JR北海道が新たに導入した「はまなす編成」と「ラベンダー編成」。形式自体は今までのキハ261系と変わらないものの、車内の設備は「多目的車両」として目新しい設備が。
なお、「ラベンダー編成」についても別に記事を書きました。ほぼ同じ車内の設備です。
また、はまなす編成の特急「とかち」に乗車し、Vlogを撮影しました。あわせてご覧ください。
「多目的車両」と称し、ラベンダー編成同様さまざまな設備が
今回導入された新型車両「はまなす編成」は、「多目的車両」という名称になっています。今まで似たような役割で使われていた「リゾート列車 ノースレインボーエクスプレス」とは異なり、観光需要に加えビジネス需要も意識した車両となっています。
「増結1号車」は多目的スペースとなっている
他のJR北海道の特急列車にはない「増結1号車」という車両があります。特急列車に乗った時、札幌側が4号車となりますがその反対側にあるのが増結1号車です。
指定席を発売する際、システム上、1号車から使えた方がいいということだと思います。少なくとも定期列車においては、この増結1号車が指定席として発売されることはありません。
この増結1号車は「はまなすラウンジ」となっています。多目的スペースと称され、普通の座席とは違ったタイプの座席になっているのが大きな特徴。
4人で利用できるボックス席があります。近鉄特急・伊勢志摩ライナーのサロン席が頭の中のイメージにあるとちょっと残念な感じもしかねない。けれど、伊勢志摩ライナーなどとは異なり、座席として発売することはしない前提として作られていると考えればそんなに不十分でもない。
座席・テーブルはまさに「ファミレス」という感じです。グループで利用する場合、ここで食事を取るなんて使い方を想定していると思われます。
また、テーブル席はグループでの利用が想定されていますが、窓側を向いた座席もあります。この座席は、1人での利用や2人での利用も想定されています。
ラウンジスペースにも全席にコンセントが設置されているのも大きなポイントです。
定期列車では使われないが売店スペースも
増結1号車には売店スペースも設置されています。
定期列車として使われる場合、原則シャッターが閉められています。定期運用では使わないことを前提として設置したわけですから、もう少しおしゃれなカーテンなり暖簾なりで隠すとか、方法はあったんじゃないかなあと思ってしまうのは僕だけでしょうか。
JR北海道の特急列車としてはスタンダードな荷物置き場やお手洗いなど
座席周り以外の車内設備は、JR北海道の特急列車としては至って普通です。
大きな手荷物スペースがあります。デッキにもあり、デッキの手荷物スペースの方がやや広くなっています。
はまなす編成では撮影するのを忘れていたので、ラベンダー編成で撮影したものです。スキー客などを想定してい設置されているものだと思われます。
お手洗いも今までのJR北海道の特急列車と大差ありません。この2020年代にデビューした特急列車ですから、ウォシュレットをつけて欲しかったなあと思うのは僕だけでしょうか。
洗面台もまた、至って普通。蛇口からは当然のようにお湯が出ます。JR北海道の特急列車は、国鉄型の車両であっても原則、冬季は蛇口からお湯が出ます。
座席を紹介!コンセントやWi-Fiなど、大幅な設備向上が
続いて、今回目玉のようにアップグレードされた座席周りの様子をご紹介します。
全席にコンセントが、車内Wi-Fiも整備!
今回デビューした「はまなす編成」と「ラベンダー編成」の最大の進化が「全席にコンセント設置」「車内全域で無料Wi-Fiが利用可能」ということです。車内のWi-Fiサービスなどは、JR四国が先駆けて導入していましたが、今回やっと、JR北海道の特急列車にも導入された形になります。
JR北海道の特急列車は、高速で走行しても時間がかかる。北海道は広すぎるのです。そのため、移動の時間でWi-Fiが使えるのは正直かなりでかい。
近年では速度より安全重視で所要時間が長くなった傾向にある、そういう状況だからこそWi-Fiを多くの特急列車に設置して移動時間の有効活用をできるように整備してほしいものです。
Wi-Fiの規格自体は、現在、快速エアポートに搭載されているものと同じタイプのものだと思われます。
JR北海道の特急列車は山の中を走行することが多く、トンネル区間も多いため、携帯電話が圏外になることもあります。車内Wi-Fiは原則、携帯電話の電波を利用しているため、携帯電話の電波が繋がらないトンネル内などでは車内Wi-Fiも利用できなくなります。
さらに、コンセントが全席に設置されました。今まで、JR北海道の特急列車でコンセントが設置されているのは原則グリーン車のみ、そして特急オホーツク・大雪の一部編成にコンセントが装備されているものの完全に運任せ、という状況でした。今回、「必ずコンセントがある車両」としてデビューしたのはかなり大きな進化です。
増結1号車にもコンセントは設置されています。この、四角い謎の箱がコンセントです。開くと…
こんな感じでコンセントが出てきます。スマホを横向きに置くことができる、ちょっと便利なような、使うのかな?っていうような機能もついています。
座席はカラフルに
座席も原則、今まで他の特急列車で使われていた「グレードアップシート」を踏襲しながらも「多目的列車」ということで多少の違いがあります。
今まで、JR北海道が特急列車に導入している座席は、暗めの紫を基調とした座席でした。しかし、多目的列車として、観光用途などにも使うことを考えてやや彩りのある座席になっています。写真を見ていただければすぐにわかると思いますが、腰の部分にカラーがついています。
腰の部分についているカラーの部分は、特別盛り上がっているわけでもなく、座り心地自体は今までの特急列車となんら変わりありません。
今までの特急列車にもあったドリンクホルダーが、このはまなす編成にもしっかりあります。
また、色合いはやや違いますが、可動式の枕も今まで通りです。機能自体は変わっていないように思います。この高さから…
最大まで上げるとこれくらいの高さにまでなります。JR北海道の特急列車は、長時間のることもありますのでこういった座席の快適性は重要です。
座席には2つのテーブル 背面テーブルに加えてインアーム式も
テーブルが今までより増えたことも特筆すべき点になります。今まで通りの大きな、座席背面テーブルもしっかり装備されています。
このテーブルを使ってパソコン作業などをすることができます。チケットホルダーもしっかりあります。
今までのJR北海道の特急列車にはなく、今回の「はまなす編成」にしかない設備として、インアーム式のテーブルがあります。
インアーム式のテーブルもそれなりに大きさはあり、パソコン操作くらいはできます。ただ、高さがやや低く、パソコン作業はしにくいため食事などの用途を想定して設置されたものだと思われます。
定期列車での運転なら追加料金等は不要
JR北海道のホームページにも記載がありますが、定期特急列車としての運転で使用される場合、追加料金などは不要で、通常の乗車券+特急券で乗車することができます。もちろん「北海道フリーパス」などのフリーパス類も利用できます。
観光列車としてツアー商品も
「多目的車両」と称してデビューした「はまなす編成」と「ラベンダー編成」は観光列車として、ツアー商品も販売されています。
僕が今回乗車したのは特急「とかち」としての運転でした。しかし、こういった通常の特急列車だけではなく、ツアー商品として販売されることもあります。今後、どういった形で利用されるかは企画次第ですが、2021年には、JR北海道・JAL・JTBで連携し「HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号」が運転されました。
このような形で、観光列車としての利用も想定されています。この場合はツアー商品としての発売となりますから、途中駅から乗車などは原則不可能で、宿泊代・食事代込みのパッケージツアーとして旅行会社等を経由しての申し込みとなります。
定期列車となる場合、通常の乗車券と特急券で乗車可能
定期列車として運転される場合、通常の乗車券と特急券で乗車することができます。
その場合は、通常の特急としての取り扱いがされます。JR北海道は、JR東日本が運営するインターネット予約サイト「えきねっと」の本格導入に踏み切っています。「えきねっと」から予約することも可能です。もちろん、通常のきっぷとして発売ですから、学割などをはじめとした割引と併用することも可能です。
定期列車としての運転は、JR北海道のサイトに決定次第掲載されます。
2023年からは、夏の臨時特急「ニセコ」号(函館本線・札幌〜小樽〜倶知安〜ニセコ〜長万部〜函館)に使用されました。
増発や車両の不具合が発生した特急列車の代走として走ることも
今回導入された「はまなす編成」や「ラベンダー編成」は、通常の特急列車の代走として走ることもあります。また、増発便に使用するということも導入目的に明記されています。
後日、別の記事で紹介する「ラベンダー編成」は実際、僕自身も「特急宗谷」の代走車両として乗車しました。
代走として乗車する場合はあらかじめ予定を立てることはなかなか困難です。実際、代走の場合はJR北海道のホームページなどでは公開されません。
今回の「はまなす編成」についてはVlogも作成しました。合わせてご覧ください。
コメント
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