〔273/国鉄型381系〕特急やくもの車内を徹底紹介

西日本
西日本鉄道車内徹底紹介

山陰の都市である出雲市・松江と新幹線停車駅であり、広島と並んで瀬戸内海の大都市である岡山を結ぶ特急やくも。この特急やくもに使われる車両は381系、かなり古い車両です。

2024年3月より、新型車両である「273系」がデビューしました。これによって一部の車両が置き換えられ始めました。今後は全列車が置き換えられていくことになると思います。

新型の特急「やくも」273系-Mitsuki-2368 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=147260781による

今回、出雲市を観光した後でこの特急「やくも」に乗車して岡山へと戻りました。今回の記事では特急やくもで使われる381系電車をご紹介します。

【2024/4更新】

2024年3月より、特急サンダーバード、特急しらさぎ、特急スーパーはくと、特急やくも、特急スーパーいなば、が全席指定席として運行されるようになりました。

特急「やくも」については2024年4月から新型車両「273系」がデビューしました。

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特急やくも新型車両273系

2024年4月より、特急「やくも」では新型車両である273系が導入されました。新型車両では乗り心地が大幅に改善されたほか、コンセントが全席に設置されたり、コンパートメント車両が導入されるなどサービス向上が図られました。

特急「やくも」の新型車両273系は、ブロンズ色のデザインが特徴的

外観はブロンズ色のデザインになっています。「沿線地域の、自分たちのアイデンティティーは何かを考え、まとめたものだと思う。暖かさであり、赤い瓦(石州瓦)など独特の景観と映えるデザインとなっています。」とデザイン担当の川西康之さんはおっしゃっています。以前の車両と車体断面は少し小さいにも関わらず、デザインによって空間に広がりがあるように見えるようになっているそう。

RSK山陽放送公式YouTubeチャンネルより

報道陣向けに公開されました。RSK山陽放送さんの公式YouTubeチャンネルにおいて、車内の様子などが徹底的に解説されているのでこちらをご覧ください。

特急やくも新型車両273系
新型の特急「やくも」

今回の新型車両の特徴として以下の点が挙げられます。デザイン面はもちろん、ハード面でもかなり進化しています。

  • 新たに開発・実用化した、国内初となる「車上型の制御付自然振り子方式」による乗り心地の向上 ※車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させる(当社、鉄道総合技術研究所、川崎車両の共同開発) 
  • 座席間隔の拡大、座り心地を改善した座席の採用
  • 空気清浄機の搭載、抗菌・抗ウイルス加工による安心した車内環境づくり
  • 防犯カメラの設置による車内セキュリティ向上 ・車体の衝突安全対策、機器の二重系化等
  • 車椅子スペースの拡大、多目的室の設置など幅広いご利用層を意識した設備の充実
  • 車内 Wi-Fi、全席コンセント、大型荷物スペース設置

「車上型の制御付自然振り子方式」を採用することで、実際に「乗り物酔い指数」が23%減少したとのこと。デッキに振り子の制御装置があり、そこに蓄積された曲線のデータを元に車体を傾斜させるそう。

特急やくも273系のグリーン車の様子

まずはグリーン車の車内の様子です。グリーン車は黄色をベースにした車内になっています。明るさがありながらも落ち着きのある空間です。座席には山陰の文化・風土を演出する「積石亀甲」模様が描かれています。

特急やくも273系のグリーン車の様子
グリーン車の車内の様子(世界の坂田銀時 – 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=148038487による)

特急「やくも」273系にはコンパートメント(半個室)も設置

さらに今回、新たに設定されるのがコンパートメントシート(半個室タイプの座席)です。デザインを担当された川西康之さんは「やくも号ののびしろは、子育て世代。現在の車両にはおむつ替えスペースすらない。そのような世代により使い勝手が良いものを作ろうとした」とおっしゃっています。

1号車の半室がグリーン車、半室がコンパートメント座席となっています。コンパートメント座席は4人用が2つ、2人用が2つ設置されています。

特急「やくも」273系にはコンパートメント(半個室)も設置
今回導入されたコンパートメント座席(世界の坂田銀時 – 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=148038488による)

コンパートメント座席はフルフラットになるため、小さなお子様がいる場合でも利用しやすい。そして、普通車指定席の料金で利用できるのも大きな魅力です。

特急「やくも」普通車指定席でもコンセントを全席に設置

普通車の車内の様子です。座席はまるで、少し前のグリーン車かと思うほどしっかりしています。車内のカラーリングは「沿線の山々をイメージした緑色ベース」(JR西日本公式発表)になっています。さらに、「古来から神事に用いられ、人を守る魔除けの意味もある『麻の葉』 模様をあしらい」(JR西日本公式発表)、山陰を表現した車内となっています。

特急「やくも」普通車指定席でもコンセントを全席に設置
普通車指定席の車内の様子(世界の坂田銀時 – 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=148038485による)

今回の特急「やくも」273系では、普通車においてもコンセントが全席に設置されています。また、車内にはWi-Fiも設置されているため、大幅なサービスアップとなりました。

特急「やくも」普通車指定席でもコンセントを全席に設置
Mitsuki-2368 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=141657590による

今後はこの273系に統一されることになります。乗り心地も大幅に改善され、山陰への旅がより快適になります。僕自身、まだスケジュール等の都合で乗ることができていないので、時間を見つけて乗りに行きたいと考えています。

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特急やくも381系の車内を徹底紹介!

特急やくもには国鉄時代に製造された381系という列車が使われています。特急やくもが走行する伯備線はカーブがかなり多く、制御式振り子装置と呼ばれる特殊な装置をつけた車両でなければ高速走行ができないそう。

そういった事情があり、今でも特急やくもには国鉄時代の車両が使われています。しかし2019年のJR西日本の投資計画でたった1行「特急やくも車両の新造」と記され、実質的に引退の目処が立ってしまいました。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも

特急やくもに使われる車両は国鉄時代のものですが、車内の座席などは更新されています。座席を最初見た瞬間に思ったのは「高い」ということ。背もたれの高さを感じました。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
特急やくもの座席

特急列車としてはやや普通の高さの座席だとは思われます。ただ、特急やくもに使われる車両自体が少し天井が低いこともあってか、座席の大きさを感じます。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
座席の背もたれはそれなりに厚みがある

座席の背もたれは厚みがあり、それなりに快適な座席となっています。JR西日本の特急列車にもさまざま乗ってきましたが、今までこの特急やくも以外では見たことのない座席です(JR西日本は、サンダーバードなどで使われている座席に統一する傾向があります)。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
座席背面のテーブル

座席背面にはテーブルがあります。岡山で新幹線と接続するため、ビジネスでの需要もそれなりにあります。パソコン作業等ができるようなテーブルが配置されています。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
テーブルにはビンを置くためのホルダーがあるのも特徴

テーブルはこの通り。パソコン作業等をするには十分な広さがあります。パソコン作業をするにはもってこい、と言いたいところですが、この特急やくもが走行する伯備線はかなりカーブが多い区間。パソコン作業に集中し過ぎると酔ってしまうのもちょっとした悩みどころではあります。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
ちょうどびんがおけた

テーブルには珍しく2つの飲み物ホルダーがあります。奥の方はペットボトル専用のホルダーだと思われます。日本一周旅行時から、飲み物の保冷の都合と、予算削減の指針で水筒を持ち歩くようになったのでペットボトルを持っていません。そのため、ペットボトルは試していません。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも
肘掛けから出るテーブルも

JR西日本の特急列車でよくあるタイプの、2つのテーブルがあるパターンです。座席背面にあるテーブルに加え、簡単な飲み物と食べ物を楽しむことができる小型のインアーム式のテーブルがあります。現在では新型コロナウイルスの影響で座席を向かい合わせにして利用することは原則できないため、このテーブルをあえて使う意味もありません。

座席は流石に更新済み、やや閉塞感はあるが快適な特急やくも

肘掛けから出てくるテーブルはやや小さく、パソコン作業などには向いていないと言わざるを得ません。

車内販売はなく、自動販売機の設置もないので注意!

特急やくも号に限らず、JR西日本の特急列車には車内販売がありません。JR西日本としては、コンビニなどの普及でほとんど使う人がいなくなった特急列車ではなく、コンビニなどがあろうとも使ってくれる観光列車の車内販売に人的ソースを回したいのが本音でしょう。

車内販売はなく、自動販売機の設置もないので注意!
出雲市駅のコンビニで買った

夕方の時間帯でしたが、僕はあまりお腹が空いていなかったので、出雲市駅のコンビニでちょっとお土産兼その土地のものを買いました。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様

続いてお手洗いや洗面台などの設備をご紹介します。国鉄時代の特急列車でありながら、流石にこのあたりは既に更新が行われています。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
トイレはそこまで古くはない

トイレはこんな感じ。ウォシュレットこそないものの、様式の便器に更新されています。特急やくもは列車が結構揺れるので、和式だと正直きついな、ってこともありますからね。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
洗面台もある

お手洗いの中に洗面台もあります。最近では、お手洗いの中にちゃんとした洗面台がついた列車も多くなっていますよね。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
洗面台

こちらが洗面台です。そこそこしっかりした洗面台です。ミラーが3枚立てになっており、手をかざすと自動で流れるタイプの蛇口です。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
蛇口は自動

こちらが蛇口。駅の洗面所などでよくある、自動で流れるタイプですね。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
エチケット袋があるのが特徴

先ほどの写真にも写っていましたが、エチケット袋があるのが特徴です。この特急やくもは、車体を傾斜させてカーブを高速で通過します。そのため、横揺れが結構出てくる。横揺れで酔う人も中にはいるであろう、という配慮から、エチケット袋が用意されているのだと思います。

お手洗いなどの共用設備も更新されている模様
車内のゴミ箱は後付けの様子

車内にはゴミ箱がありますが、これは後付けの様子。扉の内側もかなりボコボコになっており、今まで長いこと走り続けてきたのがよくわかりますね。

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自由席・指定席ともに混雑するので注意!特に途中駅からは指定席を早めに確保しよう

特急やくもは、山陰と瀬戸内海側を結ぶ重要な特急であり、また新幹線とも接続するので混雑します。

普通車指定席は3両あるが窓側はギリギリ取れた程度だった…!

特急やくもではD席側がオススメです。岡山方面から出雲市方面へ特急やくもで向かうと、進行方向右手側に宍道湖や大山などが見られます。

普通車指定席は3両あるが窓側はギリギリ取れた程度だった…!
出雲市を出発

出雲市を出発です。夕方17:30ごろに出発する特急やくも号に乗車しました。日曜日の夕方だったこともあり、また、新型コロナウイルスの感染拡大がかなり落ち着いてきたタイミングであったこともあり、混雑していたものと思われます。

普通車指定席は3両あるが窓側はギリギリ取れた程度だった…!
岡山行きの特急やくも

指定席は40%ほど、自由席は50%ほど埋まっていたものと思われます。指定席は窓側が8割型埋まっていて、かなりの乗車率です。途中の米子などから乗ってきたグループでも、隣同士の席が取れずに前後の席に座っていたりしました。

普通車指定席は3両あるが窓側はギリギリ取れた程度だった…!
特急やくもから見られる景色

普通車自由席は基本的に1両 意外と空席があることも

特急「やくも」は、岡山寄りの4号車1両が普通車自由席となっています。普通車自由席は1両しかありませんが、意外と座れることも多いです。

普通車指定席が比較的混雑するのは、特急「やくも」が走る伯備線はやや長時間になるため、安心材料として指定席を確保する人が多いためと考えられます。

途中駅(特に上り列車で宍道・松江など)から乗車する場合、自由席で窓側の空席がない可能性があります。特に松江での乗降は多いため、注意が必要です。

特急やくもは宍道湖を見ながら走る!

特急やくもは、出雲市から松江の間で宍道湖沿いを走ります。この区間が、特に夕日の時間帯になるとかなり綺麗です。

特急やくもは宍道湖を見ながら走る!
宍道湖から見られる夕日

僕はこの日、宍道湖の夕日スポットへ行って夕日を見て帰ろうと思っていたのですが、出雲大社の方でゆっくりしすぎたせいで宍道湖での夕日に間に合いませんでした。そのため、ただただ出雲市に来て、観光だけして帰るみたいな乗り鉄の旅になってしまったのですが、最後にここで綺麗に夕日を見ることができたのでOK。結局特急で、高速ワープをして高速で夕日を見ることができました。

特急やくもは宍道湖を見ながら走る!
新見駅

途中の新見駅です。山陰と山陽を繋ぐ山間部を通る路線らしい感じの駅がいいですね。

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Q&A

特急やくもに車内販売はありますか?自動販売機の設置はありますか?

特急やくもには車内販売はありません。また、自動販売機の設置もありません。JR西日本の特急列車は、新幹線や一部の観光列車などを除いて原則、車内販売がありません。あらかじめ駅で購入してから乗車しましょう。

特急やくもの自由席は座れますか?

特急やくもには3両ほど自由席がありますが、混雑します。特に上り(岡山方面)の松江からなど、途中駅から乗車する場合はすでに埋まっている可能性もありますので注意しましょう。

特急やくもにコンセントはありますか?

特急やくもの普通車には、コンセントが設置されている座席はありません。

2024年から新たに導入される273系には、全席にコンセントが装備されることが発表されたのでそれまで待ちましょう。

特急やくもにWi-Fiなどの設備はありますか?

特急やくもにWi-Fiなどの設備はありません。さらに伯備線の途中で山間部を走る区間ではモバイル通信も不安定です。携帯電話等を含めてインターネットにほとんど繋がらないこともあり得ます。注意しましょう。

2024年から新たに導入される273系には、車内でWi-Fiが利用できるよう整備されることが発表されたのでそれまで待ちましょう。

特急やくもは揺れる?酔う?

特急やくもはカーブの多い伯備線を走行します。そのため、人によっては酔うようです。

僕は子供の頃からかなり車酔いに弱く、すぐに酔ったものですが、今回特急やくもに乗った感じ酔いませんでした。ただし、ずっとパソコンに集中していたりすると酔う可能性はあるので注意しましょう。

特急やくものQ&A
出雲市駅にて
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