「これからの正義の話をしよう」マイケル・サンデル 要旨①

雑記
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こんにちは。今回はマイケル・サンデル教授の「これからの正義の話しをしよう 今を生きるための哲学」という本の紹介。

かなり有名な本だと思います。僕の主観に沿って要旨を書いていこうと思います。現在出版されている文庫本を元に作成しています。僕自身最初はハードカバーで読んでいましたが、ハードカバー版を紛失してしまって・・・ハードカバーの方がかっこよかったのですがね。

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マイケル・サンデル教授

まず、著者のマイケル・サンデル教授についてです。

サンデル教授はハーバード大で政治哲学を専攻されています。

マイケル・サンデル: Michael Sandel、1953年3月5日 – )は、アメリカ合衆国哲学者政治哲学者倫理学者ハーバード大学教授ミネソタ州ミネアポリス出身。
コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者であり、その論述の特徴は共通善を強調する点にある。また共和主義者を名乗ることも増えている。

wikipediaより引用

現在の西洋哲学では世界的に有名な教授です。

ちなみにこの本の原書は「Justice: What’s the Right Thing to Do?」という本です。この本についての要約を参考までに載せておきます。

Sandel addresses a series of alternative theories of justice. The utilitarianism of Jeremy Bentham is outlined and criticised and then John Stuart Mill’s refinements are discussed. The libertarians, in particular Robert Nozick, and their arguments are discussed. Then Sandel discusses Immanuel Kant and his ‘categorical imperative’. The discussion then goes on to John Rawls’s work. Then Aristotleand the concept of ‘telos’ is discussed. It is here that Sandel begins to make clear his own perspective. He argues that justice, rather than being autonomous (as Kantians or Rawlsians might have it), has a goal. A form of communitarianism. Sandel quotes Alasdair MacIntyre and his characterisation of humans as being ‘storytelling beings’ who live their lives with narrative quests.

wikipediaより引用

前置きはこの辺にしておいて、早速中身にいきましょう。

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正しいことをする

話は2004年夏にフロリダで発生したハリケーンによる被害における便乗値上げの話から始まる。氷や自家用発電機など、この災害によって必要となったものが5倍近い値段で販売されていた。この現実に多くのフロリダ住民は怒りを隠さなかった。これは市場原理が正常に働いたために起こったものであるにも関わらず、多くの人々は適切でないと主張する。

これは個人が他者をどう扱うかというだけの問題ではなく、法律はいかにあるべきか、社会はどのように組み立てられるべきかという問題に直結する。ここから長い「正義」に関する議論が始まっていく。

これ以外にもいくつかの例が挙げられ、その上でサンデルは次のように提唱する。

正義の関する自分自身の見解を批判的に検討してはどうだろう–そして、自分が何を考え、またなぜそう考えるのかを見きわめてはどうだろう。

55ページ 最終段落
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最大幸福原理ー功利主義

ジェレミー・ベンサムは、苦痛に対する幸福の割合を最大にするべきであるという理論を唱えた。すなわち、社会全体の効用が最大になるようにすべきだと唱えた。とすれば、例えばビルゲイツの財産のうち1000万円を没収してお金がなくて困っている人々100人に10万円づつ配布するとしよう。ビルゲイツは大きな痛手を受けないであろうがお金がない人々100人はそれだけで大きな幸福を手に入れらるかもしれない。とするとこの事例は功利主義に照らし合わせれば適切だとなるが、これを実行すべきだと考える人は極めて少ないであろう。

もう1人の功利主義者としてジョン・スチュアート・ミルが挙げられている。ミルは質の高い幸福と質の低い幸福を区別しようと試みた。しかし、これは効用そのものとは無関係な人間の尊厳や人格という道徳理念に訴えるしかないのである。

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私は私のものか?ーリバタリアニズム(自由至上主義)

私が私のものであれば、合意によって殺されるということも可能なはずだ。しかし、多くの場合これは認められていない。多くの国では罪として問われるのが現状であるから、これは自分とは自分のものでないということをも示してしまう。サンデルは、これに対しても現状のままでは筋が通らないのではないかという疑問を投げかける。

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雇われ助っ人ー市場と道徳

現在のアメリカでは、徴兵制は採用されていない。徴兵制は個人の自由を奪うという意味で憲法違反であるという見方が強い。しかし、現実には奨学金や給与などを目当てに貧しい家庭の子供達が兵役に就いているというのが現状である。すなわち、国民はお金を払って死と隣り合わせの仕事を貧しい者に任せているということになるのだ。

また、代理母出産についても様々な疑問が残る。これに関しても具体例を挙げつつ、サンデルは次のように締めている。

これらの事例を考えていくと、二つの問題に向き合わざるを得なくなる。それは、正義をめぐって対立するさまざまな考え方の分岐点となるものだ。一つは、自由市場でわれわれが下す選択はどこまで自由なのかという問題。もう一つは、市場では評価されず、金で買うこともできない美徳や、より高級なものは存在するのかという問題である。

166ページ 最終段落

続きは後日公開する予定です。

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