国内線、国際線の双方を多数運航するANA。「国内線用」の機材と「国際線用」の機材は原則、分けられていますが、一部の路線や便では国際線機材が国内線に入ることがあります。本記事では、
- ANAの国際線機材が国内線の運用に入るのはどのような場合か
- ANAの国際線機材が国内線に入った際、座席指定はできるのか
- ビジネスクラスの座席に格安で座ることができるのは本当か
などといった疑問にお答えします。国際線機材が使用されるフライトの探し方やシートマップなど、実際にANA旅作(現・ANAダイナミックパッケージツアー)で利用した僕が、その際の様子などを詳しく解説します。
ビジネスクラスの座席も無料!?国際線機材の国内線運用
ANAにおいて国際線向けの機材が国内線で運用される場合、ビジネスクラスの座席も無料で開放されることになります。
ANAでは国際線の機材と国内線の機材は異なる
ANAでは国際線向けの機材と国内線向けの機材は原則、分けて運用されています。機内に用意されている座席のクラスが異なるためです。参考としてB777-300の座席数を比べてみましょう。
クラス | 国内線向けB777-300 | 国際線向けB777-300ER |
---|---|---|
ファーストクラス | なし | 8席 |
プレミアムクラス | 21席 | なし |
ビジネスクラス | なし | 68席 |
プレミアムエコノミークラス | なし | 24席 |
エコノミークラス | 493席 | 112席 |
合計 | 2クラス514席 | 4クラス212席 |
機材名の最後に「ER」(Extra Range)が付くか否かは、航続距離の差、つまり燃料タンクの量などが異なることに起因します。機材自体の大きさが同じなのに、座席数が全然異なります。このように、機材の外観はほぼ同じでも座席が全く異なるのです。つまり、国内線と国際線の機材は完全に別で運用されています。
国内線・国際線共用の機材もあり
ANAでは国内線機材と国際線機材が別で運用されています。しかし一部の機材は国内線・国際線共用の機材として使用されています。そのため、特別な運用でなくとも国内線に入ることがあります。
- B787-8
- B767-300
- A320neo
なお国際線として運用されるのは、国内線と大きく距離が変わらない中国・韓国路線などが中心で、プレミアムクラスがビジネスクラスとして使用されます。
B767は国際線専用の機材として使用されていましたが、コロナ禍で国内線との共用機材に変更されました。運用上、モスクワ路線に使用する予定であったこと、B787の導入が進んだことなどから現在では国内線との共用機材として運用されています。
運用の都合上、国際線用の機材が国内線として使用されることがある
なぜこのように別で運用されているにも関わらず、「国際線用の機材が国内線で使用される」ということが起きるのでしょうか。それは機材運用が原因です。国内線の機材に余裕がない場合、国際線の機材を使用することになるのです。
なお、逆のパターン「国内線機材が国際線で使用される」ことはイレギュラー時を除いて原則、ありません(2024年に1度だけあったようで、ネットでは話題になっていました)。座席クラスが、そもそも種類から足りないことや機内食提供の設備がないことなどが理由です。
東京発着や関西空港発着のフライトで多い
この仕組みからわかると思いますが、東京・羽田空港や成田空港発着の国内線、関空発着の国内線で設定されている場合が多いです。「東京から海外都市まで、1往復するのに1日もしくは2日はかからないけど国際線でもう一往復するほどの時間はない」という路線の機材が、国内線運用に回されることになります。
例えば東京からオーストラリアやカナダ西海岸路線などは片道10時間程度です。折り返し時間を考えると24時間で1往復はできませんが、1往復に48時間はかかりません。このような機材が、成田空港に到着後に名古屋・中部行きの国内線として1往復使用されたりすることがあります。
そのため、国際線機材が使用される条件として「ANAの国内線・国際線がともに就航している」空港発着に限ります。コロナ禍以降は名古屋・中部からのANA国際線が運休しているため、事実上、
- 東京・羽田空港
- 東京・成田空港
- 大阪・関西国際空港
に限定されます。コロナ禍以前は成田空港で圧倒的に多かったものの、国際線は羽田空港発着を優先的に回復させたため、現在では羽田空港発着の便でもみられます。
国際線機材の国内線運用でも座席指定が可能
国際線機材が国内線として使用される場合も、シートマップが利用可能です。事前に決まっている場合は国際線機材のシートマップが表示されます。
僕自身の経験では、ハワイ・ホノルルから成田空港を経由して名古屋・中部国際空港へ帰国した際に「国際線機材の国内線運用」に当たりました。
2024年現在、ANAの国際線の一部では座席指定が有料ですが、国内線は無料です。シートマップの前方に明らかに座席数が少ないエリアがある場合、ビジネスクラスの座席であることがほとんどです。
実際に利用してみて
2019年9月、東京・成田空港から名古屋・中部国際空港までのフライトで、B787-8のビジネスクラス仕様の座席を、普通席として利用しました。
B787-9のビジネスクラスでは、座席はほぼ同じで一部木目調のデザインが取り入れられたものが使用されています。座席の機能自体はほぼ同じです。
ビジネスクラスの座席はフルフラットになります。フルフラットまで倒すと意外と頭が低い位置にくる。実際の国際線ビジネスクラスでは、ブランケットや枕が貸し出されます。また、頭が低い位置に来た方がプライベート感があっていい。
ビジネスクラスの広々としたテーブル。ただし、引き出した後で左右を広げるタイプなので専ら食事やパソコンを用いた作業用。ものを書いたりするのには向いていない様子。
なお、B787-9や787-10、A380などの新機材では、両サイドを折りたたむ形式ではないテーブルが採用されています。サイドテーブルから出てくるテーブルです。
ビジネスクラスの大きなモニター。当然、映画等も観られます。国際線機材の国内運用では短い便が多いため映画を観る時間はなかなかありません。
ビジネスクラスにはサイドテーブルがあります。ドリンクサービス等はここに置いてくれます。テーブルを出さなくていいのが便利です。
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