日本人のためのアムトラック(Amtrak)利用の説明書

アメリカ
アメリカ鉄道

アメリカの本土を縦横無尽に走るアムトラック。日本でいうJRのようなもの(正確には違うが、利用者目線からすればアメリカ版JRとの認識で問題ない)で、利用する機会もあるはず。

そんなアムトラックで大陸横断の旅をしてきました(旅の内容は別の記事をご覧ください)。アムトラックは全米に路線網を持つのに、アムトラックに関する日本語の記事はとてつもなく少ない。今回は、これからアメリカ旅行をされる方に向けて“これはアムトラックに乗る前に知っておきたかった”という内容を徹底的に解説します。

なお、実際に大陸横断の旅をしてきました。その内容は、「こんな詳しい記事、英語記事でもない」というほど丁寧に、徹底的に解説しています。あわせてご覧いただければと思います。

アムトラックについて、日本語の情報源は極めて少ないです。今回、アムトラックを利用するにあたり、英語の情報源なども集めながら予約をしました。その経験を基に、少しでも日本人に役立つ情報を提供します。

もし疑問点があればコメントをいただければ(→コメント欄はページ最下部にあります)わかる範囲でお答えし、記事にも追加させていただきます(ただし、コメントにお答えするまでに時間を要する場合もあるので必要な場合は早めにお願いします)。

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アムトラックの予約方法と料金

まずはアムトラックの予約方法と料金体系についてです。

アムトラックの路線図-全米で列車を走らせる

アムトラックは全米で列車を走らせています。アムトラックの路線図をご覧ください。

アムトラックの路線図-全米で列車を走らせる
Amtrakの路線図

アムトラックはアメリカ北部の五大湖に面した都市・シカゴを中心として走っています。長距離列車の多くが、シカゴを発着します。

https://www.amtrak.com/content/dam/projects/dotcom/english/public/documents/Maps/Amtrak-System-Map-1018.pdf

公式サイトにはPDFファイルが用意されており、アムトラックの全ての駅が掲載されています。

こちらの記事で紹介している大陸横断旅は、今回は、サンフランシスコ→シカゴ→ニューヨークの経路で実行しました。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン

アムトラックの予約はネットでの予約が原則だと考えてください。アムトラックは日本のJRよりも、国内線飛行機に近いイメージです。窓口でチケットを買うこともできますが、基本的にはネット予約です。紙媒体のきっぷも必要なく、スマホ1台で完全に乗ることができます。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
アムトラックの公式サイト

まず初めに、アムトラックの公式サイト(https://www.amtrak.com/)から検索します。片道の場合は「One Way」、往復の場合は「Round trip」となります。Fromに出発駅を、Toに到着駅を入力し、Dateは出発日を入力。そして人数を入力します。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
情報を入力

列車の検索もまさに、飛行機のような感じです。今回僕は、サンフランシスコからシカゴまでのCalifornia zephyr号を予約します。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
列車の一覧

検索をすると、列車の一覧と料金が表示されます。自分が乗車する列車を決め、料金も見ながらクラスを決めます。今回僕は、Roomette($1278のもの)を予約します。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
Roometteを予約

Roometteを予約する場合、部屋数を入力します。確認できたら、「ADD TO CART」をクリックし、カートに入れます。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
Trip Summary

Trip Summaryで自分の乗る列車を確認します。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
アカウントにサインインする

アムトラックの予約をする際は、アムトラックのアカウントを持っていると便利です。あらかじめ作成しておくか、持っていない場合は「Join」をクリックしてアカウントを作成してください。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
予約者情報などを入力

アムトラックでは予約者の氏名などを入力する必要があります。きっぷ1枚を持っていれば乗れる日本の鉄道とは違います。日本の国内線と同じです。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
Traveler2も入力

複数人で予約する場合、全員分の情報を入力します。必要な情報は、氏名と誕生日で、それ以外にAmtrakアカウントの番号がわかれば、ポイントが積算されます。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
保険の加入案内

さらに進むと、保険の加入案内があります。予定変更などで乗れなくなった場合のキャンセル料を保証してくれます。今回は必要ないので、下のチェックマークにチェックを入れて進みます。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
最終確認

最終確認の画面です。予約の日時などが間違っていないかを確認してください。値段の合計も表示されます。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
支払い画面

アムトラックは予約時に支払いを行います。支払い方法は、

  1. クレジットカード・デビットカード
  2. バウチャー
  3. ギフトカード

です。バウチャーはポイントのようなもの。過去にアムトラックに乗りまくっていてポイントが貯まっている人以外は使えません。ギフトカードは知人からプレゼントされた場合のみ。日本に住んでいるとアムトラックのギフトカードをプレゼントされることはまぁまずないですね。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
読み込み中

クレジットカード情報等を入力し次へ進みます。支払いなどが行われています。

アムトラックの予約はネットでの予約がメイン
予約完了

この画面が出てきたら、予約は完了です。

ただし、一部の駅にはその場できっぷを購入できる券売機や窓口があります。ただし、屋根すらない、ホームだけの駅もあるので全ての駅ではないことに注意が必要です。これは日本のローカル線と同じで、駅はただただ平らなホームだけというのはたまにあります。にもかかわらず、長距離列車は全席が指定席です(全席指定席の長距離列車しか走っていない路線も多数ある)。繰り返しになりますが、スマートフォンなどを使ったネットでの予約が完全に確立しており、日本のJRと比べて圧倒的に使いやすいスマホアプリも用意されています。英語が苦手な日本人には逆に助かるくらいです。

時刻表はない-ネットで検索する

アムトラックには基本的に、“時刻表”という概念はありません

前節で解説した通り、アムトラックは飛行機に近いシステムです。都市間移動は飛行機利用がメインのアメリカ人からは当然のように受け入れられています。

したがって、アムトラックにはPDFの時刻表などは存在せず、基本的には日本の飛行機と同じようにネットで検索、そこから予約まで完結することが前提となっています。

列車の本数が多いニューヨーク・ペンステーションなどでも紙媒体の時刻表は掲載されていません。空港と同じように、電光掲示板に表示があるだけです。同じことを無限に繰り返していますが、やっぱり飛行機と同じシステムと考えると分かりやすいです。

時刻表はない-ネットで検索する
アムトラックの列車は、列車より飛行機と同じような認識

アムトラックの料金体系は飛行機と同じだと考えるべし

アムトラックの料金体系は基本的には飛行機と同じです。アムトラックの運賃は日本の鉄道のように「乗車券」「特急券」「寝台券」など別れて居ません。やはりこれまた飛行機で「ファーストクラスの価格」「ビジネスクラスの価格「エコノミークラスの価格」と設定されるように、「寝台車はこの価格」「座席車はこの価格」と設定されます。もちろん、アメリカの鉄道に「学割」などは存在しません。

料金表なども基本的には存在せず、ネットで検索、そこで料金を調べることになります。なお、料金もまた飛行機と同様に空席が多ければ価格が下がり、空席が少なければ価格が上がるダイナミックプライシングが採用されています。予定が決まったら早めに確保しておくのがオススメです。

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アムトラックの長距離利用では寝台車をうまく活用しよう

アムトラックはアメリカの各地方にある通勤列車とは異なり、長距離列車を数多く運行しています。

アムトラックの寝台列車で快適な旅を

アムトラックの長距離列車はかなりの長距離を走るものもあります。

アムトラックで長距離を走る列車には、寝台車が連結されています。寝台列車はやはり値段はするものの、とても快適です。

アムトラックの寝台列車で快適な旅を
個室から眺める景色は最高

実際に2泊3日(遅延によって3泊4日となった)、サンフランシスコ郊外のエメリービル駅とシカゴ・ユニオン駅を結ぶCalifornia zephyr号、シカゴ・ユニオン駅とニューヨーク・ペンシルベニア駅を結ぶLake Shore Limited号に乗車してきて、記事を執筆しています。それぞれ、個室の様子と座席の様子を徹底的に写真を用いて解説しています。

シカゴからニューヨークまではビジネス需要も一定数あるようです。

個室(Roomette)を利用すると食事も料金に含まれます。前菜・主菜・デザートと十分な食事です。そして結構おいしい。

アムトラックの個室を使った旅は同時に、アメリカの大きさも感じることができます。

座席車両は主に短距離利用向け

アムトラックの車両には座席車両もあります。座席車両は長距離列車になればなるほど少なくなります。

座席車両は主に短距離利用向け

実際に長距離列車(大陸横断鉄道)に乗ってみると座席車両の乗客は頻繁に入れ替わります。あるいは、直前に日程を決めたため個室が取れなかったというお客さんもいました。

座席車両は宿泊することを前提とした座席構造になっていません。夜を越すならやはり、個室を確保したいところです。

列車内にはダイニングや売店も

列車内には基本的に、ダイニングや売店などもあります。個室の乗客は食事がついているため使いことはほぼありませんが、座席車(Coach class)の乗客はここで食事をとることになるでしょう。

列車内にはダイニングや売店も
アムトラックのステーキ-車内のダイニングにて

売店は食べ物が中心。食べ物のメニューはかなり充実しています。もちろん、コーヒーなどの飲み物もたくさん用意されています。

座席車両の乗客は食事が料金に含まれませんが、別途食事代を支払うことでダイニングカーを利用することもできます。ダイニングカーは列車によって料金が異なるようですが、概ね50ドル程度です。

このように、ホテルのように快適なアムトラックで快適な鉄道の旅を楽しむことができます。

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日本の鉄道とアムトラックの違い アムトラックに乗るなら知っておこう!

最後は日本人の僕が、日本中を旅した経験と照らし合わせてアムトラックと日本の鉄道の違いを解説します。

アメリカの鉄道は遅れる

アメリカの鉄道は遅れます。1分単位の遅れで謝罪されるのは日本の鉄道くらいなものです。

僕が実際に乗車したCalifornia zephyr号は、なんと驚異の20時間遅延。丸っと1日遅延し、1泊の延泊となりました。僕の大学の指導教員が、僕が乗車した列車と全く同じ列車に乗ったことがあったそう。数時間遅れて駅でとても待たされた、と話していました。

アメリカの鉄道は遅れて当たり前。アメリカ人はそもそも日本人と違い鉄道に対する信頼がありません。飛行機と同じ、遅れて当たり前、くらいに考えています。

2〜3時間以上の遅延の場合、アムトラックどうしの接続であれば対処してもらえます(後続の列車に振替など)。しかし、飛行機への乗り継ぎなどは考慮してもらえないため、アムトラックに乗車した後は余裕を持ったスケジュールを組んでおくようにするべきです。

アメリカの鉄道は遅れる
15時間遅れでデンバー駅に停車中のアムトラック

アムトラックの車内は治安は良い

アムトラックの車内は治安が良いです。以前、別の記事で書いた通り、ロサンゼルスの地下鉄などは車内の治安がとても悪い。ホームレスがいたり、薬物中毒者がいたりするのです。

しかしアムトラックは、一定の料金がかかる列車。アメリカは日本と比べると厳格な資本主義。お金を払えばしっかりしたサービスが受けられ、お金がかかるところにはある程度の常識を備えた人しか入ることができないのです。

アムトラックの車内は治安が良いので、日本にいる場合と同じような感覚で安心して過ごすことができます。

アムトラックの車内は治安は良い
展望車両などの共用スペースでのんびりできる

それでも最高の景色を楽しめる地上交通

長距離を飛行機ではなくアムトラックで移動する最大のメリットは、最高の景色を楽しむことができるということ。

飛行機では地上の景色を見ることはできますが、鉄道での旅ほどのんびり楽しめるわけではありません。鉄道の旅では、アメリカの広さを、その景色を肌身をもって体感しながら旅することができます。

それでも最高の景色を楽しめる地上交通
絶景を見ながら旅をすることができる

空の旅もそれはそれで素晴らしい。でも、地上交通の旅だからこそ、体験できることがある。広大なアメリカをぜひ、地上交通で旅してみてはいかがでしょうか。

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コメント

  1. 嵯峨 和夫 より:

    ドルフィンさんの記事を拝見してとても同列車に乗ってみたくなり、来年7月にシカゴからサンフランシスコまでCalifornia Zephyrに乗る計画を立てています。この記事にとても感謝しております。さて、この列車に乗車された際、チップについてどのタイミングで、何ドル位を、誰に渡したか教えていただけないでしょうか? 私の場合、乗車券は1,120$を見込んでおり、ドルフィンさんと同様に、個室を1人利用の予定です。チップの相場がよくわからず、よろしくお願いします。

    • Dolphin Dolphin より:

      コメントありがとうございます!また、本ブログ記事を見てAmtrakに乗ってみようと思ってくださったとのこと、大変光栄です。

      参考にならない回答で申し訳ないのですが、僕自身は食堂以外ではチップは出していません。3日間旅を終えた後の下車時に渡すのが一般的なようですが、僕の場合、20時間という大幅遅延によってバタバタしており、渡すことができなかったためです。
      なお、食堂車では「個室以外の乗客は夕食1食50ドル程度」という相場を考えて5ドル程度を目安に渡していました。ただ、渡していない乗客も多かったので、2泊目は渡さなかったです。
      各車両のアテンダントさんに対するチップの相場としては1泊あたり5ドル〜10ドル程度とのことですので、実際に渡すことができませんでしたが、僕は15ドルを用意していました。
      https://www.reddit.com/r/Amtrak/comments/vd0yip/who_and_when_to_tip_on_amtrak/?rdt=41104
      英語になりますが、こちらのサイトに記載があるのでご覧ください。

      私自身の経験があまり参考にならず申し訳ございませんが、他にもご質問があればコメントください!

  2. 嵯峨和夫 より:

    大変参考になりました。ありがとうございます。USAでのチップ文化はよくわかず、食事やタクシーなどは10-15%といわれますので、そんな感じでおりましたが、アムトラックの寝台の場合はよくわからず、ネックの一つになっておりました。また、関係するサイトまで提示していただき、ありがとうございました。

  3. 鈴木美佳 より:

    記事を拝見させて頂きました。アムトラックに乗って留学先の大学まで行く予定なんですが、大きいスーツケースを持って行くと別料金を払えば荷物を預けるスペースがあるのでしょうか?
    1日1便の飛行機で入るか?アムトラックで行くか?思案中です。
    シカゴからミズリー州まで行く予定

    • Dolphin Dolphin より:

      コメントありがとうございます。
      まず、個室を利用されるのであれば個室にかなり大きい荷物も入ります。また、列車によっては荷物を置くスペースが客室内にありますが、セキュリティ面から目の届かない、かつ誰でも取ることができるところに置くのは避けたいですよね。

      大きなスーツケースを持っていく場合、駅で預けることができます。50ポンド(22kgくらいですね)の荷物を2つまでは『無料で』預けることができます。
      https://www.amtrak.com/checked-baggage
      アムトラックにおける手荷物の扱いについてはこちらのサイト(アムトラックの公式サイト)に記載があります。一部の近郊列車については手荷物取り扱いがないかもしれませんが、シカゴからミズーリ州までの距離であればおそらく、手荷物の預け入れもあると思います。

      僕が見ていた感じですと、飛行機よりむしろ丁寧に荷物を扱ってくれているのではないかと感じました(もちろん、当日のスタッフさんによると思いますが)。

      他にもご質問がございましたら、遠慮なくコメントくださいね。