緒。
仙台まるごとパスワイド(デジタルフリーパス)
こちらも仙台エリアが乗り降り自由となる切符ですが、先程の切符に加えて、北は石巻まで行くことができるようになります。また、石巻方面へはJRだけでなく宮城交通のバスも利用できるようになります。
津軽フリーパス
こちらの切符は、弘前を中心とした津軽エリアが乗り降り自由となる切符。JRだけではなく、津軽鉄道や弘南鉄道も使うことができるようになるため、津軽エリアはかなり広範囲にわたって使うことができます。
米沢赤湯回廊パス(デジタルフリーパス)
続いては山形・庄内を中心に使うことができるフリーパス。JR線に加えて山形鉄道線が使用できます。山形駅が入っていないので、米沢まで山形新幹線などを使っていくしないのがちょっと難点。
甲信越のフリーパス
ここからは甲信越エリアのフリーパスです。
えちごツーデーパス
えちごツーデーパスは名前の通り越後エリアのJRに加え、えちごトキめき鉄道と北越急行が乗り降り自由となるフリー切符です。越後エリアの鉄道に加え、越後湯沢から新潟までの上越新幹線も利用できます(別途特急券が必要です)。越後エリアをワイドに回る場合はお得な切符です。このエリアは観光列車も走っているので利用するといいでしょう。
えちごワンデーパス
先程のパスの1日版。1日版になると第3セクターの私鉄が使えなくなり、範囲も狭くなります。ので、場合によってはフリーエリア外の乗車券を別途用意するか、1日分を捨ててでもツーデーパスを購入した方が便利かも。
きらきら日本海パス
日本海エリアから山形にかけて使うことができるフリーパスです(東北エリアに入れようか迷いました…)。この辺りは鉄道がやや少ないこともあり、バスなどを使って回ることができるようになっています。
信州ワンデーパス
最後に長野エリアのフリー切符。このフリー切符はJR東日本の長野エリアが乗り降り自由となる切符で、特急券や指定席券を購入すれば新幹線や観光列車も使用できます。このフリーエリア、意外と狭そうに見えて結構広いのです。そして何より大きいのが、小淵沢=小諸間を走る観光列車「HIGH RAIL 1375」、そして長野=松本=南小谷間を走る観光列車「リゾートビューふるさと」の両方に全区間乗車できてしまうということ。
長野エリアの観光列車三昧の旅ってのもいいでしょう。
フリーパスを活用して広大なエリアを回ろう!
今回は、めちゃくちゃ充実したJR東日本のフリーパスをご紹介しました。
非常に広大なエリアに路線網を持つJR東日本。広大なエリアに路線網を持つからこそ、それぞれの地域に、それぞれに適したフリー切符をたくさん発売しています。北海道とも似通った、自然豊かな東北エリアを、のんびりと旅行してみてはいかがでしょうか。
今回の記事もご紹介した「週末パス」を使用した旅行をしました。こちらの記事もご覧ください。
今後もまだ、北海道&東日本パスや週末パスを使用した旅行を計画中です。またご覧ください。
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