特急しなの号の自由席の混雑は?割引きっぷは?座席の様子は?

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名古屋から中央線の中津川、木曽福島、塩尻、松本を経由して長野までを結ぶ特急しなの号。JR東海の在来線の中でも比較的本数の多い特急列車であり、利用客数も多い列車です。

特急しなの号に乗る上で自由席には座れるのか?座席の様子・車内設備は?お得なきっぷは?などといった疑問にお答えします。

特急しなの号の車窓Vlog

特急「しなの」号についてはVlogも作成しました。特急「しなの」号から見える、雪景色の木曽路の景色をまとめました。

【2023/07/20更新】

JR東海から、特急「しなの」号の新型車両「385系」の試験車両を製作するとの発表がされました。2029年から順次置き換えなので少し先ですが、ついにこの特急「しなの」号も置き換えの時期がやってきました。

JR東海プレスリリースより引用
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特急しなの号の自由席は、土日は特に混雑する!ネット予約にも注意が必要!

特急しなの号には原則、自由席車両が2両用意されています。ただ、この自由席車両、空席が多い時もあれば時期・時間帯によっては2両とも結構混雑したりするので注意が必要です。

特急しなの号の自由席の混雑は?割引きっぷは?座席の様子は?
特急しなの号(名古屋駅にて)

土日は指定席を取る価値あり!平日の昼間であれば自由席も比較的空席がある

特急しなの号の特徴として挙げられるのが、東海道新幹線などと比べて観光需要が非常に高いこと。ビジネス需要を中心に莫大な利益を得ている東海道新幹線とは対照的に、特急しなの号は観光利用や帰省などでの利用が中心になります。

そのため、東海道新幹線と比べて自由席利用が多い傾向にあります。

自由席は、特に土曜日の朝と日曜日の夕方に混雑をします。3月の3連休の初日に特急しなの号に乗ったところ、自由席は名古屋駅発5分前の時点で窓側に空席がありませんでした。

したがって、観光客が多くなる土日や連休前日などに利用する場合、指定席を取ることをオススメします。特に朝8:0や9:00などの便利な時間帯に出発するしなの3号・5号(長野行き)や4号・6号(名古屋行き)などは混雑する印象です。早朝の1号や2号は比較的空席があります。また、平日の昼間などには空席が多くあります。

土日は指定席を取る価値あり!平日の昼間であれば自由席も比較的空席がある
特急しなの号

特急しなの号では、ビジネス需要があまり多くない。あえて言うなれば、東海道新幹線から乗り継いで多治見や中津川までか、中京圏から長野までの通しの需要くらい。東海道新幹線に比べると需要はかなり少なくなります。

そのため、特に平日の昼間などは自由席でも空席が目立ちます。平日昼間(概ね、始発駅を10時〜15時ごろまでに出発する便)では、自由席の窓側も半数程度が空いている状況になります。

平日昼間(概ね、始発駅を10時〜15時ごろまでに出発する便)に利用する場合、自由席でも十分であると考えられます。

土日は指定席も混雑する

なお、土日は指定席も混雑します。3月の3連休初日、朝の下り列車の指定席を確保して乗車したのですが、隣に知らない人がいました。

僕が指定席を確保したのは3日前、この時点で特急しなの号の普通車指定席については、窓側の空席が8割程度埋まっている状況。連休など、場合によっては直前には既に空席がないこともあり得ます。

次節で解説するように、特急しなの号ではネット予約サービスも利用できます。ネット予約サービスも活用して予約を確保したいところです。

土日は指定席も混雑する
3連休初日で指定席・自由席ともに混雑していた

特急しなの号をネットで予約する方法

特急しなの号のきっぷはインターネットで予約することができます。2022年4月からJR東日本のネット予約サイト「えきねっと」のきっぷの、JR東海駅での受け取りが可能になりました。これにより、特急しなの号のネット予約はえきねっと1択になったと言っても過言ではありません。

特急しなの号のネット予約は、2022年春まではかなり複雑でした。理由は、しなの号が名古屋から長野と、JR東海エリアからJR東日本エリアまで走る列車だからです。

特急しなの号 長野駅にて撮影

しかし、2022年4月1日より、JR東海の各駅で「えきねっと」で予約したきっぷの受け取りが可能になったことにより、えきねっとでの予約が最も便利になりました。えきねっとでの指定席予約では、JREポイントも貯まるため是非とも活用したいところです。

特急しなの号の予約にJR西日本のネット予約サービス「e5489」の利用はオススメしません。名古屋駅から木曽福島駅までのJR東海各駅ではJR西日本のネット予約サービスe5489が利用できます。ただし、長野などJR東日本エリア(塩尻駅〜長野駅)では、e5489の受け取りができません(JR東日本エリアでもe5489の受け取り自体は可能ですが、JR東海区間を含む予約は受け取り不可となっています)。

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特急しなの号の割引きっぷは少ない

特急しなの号をはじめとしたJR東海の特急列車は割引切符が少ないのが難点です。種類は少ないですが、多少の割引きっぷも用意されています。この章では、特急「しなの」の割引きっぷを紹介します。

特急しなの号の割引きっぷは少ない
特急「しなの」号-名古屋駅にて撮影

特急しなの号の割引きっぷ

特急しなの号で使える割引きっぷは主に次のものがあります。

  • 信濃路フリーきっぷ・木曽路フリーきっぷ
  • 青空フリーパス
  • 回数券

これ以外に、学生であれば学割が、65歳以上などの一定の条件を満たせばジパング割引が使えます。

特急しなの号の割引きっぷ
特急しなの号

特急「しなの」号で使えるきっぷは以下の通りです。

きっぷの種類運賃・料金
自由席特急回数券(1枚あたり)12,760円
指定席特急回数券(1枚あたり)13,400円
木曽路フリーきっぷ(1人用・名古屋市内発)9,390円
信濃路フリーきっぷ13,620円
通常の運賃・料金(普通車指定席)14,920円
割引運賃の概要

単純往復なら「信濃路フリーきっぷ」「木曽路フリーきっぷ」

単純に往復するのであれば「信濃路フリーきっぷ」「木曽路フリーきっぷ」がオススメです。また、JR東海が発売している「木曽路フリーきっぷ」は、人数が多くなるにつれてお得になる、という特徴があります。

発駅1人用2人用3人用4人用
三河エリア(豊川~豊橋・二川~蒲郡)10,750円13,880円17,010円20,140円
名古屋(市内)9,390円12,520円15,650円18,780円
岐阜エリア(岐阜~大垣)10,220円13,350円16,480円19,610円
四日市エリア(四日市~桑名)10,020円13,150円16,280円19,410円
木曽路フリーきっぷの運賃表

また、到着エリアではJRの普通列車が乗り降り自由になります。さらに、指定されたバス・タクシー・レンタカーを4,000円分ご利用になれるほか、宿場町などの一部店舗でグルメ&ショッピングにご利用になれる2,000円分のお買い物券やエリアの観光施設入場券が付いた「木曽路エンジョイチケット引換券」などがセットになっています。観光で利用する場合はかなりお得なきっぷです。

単純往復なら「信濃路フリーきっぷ」「木曽路フリーきっぷ」
特急しなの号は木曽路の観光にもってこいの特急列車

複数人で利用するなら「指定席特急回数券・自由席特急回数券(しなの回数券)」

3人で往復する、あるいは複数回にわたって名古屋〜長野間を往復するのであれば「しなの回数券」がおトクです。ただし、ゴールデンウィークにあたる4/27~5/6、お盆にあたる8/10~19、お正月にあたる12/28~1/6の期間は利用できません

6枚綴りの回数券で、値段は次の通りになっています。

区間利用座席値段(6枚)
名古屋(市内)〜長野指定席40,200円
名古屋(市内)〜松本指定席32,940円
名古屋(市内)〜塩尻指定席31,620円
名古屋(市内)〜長野自由席38,280円
名古屋(市内)〜松本自由席30,900円
「しなの回数券」の価格一覧

各区間で指定席用の回数券も用意されています。特にビジネスなどで頻繁に利用する場合、こういった回数券の利用を考えても良いでしょう。

複数人で利用するなら「指定席特急回数券・自由席特急回数券(しなの回数券)」
特急「しなの」号

青空フリーパスは1日フリーきっぷ

青空フリーパスは、JR東海が名古屋地区を中心に発売するフリーきっぷです。価格(大人)は2,620円です。

青春18きっぷとは違い、別途特急券を購入することで特急列車にも乗車することができます。有効期間が1日で、1日で名古屋付近から木曽福島を往復すると元が取れていまいます。逆に、1日で往復する場合限定のきっぷとも言えそう。特急しなの号が走るエリアでは木曽平沢までがフリーエリアとなるため、その先の塩尻などへ行く場合は別途、乗り越し区間の運賃が必要になります。特急しなの号の停車駅では、木曽福島が利用できる端の駅となります。

また、青空フリーパスは東は豊橋まで、西は米原まで有効です。名古屋駅以外からでも使用できるのも大きな魅力です。

さらに、「青空フリーパス」は乗車券部分のみのきっぷなので、指定席特急券はネット予約を利用して別途、あらかじめ押さえておくことも可能です。

青空フリーパスは1日フリーきっぷ
名古屋地区はじめ、ワイドなエリアの列車に乗り降り自由となるのが「青空フリーパス」のメリット

新幹線との乗り継ぎ割引は廃止

【2023/09/22更新】

JR各社での新幹線・在来線特急の乗継割引は、2024年3月16日(土)乗車分より廃止されました。現在、乗り継ぎ割引は使用できません。

特急しなの号は、全列車が名古屋〜長野の間で運転されています。特急しなの号の大きな特徴は、両端の駅で新幹線と接続していることです。名古屋駅では東海道新幹線と、長野駅では北陸新幹線と接続しています。

在来線特急と新幹線を乗り継ぐ場合、在来線特急の特急料金が半額となる「乗り継ぎ割引」という制度がありましたが、2024年3月をもって廃止されました

現在では乗継割引が利用できないため、特急「しなの」の特急料金の割引が受けられなくなりました。ただ、新幹線と合わせて利用すると便利なことは間違いありません。

新幹線との乗り継ぎ割引を活用しよう
北陸新幹線E7系 長野駅にて

長野エリアでは各種回数券・料金回数券なども発売

JR東日本エリアでは多数の割引きっぷが発売されています(JR東海が消極的なわけではなく、JR東日本エリアでは首都圏〜長野の流動は可能な限り北陸新幹線利用を推進したく、特急しなの号は長野県内完結の需要を増やしたいと考えているのだと考えられます)。

長野県内発着 おでかけにおトクなきっぷ:JR東日本
:JR東日本

JR東日本の公式サイトに詳しくは掲載されています。最近では特急「信州」の運転開始によってルール変更もありますので、最新の情報は公式サイトもご確認ください。

特急しなの号

「篠ノ井線特急料金回数券」(2023年3月までの名称は「信州しなの料金回数券」)は、長野~塩尻の任意の区間の特急券として使える回数券です。定期乗車券やフリーきっぷなどと組み合わせて利用することも可能です。4枚綴りで2,080円と、1枚あたり520円、かなり安いです。

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特急しなの号 383系の車内・座席の様子やオススメの座席を紹介

最後に、特急しなの号のグリーン車および普通車の車内の様子をご紹介します。新型車両の製造も近くなった車両ですが、十分快適です。

コンセントやWi-Fiなどの設備はない

特急しなの号には、コンセントやWi-Fiなどの設備は整備されていません。時代の流れを考えると、少し残念な気はしてしまいます。

現在特急「しなの」号で使われている383系電車は1994年製造の車両です。当時、コンセントやWi-Fiなどを整備するという考え方は浸透していなかったので仕方ありません。今後開発が行われる385系では、コンセントやWi-Fiなどの設備が完備されることになります。

特急しなの号の車内

特急しなの号が走る中央線・篠ノ井線は、特に中津川〜篠ノ井の間で山間の区間となります。この区間では、携帯電話も繋がらないことが多々あります。

コンセントやWi-Fiなどの設備はない
列車内電話があったと思われるスペース

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適

まず初めに、特急「しなの」に使用される383系電車のグリーン車の様子です。グリーン車は2+2の座席配列になっています。普通車と同じ配列ですが、座席自体の構造が違い、前後間隔もかなり広い。

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適
MaedaAkihiko – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=112225380による

1号車のグリーン車は原則、パノラマグリーン車となっています。名古屋から長野へと向かう下り列車では、最前列(1列目)を予約すれば前面展望を楽しむことができる場合が多いです。ただし、車両検査の都合などによっては、貫通型の車両(パノラマではない車両)に変更されることがあります。

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適
特急「しなの」号-木曽福島駅にて撮影

また、繁忙期を中心に最大10両編成に増結されます。10両編成に増結された場合は7号車もグリーン車となりますが、7号車のグリーン車は編成の途中にあるため、前面展望を楽しむことはできません。

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適
グリーン車の座席

グリーン車の座席の様子です。次に紹介する普通車と比べて、かなりしっかりした作りになっています。

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適
前後間隔がかなり広い

前後間隔がかなり広いため、普通車と比べてゆったりとしています。また、グリーン車は全体がカーペット敷になっているため、かなり落ち着きのある空間になっているのが特徴です。

特急「しなの」のグリーン車にはパノラマ車両も 2+2の配列だが十分快適
インアーム式のテーブルも

各座席の背面テーブルに加えて、インアーム式のテーブル(座席の肘掛けから出てくるタイプのテーブル)も完備されています。

普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない

特急しなの号の座席は、登場当初のままの座席です。しかしJR東海らしくかなり快適な座席になっています。

特急しなの号の普通車・車内

座席は古いままですが、かなり快適。1990年代に登場した車両とは思えない快適性です。何より、座席自体に結構高さがあります。そして、JR東海らしい、よくいえば落ち着いた単調な座席、悪くいえば余計な遊び心がない座席です。

普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない
リクライニング機構もある

もちろん、特急列車ですからリクライニング機構もあります。肘掛けにあるボタンを押すと倒れるタイプです。

リクライニングをしていない状態の座席

リクライニングをしていなくても座席にはある程度の角度がついているため、十分快適な座席だといえます。

リクライニングをした状態

リクライニングをするとこれくらい倒れます。東海道新幹線の座席と比べるリクライニングはやや浅い気もしますが、これでも十分快適です。

普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない
フットレストも装備

フットレストも装備されています。JR北海道の函館から札幌を結ぶ特急北斗号にもフットレストがついています。振り子式の特急には、なぜかついていることが多いですね。振り子式の特急列車が開発された当時の時代の流れなのでしょうか。

普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない
座席背面のテーブルは、めちゃくちゃ大きいわけではない

座席背面にはテーブルがありますが、あまり大きくはありません。最近では、東海道新幹線をはじめとして座席幅いっぱいまで使った広くて薄いテーブルが主流となっています。

普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない
使える範囲ではある

特急しなの号のテーブルはやはり東海道新幹線などと比べると小さい。ただ、食事やパソコン作業などで難を感じることはありません。快適に利用することができます。

車内設備も最低限ではあるが困ることはない

最後に車内設備をご紹介します。

車内設備も最低限ではあるが困ることはない
車内のお手洗い

車内設備は、1990年代に作られた列車であることもあり、「ここまでか!」といほどの設備はありません。しかし、繰り返しになりますが1990年代に作られた車両とは思えない設備。お手洗いも綺麗に保たれています。

車内設備も最低限ではあるが困ることはない
おむつ交換台

おむつ交換台などもしっかり整備されています。1990年台の車両でありながら、かなり充実した設備で、不便を感じることはありません。

特急しなの号は、大阪乗り入れが廃止されてからはそこまで長時間乗るような特急ではなくなりました(それでも長野から名古屋までは2時間半ほどかかりますが)。短いながらも快適な時間が過ごせるでしょう。

特急「しなの」のオススメ座席 区間によって、どちらからも美しい景色が見られる

特急「しなの」号は、信濃路を走り抜ける列車です。山がちな区間を走行するためカーブが多くなっていますが、その分景色はとても良い。

特急「しなの」から見ることができる景色については、こちらのVlogでまとめてありますのでご覧ください。

特急しなの号の車窓Vlog

オススメの座席は、名古屋〜松本の区間ではA席(名古屋→松本では進行方向左側、松本→名古屋では進行方向右側)です。木曽路を流れる木曽川の景色が綺麗に見られ、国指定の名勝「寝覚の床」も見ることができます。

土日は指定席を取る価値あり!平日の昼間であれば自由席も比較的空席がある
途中で車窓に見られる「寝覚の床」

一方、松本〜長野の間でのハイライトはなんといっても姥捨の景色です。スイッチバック式の駅を、特急「しなの」はスイッチバックせず高速で通過します。

特急「しなの」のオススメ座席 区間によって、どちらからも美しい景色が見られる
姥捨の景色

姥捨から見られる景色は何度見ても絶景そのものです。姥捨の景色が見られるのはD席(名古屋・松本→長野では右側、長野→松本・名古屋では左側)です。

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