山陰本線は関西圏の京都から、山陰の都市である鳥取・松江・出雲市・益田などを経て下関へと至る路線です。
この山陰本線は、海沿いを走るものの岩場が多くどうしても山がち。そんな区間を貫くためにさまざまな工法がとられています。その中でできたのがものすごい高さのある「余部橋梁」。今回は、この余部橋梁・餘部駅のご紹介です。
余部橋梁は高さが最大41.5メートルもある
余部橋梁の長さは310メートルもあります。なぜこんなに高い鉄橋を作る必要があったのか。その理由から入りましょう。
山がちな区間が続く山陰本線では、次の中からどれかを選んでルートを決める必要があります。
- 低い位置にトンネルを掘る代わりに、山の裾野の部分でも地下にある長いトンネルを掘る
- 高い位置にトンネルを掘り、トンネルを短くする代わりにトンネルとトンネルの間の部分では高い橋を建設する
- 迂回してできるだけ1にも2にもならないようなルートを通る
山陰本線は「本線」と名前がつくほど重要なルート、つまり幹線。つまり、貨物列車や特急列車が数多く行き来することも想定していました。貨物列車が通りにくくなり、さらには特急列車の速達性が活かせない3はまず却下されてしまうわけです。
要するに、残りの1と2でバランスを取りながらいい感じの高さに建設することになるわけです。トンネルを掘るにも巨額がかかる、そして高い橋を作るにも巨額がかかる。ということで、バランスを取らなくてはなりません。
その結果、この余部橋梁はこれだけの高さになったわけです。
- 橋の両端の距離 309.42m
- 高さ 41.45m
という巨大な橋になったわけです。橋を低い位置に作ってそしてトンネルを長く掘るより、この高さの橋を作った方が安上がりだったわけです。
それでも、当時としての額で331,535円をかけました。33万円ならポケットマネーで出せそうですが、そんなことはありません。元の余部橋梁が建設されたのは明治42年、1909年です。物価の測り方はいろいろありますが、庶民の給料で比較すると当時の一円は今の2万円くらいとすると6億円〜7億円程度が投入されたことになります。
余部橋梁はもはや観光地となっている
余部橋梁は観光地となっています。先ほど写真であげたように、元々は赤色のトラス橋がかかっていました。
もともと線路が敷かれていた場所、その横に現在は新たなコンクリート橋が建てられています。元々のトラス橋は整備などの都合で全てが残されているわけではありません。しかし、一部の区間が観光客のために残されています。
そして今では観光に来た人が歩けるようになっています。もともとはもちろん、列車が走っていたところなので歩けませんでした。
さらに、餘部駅に近い部分に残されたトラス橋の先端にはエレベーターが設置されています。このエレベータは改札内にあるわけでもなく、無料で乗ることができます。1つの観光名所として開発するために設置されたものです。
餘部駅に普通列車で到着したのち、ちょっと駅周辺を見てからエレベーターで降りました。この降りる時は一切並びませんでした。
しかし、エレベーターで降りたところにはかなりの列が。「余部クリスタルタワー」という名前なんですね。ここはかなり観光の方がおられました。列車の時間がある場合は早めに並ぶようにすべし。
さらに、1種の観光名所ということで、JR西日本が運転する超豪華クルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風」の減速スポット・撮影スポットとなっています。
余部橋梁の下には道の駅があります。お土産が購入できたり、簡単な定食などはここでいただくことができます。余部クリスタルタワー(エレベーター乗り場)からは徒歩で数分です。
余部橋梁では、戦前にかなり痛ましい事故がありました。列車が通過する際に突風が吹き、列車が転落する事故が起こったのです。
1986年(昭和61年)12月28日13時25分頃、香住駅より浜坂駅へ回送中の客車列車(DD51形1187号機とお座敷列車「みやび」7両の計8両編成)が日本海からの最大風速約 33 m/s の突風[注釈 6]にあおられ、客車の全車両が台車の一部を残して、橋梁中央部付近より転落した。転落した客車は橋梁の真下にあった水産加工工場と民家を直撃し、工場が全壊、民家が半壊した。回送列車であったため乗客はいなかったが、工場の従業員の女性5名と列車に乗務中の車掌1名の計6名が死亡、客車内にいた日本食堂の車内販売員3名と工場の従業員3名の計6名が重傷を負った。なお、重量のある機関車が転落を免れたことと、民家の住民が留守だったことで機関士と民家の住民は無事だった。しかし、事故後に機関士の上司が自殺した。
Wikipediaより
そのため、余部橋梁の下には今でも慰霊碑が建てられています。
駅だけれどアクセスは良くない 行くならば計画的に!
余部橋梁は山陰本線の途中にある橋梁です。餘部駅があり、この餘部駅を城崎温泉・豊岡方面に行くとすぐに余部橋梁です。
しかし、この山陰本線の城崎温泉〜鳥取間はかなり列車の本数が少ない。次の列車は2時間後なんてのはザラです。したがって、列車で行くならば計画を立てておかないとえらいことになります。
僕の場合、鳥取方面から普通列車で餘部駅へ、そして餘部駅から普通列車で鳥取方面へと抜けました。そのため、30分で次の列車が来ましたが同じ方向に抜ける際は注意が必要です。
また、鳥取駅までは1時間近くかかるのでこちらも注意が必要です。
鳥取方面へ抜ける場合は浜坂駅で乗り換えとなる場合も多くあります。半数程度の列車が鳥取へと直通、半数程度の列車が浜坂駅止まりとなります。浜坂駅特急の発着駅ではあるものの、駅周辺にコンビニなどもなく、足湯があるくらいですので注意しましょう。
コメント
「余部橋梁は高さが最大309メートルもある」という誤り
(正しくは「長さ」)
ご指摘の通りです。ありがとうございます。訂正させていただきました。