JR東海・飯田線の特急「伊那路」は、豊橋と飯田を結ぶ特急列車。1日2往復しか運転されないものの、ローカル特急としての役割は大きく、飯田線の主要駅を結ぶ列車として運転されています。
今回はそんな飯田線の特急「伊那路」について、詳しく紹介します。
特急「伊那路」は飯田線を結ぶ特急列車
特急「伊那路」は飯田線を走る特急列車です。まず初めにその概要と予約方法、自由席の混雑状況について解説します。
豊橋駅で新幹線と接続し、飯田へ
特急「伊那路」号は豊橋駅から飯田駅までを結ぶ特急列車です。豊橋駅は東海道新幹線の停車駅で、一部の「ひかり」号も停車します。
豊橋駅では「ひかり」号と接続し、首都圏からのアクセスを担っています。後ほどの時刻表で紹介しますが、全ての列車が東京方面の速達「ひかり」と豊橋駅で接続しています。
首都圏から飯田地区や飯田線沿線へのアクセスに活用されているのが、この東海道新幹線+飯田線との乗り継ぎです。今後、リニア中央新幹線が開業した際の運用がどうなるかは不明ですが、同じJR東海として接続が考えられているためとても使いやすいです。
特急「伊那路」の予約はインターネット予約「e5489」で割引きっぷも
JR東海では在来線特急の予約システムとしてJR西日本が提供するネット予約「e5489」を導入しています。また、JR東日本のネット予約システム「えきねっと」でも予約が可能です。
特急「伊那路」号に乗車するためにネット予約を利用するなら、JR西日本のネット予約「e5489」が便利です。
e5489では「在来線特急指定席早特7」が設定されています。JR東海の在来線特急は少しネット予約が複雑で、EXサービス(エクスプレス予約・スマートEX)にて新幹線を予約・購入したのちに、「EXサービス」からリンクする「EX旅先予約」から「e5489」にて乗車日の7日前までに予約・購入することが必要です。つまり、新幹線のきっぷをEXサービスで予約、そこからのリンクでしか購入できないということです。
設定区間 | 大人発売額(円) | 小人発売額(円) |
---|---|---|
豊橋~飯田 | 4,150円 | 2,070円 |
設定区間は豊橋〜飯田のみとなっています。7日前までの予約となっており直前の変更はできませんが、特急「伊那路」号は1日2往復しか設定がないため、直前に変更することは少ないでしょう。
特急「伊那路」の自由席混雑状況
特急「伊那路」の、自由席の混雑状況です。特急「伊那路」の自由席はそこまで混雑する印象はなく、比較的座ることができると考えて良いでしょう。始発駅であればそこまで並ばなくても、また始発駅以外でも普通に座ることができると考えられます。
特急「伊那路」号は豊橋で新幹線と接続し飯田までを結ぶ列車ですが、飯田から名古屋へは高速バスの方が速い。また、飯田から東京へも高速バスと1時間程度の差しかありません。
このような背景から、豊橋〜飯田の全区間の需要より、途中駅までの需要が大きいのが飯田線の特徴です。そのため、仮に通路側の座席しか空いていなかったとしても、途中の駅から空席が出る可能性が高いと考えれば良いでしょう。
特急「伊那路」の車両373系の車内・座席
特急「伊那路」に使用される373系の車内の様子を詳しく紹介します。普通列車などでも運用できるような車両として開発されましたが、現在では主に特急列車と、静岡地区のホームライナーに運用されています。
普通車のみの車内 座席は快適
特急「伊那路」号は決して利用者が多いとは言えないローカル線の特急です。列車は3両編成で、グリーン車なしの普通車のみです。ちなみにJR東海のローカル特急では、特急「ふじかわ」も同じ373系の3両編成で、便数が多く設定されています。
車内の様子です。特急列車らしい、落ち着いた車内空間になっています。他の特急列車との大きな違いといえば、デッキとの間に扉がないことです。
各座席の様子です。座席は2人がけの座席になっていて、リクライニングもしっかりします。座席はクッション性も高く、快適です。
各座席にはフットレストが完備されています。フットレストがあるのは、この時代の特急列車(1990年代終わり)の流行でしょうか。特急「しなの」号などにもあります。
また、肘掛けの部分にリクライニングボタンがあります。また、テーブルは各座席の肘掛けの部分から出てくるタイプのものになっています。
テーブルは肘掛けから出てくるタイプのテーブルになっていますが、広さはしっかりあります。これだけあれば、パソコン作業等も難なくできそうです。
各車両にはコンパートメント座席も設置
特急「伊那路」号、および特急「ふじかわ」号で使用される373系には、コンパートメント座席がついています。各車両の車端部に4人がけの「ボックス席」がついています。
セミコンパートメント席は普通車指定席の価格で販売されており、予約時には「特急伊那路〇号(コ)」という、別列車扱いで販売されています。なお、人数の制限はありませんが、人数に満たない場合、相席となることがあります。
セミコンパートメント席は、座席自体は普通車とほぼ同じ座席です。ただし、セミコンパートメント席の座席はリクライニングしないことに注意が必要です。
2号車と3号車の、各車両の端にこのように、セミコンパートメント席が設置されています。扉などはなく、お手洗いを利用するお客さんや乗務員さんが通ることがあります。
コンパートメントの中心には、広々としたテーブルが設置されています。このテーブルでお弁当を広げたり、お酒を飲んだり、という人が多くいます。
車内にはお手洗いを1箇所に設置
特急「伊那路」号は3両編成の特急列車です。車内にはお手洗いが1箇所だけ、設置されています。1箇所で間に合うのがこの特急伊那路でもあります。
373系のお手洗いは、昔の車両でありながら温かみのある照明で、落ち着きがある空間です。とても機能的な印象です。
便器は洋式になっています。この辺りは、JR東海発足後のサービスアップがしっかり反映されています。最近の特急列車ではほとんどがこの洋式になっていますが。
お手洗いの個室内に洗面台もあります。自動で水がでるタイプの洗面台になっています。ただ、ここはシンクが少し狭いのが残念。
特急「伊那路」の時刻表と停車駅
最後に特急「伊那路」号の時刻表と停車駅をご紹介します。ダイヤや停車駅は長らく変わっていませんが、今後変更となる可能性もあります。最新の情報はJR東海公式ページなどをご確認ください。
1日2往復が運転される特急「伊那路」
特急「伊那路」は1日2往復が運転されています。ローカル区間の特急であり、JR東海発足後に運転が開始された特急列車であるにも関わらず、1日2往復が維持されているのはかなりいい方です。
1日2往復の全ての列車が、豊橋駅で東京方面の速達「ひかり」(途中、新横浜・品川にしか停車しない静岡県内全駅通過「ひかり」号)と接続しており、考えられたダイヤとなっています。
リニア中央新幹線開業後は東京・名古屋・大阪まで、飯田からの直通アクセスが実現します。また、1時間あたり1本程度の停車が見込まれています。これらのことを考えると、リニア中央新幹線の開業後は本数削減される可能性もあります。
特急「伊那路」の停車駅
特急「伊那路」の停車駅は、飯田・天竜峡・温田・平岡・水窪・中部天竜・湯谷温泉・本長篠・新城・豊川・豊橋の11駅です。
このうち、飯田〜平岡が長野県、水窪〜中部天竜が静岡県、湯谷温泉〜豊橋が愛知県となっています。また、水窪駅周辺(大嵐駅付近など)では静岡県内でありながら愛知県との県境を通るため、大嵐駅(静岡県)は愛知県豊根村の富岡地区の玄関口となるなど、特殊な路線となっています。
特急列車としての速達性を維持しつつも、飯田線沿線から首都圏方面などに出やすいよう、停車駅は多めに設定されています。
特急「伊那路」の時刻表
最後に、特急「伊那路」号の時刻表です。特急「伊那路」号は長らく変わっていません。豊橋・飯田をそれぞれ朝と夕方に発車する列車が設定されており、全てが新幹線の東京方面速達列車と連絡しています。
停車駅 | 特急「伊那路」1号 | 特急「伊那路」3号 |
---|---|---|
【新幹線接続】 東京/新横浜 | ひかり635号 8:33/8:51 | ひかり651号 16:33/16:51 |
豊橋 | 10:08 発 | 18:20 発 |
豊川 | 10:18 発 | 18:30 発 |
新城 | 10:34 発 | 18:46 発 |
本長篠 | 10:45 発 | 18:58 発 |
湯谷温泉 | 10:54 発 | 19:06 発 |
中部天竜 | 11:22 発 | 19:35 発 |
水窪 | 11:35 発 | 19:49 発 |
平岡 | 11:57 発 | 20:15 発 |
温田 | 12:08 発 | 20:26 発 |
天竜峡 | 12:25 発 | 20:44 発 |
飯田 | 12:41 着 | 21:00 着 |
新幹線連絡のダイヤは当サイトで追加
豊橋〜飯田において、特急「伊那路」1号で所要時間は2時間33分、特急「伊那路」3号で所要時間は2時間40分となっています。新幹線で連絡して東京からは、特急伊那路1号で4時間08分、特急伊那路2号で4時間27分となっています。夕方の便は豊橋での連絡が長いこともあり、少し所要時間が長くなっています。
停車駅 | 特急「伊那路」2号 | 特急「伊那路」4号 |
---|---|---|
飯田 | 09:58 発 | 15:58 発 |
天竜峡 | 10:15 発 | 16:14 発 |
温田 | 10:32 発 | 16:31 発 |
平岡 | 10:42 発 | 16:42 発 |
水窪 | 11:05 発 | 17:05 発 |
中部天竜 | 11:21 発 | 17:19 発 |
湯谷温泉 | 11:49 発 | 17:47 発 |
本長篠 | 11:57 発 | 17:55 発 |
新城 | 12:09 発 | 18:08 発 |
豊川 | 12:21 発 | 18:21 発 |
豊橋 | 12:31 着 | 18:31 着 |
【新幹線接続】 東京/新横浜 | ひかり648号 13:54/14:12 | ひかり660号 19:54/20:12 |
新幹線連絡のダイヤは当サイトで追加
豊橋方面の列車において豊橋〜飯田では、特急「伊那路」2号・特急「伊那路」4号ともに所要時間が2時間33分となっています。新幹線で連絡して東京まで3時間56分です。
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