日本全国に路線網が張り巡らされている新幹線。外国人観光客の増加に伴い、車内でのWi-Fiサービスが整備されてきました。
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2023年現在、日本全国を走るすべての新幹線において車内のWi-Fiサービスが提供されています。今回の記事では、これらの新幹線の車内Wi-Fiサービスについて、まとめて解説します。
2023年現在、日本全国の新幹線で利用可能!
2023年現在、新幹線車内でのWi-Fiサービスは日本全国の新幹線で利用可能です。
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2023年現在、全国全路線の新幹線で無料Wi-Fiが利用可能
2023年現在、日本全国の新幹線で車内Wi-Fiが整備されていない新幹線はありません。北は北海道の北海道新幹線から、南は九州の九州新幹線および西九州新幹線まで。全国津々浦々の新幹線に乗ってきましたが、Wi-Fiが使用できない新幹線は存在しません。
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かつては訪日外国人を主たるターゲットにして整備されてきた新幹線の車内Wi-Fiですが、現在は訪日外国人もSIMカードを購入してモバイル通信を使うのが一般的。そのような中でターゲットは日本のビジネス層などに移りつつあります。
「新幹線のWi-Fiが繋がらない」-総じてスピードは遅い
日本国内の新幹線では、ほぼ全路線でWi-Fiが整備されています。しかし、日本国内どこに行っても感じるのが「新幹線のWi-Fiは遅い」ということ。
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例えば日本の大動脈である東海道・山陽新幹線で主力車両となっているN700A・N700S系列(16両編成)では、1列車あたりの定員が1300人を超えます。これだけの人数が一気にWi-Fiに接続するわけですから、通信帯域はかなり狭くなります。
このような背景があり、例えば東海道・山陽・九州新幹線ではApp Store(Appleのアプリストア)やGoogle Play Store(Googleのアプリストア)の速度を制限したりしていますが、それでも通信量が追いついていないのが現状です。
したがって、新幹線の車内ではWi-Fiは使えるけれど安定・高速な通信は期待しないほうがよさそうです。
ワーキングスペースとなった車両では独自のWi-Fi規格も
このように、新幹線のWi-Fiは不安定な状態が続いてきました。そこでJR側も対策を始めています。特に新幹線に多いビジネス利用のお客さんの利便性を担保するための対策もあります。
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東海道・山陽新幹線の最新鋭の車両N700Sでは、7号車が「S-work席」となり、車内でWEB会議などができる車両になっています。これらの車両には、今までの新幹線車内Wi-Fiとは規格が異なる「S Wi-Fi for Biz」というWi-Fiが整備されています。この新しい規格については後ほど詳しく解説しますが、新幹線を運営するJRも対策を行なっています。
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東海道・山陽・九州・西九州新幹線 規格が統一されていてわかりやすい
ここからは具体的に新幹線車内のWi-Fi設備状況、そしてその使い勝手など、実際の経験談をもとに解説します。まずは東京より西側にあたる東海道・山陽・九州新幹線および西九州新幹線についてです。
新しい車両から古い車両まで全列車で利用可能
東海道・山陽新幹線およびJR九州の九州・西九州新幹線では新しい車両から古い車両まで、全列車で車内Wi-Fiが利用できます。
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最新の車両であるN700S系はもちろんのこと、山陽新幹線で活躍する比較的古い車両・500系や700系レールスターにも現在はWi-Fiが整備されています。
東海道・山陽新幹線は、比較的長距離での移動が多くなる区間です。特に東京〜新大阪では片道2時間半かかるため、この時間、Wi-Fiが確実に使えるのは大きいです。
全区間で「Shinkansen Free Wi-Fi」に統一 実測速度は?
東海道・山陽・九州・西九州新幹線では、全区間で「Shinkansen Free Wi-Fi」に規格が統一されています。おそらくこのShinkansen Free Wi-Fiは東海道新幹線を管轄するJR東海が主体となって導入していると思われ、自社名を前面に押し出すより利用者の利便性を優先する、JR東海らしい規格です。
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東京以西の全区間でこの「Shinkansen Free Wi-Fi」が利用できるため、新幹線に乗るときは「Wi-Fiが利用できる」前提で乗ることができます。統一された規格だからこそ、とてもわかりやすいのが特徴です。
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実際に速度を計測してみました。新幹線などの車内のインターネットは、走行位置により大きく左右されます。そのため、あくまで参考地です。山陽新幹線で計測した際、下りが42Mbps、上りが23Mbpsとかなりスピードが出ていました。
N700S系の7号車・8号車では「S Wi-Fi for Biz」が利用可能
さらに、東海道・山陽新幹線(東京〜新大阪〜博多)で運転される最新のN700S系(16両編成)では、新しいWi-Fiサービスである「S Wi-Fi for Biz」が利用できます。東海道・山陽・九州・西九州新幹線で標準となっている「Shinkansen Free Wi-Fi」と異なる点が、
- 通信帯域が2倍となっているため、体感でもわかるほど速い
- パスワードが必要(暗号化されている)ため、比較的安心して利用できる
ことです。
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このS Wi-Fi for Bizは、N700S系の7号車(S-work席)および8号車(グリーン車)で利用できます。ビジネスユーザー向けの規格であるため、ビジネス席(エクスプレス予約・スマートEX会員専用)の座席とグリーン車にのみ設置となっています。
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実際に測定したところ、ダウンロードが13.3Mbps、アップロードが9.12Mbps。一見、先ほどのShinkansen Free Wi-Fiより遅そうでしたが、このスピードが安定的に出ていたのが印象的でした。
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現在では東海道新幹線において全列車の7号車に「S-workシート」が設定されています。N700Sで運転される列車において、このS-workシートを利用すると高速インターネットが利用できます。
東北・北海道・上越・北陸新幹線/山形・秋田新幹線 会社ごとに異なる規格
続いては東北新幹線および北海道・上越・北陸新幹線、そしてその先に直通する山形新幹線・秋田新幹線についてです。
東の新幹線でも全列車でWi-Fiが利用可能
東京以東の新幹線でも、全列車でWi-Fiが利用可能です。東北新幹線「はやぶさ」号をはじめとして、新潟方面の上越新幹線、長野・富山・金沢方面の北陸新幹線でもWi-Fiが利用可能です。
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東側の新幹線もしばらく前まではJR東日本だけでしたが、現在は北海道新幹線や北陸新幹線の部分開業により、JR北海道およびJR西日本も東側の新幹線を運営しています。これらの新幹線は東海道新幹線などと比べて本数が少ないのが特徴です。
本数が少なく、お客さんも比較的少ないため繋がりやすい、というのは過去の話。レジャー需要などが割合として比較的多い東の新幹線は、コロナ禍では比較的空席が多かったですが、現在は需要が戻ってきています。混雑するためWi-Fiも不安定なことが多くなってしまいました。
Wi-Fiは「JR-EAST FREE Wi-Fi」と「JR-WEST FREE Wi-Fi」
東北・北海道・上越・北陸新幹線と山形・秋田新幹線では「JR-EAST FREE Wi-Fi」と「JR-WEST FREE Wi-Fi」の2種類が利用できます。JR北海道は自社の新幹線「H5系」を保有しますが、H5系に搭載されているのはJR北海道が一部の特急列車や快速エアポートに設置している規格のWi-Fiではなく、JR東日本の新幹線規格のWi-Fiを使っています。
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一方、JR西日本は自社が保有する北陸新幹線の車両・W7系においては「JR-WEST FREE Wi-Fi」と、自社のものを使っています。JR西日本も自社の一部特急列車(特急サンダーバードなど)や新快速、大阪環状線などを中心にWi-Fiを設置していますが、これらと同じ規格のWi-Fiを導入しているようです。
山形・秋田新幹線でも利用できるが、繋がらない場合もある
いわゆる「ミニ新幹線」と呼ばれる区間でも、Wi-Fi自体は利用できます。ただし、ミニ新幹線では一部の区間でインターネットがつながりにくくなります。現在存在するミニ新幹線区間である山形新幹線と秋田新幹線は、ともに峠越えをして山形および秋田の市街地へと向かいます。
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そのため、特に峠越えの区間でWi-Fiがつながりにくい傾向にあります。秋田新幹線では雫石〜田沢湖間の「仙岩峠」区間が、山形新幹線では福島〜米沢間の「板谷峠」の区間がやや不安定になります。
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ミニ新幹線の在来線区間を利用する場合、車内のWi-Fiが繋がらなくなるだけではなく、そもそも携帯電話の電波も繋がりにくくなる場合があるので、注意してください(もっぱら最近は、かなり改善されつつあるように思います)。
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このような画面が出る場合、車内Wi-Fiの元となるモバイルデータ通信が使えない状態になっています。これはもう、しばらく待機するしかありません。
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新幹線については、過去に何度も乗車した経験から車内の様子や安く乗る方法など、詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
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