商船三井が運航する、大阪〜別府航路に2023年9月より新たに導入された「さんふらわあ くれない」、そして「さんふらわあ むらさき」。早速、その新造船に乗ってきました。
この記事では、フェリー「さんふらわあ くれない」の船内の様子について徹底的に紹介。そして最後に、実際の経験に基づいた予約方法や料金の制度について解説します。
なお、「さんふらわあ くれない」の乗船記についてはVlogを作成しました。こちらもあわせてご覧ください。
「さんふらわあ くれない」のプライベートベッドに乗船してきた
今回、実際に「さんふらわあ くれない」のプライベートベッドに乗船しました。僕は今回、予約したのが当日であったため最下級のプライベートベッドしか空席がありませんでしたが、それでも十分快適な旅を楽しむことができました。
最も安いプライベートベッドでもコンセントなど完備で快適
まず初めに、販売座席数としても最も多い、プライベートベッドの様子です。新型コロナウイルスなどの影響で、いわゆる「ごろ寝」などの開放的な空間が敬遠されるようになりました。その中でプライベートベッドは「相部屋ではあるんだけれど、カーテンで仕切ることができる空間」として生まれました。
室内は「カプセルホテル」という感じ。部屋が20程度に分かれており、1部屋あたり16ほどのプライベートベットが設置されています。
各個室には、コンセントとUSBポートが設置されています。最下級の等級であってもこのように、コンセントなどが設置されているのは現代にあった対策であると言えるでしょう。
プライベートベッドのアメニティは、タオル・イヤホン・歯ブラシです。パジャマなどはありませんので、必要であれば持参すると良いでしょう。
スイートルームやデラックスルームなども完備
今回、僕はプライベートベッドに乗船しましたが、フェリー「さんふらわあ くれない」の大きな特徴は、スイートルームやデラックスルームなどが完備されていることです。
デラックスルームは完全に「ホテルの部屋」という感じの船内になっています。船での移動でありながら、優雅な時間を過ごすことができます。
また、和風のデラックスルームも設置されています。さらに、「コネクティング スイート」として、フェリーとしては国内で初めてコネクティングルームを設置。洋風のスイートルームと和風のスイートルームをつなげることで、目的に合わせた広々とした空間を楽しむことができます。
気軽に個室を楽しむならスーペリアがオススメ
スイートルームやデラックスルームの次の等級として「スーペリア」があります。スーペリアは、比較的安価な値段で個室を楽しむことができる部屋です。
完全な個室であるため、プライベートな空間が提供されます。ただし、窓に面していないところになるため、景色を楽しむことができません。また、次の節で解説する通り、船内にはWi-Fiがありますが不安定なため、インターネットが使えないことが多いです(特に、別府→大阪便の夜)。
船内ではWi-Fiでインターネットも楽しむことができるが安定はしない
フェリー「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」の船内には、船内Wi-Fiが整備されています。ただし、船内のポスターでも掲示されているように、船の上では電波の届きにくい箇所があります。「さんふらわあ」の船内の電波は、地上の通信局との通信が行われているためです。
なお、このポスターには「特来にむけて低軌道衛星通信を活用した新しいシステムの開発が進んでいます。海上通信の改善・高速化の実用化まで、もうしばらくお待ちください。」と書かれています。おそらく、スターリンクのようなシステムを想定していると思われますが、この実用化に向けて動いているようです。
船内の案内によると、次の時間帯を中心に船内で電波がつながりにくくなります。
発港の曜日 | 大阪発 | 別府発 |
---|---|---|
日曜日〜木曜日 | 朝3時〜6時ごろ | 19時半〜22時半ごろ |
金曜日・土曜日 | 朝4時〜7時ごろ | 20時半〜23時半ごろ |
別府から松山付近、本州と四国と九州の3島の間の開いた部分では、地上から離れるため電波がつながりにくくなるようです。低軌道衛星を利用したシステムの構築に動いているようなので、その進化に期待したいところです。
なお、ポスターにも書かれている通り、つながりにくい場合はWi-Fiをオフにし、窓側に近づいてモバイル通信を使うとつながりやすくなることがあります。
船内にはレストランなども完備 広々とした共用エリアも
船内には、レストランや大浴場(展望温泉)なども完備されています。また、広々とした共用スペースもあるため、プライベートベッドなどの狭い空間でも自由に過ごすことができます。
ビュッフェ形式の船内レストラン
車内にはビュッフェ形式のレストランがあります。ビュッフェ形式のレストランは座席数はあるものの、特に出港前後の時間帯は混雑します。僕が乗船した土曜日の夜・別府発の便では、ちょうど出港時間ごろにレストランが満席となっており、入場制限がかかっていました。
大阪~別府航路 | 夕食 | 朝食 |
---|---|---|
大人 | 2300円 | 750円 |
小学生 | 1000円 | 500円 |
幼児 | 500円 | 300円 |
ビュッフェの料金です。なお、新造船の「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」では、ビュッフェの料金支払いでクレジットカードなどのキャッシュレス決済が利用できます。
曜日 | 大阪発 別府行き 夕食 | 別府発 大阪行き 夕食 | 大阪発 別府行き 朝食 | 別府発 大阪行き 朝食 |
---|---|---|---|---|
日曜日~木曜日発 | 18:00~21:00 | 17:45~21:00 | 5:45~6:45 | 5:30~6:15 |
金曜日・土曜日発 | 18:30~21:30 | 18:20~21:30 | 6:15~7:45 | 6:00~7:15 |
「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」では、レストランは6階にあります。営業時間は上記の通りになっています。
レストランは、大人数で食事を楽しむことができるテーブル席があるほか、景色を眺めながら食事をとることができる2人用席およびカウンター席があります。
カウンター席の隣に親と娘という親子が座っていたのですが、なぜかその親子が下船後も同じ電車に乗ってきて、あれ、と思った。これは単なる僕のエピソードです。
食事は自分の好きなものをとる、ビュッフェスタイルになっています。揚げ物やサラダから海鮮まで、かなり幅広いメニューでした。
お刺身はどこで食べても美味しい。お刺身は大人気ですが、すぐに補充されるので大丈夫。お刺身すら、好き放題食べることができます。
デザートも充実しています。僕はデザートを食べる間にお腹がいっぱいになってしまったため、デザートまで行くことができなかった。
僕のとったビュッフェです。栄養バランスは…あまり気にしないでください。
なお、レストランは夕食2300円、朝食750円です(朝食は、日の出を見ていたら時間が過ぎていたので食べていません)。レストランの食券購入にはクレジットカードが使えます。クレジットカードが使えるのはかなり良い。
共用スペースは広々しているが基本的にはベンチ
「さんふらわあ くれない」には共用スペースも充実しています。プロムナード周辺にベンチが多数あり、このあたりはフリースペースとなっています。
ただし、1つだけ残念だったことがテーブル付きの座席が全くないこと。おそらく、これは意図的にやっているのだと思われます。名門大洋フェリーに乗船したときはテーブル付きの座席があったため、ここでブログ記事の執筆をしていました。
基本的に座席だけであるのが最大の難点。それから、土曜日の夜など繁忙期にはフリースペースの座席数が不足気味になることも難点です。
プロジェクションマッピングなども
船内ではプロジェクションマッピングが行われます(便限定)。新造船の「さんふらわあ くれない」から装備された機能だと思われます。
さんふらわあのスタッフの映像が投影され、歓迎の映像が。そして、海の散策のアニメーションなど、結構しっかり凝った映像が流れます。ちなみに、前方のスクリーン(写真の最下部)も連動して動いたり、セリフがあるところでは英語・韓国語・中国語の字幕が流れていたりします。
最後のシーン。さんふらわあの様子を描いています。ステンドグラスのような感じがして、なかなかいい感じですね。
温泉も完備されている
「さんふらわあ くれない」には、大型客船ではもはや当たり前とも言える、大浴場が完備されています。温泉に入りながら、流れゆく海の景色を眺めることもできます。
展望浴場への入り口の様子です。温泉内部の様子は、流石に写真撮影ができないので、ご覧になりたい方は商船三井さんふらわあの公式サイトをご覧ください。
商船三井の新造船「さんふらわあ くれない・むらさき」
今回は、2023年に新造された新造船「さんふらわあ くれない」と「さんふらわあ むらさき」の船内を紹介してきました。
商船三井フェリーの新造船・さんふらわあ くれない/さんふらわあ むらさき
商船三井フェリーは2023年から、今回の記事で紹介している「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」を就航させました。
これらの新造船は船内が一新されただけではなく、さまざまな特徴があります。
まず、日本で初めてLNG燃料フェリーとしてデビューしました。今までの石油を使うタイプから、液化天然ガスを燃料として使用するように改めました。これにより、二酸化炭素などの排出量が削減されました。
また、環境に配慮したフェリーとして、船内の車両甲板には電気自動車の充電設備も設けられています。フェリーという時間がかかる移動手段だからこそ、その時間を活用して電気自動車の充電などもできるのです。
船内には新たなデバイスが多数搭載されましたが、船内自体が大幅に豪華になったわけではありません。しかし、見えないところで特に大きな進化を遂げているのが、このフェリー「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」です。
「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」の料金
続いては「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」の料金についてです。さんふらわあは、期間ごとに料金が異なる変動制が採用されています。逆に2023年現在ダイナミックプライシングは採用されていないため、早めに予約したから安くなる、ということはあまりありません。割引運賃については次の節で解説します。
「さんふらわあ」の運賃は、「基準運賃+等級差額」で計算できます。なお、車で乗船する場合、乗用車の運賃には大人1人分の運賃が含まれているので、「乗用車運賃+(人数-1人)×大人普通運賃+等級差額×人数分」となります。
まあ、システム的にはややこしいので、インターネットを使って運賃を計算するのがわかりやすくて良いでしょう。
2023年10~12月 | A期間 | B期間 | C期間 | D期間 |
---|---|---|---|---|
旅客基準運賃 (大人1名) | 12,990 | 14,990 | 17,990 | 18,990 |
乗用車 4m未満 | 32,640 | 34,640 | 42,640 | 43,640 |
乗用車 5-6m未満 | 35,640 | 37,640 | 45,640 | 46,640 |
追加料金 (6m以上 1m毎) | 7,000 | 8,000 |
※乗用車運賃には、運転手1名分のプライベートベッド運賃を含む。
※小人運賃は大人の半額。10円未満は切り上げ。
商船三井さんふらわあ 公式サイトより引用
運賃はこのようになっています。特に何もない平日がA期間、土日は主にB期間となっています。年末年始など、帰省ラッシュなどの期間はC期間・D期間となる日程があります。
2023年10~12月 くれない・むらさき | A期間 | B期間 | C期間 | D期間 |
---|---|---|---|---|
スイート和洋室 コネクト(個別) | +18,000 | +24,000 | ||
スイート / スイートバリアフリー | +17,000 | +23,000 | ||
コネクティング スイート(結合) | +16,000 | +22,000 | ||
セミスイート | +14,000 | +20,000 | ||
デラックス和室 | +13,000 | +18,000 | ||
デラックス / デラックスコネクト | +12,000 | +17,000 | ||
コネクティング デラックス(結合) | +11,000 | +15,000 | ||
セミデラックス和室 コネクト(個別) | +10,000 | +13,000 | ||
スーペリアツイン | +7,000 | +11,000 | ||
スーペリアシングル | +8,000 | +11,000 | ||
スタンダードシングル | +3,000 | +6,000 | ||
プライベートシングルツイン | +2,500 | +4,000 | ||
プライベートシングル / プライベートツイン / プライベートベッド グループ | +2,000 | +4,000 | ||
グループ和室 (3/4名定員) | +1,000 | +2,000 | ||
プライベートベッド | 0 | 0 | ||
ウィズペットルーム利用料金(1部屋につき) | +8,700 | +12,800 |
※エキストラベッドの料金は旅客基準運賃。
各個室などの追加料金です。グループの和室であれば、1人あたり最低1,000円の追加料金で利用することができます。グループで利用する場合、特にお得感が増すので、個室などを予約すると良いでしょう。
少しでも安く乗る方法 予約はインターネットからがオススメ
最後に、少しでも安く「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」に乗船する方法について解説します。
僕は1年ほど前まで、商船三井の株式を保有していたため、株主優待が送付されてきていました。主に運賃の支払いなどに使うことができる5000円分のクーポン券です。ただし、株主優待には氏名と住所が記載されており、窓口で確認を受けるため本人しか使用できないようです。
これ以外に、
- WEB割引 5%割引
- 往復割引 5%割引
- 弾丸割引 往路割引なし+復路50%割引
- 舟遊割引 往路割引なし+復路50%割引
- 学生割引 5%割引
- JAF会員割引 5%割引
などがあります。ただし、各割引の併用はできません。この記事を読んでくださっている方であればインターネットが利用できているでしょうから、WEB割引が最も使いやすく効果的であると思います。
「弾丸フェリー割引」は、現地滞在1日でフェリーを利用する場合に適用される割引です。例えば、金曜日の夜に大阪港を出発、土曜日1日で別府を観光し、土曜日の夜に別府港を出発、日曜日の朝に大阪へと戻るパターンです。帰りの運賃が半額になります。
「舟遊割引」は、行きと帰りで異なる経路を利用した場合に利用できる割引です。片道は瀬戸内航路(大阪〜別府または神戸〜大分)、片道は太平洋航路(鹿児島県・志布志〜大阪)を利用した場合、こちらも片道が半額になります。
「弾丸フェリー割引」や「舟遊割引」はよっぽど日程を合わせないと使いにくい。というか、この運賃を使うことを前提に置き、旅程を立てる必要があります。そのため、実質的にはWEB割引が最もお得、ということになりそうです。
今回の記事では、商船三井さんふらわあの新造船「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」について解説してきました。
商船三井も出資して運航されている「名門大洋フェリー」は、大阪南港から福岡県・新門司港までを結ぶフェリーです。こちらについても記事にしていますので、ご覧ください。
また、同系列の商船三井フェリーの、首都圏〜北海道航路についてもレビューしていますので、気になる方はご覧ください。
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