北海道の中でも夏に人気の観光地である富良野エリア。北海道の中心である札幌から、普段は直通列車は設定されていません。
しかし、そんな富良野へと夏のラベンダーが咲く時期限定で運転されるのが特急「フラノラベンダーエクスプレス」。この記事では特急「フラノラベンダーエクスプレス」について徹底的に紹介します。
フラノラベンダーエクスプレスに使用される「ラベンダー編成」については、別に記事を作成しましたので、ご覧ください。
特急「フラノラベンダーエクスプレス」の運転概要
まず初めに、特急フラノラベンダーエクスプレスの運転概要を解説します。
特急「フラノラベンダーエクスプレス」は6月から9月にかけて運転
特急「フラノラベンダーエクスプレス」は、毎年6月から9月にかけて設定される臨時列車です。初夏にラベンダーなどで人気を誇る富良野へ、札幌から直接アクセスするために設定される特急列車です。
コロナ禍が終わり外国人観光客も戻ってきたことから、2023年の運転日程はこのようになっています。インバウンドの戻り(コロナ禍以前と同程度になるか、僕はむしろコロナ禍以前より増えるとすら予想しています)によっては、今後増発される可能性もあります。
特急「フラノラベンダーエクスプレス」は、毎年6月から9月までの季節限定で運転されます。富良野や美瑛をはじめとした道央の景色が素晴らしい時期限定の列車です。
この特急「フラノラベンダーエクスプレス」の終点の駅である富良野駅から、旭川駅までを結ぶ富良野線。この沿線には、特に夏の時期に、美しい景色がたくさん。北海道らしい景色を楽しむことができる、オススメ観光エリアです。
特急フラノラベンダーエクスプレスの時刻表 旭川延長運転も
続いては特急フラノラベンダーエクスプレスの時刻表です。2023年の時刻表であり、特急フラノラベンダーエクスプレスは臨時列車の扱いであるため、来年以降は変更になる可能性があります。
停車駅 | 下り(富良野行き) | 上り(札幌行き) |
---|---|---|
札幌 | ↓7:41 | ↑18:50 |
岩見沢 | ↓8:18 | ↑18:15 |
滝川 | ↓8:46 | ↑17:49 |
芦別 | ↓9:15 | ↑17:23 |
富良野 | ↓9:45 | ↑16:55 |
フラノラベンダーエクスプレスは観光に特化した特急列車であるため、観光に便利な時間帯に1日1往復が設定されています。札幌を出発するのは比較的早め。もう1往復設定し、始発の新千歳空港到着便から乗り継げるようにしてくれればなお使いやすいような気はする。
また、2023年には富良野線活性化の一環として、旭川駅への延長運転も行われています。2023年は、7月の土曜日、日曜日、祝日運転で、7月15日、16日、17日、22日、23日の5日間限定でラベンダー畑駅にも停車します。2024年以降、この取り組みが継続されるかは今年の成果次第と言えるでしょう。なお、2023年の旭川駅延長運転は快速列車扱いでの運転で、富良野〜旭川間では特急券は不要です。そもそも、富良野線の区間には、特急料金というものの設定がないはずです。
停車駅 | 下り(富良野→旭川) | 上り(旭川→富良野) |
---|---|---|
富良野 | ↓10:36 | ↑15:23着 |
中富良野 | ↓10:49 | ↑15:15 |
ラベンダー畑 | ↓10:54 | ↑15:10 |
上富良野 | ↓11:06 | ↑15:02 |
美馬牛 | ↓11:17 | ↑14:51 |
美瑛 | ↓11:35 | ↑14:38 |
旭川 | ↓12:00着 | ↑14:07 |
※「ラベンダー畑」駅は7月15日、16日、17日、22日、23日のみ停車
※2023年07月の土曜日、日曜日、祝日運転
下り列車(札幌発、富良野経由、旭川行き)は富良野駅に9:45に到着し富良野駅を10:36に出発します。1時間弱あり、この間に10:01富良野駅発の富良野線の普通列車があります。上列車は富良野駅に15:23に到着し富良野駅を16:51に出発します。こちらに至ってはほぼ1時間半。
また、富良野駅では整備のため降りるよう言われるので、実際には延長運転というより別列車の扱いになっています。
フラノラベンダーエクスプレスの料金・割引きっぷと予約方法
続いては「フラノラベンダーエクスプレス」の料金と予約方法の解説です。特急「フラノラベンダーエクスプレス」は通常の特急料金で利用可能であり、富良野寄りの1号車と2号車が指定席、札幌寄りの3号車と4号車が自由席となっています。このほか、車両の様子を紹介する増結1号車があり、この増結1号車はラウンジで自由席扱いとなっています。
フラノラベンダーエクスプレスの料金
札幌〜富良野で普通車指定席を利用する場合、乗車券(2860円)+指定席特急券(2360円)の、合計5,220円(子ども2610円)。普通車自由席を利用する場合、乗車券(2860円)+自由席特急券(1830円)の、合計4,690円(子ども2340円)。
2023年段階では、特急「フラノラベンダーエクスプレス」に、JR北海道が積極的に導入しているネット予約「えきねっと」による割引きっぷ「えきねっとトクだ値は設定がありません。
ただし、「えきねっと」で予約自体は可能です。予約は可能ですが、次に紹介する割引きっぷを利用した予約はネットではできないので、あまりオススメはしません。
フラノラベンダーエクスプレスの割引きっぷ
「えきねっとトクだ値」の設定はありませんが、札幌からフリーエリアまでの往復の普通車自由席に加え、富良野・旭川エリアのJR線が乗り降り自由となる「ふらの・びえいフリーきっぷ」があります。
4日間有効で7,400円となっており、普通車自由席で通常料金で往復するより往復だけでも2,500円ほど安くなります。そこに、富良野・美瑛のエリアでの乗り降り自由のフリーきっぷが付くので、使わない手はありません。なお、片道530円の追加料金(自由席と指定席の差額分)を支払えば、特急「フラノラベンダーエクスプレス」の普通車指定席を利用することもできます。
なお、この「ふらの・びえいフリーきっぷ」は、フリーエリア各駅までの特急列車が1往復使用できるので、特急「フラノラベンダーエクスプレス」には始発の札幌から終着の富良野・旭川まで乗り通すことができます(特急は往路復路それぞれ1度限り)。
富良野・札幌往復きっぷは富良野発のみ
極めて少ない例ではありますが、富良野発に限り、往復の特急列車自由席が利用できる「富良野・札幌往復きっぷ」が設定されています。
繰り返しになりますが、富良野駅発限定の発売で、富良野駅「みどりの窓口」のみでの販売となります。札幌駅では販売されないので、注意してください。
2022年以降、フラノラベンダーエクスプレスは「ラベンダー編成」で運転
JR北海道が北海道庁や国の支援により導入した「ラベンダー編成」と「はまなす編成」。2022年以降、「フラノラベンダーエクスプレス」の名にあやかって、「ラベンダー編成」で運転が行われています。
ここからは、特急「フラノラベンダーエクスプレス」に使用される「ラベンダー編成」の車内の様子を紹介します。
なお、こちらの記事ではより詳しく紹介しています。併せてご覧下さい。
特急フラノラベンダーエクスプレスの座席は全席コンセントを装備
特急「フラノラベンダーエクスプレス」の座席には、全席にコンセントが装備されています。また、通常のJR北海道の特急と基本的な機能が似ていながらも、独特の座席が採用されています。観光特急として使用できるような座席になっているのです。
車内の様子です。腰の部分に座席ごとにカラーがついており、普通のJR北海道の特急列車とは少し、違うことがお分かりいただけるでしょう。
座席の様子です。よ〜く見ると、JR北海道の他の特急列車に使われる座席(いわゆる「アップグレード座席」)と形自体は同じです。
各座席にテーブルが装備されています。こちらのテーブルは、JR北海道の通常の特急列車と同じテーブルとなっています。
それに加えて、肘掛けから出てくるタイプのテーブルが用意されています。座席を回転させた場合でも使用できるようになっています。グループで利用する場合、この肘掛けから出るタイプのテーブルがあるとかなり便利です。
この、肘掛けから出るタイプのテーブルはそれなりの大きさがあります。iPad Air4(10インチ)が完全に収まるくらい。パソコン作業なども難なくこなすことができます。
各座席にコンセントが装備されています。座席の肘掛けの部分にあります。
コンセントに加え、Wi-Fiも全車両で使用できるように装備されています。JR北海道の特急列車では、Wi-Fiは比較的整備が遅れていました。そもそも、モバイル通信が圏外になるエリアが多くあるためです。モバイル通信が圏外になる場合、Wi-Fiも利用できませんが、携帯電話が通じるエリアではWi-Fiが使用できます。
増結1号車は「ラベンダーラウンジ」
ラベンダー編成は観光用の特急列車として使用するため、増結1号車に「ラベンダーラウンジ」が設けられていることが特徴です。今までのJR北海道の特急列車では、2023年春に引退した「ノースレインボーエクスプレス」にもラウンジがありました。
ラベンダーラウンジの車内の様子を見ていきましょう。
車内の様子です。車内はテーブル席とカウンター席があります。各種イベントなどにも使用できるスペースになります。
テーブル席の様子です。最初から座席の背もたれにはそれなりの傾斜がついています。ただ、座席はファミレスのような座席で、長時間座ることが前提にはなっていなさそうです。
カウンター席の様子です。カウンター席は窓側を向いて設置されています。
さらに、増結1号車のラウンジ車両にも、全席にコンセントが設置されています。コンセントボックスがあり、開くとコンセントがあります。
さらにデッキには、車内販売のスペースがあります。シャッターが閉められており、普段はあまり使用されないようですが、フラノラベンダーエクスプレスでは一部の列車で限定商品が販売されます。
JR北海道のキハ261系と同様の快適な車内環境
車内はJR北海道の各特急列車で使用されているキハ261系と同じ車内設備です。
北海道はインバウンド、特に東アジア系のインバウンド客に人気の観光エリアです。そのため、大容量の手荷物スペースが設置されています。
お手洗いの様子です。お手洗いはちょっと古いタイプ。ただ、清潔感はしっかりあります。
お手洗いとは対照的に、比較的新しいデザインの洗面台。少し狭いスペースにはなっていますが、大きな鏡もあって快適です。
「ラベンダー編成」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。さらに詳しく見たい方はこちらの記事をご覧ください。
フラノラベンダーエクスプレスで快適に富良野へ旅しよう
ここまで、富良野への観光列車「フラノラベンダーエクスプレス」を紹介してきました。富良野へ行くなら使いたい、快適な特急列車です。
札幌から滝川は線形もよく、高速で疾走
特急「フラノラベンダーエクスプレス」は、札幌から滝川までは函館本線を走ります。札幌〜旭川の区間は特に直線区間が多く、最高速度120kmを出せる区間が多くあります。
この区間では、北海道らしい景色の中を疾走します。なかなか美しい景色で、見惚れます。
広大な石狩平野には田畑が多くあります。この区間は電車特急である特急「ライラック」や特急「カムイ」も多く行き交う区間です。
滝川から富良野は根室本線を走行
滝川から富良野までの間は根室本線を走行します。根室本線は普段は、1両編成のキハ40が往復するだけのローカル線です。2023年には、富良野から新得の間の廃線が決まりました。
普段、この根室本線の滝川〜富良野間の列車は、滝川始発です。札幌方面から直通するのは、この夏季の「フラノラベンダーエクスプレス」のみです。
滝川駅を出発してすぐは、まだ民家が並んでいます。
しばらくすると、何もない景色に変わります。根室本線はもともと、札幌と道東の各都市(帯広・釧路・根室)を結ぶ大幹線でした。しかし、石勝線の開業によって道東とのアクセスの役割を完全に失い、現在では完全な地方ローカル線になっています。
山間の区間を進みます。まさに、石勝線に近い景色です。
左手に空知川が見えてくると、まもなく列車は終点の富良野駅に到着です。
ラベンダーが咲く期間は、滝川〜富良野の間の根室本線はかなり混雑します。普段は乗客が極めて少ないため1両編成で十分ですが、あまり増結されることなどもなく、この観光シーズンを迎えるためです。札幌からの直通で、特急列車で富良野まで行けるのはやはり、大きなメリットです。
富良野を観光しよう
富良野は北海道の中でも随一の観光エリア。富良野駅を中心に、観光スポットが多くあります。
また、ここ富良野駅から旭川駅までは「富良野線」が走っています。途中、美瑛など景色の良い区間を走るのが富良野線です。この富良野線沿線は非常に魅力的な観光地が多くあります。
この富良野線沿線にある魅力的な観光地「富良野」「美瑛」については別の記事で紹介していますので、ご覧ください。
詳しくはこちらの記事にまとめてありますので、ご覧ください。
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