札幌駅と函館駅をつなぐ特急「北斗」。北海道新幹線とも接続しており、JR北海道の中でもかなり重要な特急です。北海道を観光する際、特に道南を観光するのであれば効率的な移動にこの特急「北斗」は欠かせません。
特急「北斗」は、札幌から苫小牧方面へ。噴火湾の美しい景色を見ながら、駒ヶ岳の麓を通り函館へと向かう列車です。その景色も素晴らしい。特急「北斗」から見られる景色についてはVlogも作成したのであわせてご覧ください。
特急「北斗」の混雑状況 現在は全席指定席で自由席はない
まず初めに、特急「北斗」号の混雑状況について解説します。この記事で解説している特急「北斗」号に加えて、特急「おおぞら」「とかち」「すずらん」が2024年春のダイヤ改正で全席指定席とされました。そのため現在、特急北斗号には自由席はありません。
特急北斗号は全席指定席 1号車がグリーン車
特急北斗は現在、5両編成で運転されています。2021年3月のダイヤ改正までは6両編成でしたが、ダイヤ改正によって短縮されました(なお、2022年現在も年末年始の繁忙期や車両運用の都合で6両編成で運転されることもあるようです)。
函館側から1号車、2号車、…の順で、札幌側が5号車です。1号車がグリーン車、そのほかの2号車〜5号車が普通車指定席です。繰り返しになりますが、全席指定席で自由席はありません。
僕が初めて特急「北斗」号に乗った際は、7両編成でした。その後、コロナ禍での減車が行われ、北海道の看板特急にしてはかなり短くなってしまいました。最近では多客期を中心に増車なども行われており、特に全席指定席となってからは需要に合わせた増結も期待できそうです。
特急「北斗」は、朝の時間帯において混雑することも
特急「北斗」号はコロナ禍で一時期はガラガラな時期もありました。しかし最近では、インバウンドに加えてビジネス需要もあるためかなり埋まるようになってきました。
JR北海道の特急列車の特徴として、夏季と冬季で需要の変化があることが挙げられます。
特に夏季において、朝の時間帯(早朝から朝8時発ごろまでに札幌駅を出発する特急北斗)で、特に新札幌や南千歳から乗車する場合、混雑していることがあるので注意しましょう。また、夕方の時間帯(札幌駅に17時ごろの到着する特急北斗)で途中の苫小牧や南千歳から乗車する場合も混雑することがあります。
朝の時間帯以外であれば窓側が埋まるか埋まらないかくらい
朝の時間帯以外であれば満席になることは、一部の繁忙期を除いてほとんどありません。昼から夕方にかけて、色々な区間で特急北斗の自由席に乗りましたが(※現在は自由席の設定はありません)、どこの区間で乗っても窓側が少し空いているくらいであって、隣に人が来ることも滅多にありませんでした。
さらに2024年春のダイヤ改正でJR北海道は、特急「北斗」を全席指定としました。これにより客離れが起こり、現在ではやや座席に余裕のある状態が続いています。
ただ、この特急「北斗」はビジネス需要もそこそこ拾っています。そのため、札幌〜東室蘭間は時間帯によっては混雑します。一度、東室蘭から乗ったのですが(コロナ禍が始まってからです)、この時は窓側の座席がほとんど埋まっていました。大半の乗客が札幌まで乗り通すため(空港方面のアクセス駅である南千歳で降りる人もわずか)、途中で移動なんてことも難しいです。
札幌〜苫小牧〜室蘭の間はビジネス需要もあります。この区間は特急「すずらん」も走っているため本数が多く、あまり深く考えないで乗ることができるのがメリットでした。しかし現在では全席指定席化が行われてしまい、最大のメリットを失ってしまった感は否めません。
特急「北斗」のグリーン車・普通車の座席の様子を徹底紹介
特急「北斗」をはじめ、石勝線の特急「おおぞら」「とかち」でも使用されるキハ261系。グリーン車を含めて過去何度か乗車しているので、それらの様子を紹介します。なお、ここからは同じキハ261系が使用される特急「おおぞら」「とかち」で撮影した写真も含まれます。
特急「北斗」キハ261系のグリーン車 座席は2種類 コンセントなどを完備
まず初めにグリーン車の様子です。特急「北斗」では、1号車(函館寄りの1両)がグリーン車となっています。
特急「北斗」などに運用されるキハ261系のグリーン車には2種類の座席モケットがあります。平織布シート(7時車以降)と本革シート(6次車以前)の2種類です。これらを乗車前に判別する方法は、残念ながらありません。
キハ261系 平織布シート(7次車以降)のグリーン車
平織布シートが設置されているのは、2018年以降に導入された編成です。JR北海道では「リニューアル腰掛け」と名付けており、将来的にはこちらのシートに統一されることになると思います。
グリーン車の座席は2+1の座席配列になっています。かつてのキハ283系とは異なり振り子を搭載しないため、途中で配列が入れ替わることもありません。
噴火湾の方向(海側)に設置されているのが2人がけの座席です。中央に肘掛けがあり、ここに各種スイッチやコンセントなどが設置されています。中央の肘掛けを上げることはできません。
1人がけの座席です。札幌発の場合は進行方向右側、函館発の場合は進行方向左側になります。ビジネス利用なども一定数あるのが特急「北斗」号なので、1人がけの座席も便利かと思われます。
各座席の肘掛けにはコンセントが設置されています。コンセントが壁ではなく肘掛けに設置されているため、スマートフォンやパソコンを使う時などには圧倒的に便利です。
各座席にはテーブルが設置されています。グリーン車は座席自体の幅が広いので少し小さく見えますが、そんなことはありません。
テーブルを広げるとこの通り。かなり広々としていることがお分かりいただけるかと思います。パソコン作業やお弁当を広げるのも快適。
テーブルは飛行機のように前後にスライドします。グリーン車は座席の前後間隔が広いためテーブルが遠くなりがちですが、この辺りも配慮されています。
そして意外にも便利なのがドリンクホルダー。僕は窓枠に置くことが多いですが、グリーン車では窓枠だけではなく肘掛けに置くこともできます。
座席の肘掛けにはリクライニングのボタンと読書灯のスイッチがあります。ここでリクライニングなどを操作することができます。
また、グリーン車には読書灯が設置されています。頭上の荷物置き場ではなく、枕元に設置されているのが使いやすい。
さらに各座席にはフットレストが装備されています。フットレストはグリーン車にしか設置されていない設備です。座面と同じデザインの面は靴を脱いで、座面と異なるデザインの面は靴をはいて利用します。
キハ261系 本革シート(6次車以前)のグリーン車
続いては、キハ261系のうち初期に導入された車両に設置されているグリーン車の車内の様子です。特急「宗谷」号などのグリーン車も同じ座席が使用されています。個人的には7次車以降の方が快適です。
本革シートの車内の様子です。座席の色自体は平織布シートと同様の色が採用されているため、車内の雰囲気は同じです。
座席の様子です。本革シートの座席は表面がツルツルしています。グリーン車などではよく本革シートが使われますが、滑るので個人的には平織布シートの方が好きです。
先ほど紹介した7次車以降と同様、1人がけの座席は上り(札幌行き)で進行方向左側に、下り(札幌発)で進行方向右側になるように設置されています。特急「北斗」号の場合、噴火湾などとは反対側にあります。
グリーン車にはパソコン用の電源が設置されています。パソコン用の電源は壁側に設置されているのがこの6次車以前での最大のデメリットであると感じます。特に通路側の人は使いにくい。
読書灯は荷物だなの下に設置されています。手元を全体的に照らしたい場合はこちらの方が便利ですが、読書したいときなどには不便そう。
テーブルは7次車以降とは異なり、肘掛けから出てくるタイプのテーブルが採用されています。前の座席の背後には設置されていません。
テーブルを出してみました。テーブルは折り畳んだ状態のままでも使用できるようになっています。ちょっとお酒を飲む、くらいの時には便利です。
もちろん、もっと作業スペースが欲しい場合などはテーブルを広げて使用することもできます。身体にフィットさせるため、手前の部分が少し細くなっています。
さらにグリーン車では定番ともいえるフットレストも完備されています。こちらも靴のまま利用する面(カーペットと同じ面)と靴を脱いで利用する面(座面と同じ面)があります。
靴を履いたまま利用できる面と、靴を脱いで利用できる面があるのは便利です。ただそのルールがどこまで徹底されているかは微妙。
以上、特急「北斗」号のグリーン車の様子を徹底的に紹介してきました。今後、座席のグレードアップなどで統一されることがあるかもしれませんが、2024年現在では統一されておらず、事前にどちらの座席かも残念ながらわかりません。
特急北斗の普通車指定席-全席がグレードアップ座席で快適
続いては、特急「北斗」の普通車指定席の座席の様子を紹介します。JR北海道は長距離の特急列車が多いこともあり、在来線の特急列車の座席がとても快適。いわゆる「グレードアップ座席」が装備されており、特急北斗号も全ての車両が「グレードアップ座席」になっています。
特急北斗・とかち・おおぞら・オホーツク・大雪の普通車指定席はこの座席になっています(特急宗谷・サロベツは、長距離特急なのになぜか違います)。この座席はなかなか快適で僕は気に入っています。
紫色をベースとした落ち着いた雰囲気の座席で僕は好きです。リクライニングもそこそこの角度倒れるうえ、枕がついています。この枕、高さを変えることができるのがとてもよい。
座面はそれなりにふかふか、そしてドリンクホルダーや枕など、長距離を移動する際には地味に便利な機能が備わっています。
座席のテーブルも大きなものに変更されています。普段から、旅をしながらブログ記事を執筆する僕にとってこの大きなテーブルは非常に助かります。
コンセントについては現時点では、グリーン車のみとなっています。ビジネスパーソンを取り込みたい特急でしょうから、コンセントも装備してほしいところです。が、北海道新幹線開業まではこのままいくんでしょうね、と考えるとあまり期待はできないのが現状です。
【引退】スーパー北斗用車両・キハ281系は少し古い座席だった
ここからは既に引退した「キハ281系」気動車が運用されていた頃の車内の様子を紹介していきます。特急「スーパー北斗」としてデビューした車両です。
特急北斗の半分以上はキハ261系(銀色のボディに紫色のライン)で運転されますが、一部列車は281系(銀色のボディに乗降扉周辺が青色の塗装)で運転されます。→現在は全ての列車がキハ261系に統一されました。キハ281系は普通車自由席となる5号車と6号車は青色を基調としたシートになっていました。
この281系の自由席だけは、やや古いタイプの座席になっています。荷物置き場もなく、なんと座席を4人分潰してその上に板を敷き、荷物置き場にするというありえない手法をとっています。
座席自体は281系「スーパー北斗」がデビューした当時から使っている座席であり、やや古さを感じさせます。
座席背面にテーブルがありますが、最近のグレードアップ座席とは異なりやや小さい。昔の特急列車はだいたい、こんなくらいですね。
パソコンくらいは置くことができますが、食事をしようと思ったらもう少し広さが欲しいところ。特急スーパー北斗デビュー当時のままの座席です。
一時期、フットレストがJR系列の特急列車では流行りだったよう。この281系には、自由席にはフットレストがついています。
現在ではこのキハ281系は完全に引退。廃車となってしまっています。
特急「北斗」の車内を徹底解説!長距離列車だけあって車内設備は充実
特急北斗でJR側が最も拾いたいのは札幌から函館までの移動。片道4時間ほどかかる長距離移動(本州で比較すると東京から名古屋くらいに相当します)ということもあり車内設備も整備されています。
お手洗いは最新ではないが綺麗
特急北斗は長距離を走る列車ということもあり、お手洗いが多くついています。2021年3月に大幅に編成が短くなったからでしょうか、現在の5両編成では、車両と車両の連結部には必ずお手洗いがついています。もちろん、自由席にだってついています。これは実際に乗っているととても便利。
2021年5月の北海道周遊の際に2号車に乗りましたが、グリーン車との間であることもあり乗務員室などがありました。もっぱら、昔は車内販売の拠点として使われていたのでしょうが。
お手洗いは綺麗に保たれています。特急なので流石に掃除を毎回していると思われます。近鉄特急などは陶器のトイレ、つまり電車外にあるようなトイレと全く同じものを搭載しているのですが、JR北海道は電車用の、やや簡素な作りのものを搭載しています。
JR北海道の特急列車は原則、冬季は蛇口からお湯が出ます。この特急北斗ももちろんそう。洗面台周りが白を基調としていて清潔感があるのはいい。
281系(青いボディの車両)のお手洗いも洋式になっています。ただし、261系と比べるとやや古さを感じさせます。
洗面台は自動で水やお湯が出る蛇口になっています。ここもまた、261系(銀色・白色に紫のライン)の方が清潔感があります。
一部の特急北斗には、普通車でも使えるコンセントが!
今まで特急北斗に10回以上乗ってきて実は全然知らなかったのですが…2号車と1号車の間の部分に、実は充電用のコンセントが用意されています。グリーン車のように座席にあるわけではありません。あくまでデッキにあります。
こんな感じで、コンセントが3つ装備されています。あくまでデッキに用意されていることから、急速充電器を使って少しだけ充電するかモバイルバッテリーなどを代わりに充電しておく、みたいな使い方が想定されていると思われます。僕が乗った時は使っている人はおそらくいなかったですし僕も使いませんでした。ただ、「コンセントがある」っていう安心感だけで全然違いますよね。
ただし注意しなくてはならないのが、「特急北斗 1・3・4・6・8〜13・15・17~20・22号(261系)」にしかついていないこと。281系で運転される特急北斗にはついていませんので注意しましょう。
荷物置き場などの車内設備も
特急北斗には現在では、以前のような車内販売などは無くなってしまいました。そのため、車内設備はなかなか紹介するものが多くはありません。
最後に、荷物置き場。北海道ではスキー客などをはじめとして大きな荷物をもっている人が多いです。特急北斗に使われる車両たちがデビューしたコロナ禍以前は、インバウンドの客でも賑わっていました。
頭上の荷棚ももちろん十分な大きさがあり、国内線機内に持ち込みのできるサイズのキャリーバックくらいなら載せることができます。それ以上大きな荷物をもっている人のためにデッキにも荷物置き場が用意されています。
函館から札幌の間は、特急北斗以外の移動手段についてもまとめました。こちらも併せてご覧ください。
また、特急「北斗」以外も含めて、札幌から函館の間を移動する手段についてまとめた記事を作成しました。札幌と函館の間を移動する機会がある方、ぜひ参考にしてくださいね。
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