札幌から東室蘭・室蘭までを結ぶ特急「すずらん」。電車特急での運転となるため極めて静かで乗り心地がいいのが大きな特徴です。
今回はこの特急すずらん号の割引切符や自由席はじめとした車内の様子などをご紹介していきます。
最も割引率が高いのは「えきねっとトクだ値」
JR北海道は、JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」を積極的に導入しています。JR四国とJR九州が、JR西日本の「e5489」を全面的に受け入れている(JR九州は独自のネット予約システムも持ちます)おり、JR東海もe5489の受け取りを可能にしています。北海道を含むJR東日本エリアより東側は「えきねっと」のエリアと思っていいでしょう。
えきねっとトクだ値は直前まで予約できて空席があれば安い!
えきねっとトクだ値は、インターネット予約サイト「えきねっと」で予約ができるサービスです。座席数限定(=列車自体に空席があっても、割引ができようできない場合がある)ではありますが、割引で予約ができ、当日の午前1:50まで(←実質、前日の深夜まで)予約ができます。
具体的に特急「すずらん」が走る区間の価格は、
- 札幌から苫小牧が2,180円(通常3,360円)
- 札幌から東室蘭が3,380円(通常5,220円)
となっています。あらかじめ前日までに予定が決まる場合は「えきねっとトクだ値」を活用するのがいいでしょう。

札幌〜苫小牧間なら「チケットレス特急券」が利用可能
札幌〜苫小牧間に限り、えきねっとのチケットレス特急券が利用できます。指定席特急料金が1,340円であり、乗車券類をICカードで支払えば完全チケットレスも可能。ただし、特急すずらん号では札幌・新札幌〜苫小牧間でしか設定されていません。
チケットレス特急券のメリットは、乗車時刻まで申し込みが可能であり、特急券の受け取りが不要であること。特急券部分がおおよそ20%オフになります。

また、特急すずらんの指定席は「uシート」と呼ばれる指定席で、自由席と差別化するためにグレードアップされています。座席間隔がやや広くなっていたり、コンセントがついていたりします。札幌・新札幌〜苫小牧間を利用するなら活用したい特急券です。
往復利用なら「乗車券往復割引きっぷ」も
ここまで、ネット予約サービス「えきねっと」を活用した割引をご紹介してきました。えきねっとを使わないで、窓口での購入でも割引切符が充実しています。「乗車券往復割引きっぷ」がオススメ。
往復の乗車券部分のみの割引き切符です。
発駅 | 着駅 | 大人料金 | 子供料金 | 往復特急を利用 |
---|---|---|---|---|
札幌 | 苫小牧 | 2,640円 | 1,320円 | 4,940円 |
札幌 | 白老 | 3,300円 | 1,650円 | 5,600円 |
札幌 | 登別~幌別 | 3,790円 | 1,890円 | 7,450円 |
札幌 | 東室蘭~室蘭 | 4,490円 | 2,240円 | 8,150円 |
この運賃の場合、「すずらんオプション特急券」が利用できます。ただし、すずらんオプション特急券は、特急すずらんに限り、東室蘭まで同じ区間を走り互いに相補的な関係になっている特急北斗号には乗車できない(別途、通常料金の特急券が必要)ので注意が必要です。
料金表を次に掲載しておきます。正直、超絶破格な特急料金券です。特急すずらん号の普通車自由席に乗車することができます。
発駅 | 着駅 | 大人 | 子供 |
---|---|---|---|
札幌 | 苫小牧 | 340円 | 170円 |
札幌 | 白老 | 340円 | 170円 |
札幌 | 登別・幌別 | 370円 | 180円 |
札幌 | 東室蘭 | 370円 | 180円 |
こういった、窓口でも購入できる割引きっぷもうまく活用したいところです。
自由席はやや空いている 特急北斗も合わせて実は本数が多い
続いて、特急すずらんの自由席混雑状況について解説していきます。実際にこの区間で5回以上乗車した経験から話します。
朝の一部時間帯では通勤ライナー的役割も
特急すずらん号は特に朝の時間帯では混雑することがあります。札幌圏では通勤ライナー的な役割も持っているからです。
特急すずらんは、札幌〜函館というJR北海道にとっての大動脈を通ります。しかし、走り切ることはせず、途中の東室蘭から室蘭市街地へダイレクトに乗り入れます。

札幌の近郊には、多少距離はあるもののそれなりの大きさの都市がいくつかあります。苫小牧や千歳などです。やはり苫小牧は少し遠いものの、千歳であれば札幌への通勤圏内です。これらの都市から通勤、あるいは会議など、短距離の出張需要もあります。
こういった需要があり、朝夕の時間帯はやや混雑する傾向にあります。ただ、自由席が満席になることも少ないため、心配しすぎることはないでしょう。
昼間の時間帯は総じて空いている
特急すずらん号は、特に昼間の時間帯は空いている傾向にあります。
同一区間を走り、函館まで足を伸ばす特急北斗号がそれなりに混雑しているのに対し、特急すずらん号は室蘭までしか走りません。この区間の多くは、函館方面まで乗り通す乗客です。札幌から函館はそれなりの距離があり、特に昼間の時間帯は乗り通すお客さんが多くなる。
そういった背景があり、特急すずらん号はあまり混雑しないことが多いです。いずれにせよ、多少なりとも特急北斗の補完的役割は担っており、札幌から苫小牧など、途中駅までの需要も一定数はあるようです。

特急北斗号も走るが、特急北斗号の方が混雑する
先ほどから述べているように、同じ区間に特急北斗号が走っています。特急北斗号は特急すずらん号よりさらに先に足を伸ばし、函館まで向かいます。
函館は北海道の中でもかなり重要な大都市。それもあって、札幌から函館への流動は一定数あります。そのため、特急北斗号は自由席を含めて混雑するのです。
これが、JR北海道が「すずらん号限定」(北斗号は不可)のオプション特急券を発売している理由だと思われます。時間さえ合うなら、特急すずらん号を優先した方がいいでしょう。特急北斗号は、電気の通っていない区間(非電化区間)も走るのでやや騒音がありますが、特急すずらん号は電気が通っている区間しか走らない電車特急のため、車内の静粛性も断然特急すずらん号が上です。
車内の座席はJR北海道の標準的な特急座席
最後に、列車の車内の様子をご紹介します。
特急すずらん号は「785系」という車両と「789系」という車両で運転されています。785系は、JR北海道が発足した初期に導入された車両で、引退が近づいていると思われます。僕は1回目の北海道周遊旅行の際に乗車しただけで、この時は何も知らなかったのでこんな半ブレの写真しかありません。なお、789系は特急「カムイ」と同じ編成・同じ車両になっています。

車内の様子はこんな感じ。JR北海道の特急列車としてはスタンダードな座席になっています。

JR北海道は、特急列車に「グレードアップ座席」を次第に導入していますが、特急ライラック・特急カムイ・特急すずらんは比較的短距離であることもあって、まだ導入されていません。

ただ、車内の雰囲気はかなり落ち着いています。座席の様子は、以下、同じ座席を搭載している特急ライラックで撮影したものです。

座席はこんな感じ。特急列車としては至ってシンプルな座席ではありますが、座席はフカフカでかなり快適です。

特急すずらんには大きなテーブルがついています。座席の幅いっぱいにテーブルがあります。パソコン作業等もしやすい環境になっています。
今回ご紹介した特急「すずらん」以外にも、さまざまな北海道の特急列車をご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
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