ANA国内線の中でも比較的需要の少ない路線に使われている機材である「デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40」(旧:「ボンバルディアDHC8-400」)。ANAの中では唯一のモノクラス(普通席のみ)の機材です。
ANAの地方路線で大活躍するデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧:ボンバルディアDHC8-400)に搭乗してきたのでその様子を紹介します。
今回紹介するデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(ボンバルディア DHC8-Q400)については、札幌・新千歳→釧路の道内路線で実際に搭乗し、Vlogも作成しました。
ANAのデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(ボンバルディアDHC8-Q400)は高速プロペラ機
ボンバルディアDHC8-400は、カナダのボンバルディア社が開発したプロペラ機です。ボンバルディア社が旅客機部門を売却したことで、機材の名前が「デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40」へと変更されました。プロペラ機ならではの機動性を持ちながらも、ジェット旅客機と同程度のスピードを持つのが特徴です。
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ANAで唯一のプロペラ機・デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧・ボンバルディアDHC8-Q400)
ボンバルディアDHC8-400は、ANAで唯一のプロペラ機です。ANAではボンバルディアDHC8-400が74席の座席数を持ちます。次に少ないのは、国際線仕様のA320の146席で、ボンバルディアDHC8-400の倍ほどの座席数があります。
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また、最近ではANAの一部の機材をオリエンタルエアブリッジに貸与。ANA塗装のまま、名古屋・中部〜秋田路線などオリエンタルエアブリッジでも運用されています。
機動性に優れたプロペラ機
プロペラ機の特徴はなんといっても、機動性にあります。ジェット旅客機と比べ、飛行する高度が低いため、短距離路線でも使いやすいのが特徴です。
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さらに、Dash 8-400は従来のプロペラ機に比べ、使用燃料、排ガス量ともに大幅に削減され環境にも優しい飛行機です。燃費が良く、ジェット旅客機とほとんど変わらない時間で飛ぶことができるため比較的需要が少ない路線で多く活躍しています。利用者目線からすれば、大型機が1日1往復飛ぶより、小型機でも1日数便飛んでいた方が利便性は高いです。
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40は機内の静粛性も特徴
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40は「ボンバルディアDHC8-Q-400」という名前で開発され、2024年までは「DHC8-Q-400」という名前で運航されていました。この名称の「Q」は、QuietのQです。機内はとても静かです。
これは、単に防音性能が高いだけではありません。飛行機から音波を意図的に出すことにより、機内に入ってくる騒音や振動を小さくしているのです。AirPods Proなどをはじめとしたイヤホンに搭載されている「アクティブ・ノイズキャンセリング」を飛行機のサイズ感でやっているわけです。
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プロペラ機はジェット機と比べて、プロペラが回るため騒音が大きくなります。プロペラが風を切る音や、プロペラという重たいものが回ることによる振動が発生するためです。これを軽減する装置をつけているため、この面でもまさに「プロペラ機ならではのデメリット」がないのです。
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このように、デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧・ボンバルディアDHC8-400)は航続時間2時間程度以内の短距離であれば、ジェット旅客機とほぼ同等の性能を有します。
ANAのデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40は、各地の地方路線で活躍中
乗る前は「まじでこんなに小さな機材なの?」ってびっくりしましたが、実際に乗ってみると座席も広くて快適です。
Wi-Fiでインターネット接続が使えないのが唯一の難点
機内のサービスも基本は他機種とかわりはありあません。ジェット機と同様の快適な旅をすることができます。小型機だからといって揺れることもありません。
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40の最大かつ唯一の難点が、「ANA Wi-Fiサービスが、肝心のインターネット回線を利用できない」こと。機内にWi-Fiは飛んでおり、自分のスマートフォンなどで映画などを楽しむことはできます。エンタテインメントだけしか使えず、肝心のインターネット回線が使えないのはとても寂しいところです。
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デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(ボンバルディアDHC8-Q400)が使われる路線は、日本全国様々!
この機材は主に、沖縄離島路線や北海道内路線や地方路線で使われます。名古屋や伊丹発着の九州方面便や四国方面便、東北方面便など、大都市と中核都市や中核都市同士を結ぶ路線で使われる傾向にあります。
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僕が初めてこの機材を利用したのはNH496便の名古屋(中部)から東京(成田)の路線でした。この路線は、多少の空席があったもののそこそこ埋まっていました。ただし、成田空港到着後、ほとんどの乗客が国際線乗り継ぎの看板を確認しながら進んでいたので、やっぱり国際線乗り継ぎの国内線として利用している客が多いのだなと感じました。
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北海道内路線では大活躍中のデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧・ボンバルディアDHC8-400)が活躍している場の1つとして、北海道内路線が挙げられます。
ANAは特に、北海道内に多くの路線網を持っています。札幌・新千歳を拠点として、函館や稚内、網走、釧路など多くの空港に就航しています。これらの路線に投入されているのがデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40です。
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日本一周旅行の途中では、函館空港から新千歳空港までの路線でこのデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(当時の機材名称は「ボンバルディアDHC8-400」)に搭乗しました。北海道内の短距離路線です。函館から札幌まではたったの1時間弱、この間、デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(ボンバルディアDHC8-400)ならではの眺望の良さから、北海道の大地を楽しむことができました。
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翼が機体の上部にあるからこその眺望性で、地上の雄大な景色を楽しみながら空の旅を満喫することができます。
実際の機内の様子は?
最後に、ANAとオリエンタルエアブリッジが運航するデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧・ボンバルディアDHC8-Q400)の機内の様子を紹介します。
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40の座席の様子 全席普通席のモノクラス
実際の機内の様子です。ANAについては、国内線の小型機(B737など)は3-3、中型機(B787など)は3-3-3、大型機(B777など)は3-4-3の並びになっている事が多いです。これに対し、プロペラ機は機体が小さいので、この機材の機内は2-2の並びになっています。
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座席の様子です。ANAの機材の中でも、他のジェット機とは異なる座席のタイプです。JAL系列の琉球エアコミューターでも同様の座席が設置されているので、機体サイズなどの問題かと思われます。
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機内空間は当然小さくなるものの、座席・通路などが小さいとは感じませんでしたが、通常の機材に比べて頭上の棚の低さを感じるのは否めません。実際トイレに行こうと思って立ったとき、頭をぶつけました。
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座席間隔などは他のANAの国内線機材と変わらず、最長でも2時間程度の国内線路線では苦に感じることは全くありません。
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テーブルです。機体が小さいのに合わせて座席も上部がやや狭い構造になっています。テーブルも座席のサイズに合わせてあるので、台形のような形です。写真ではANAの機内でもらえる飲み物のコップを置いていますが、パソコンなど置くにも難はありません。
一部の機材では革張りの座席もある
また、一部の機材では革張りの座席もあります。どの機材が革張りになっているかはよくわからず、この辺りは当日、搭乗するまでわかりません。
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革張りの座席でも座席の構造自体は変わりません。デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40では、JAL系列の琉球エアコミューターでも同じ座席が使用されていえるため、あまり座席のバラエティがないのだと考えられます。
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JALが国内線のシートにおいて革張りを基本とする一方、ANAは布張りを基本としています。布張りの方が僕は好きです。
機内のWi-Fiサービスではインターネット接続を利用できない
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40に複数回搭乗し、最大かつ唯一の難点だと感じているのが「機内でのインターネット接続が利用できない」こと。ANAではほとんどの機体にWi-Fiサービスがついており、機内でもインターネットを利用することができます。
ANAグループで唯一のプロペラ機であるデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40では、Wi-Fiの電波は飛んでいるものの機内でのエンタメサービスのみに利用でき、インターネット接続は利用できません。
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スマートフォンやタブレット端末で機内のWi-Fiサービスに接続すると、この画面が出てきます。インターネットが利用できる他の機材とは異なり、インターネットへの接続ボタンはありません。
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機内では映画やテレビ番組、アニメなどを見ることができます。ただ、短距離で運用されることが多い機材のため、最後まで観ることができるアニメなどが中心です。
座席指定はどこを取るのがいいのか
座席指定は前の方もしくは後ろの方を取ることをオススメします。
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機体の中間くらいの座席を取ると写真の通り。外の景色が全然見えませんでした。羽が上についていて、羽の下にエンジンがついているので仕方ないですね。エンジンの後ろになんとか富士山が見えたのですが、写真を撮ることはできませんでした。特別見たい景色がある場合はエンジンがなさそうなところの座席を選びましょう。
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名古屋→熊本便にて、窓側座席が最前列しか空いていませんでした。最前列はプロペラなど邪魔するものが一切ないので綺麗に景色が見られます。
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プロペラの後部から見るとこんな感じ。エンジンがプロペラの下側についているので、エンジンが大きく映ります。
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プロペラの後ろの座席を取ると、離着陸時にタイヤが見えます。着陸する瞬間のタイヤを間近で見ることは少ないので、なかなか貴重な体験です。
なお。トイレは前方にしかありません。前方のトイレが空いてなかったので後方に行こうとしたら、後方にはトイレはないといわれました。トイレが心配な人は前方の座席を取るとよいでしょう。
2023年からはオリエンタルエアブリッジでも運用を開始
2023年3月26日より、オリエンタルエアブリッジが名古屋・中部〜秋田路線および名古屋・中部〜宮崎路線でも運航を開始しました。新規就航の扱いになりますがANAが減便、そしてこの区間の機材はそのままANAの機材と使用するという、事実上の移管となりました(コードシェアでANA便名が付与されています)。
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機材はANAウイングスとの「共通事業機」という扱いで、ANA塗装のデ・ハビランド・カナダ Dash 8-40型機です。ANAウィングスの便としても使用される機材のため、当面はANA塗装のまま使用されることになると思います。
オリエンタルエアブリッジについては、また記事を作成したいと考えていますのでしばらくお待ちください。
デ・ハビランド・カナダ Dash 8-40(旧・ボンバルディアのDHC8-Q400)については、Vlogも作成しました。Vlogの映像は主に、秋田→名古屋・中部路線で撮影したものです。合わせてご覧ください。
コメント
[…] ボンバルディアDHC8-400 中部-成田線搭乗こんにちは。今回はANA国内線の中でも比較的需要の少ない路線に使われている機材である「ボンバルディアDHC8-400」に搭乗したのでその記録を。 […]
[…] ボンバルディアDHC8-400 中部-成田線搭乗こんにちは。今回はANA国内線の中でも比較的需要の少ない路線に使われている機材である「ボンバルディアDHC8-400」に搭乗したのでその記録を。 […]