札幌から東室蘭・室蘭までを結ぶ特急「すずらん」。電車特急での運転となるため極めて静かで乗り心地がいいのが大きな特徴です。今回はこの特急すずらん号の割引切符や車内の様子などをご紹介していきます。
最も割引率が高いのは「えきねっとトクだ値」
JR北海道は、JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」を積極的に導入しています。2024年以降は、「えきねっと」による予約を前提に運賃体系を作っており、今ではJR北海道の特急列車を利用する際に必須のツールと言っても過言ではありません。
「特急トクだ値」・「在来線チケットレス特急券(トク割)」は直前まで予約できて空席があれば安い!
えきねっとトクだ値は、インターネット予約サイト「えきねっと」で予約ができるサービスです。座席数限定(=列車自体に空席があっても、割引ができようできない場合がある)ではありますが、割引で予約ができ、当日の午前1:50まで(←実質、前日の深夜まで)予約ができます。
具体的に特急「すずらん」が走る区間の価格は、
- 札幌から苫小牧が2,180円(通常3,360円)
- 札幌から東室蘭が3,380円(通常5,220円)
となっています。あらかじめ前日までに予定が決まる場合は「えきねっとトクだ値」を活用するのがいいでしょう。
インターネットの「在来線チケットレス特急券(トク割)」がオススメ
札幌〜苫小牧間に限り、えきねっとのチケットレス特急券が利用できます。指定席特急料金が1,420円であり、乗車券類をICカードで支払えば完全チケットレスも可能。ただし、特急すずらん号では札幌・新札幌〜苫小牧間でしかチケットレスが設定されていません。正直、この区間を定期的に往復する人以外には汎用性がなく利便性はかなり低い。
チケットレス特急券のメリットは、乗車時刻まで申し込みが可能であり、特急券の受け取りが不要であること。特急券部分がおおよそ15%オフになります。特急「北斗」「すずらん」を全席指定席としたなら、せめてこのチケットレスを全区間に拡大してほしいところ。
また、特急すずらんの指定席は「uシート」と呼ばれる指定席で、自由席と差別化するためにグレードアップされています。座席間隔がやや広くなっていたり、コンセントがついていたりします。札幌・新札幌〜苫小牧間を利用するなら活用したい特急券です。
2024年3月をもって「乗車券往復割引きっぷ」などは発売終了
「乗車券往復割引きっぷ」(乗車券部分に相当する、往復の格安きっぷ)や、それと同時に使うことができ、破格で特急列車に乗ることができた「乗車券往復割引きっぷ」や「乗車券往復割引きっぷ」は、2024年3月15日をもって発売が終了しました。割引きっぷは基本、インターネット予約サービス「えきねっと」に統一されることになりました。
北海道は利用者層の年齢が高いなどの背景を理由に批判する人もいますが、JR北海道の経営自立、ひいては北海道の鉄道維持を考えてコスト削減を進める上で、インターネット予約への全面移行は避けられないと思います。やむを得ませんが、鉄路がなくなるよりは何百倍もマシと考えましょう。
特急北斗も合わせて実は本数が多い やや空席もある
続いて、特急すずらんの混雑状況などについて解説していきます。実際にこの区間で5回以上乗車した経験から解説します。
※過去に乗車したタイミングでは自由席が多い列車だったため多少状況は異なると思いますが、利用状況についてはかなり参考になるかと思います。
朝の一部時間帯では通勤ライナー的役割も
特急すずらん号は特に朝の時間帯の札幌圏において、通勤ライナー的な役割も持っています。そのため、平日朝夕は混雑することがあります。この時間帯は早めに予約しておいた方が良さそうです。
札幌の近郊には、多少距離はあるもののそれなりの大きさの都市がいくつかあります。苫小牧や千歳などです。やはり苫小牧は少し遠いものの、千歳であれば札幌への通勤圏内です。これらの都市から通勤、あるいは会議など、短距離の出張需要もあります。
こういった需要があり、朝夕の時間帯はやや混雑する傾向にあります。ただ、自由席が満席になることも少ないため、心配しすぎることはないでしょう。
昼間の時間帯は総じて空いている
特急すずらん号は、特に昼間の時間帯は空いている傾向にあります。
同一区間を走り、函館まで足を伸ばす特急北斗号がそれなりに混雑しているのに対し、特急すずらん号は室蘭までしか走りません。この区間の多くは、函館方面まで乗り通す乗客です。札幌から函館はそれなりの距離があり、特に昼間の時間帯は乗り通すお客さんが多くなる。
そういった背景があり、特急すずらん号はあまり混雑しないことが多いです。いずれにせよ、多少なりとも特急北斗の補完的役割は担っており、札幌から苫小牧など、途中駅までの需要も一定数はあるようです。
特急北斗号も走るが、特急北斗号の方が混雑する
先ほどから述べているように、同じ区間に特急北斗号が走っています。特急北斗号は特急すずらん号よりさらに先に足を伸ばし、函館まで向かいます。
函館は北海道の中でもかなり重要な大都市。それもあって、札幌から函館への流動は一定数あります。そのため、特急北斗号に自由席が設定されていた時代はかなり混雑していました。
これらの背景からJR北海道としても、札幌〜東室蘭の完結列車については特急「すずらん」を利用してもらえるよう、「えきねっと」の「特急トクだ値」でも、特急「すずらん」の割引率を高く設定しています。この辺りも是非とも活用したいところです。
車内の座席はJR北海道の標準的な特急座席
最後に、列車の車内の様子をご紹介します。特急すずらん号は「785系」という車両と「789系」という2種類の車両で運転されています。
JR北海道初期から運用されている785系
785系は、JR北海道が発足した初期に導入された車両で、引退が近づいていると思われます。僕は1回目の北海道周遊旅行の際に乗車しただけで、この時は何も知らなかったのでこんな半ブレの写真しかありません。
車内の様子はこんな感じ。JR北海道の特急列車としてはスタンダードな座席になっています。785系の普通車(1号車〜3号車・5号車)においては、座席の色は統一されています。
JR北海道は、特急列車に「グレードアップ座席」を次第に導入していますが、特急ライラック・特急カムイ・特急すずらんは比較的短距離であることもあって、まだ導入されていません。
なお、4号車は「uシート」になっており、普通車の中でも快適な座席が導入されています。もともと、快速エアポートとして新千歳空港に乗り入れることを前提に設計されました。しかし2024年のダイヤ改正において「全席指定席」となり、普通車指定席のみのモノクラス特急へと変わりました。
一部の列車は789系で運転
789系は特急「ライラック」としても使われる、札幌近郊の都市間特急用車両です。特急「カムイ」と特急「すずらん」の2つの列車にて共用で使用されています。
車内の座席は、特急「ライラック」とほぼ同じです。こちらもグレードアップ座席となっているわけではありませんが、4号車はuシートとなっており、他の普通車と比べて快適です。
座席はこんな感じ。特急列車としては至ってシンプルな座席ではありますが、座席はフカフカでかなり快適です。
特急すずらんには大きなテーブルがついています。座席の幅いっぱいにテーブルがあります。パソコン作業等もしやすい環境になっています。
今回ご紹介した特急「すずらん」以外にも、さまざまな北海道の特急列車をご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
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