世界的な観光地として、特にニッチな旅行者層に大人気であり、日本からの観光客も多いトルコ・イスタンブール。ヨーロッパとアジアの境界として、さまざまな文化からなるイスタンブールは見どころが数多くあります。
そんな観光都市・イスタンブールでは公共交通機関も便利に利用でき、観光客にも優しい街です。本記事ではトルコ・イスタンブールでの電車の乗り方を解説します。特に、トルコで電車に乗るなら必須のイスタンブールカードの買い方も解説します。
イスタンブールを旅行するならマスト!イスタンブールカード
まず初めに、「イスタンブール版Suica」とも言えるイスタンブールのICカード「イスタンブールカード」について解説します。イスタンブールカードを利用することで運賃が大幅に安くなり、毎回きっぷを購入する手間を省くことができます。「イスタンブールカード」は、イスタンブールを観光するなら絶対に利用したいカードです。
【必須のお得カード】イスタンブールカードの買い方
イスタンブールカードを買うためには、「Biletmatik」と呼ばれる、黄色と青の専用券売機を利用します。トラム・地下鉄の駅であれば全駅、フェリー乗り場についても全乗り場、そして一部のバス停に設置されています。
このイスタンブールカードの自動券売機には、購入時から実際に利用している最中まで、幅広くお世話になることになります。
渡航前に調べていた一部のサイトでは、現金のみの利用と書かれていました。しかし現在では券売機の更新が進んでおり、ほとんどの券売機でクレジットカードが利用できます。
また、クレジットカードへの対応と同時に多くの言語に対応しています。トルコ語や英語に加えて、日本語も利用できます。ただ、日本語はどうも機械翻訳のようで、不自然な日本語が多かった。また、たまに古い券売機では、日本語に対応していない場合がありました。
不自然な日本語が多いとはいえ、あとは画面に従って操作していけばよっぽど困ることはありません。特に困ることはありません。
どのような画面が出てくるかなど、さらに詳しい買い方についてはpopo様が2024年5月に公開されたnoteが最新の情報になっています。どうしても不安なら、こちらのページを参照していただけると良いでしょう。
なお、popo様も上記記事で触れられていますが、初回のチャージは200TLがオススメです(2024年6月現在のレートで1,000円程度となります)。僕自身も実際に200TLをチャージし、4日ほど滞在しました。イスタンブールの地下鉄・トラムは20TL程度とかなり安いので、10回ほど乗ることができる計算になります。
【オススメ】トラムの乗り方 改札口でタッチすればOK
イスタンブールの市内を観光する上で最も便利なのがトラムです。いわゆる「路面電車」的な存在であり、街の中心地を走っています。イスタンブールの鉄道は治安も良く観光客も使いやすいので、イスタンブール観光をする上では必ずお世話になるでしょう。
特にトラムのT1路線は、「アヤソフィア」「トプカプ宮殿」「イスタンブール地下宮殿」のある中心地から、ボスポラス海峡クルーズの出発点エミノニュ駅、そしてガラタ橋を渡ってガラタ塔などがあるエリアを貫く路線で、観光利用が圧倒的に多いです。少し話がそれますが、僕はT1路線の沿線であり、空港バスの発着点であるAksaray近くにホテルをとりました。観光中心地にダイレクトに10分程度でアクセスでき、空港にも行きやすい、これほどいい立地はないと感じたほどです。
トラム(主にT1路線)の乗り方は至ってシンプルです。日本の路面電車にあるような車内での精算ではなく、路上であっても全駅に改札機があります。改札機にイスタンブールカードをタッチして乗車します。日本でいう在来線のような改札形式です。ただし、新市街・タクシム広場周辺を通るイスタンブール・ノスタルジック・トラム(Istanbul nostalgic tramways)のみは、車内で精算(乗車時に精算)となります。
イスタンブールカードのチャージ方法【トップアップ方法】
イスタンブールカードはICカードで、何度でもチャージして利用できます。チャージについても購入と同じ、黄色の券売機を使うことになります。
券売機の白色の部分にイスタンブールカードを置きます。そうすると、チャージの金額を選択する画面が出てくるので、金額を選択。チャージすることができます。
なお券売機では、クレジットカードでのチャージも可能。iPhoneやApple watchなどのApple Payを使ったコンタクトレス決済によるチャージも可能でした。
乗り換え回数 | 値段 |
---|---|
初乗り料金 | 17.70TL(¥72) |
1回目の乗り換え | 12.67TL(¥52) |
2回目の乗り換え | 9.62TL(¥40) |
3回目以降の乗り換え | 6.08TL(¥25) |
イスタンブールカードを利用した場合の運賃はこの表のとおり。イスタンブールカードを利用すると初乗り運賃は17.70TLと、日本円で70円ちょっと(2024年現在)となるので、かなり安いです。
残高の確認方法 イスタンブールカードのアプリは、旅行者は使えない
残高の確認には、①前節で説明したチャージ機を利用する方法と、②改札機で確認する方法の2通りがあります。①のチャージ機での確認は、チャージ機(黄色の券売機)にイスタンブールカードを置くと、残高が表示されます。残高を見てからチャージするか否かを選ぶことができるため、不安なときはとりあえず置いて確認する、ということが可能です。
②の改札機で確認する方法は、乗る際に確認する方法です。日本の自動改札機でもあるように、乗車時にタッチすると残高が表示されるため、そこで確認が可能です。なお、メトロなどは乗車時のみ改札機にタッチするため、下車時は確認できないことに注意が必要です。
イスタンブールカードにはアプリがあります。アプリを利用すると残高がリアルタイムで確認できてとても便利らしいのですが、旅行者がアプリはまず利用できません。イスタンブールカードのアプリ利用登録にはトルコ国内での電話番号とトルコ国民番号が必要です。
電話番号付きのSIMを買ってトルコでの電話番号の確保ならまだできますが、トルコ国民番号は移住しなくては使えないため、イスタンブールカード・アプリの利用はトルコ国民専用という状態です。
日本のSuica、アメリカのtap(ロサンゼルス)、CLIPPER(サンフランシスコ)、フランス・パリのNavigoなどのように、iPhoneでの発行などにも対応してほしいところです。
クレジットカードのタッチ決済も利用できるがオススメしない
イスタンブールの公共交通機関では、乗車の際にイスタンブールカードの代わりにクレジットカードのコンタクトレス決済(タッチ決済)が利用できます。2022年以降、マスターカードのタッチ決済から順次導入され、現在ではVISAも利用できます(少なくとも僕自身は、VISAのタッチ決済をバスで利用しました)。
しかし、クレジットカードのタッチ決済はオススメしません。運賃がなんと3倍にもなります(トラムの20TL程度が60TL程度に)。イスタンブールの滞在目的がトランジットのみで観光する場合のみは、クレジットカードのタッチ決済でも良いでしょうが、宿泊して観光する場合、カード代金の方が安上がりになります。
イスタンブール観光ではトラムが便利
イスタンブールには地下鉄はもちろんのこと、中心部を走るトラムも充実しています。そんなイスタンブール・メトロの、路線図や路線一覧を紹介します。
イスタンブールのトラム・地下鉄の路線図
イスタンブールの地下鉄・トラム等の路線図です。こちらは2024年現在の路線図ですが、現在も建設が進められている区間が多数あり、少しずつ路線も変化しています。最新の路線図は必ず公式サイトなどでご確認ください。
観光で最も利用するのは、T1(トラム)の路線などになります。路線図(下図)にある、ボスポラス海峡(川のように中央に縦断しているところ)の左側(ヨーロッパ側)、下部にある「Sultanahmet」駅がアヤソフィア・スルタンアフメトモスクなどの最寄駅で、観光の中心です。
この路線図は上記のイスタンブールメトロ公式サイトにある路線図のサイトにリンクがあります。こちらのPDFページからPDFがダウンロードできます。
なお、現地ではこの路線図よりGoogle Mapを利用していました。Appleのマップは、ヨーロッパやアメリカではかなり情報が多いですが、トルコでは少し情報が足りなかった。
イスタンブール地下鉄の路線一覧
イスタンブールを観光する場合、公共交通機関が便利です。1988年に最初の路線であるM1路線(イスタンブール中心部からアタテュルク国際空港方面)が開業後、路線網を急ピッチで拡大し、2024年4月現在、11路線まで増えています。そのような新しい路線が多いため、新しい設備が多くとても使いやすい。
路線名 | 路線区間 | 路線図(公式サイトへのリンク) |
---|---|---|
M1A | Yenikapı-Atatürk Havalimanı (イエニカプ-アタテュルク空港) | 路線図 |
M1B | Yenikapı-Kirazlı (イエニカプ-キラズル) | 路線図 |
M2 | Yenikapı-SeyrantepeHacıosman (イエニカプ-セイランテペ・ハジュオスマン) | 路線図 |
M3 | Kirazlı-Başakşehir/Metrokent (キラズル-バシュケンシェヒル/メトロケント) | 路線図 |
M4 | Kadıköy-Tavşantepe (カドゥキョイ-タブジャンテペ) | 路線図 |
M5 | Üsküdar-Çekmeköy (ウスキュダル-チェクメキョイ) | 路線図 |
M6 | Levent-Boğaziçi Ü./Hisarüstü (レバント-ボアズジ大学/ヒサリュステュ) | 路線図 |
M7 | Mecidiyeköy-Mahmutbey (メジディイェキョイ-メフムトベイ) | 路線図 |
M8 | Bostancı-Parseller (ボスタンジュ-パルセルレル) | 路線図 |
M9 | Bahariye-Olimpiyat (バファリエ-オリンピヤト) | 路線図 |
M11 | Kağıthane İstanbul Havalimanı (キャーウトハーネ-イスタンブール空港) | 路線図 (公式サイト未掲載) |
最新の路線図については、イスタンブール・メトロ(METRO ISTANBUL)の公式サイトに掲載されていますので、ご覧ください。
地下鉄の車内ではインターネットが使用できない区間も多くあります(地下鉄でモバイル通信がしっかり繋がるのは日本くらいです)。ただ、M2線において充電用のUSBポートが利用できるようになるなど、少しづつ進化はしています。
イスタンブールの中心地を通るトラム
イスタンブールのトラムは中心地を走るため、かなり便利です。ただし、時間帯によってはかなり混雑します。トラム内の治安は問題ないため、混雑時でも安心して利用はできますが、スリなどには十分、注意しましょう。
またトラム利用時に、大きな荷物を持って乗車することは、それ自体は拒否されないでしょうが実質的に困難です。最大でも国内線の飛行機に機内持ち込みが可能なスーツケースほどのサイズが限界です。
イスタンブール空港まで直通する地下鉄「M11号線」が開通
イスタンブールでは2019年、新しい「イスタンブール空港」が開港しました。現在、日本からの直行便(ターキッシュエアラインズが羽田・成田・関西から運航、ANAが羽田から就航予定)は全て、このイスタンブール空港に乗り入れています。
そんなイスタンブール空港には2023年、新たに延伸開業した「イスタンブール地下鉄M11号線」が乗り入れました。地下鉄を利用することでイスタンブールの市街地までダイレクトにアクセスが可能となりました。
イスタンブール空港から市内中心部まではGayrettepe駅で下車すると、地下鉄のM2線に乗り換えることができます。M2線はタクシム広場(新市街)やグランドバザール(旧市街)近くまで直接アクセスすることができるので、便利です。
イスタンブールの地下鉄は綺麗で治安も良く、快適に利用することができます。ただ、場所によってはバスの方が便利であること、また地下鉄の車内では携帯電話が繋がらないことなどが欠点です。
観光地を走るトラムや船も活用しよう
イスタンブールではトラムのほか、船などもあります。船やトラム、そして古い地下鉄なども地元住民の足として定着している一方、観光的な要素も含みます。
イスタンブールはボスポラス海峡を通る船も活用しよう
イスタンブールはボスポラス海峡を挟んで両側に街が広がる都市です。ボスポラス海峡を渡る船も多数、設定されています。
アジア側・ヨーロッパ側それぞれに乗り場があって、その間を縦横無尽に船が行き交います。特にヨーロッパ側ではトラム(T1路線)のエミノニュ駅の目の前にある「エミノニュ」には多数の船が発着します。
船がイスタンブール市民の足として定着しているため、船も市営で運営されています。今回の記事で紹介した、イスタンブールカードで乗船することができるのも大きなメリットです。
区間(主要区間のみ掲載) | 料金 |
---|---|
KARAKÖY(カラキョイ)- KADIKÖY(カドゥキョイ) | 24.98TL |
EMİNÖNÜ(エミノニュ)- KADIKÖY(カドゥキョイ) | 24.98TL |
BEŞİKTAŞ(ベシクタシュ)- KADIKÖY(カドゥキョイ) | 24.98TL |
ÜSKÜDAR(ウスキュダル)- EMİNÖNÜ(エミノニュ) | 24.02TL |
なお、観光客に人気のボスポラス海峡クルーズも市営で行われています。ボスポラス海峡クルーズについては別途記事を作成中ですが、民営の高額な船への勧誘も多いので、注意が必要です。
世界で2番目に古く、最も短い地下鉄Tünel(テュネル)
新市街の観光へ行く場合、ガラタ橋から坂を登らなくてはなりません。この急な坂、実はケーブルカー方式の地下鉄「Tünel(テュネル)」が地下を走っています。
Tünel(テュネル)はロンドンの地下鉄に次いで世界で2番目に開業した地下鉄です。また、地下を走るケーブルカー方式の地下鉄になっているため距離は短く、「世界で最も短い地下鉄」と言われています。
地元の通勤客なども使うほど、市民生活に溶け込んでいるのが印象的ですが、このような歴史的・アトラクション的な鉄道もあります。
イスタンブール・ノスタルジック・トラム(Istanbul nostalgic tramways)
Tünel(テュネル)を使って新市街へ行くと、駅のすぐ目の前から「イスタンブール・ノスタルジック・トラム(Istanbul nostalgic tramways)」が出ています。
こちらは朝10時ごろからしか運転しておらず、完全に観光向けの鉄道といえます。ただ、料金自体は他のトラムと同じ20TL程度、イスタンブールカードで乗車できる市営の鉄道であるため、手軽に乗ることができます。
今回はイスタンブールでの鉄道・メトロ(地下鉄)、トラム、バスの乗り方について詳しく解説してきました。イスタンブールの観光スポットに関する記事を現在、執筆中です。しばらくお待ちください。
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