東京駅・上野駅・大宮駅から東北地方の仙台へ、盛岡へ、青森へ、そして北海道新幹線に直通して新函館北斗へ。関東圏と東北・北海道を結ぶ大動脈である東北新幹線。
最速320km/hで関東圏と東北各地を結ぶ東北新幹線。東北新幹線の混雑状況を、過去の経験に基づき徹底解説します。この記事では、
- 東北新幹線の種別・それぞれの混雑状況
- 通常期と繁忙期それぞれで、自由席に座れるのか
- 自由席に座れる可能性が高い穴場の列車はどれか
がわかるように解説していきます。それではいきましょう。
東北新幹線「はやぶさ」は全席指定席 それなりに埋まるが直前でも空席がある
東北新幹線の最速達列車は「はやぶさ」号と「こまち号」です。「はやぶさ」号と「こまち」号は全席指定席での運転です。乗車には新幹線指定席特急券が必要です。
はやぶさ号は大宮から仙台までノンストップ
はやぶさ号は東北新幹線の新青森駅延伸開業と同時にデビューした列車です。大宮から仙台までをノンストップで結びます。最高速度が320km/hと、高速運転を行います。基本的に、E5系・H5系新幹線で運転が行われます。
全席指定席になっているため、自由席はありません。指定席は比較的空いていることが多く、直前であっても指定席を確保しやすいです。
区間 | 指定席 | 自由席 |
---|---|---|
東京〜大宮 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | (自由席なし) |
大宮〜宇都宮 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | (自由席なし) |
宇都宮〜福島 | 同上(宇都宮停車せず) | (自由席なし) |
福島〜仙台 | 同上(福島停車せず) | (自由席なし) |
仙台〜盛岡 | やや空席が目立つ | (自由席なし) |
盛岡〜新青森 | 空席が多い。 繁忙期以外は、直前でも窓側座席を取れる | 特定特急券でも十分座れる(繁忙期を除く) |
新青森〜新函館北斗 | 空席が多い。 繁忙期でも、直前でも窓側座席を取れる | 特定特急券でも十分座れる(繁忙期を除く) |
ただし、帰省ラッシュと重なる年末年始やお盆、ゴールデンウィークなどは混雑します。「えきねっと」などもうまく活用し、早い時期に予約を確保しておかないと大変です。また、連休前後も混雑します(そのため、JR東日本では連休前後が「繁忙期」として設定されていたりします)。
コロナ禍で初めての規制のないゴールデンウィークとなった2022年のゴールデンウィークの混雑状況です。
2022年3月には、福島県での地震の影響で長期間、東北新幹線が不通となりました。そのため、1ヶ月前を過ぎてからの発売となりましたが、ネット予約サイト「えきねっと」のサーバーダウンが起こるほどの混雑でした。そして、はやぶさ号は案の定、空席が全くない状況となっていました。
東北は場所柄、ビジネス需要より帰省などの需要が大きくなる傾向にあります。繁忙期はかなりの混雑をするので注意が必要です。
こまち号は全席指定席 座席は普段からそれなりに埋まる
秋田新幹線に直通する列車は全て「こまち」号となっています。こまち号は全席指定席ですが、秋田〜盛岡間に限り、特定特急券で普通車の空席を利用することができます。
区間 | 指定席 | 自由席 |
---|---|---|
東京〜大宮 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | (自由席なし) |
大宮〜宇都宮 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | (自由席なし) |
宇都宮〜福島 | 同上(宇都宮停車せず) | (自由席なし) |
福島〜仙台 | 同上(福島停車せず) | (自由席なし) |
仙台〜盛岡 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | (自由席なし) |
盛岡〜秋田 | やや混雑 平日の朝夕や休日は窓側が埋まる程度 | 特定特急券でも十分座れる(繁忙期を除く) |
途中駅(盛岡・仙台など)から乗ってくるお客さんは普通、併結されている「はやぶさ」号に乗車するため、秋田新幹線内各駅から東京方面まで直通するお客さんが多いのが特徴です。東京〜盛岡間以外でお客さんがあまり変わりません。
秋田新幹線内では、途中駅からの乗車も多数あります。ただし、繁忙期を除いては満席になることはほとんどありません。特定特急券では、その席の指定席特急券を持ったお客さんが来たら座席を譲らなくてはならないものの、基本的には座れると考えてよいでしょう。
はやぶさ号はこまち号と併結運転
東北新幹線の東京〜盛岡間において、東北新幹線の「はやぶさ」号と「こまち」号は併結運転を行なっています。
そのため、東京から盛岡については「こまち」号を利用しても同じ列車で行くことができます。しかし、JR東日本の新幹線が大幅に割引になる「えきねっとトクだ値」(別の記事で詳説)などの設定は「はやぶさ」号にしかなかったりするので、原則、秋田新幹線各駅への直行以外では、はやぶさ号を使うことになります。
また、こまち号は在来線規格の小さい車両のため、座席も少ない。そして車両の数も少ない。はやぶさ号の方が座席数が多いので圧倒的に指定席が確保しやすいです。
なお、はやぶさ号で使用されるE5系・H5系新幹線についてはこちらの記事で紹介していますので、ご覧ください。
やまびこ号/なすの号の自由席 福島・郡山などまでは混雑
続いては停車タイプの列車です。東北新幹線では「やまびこ」号と「なすの」号が停車タイプの新幹線となります。
自由席がある中で最速のやまびこ号
やまびこ号は主に、東京から仙台・盛岡までの各駅のお客さんに向けたタイプの列車です。宇都宮や福島など、主要都市にはしっかりとまります。
区間 | 指定席 | 自由席 |
---|---|---|
東京〜大宮 | やや混雑 | 混雑 平日朝夕の通勤時間帯は立ち席も |
大宮〜宇都宮 | やや混雑 | 混雑 平日朝夕の通勤時間帯は立ち席も |
宇都宮〜福島 | やや空席が目立つ | やや混雑 窓側座席が埋まる程度 平日夕方は混雑する |
福島〜仙台 | やや空席が目立つ | 窓側座席に少し空席ができる 平日夕方は混雑する |
仙台〜盛岡 | やや空席が目立つ | やや空席が目立つ |
盛岡〜新青森 | (「やまびこ」号設定なし) | (「やまびこ」号設定なし) |
新青森〜新函館北斗 | (「やまびこ」号設定なし) | (「やまびこ」号設定なし) |
やまびこ号には自由席が設定されています。その中でも確実に座れるのが17両編成のやまびこ号です。17両編成のやまびこ号は、E5系新幹線とE6系新幹線(秋田新幹線用の車両)が連結されている、あるいはE2系新幹線とE3系新幹線(山形新幹線用の車両)が連結されているものになります。
この場合、前の方(仙台・盛岡寄り)の自由席 12~17号車はかなり空く傾向にあります。秋田新幹線車両・山形新幹線車両の部分はグリーン車を除いて自由席となり、1両に数名程度のことすらあります。特に繁忙期は、17両編成のやまびこ号の、自由席 12~17号車を狙うと座れる可能性が高くなります。
また、10両編成の「やまびこ」であっても、仙台行き・仙台始発の列車を選んで乗れば、空席が多い傾向にあります(盛岡行き・盛岡市初の「やまびこ」の方が混雑します)。
ただし、北関東から南東北にかけての区間の主要駅には速達の「はやぶさ」が停車しません。これらの駅までの需要を一翼に担っているため、連休の前日などには混雑することもあります。
仙台から福島くらいまでは比較的空席は多い
やまびこ号の特徴として、仙台から福島くらいまでは空席が多いことが挙げられます。
仙台以北から首都圏までの需要は、主に最速達の「はやぶさ」号が担っています。はやぶさ号は全席指定席で、はやぶさ号の速達料金も必要なため、あえてやまびこ号に乗車する人もいますが多くはありません。
そのため、繁忙期や繁忙時間帯では、あえてやまびこ号の自由席を狙った方が快適に移動できる場合が多いようです。仙台は東北の中でも最大の都市。やはり、仙台〜大宮・東京間の「はやぶさ」号はそれなりの乗車率になるようです。
東北新幹線は、東京近郊では通勤で混雑する
東北新幹線のもう一つの特徴として、通勤需要がある、ということが挙げられます。特に、東京近郊で顕著です。
宇都宮や郡山から東京・上野へと通勤するお客さんが利用します。この区間には「なすの」号も設定されています。自由席が多く設定されてはいるものの、やはり朝夕のラッシュ時間帯は混雑します。
やまびこ号などの自由席で首都圏へ帰る際も、この東京近郊区間では自由席が混雑するということには注意が必要です。
また、連休の前後にはこれらの区間は混雑することが多いので注意が必要です。
ミニ新幹線の在来線区間は特定特急券で座れる
続いては秋田新幹線と山形新幹線。秋田新幹線は盛岡から在来線に入り秋田へ、山形新幹線は福島から在来線に入り山形・新庄へと向かいます。
全席指定席の列車も在来線区間などでは「特定特急券」でも座れる
秋田新幹線の全ての列車と、山形新幹線の全ての列車は全席指定席となっています。したがって、原則として乗車する際には指定席特急券が必要です。
ただ、在来線区間(秋田新幹線;盛岡〜秋田・山形新幹線;福島〜山形〜新庄)では「特定特急券」で普通車の空席が利用できます。特定特急券は通常期の指定席特急料金から530円引き、つまり自由席特急券と同額です。全席指定席の列車では「自由席」のシステムがないため、「特定特急券」と名前がついています。
秋田新幹線では、盛岡から秋田の間で特定特急券が利用できます。
山形新幹線では、福島から山形・新庄の間で特定特急券が利用できます。秋田新幹線・山形新幹線の「特定特急券」のシステムなどについては、別途記事にまとめてありますのでこちらもご覧ください。
秋田新幹線・山形新幹線はやや空いている
繁忙期を除いて、両新幹線ともに特定特急券で座れると考えて良いでしょう。普通車指定席が埋まることは正直ほとんどありません。
ただし、後ほど繁忙期の混雑状況について解説しますが、混雑するときは混雑します。これには注意が必要です。
山形新幹線および秋田新幹線は、帰省シーズンに特に混雑するという特性を持っています。この時期には、フルで臨時列車が設定されますが、それでもやはり混雑します。
普通車指定席は直前でも取れる
山形新幹線・秋田新幹線ともに、直前でも普通車指定席に空席があります。ガラガラではありませんが、普通に窓側の座席が取れる程度です(年末年始などを除く)。
JR東日本は、新幹線や特急列車の予約システム「えきねっと」を整備しています。「えきねっと」を使えば、スマホから予約することができます。是非とも活用したいところです。
ただし、割引きっぷ「えきねっとトクだ値」は早い段階で埋まることが多いです。そのため、「えきねっとトクだ値」などの割引きっぷを利用したい場合は、早めに予約しておくことが必須です。
東北新幹線・秋田新幹線・山形新幹線・北海道新幹線は、繁忙期に特に混雑
続いては、いわゆる「ミニ新幹線」区間に直通する秋田新幹線・山形新幹線です。秋田新幹線・山形新幹線の大きな特徴は「ビジネス需要より観光・帰省需要が大きい」ということが挙げられます。そのため、平日は比較的空いてはいるものの、お盆やゴールデンウィークなどには注意が必要です。
ここでは、実際に2023年お盆の空席状況も取り上げながら徹底解説していきます。
新型コロナウイルスから回復し、最繁忙期のきっぷはプラチナチケットに
新型コロナウイルスによる影響から、特にレジャー需要を中心に回復しました。現在は再繁忙期のきっぷは完全にプラチナ・チケットとなっています。
2020年から数年間、新型コロナウイルスの影響でゴールデンウイークでも簡単に座席が確保できる時期もありました。しかし、2023年現在は、特に最繁忙期(年末年始・お盆・ゴールデンウィーク)に限って言えばコロナ禍以前と同様の状態になっています。
「コロナで空いているだろう」は通用しなくなっているので、注意してください・
繁忙期は大幅に混雑するので注意!【2022ゴールデンウィークの様子を完全解説】
東北新幹線は、繁忙期は特に混雑します。JR東日本が運営するネット予約サイト「えきねっと」を見ながら解説していきます。
最も需要があると考えられる、東京から仙台の間です。この区間の代表である「はやぶさ」号は完全に満席です。
こまち号は、一部に秋田⇄仙台の需要もあるようで、指定席にわずかながら空席があるようですが、それでも近いうちに埋まると考えられます。
この区間を走るやまびこ号の座席は全て埋まっています。
次に、東北新幹線全区間にわたってです。ご覧の通り、空席はほぼありません。△になっている「はやぶさ75号」の空席を見ると…
3号車以外は全て満席になっています。
3号車を見ると、このとき偶然、グループで変更またはキャンセルが出たタイミングのようです。たまたまこのタイミングで空席が2席あっただけで、基本的には全て満席と考えた方が良さそうです。
繁忙期の秋田新幹線・山形新幹線
続いてはミニ新幹線区間に直通する秋田新幹線と山形新幹線です。こちらもかなり混雑します。
続いては山形新幹線です。山形新幹線も全て満席になっています。帰省の需要がかなり大きいことがわかります。
最後に秋田新幹線です。ご覧の通り、秋田新幹線こまち号も空席がありません。完全に埋まっている状態です。
北海道新幹線区間は比較的空席が多い
最後に北海道新幹線区間です。
北海道新幹線で、新函館北斗から東京まで直通する場合、東北新幹線の仙台から東京までの需要が非常に大きいため、空席はほとんどありません。
ただ、これを新函館北斗から新青森に絞って見てみましょう。この通り、空席があります。繁忙期にも関わらず「◯」の表記が目立ちます。
実際のシートマップを見てみるとこの通り。かなり空席が目立ちます。やはり、はやぶさ号は東北各地から東京への需要が大きいことがわかります。北海道新幹線が札幌まで延伸すれば話は変わるでしょうが、現時点では北海道新幹線の需要はあまり高くなく、直前でも指定席を確保できることがわかります。
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