名古屋から岐阜の間は、JR東海道本線に加え、名鉄名古屋本線が走っています。
JR東海道線で行けば最速約20分、普通列車でも30分で走破します。一方の名鉄は特急でもおおよそ30分、普通列車に至っては平日朝の一部時間帯を除いて直通列車がありません。
岐阜から名古屋へは、普通はJRを使う人が多いでしょう。しかし、実は名鉄だって使い道がある。この記事では、名古屋と岐阜の間の移動手段である「JR東海道本線」と「名鉄名古屋本線」の2つに焦点を当てて、その比較をしていきたいと思います。
単純比較ではJRが圧倒的に有利だが…
まずは単純比較をしましょう。所要時間・通常の運賃ともにJRの方が圧倒的に有利なのが名古屋=岐阜間です。JRはもともと「東海道本線」、東京から大阪を結ぶことを目的に直線的に敷かれている一方で、名鉄は岐阜周辺や名古屋周辺で多くのお客さんを拾いつつ走っています。
しかしもちろん、名鉄も諦めている訳ではありません。名鉄は「なごや特割30」という格安切符を発売しています。
名鉄とJRの比較 | JR | 名鉄 |
---|---|---|
所要時間 | 22分 | 30分 |
通常運賃 | 470円 | 570円 |
回数券最安値(1回あたり) | 427円 | 408円 |
この表を見ていただければ分かるように、定価の運賃ではJRの方が有利となっています。しかし、名鉄は「なごや特割30」という企画乗車券を発売しています。30枚綴りで12,250円のきっぷです。「名鉄」のところではこの切符について詳細に解説する予定です。
また、岐阜駅はJRと名鉄で少し離れたところにあるため、JR岐阜駅から名鉄岐阜駅へは、歩いて徒歩10分程度。名鉄岐阜の方が近いという場合、具体的には柳ヶ瀬などの方面から名古屋に行く場合は名鉄の方が便利だったりします。僕自身は、仕事の都合で岐阜へ定期的に通っていますが、岐阜駅周辺ではどこに行くのかによってJRを使うか名鉄を使うかを分けています(もちろん、先方の交通費支給の関係もあります)。
通勤でも便利な「なごや特割30」でおトクに名鉄を使おう
名古屋から岐阜まで、名鉄を定期的に利用する場合は「なごや特割30」を使うのがオススメです。
なごや特割30は、名古屋・金山から名鉄の主要駅までの片道きっぷを30枚綴りにしたもので、豊橋駅、東岡崎駅、新安城駅、名鉄一宮駅、新木曽川駅、名鉄岐阜駅、知多半田〜青山駅、知多武豊駅発の切符が設定されています。
主要駅だからというよりは、JRとの競合を意識して発売されている切符です。そのため、JRが並走していない犬山線や常滑線・空港線は、主要路線でありながらも設定がありません。
有効期限は原則、最低3ヶ月は確保されています。半年スパンで有効期限が設定されており、9月30日までに発売されたものは同年12月31日まで有効、3月31日までに発売されたものは翌年6月30日まで有効です(つまり、最長9ヶ月近い有効期間になります)。なお、JRの回数券は有効期間が3ヶ月間です。
名古屋から岐阜までの間の通勤定期券の額は1ヶ月17,120円です。このきっぷで、名古屋まで1ヶ月で20回往復すると408円×20回×2(往復)=16,320円、単純計算では1ヶ月で21往復すれば「なごや特割」より通勤定期券の方が安くなります。
新型コロナウイルスの影響もあって、リモートワークが大幅に浸透してきた今日。月々20回出勤しない程度であれば通勤定期券より「なごや特割」の方が安上がりです。
さらにこの「なごや特割30」の特徴は金山駅も利用できること。JR・名鉄ともに名古屋〜岐阜と金山〜岐阜の運賃は異なります。
通常運賃 | 名古屋〜岐阜 | 金山〜岐阜 |
---|---|---|
名鉄名古屋本線 | 570円 | 620円 |
JR東海道本線 | 470円 | 540円 |
しかし、この「なごや特割30」では金山も利用できるため、金山から名城線に乗り換える場合などはさらにおトク幅が広がります。
また、中部国際空港アクセス特急である全席指定の「ミュースカイ」は朝夕の時間帯のみにしか走っていません。逆にいうと、JRと比べて追加料金が必須となる速達列車は大幅に少なくなります(JRは特急「ひだ」や「しらさぎ」などが日中も毎時1〜2本程度のペースで走っています)。追加料金なく、最速達列車に飛び乗れるのも1つのメリットです。
名古屋から岐阜の間は、朝夕のラッシュ時間帯を除いて空席が多い傾向にあります。大抵の場合、一般車でも座れると思います。通勤時間帯には特別車(座席指定車両)を使うのもアリでしょう。
ミューチケット(特別車・指定席)は座席の質も違い、かなり快適です。
3ヶ月で30回も使わない、という場合は金券ショップでバラ売りしているので金券ショップで購入するのがオススメです。
名鉄岐阜駅は、JRの岐阜駅から徒歩5分程度離れている、ということには注意が必要です。
名古屋〜岐阜の最速移動手段はJR東海道線
早くて便利なのがJR東海道線です。
JR東海道線は、名鉄名古屋本線と違い直線的に名古屋へと向かいます。逆にいうと、JR東海道線は岐阜周辺でお客さんを拾うことはせず、つまり加納・笠松周辺でのお客さんを拾うことはなく、そのまま愛知県へと突入します。JR東海道線で、岐阜の次の停車駅は木曽川駅、もう愛知県です。
名鉄の「なごや特割30」のおかげで、「名古屋から岐阜の間の最安運賃」のはずが、残念ながら名鉄にとられてしまいました。
しかし、名鉄と比べればJRは早いし、特にJRの駅周辺から名古屋方面へ行くのであれば便利です。JR岐阜駅と名鉄岐阜駅は徒歩5分ほど離れていますが、このちょっとした距離が、歩くのを面倒にさせて別の駅としての特性を持たせているのです。
JR東海道本線は、普通列車・快速列車と特急列車が走っています。特急「ひだ」や特急「しらさぎ」が主に走っており、もちろん、ICカード類と特急券を組み合わせることで乗車することができますが、特急列車に乗っても普通、特別快速・新快速とは停車駅が変わりません。一部の特急「ひだ」が、途中の尾張一宮駅を通過するくらいなもんです。
ここまででご紹介したように、単純比較では名鉄よりJRの方が速くて安い。だからといって名鉄も手をこまねいて見ているだけではなく、回数券を出したりして安く移動できるようにしています。さらに、途中の笠松や新木曽川など停車駅を増やし、利便性を向上させています。
このように、意外と名鉄を使った方がお得だったりするのが、名古屋〜岐阜間。名古屋から岐阜を、特に頻繁に往復される方は名鉄の特割も考えてみてくださいね。
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