ANAにおける中型機の領域で長年活躍するB767。ANAにおいては導入から40年が経過しており、長年、主力機材の1つとして活躍しています。
B787の導入以前はアジア各地へ、B787導入以降は中国路線などを中心に導入されているB767。コロナ禍で国際線が減ってからは、国際線仕様の機材が国内線にも投入されています。
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今回はそんなANAのB767で、国際線・国内線共用で使用されている、いわゆる国際線仕様のB767について詳しく解説します。
主に国内の準幹線と中国路線などに投入されるB767
B767は国内の準幹線と国際線・中国路線などを中心に導入されています。今回はその中でも、国際線(中国路線など)および国内線の共用機材として使用されるB767-300ERについて解説します。
国際線仕様のB767-300ERにはウィングレットを装備
国際線仕様の機材の大きな特徴は、ウィングレットを装備している点です。翼の先端部分が跳ね上がるように装備されているのがウィングレット。このウィングレットは、空気抵抗を軽減し燃費を良くする役割があります。
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国内線仕様のB767にはウィングレットが装備されていないのに対し、国際線仕様のB767-300ERにはウィングレットが装備されています。
B767の特徴はなんといってもその離陸性能。離陸時の力強さは特徴的で、B777などの大型機と比べて一気に上昇していきます。
国内線[専用]仕様の機材も活躍中
今回紹介するのは、国際線用のB767ですが、国際線向けの機材も活躍中です。国内線向けの機材は比較的需要のある羽田発着路線を中心に活躍しています。
国内線向けのB767にはウィングレットが付いていないのが特徴です。ウィングレットは翼の先端が跳ね上がるような構造です。
![国内線[専用]仕様の機材も活躍中](https://fuwafuwasky.com/wp-content/uploads/2024/02/20240207_074831073_iOS-1024x576.jpeg)
コロナ禍以前には、名古屋・中部〜沖縄・那覇路線などでB767が導入されていましたが、B767およびA321に置き換えられました。現在では羽田発着の路線を中心に、地方路線では繁忙期の福岡〜那覇路線など高需要路線に投入されています。
B767-300ERでは、機内のWi-Fiサービスは使えないので注意
ANAが保有するB767-300ER(202席仕様)の6機では、国内線・国際線運用ともに機内のWi-Fiサービスが利用できません。機内のインターネットサプライヤーであるSITA社が事業撤退したことに伴い、2024年5月末で機内インターネットサービス自体が休止となったためです。
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今後、B787やB777などの新仕様機材に搭載されているWi-Fiサービス機器が設置される可能性もありますが、引退まで長くないことを考えるとしばらくは、Wi-Fiサービスなしで運用される可能性の方が高いと言わざるを得ません。
ANAでは国際線ビジネスクラスにおいて、2024年夏を目処にWi-Fiを無料化、エコノミークラスについてもテキスト送受信は無料化することとしています。B767の寿命を考えると、この無料化に対応したWi-Fi機器が設置されるとは考えにくいです。
国際線・国内線兼用のB767の機内を徹底解説!
続いては国際線・国内線兼用のB767-300ERの機内の様子を詳しく紹介します。国内線・国際線兼用の機材は、国際線においてビジネスクラスとエコノミークラス、国内線においてプレミアムクラスと普通席の2クラス制です。
プレミアムクラスは、ビジネスクラス仕様 “ANA BUSINESS CRADLE”
プレミアムクラスの座席はANAの近距離ビジネスクラスの座席になっています。国内線のプレミアムクラスの座席と比べるとリクライニングが深く倒れるのが特徴的です。
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各座席は座席の幅が十分取られており、快適に利用することができます。また、座席の間にはパーテーションがあるため、プライベートも確保されています。
ビジネスクラス・プレミアムクラスは2+1+2列
B767のビジネスクラスは窓側に2席、中央が1席という配置になっています。横5列の配置となっており、長距離国際線のビジネスクラスと比べると多めの設定。
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ただ、ビジネスで利用するお客さんだと1人での利用が多いはず。それもあり、中央の座席だと1人がけの座席が独立して設置されています。長距離国際線のビジネスクラス(スタッガードシート)では窓側が1人がけの座席になっていますが、横5列という配列を考えて、この座席配列になったと思われます。
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各座席にはモニターを完備
ビジネスクラスの座席には、各座席にモニターが完備されています。モニターはある程度の大きさはあるものの、ビジネスクラスの座席は前後間隔がやや広いため、もう少し大きさがあった方が便利に感じるのも確かです。
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なお、各座席のモニターでは機外カメラを見ることもできます。前方カメラや下部カメラなどが設置されており、通路側の座席でもカメラの映像で外の景色を楽しむことができます。
プレミアムクラスの座席数も多く、空席がある
国内線・国際線共用の機材が国内線で運航される場合、プレミアムクラスの座席数が多くなります。逆に普通席の座席数が少なくなるため、普通席が満席近くになることはよくあります。
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ANAのプレミアムクラスは常に満席近い状態で運航されているイメージです。B767-300ERで運航されるANA国内線は、普通席が満席近くになっていますが逆に、プレミアムクラスは空席があります。プレミアムクラスを使うなら、意外と狙い目かもしれません。
B767の普通席“ANA ECONOMY CLASS SEAT”
続いてはANAのB767の普通席(国際線で運用される場合のエコノミークラス)の座席について、詳しく紹介します。
普通席は気兼ねなくリクライニングできる座席
普通席は気兼ねなくリクライニングできる座席が採用されています。後ろの人に気兼ねなくリクライニングできるのはとてもいいのですが、座面が前にスライドするタイプの座席が採用されているため、足元が狭くなります。
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機内は窓側に2席、中央に3席の横7列の構成になっています。B777などでは窓側も3列になっているので、満席の場合などはさらに圧迫感があります。
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中国路線などであればこのエコノミークラスの座席でもいいかもしれませんが、北米路線などの長距離線でこれはややきつい。もう少し足元に余裕がある座席がいいなと思ってしまいます。
これらの問題点や要望はANA社内でも考慮されているのか、次世代の国際線長距離機材は、素直にシートを薄型化、普通席でもかなり快適な座席となりました。
新仕様の機材(新B777-300ERやB787-10など)では、こちらの記事で紹介している新仕様の座席が設置されています。
各座席にはモニター・USB電源を配置
国際線の機材ですので、各座席には電源が配備されています。各座席にはコンセントとUSBポートが設置されています。また、全席にシートモニターが設置されています。
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各座席のモニターではフライトマップのほか、機外カメラも楽しむことができます。機外カメラがあれば、中央の座席でも安心して利用できます。
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モニター下部の電源はUSB電源になっています。USB-Aタイプに加えて、それ以前の規格と思われる電源があります(すみません、この規格を知らないのでなんとも言えません)。
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さらにシート下部に電源が設置されています。シート下部の電源はコンセントタイプで、パソコンなどの電源として利用できます。
ドリンクホルダーが意外と便利で使い勝手良し
エコノミークラスの座席にはドリンクホルダーが設置されています。JALでは2024年にデビューしたA350のエコノミークラスで初めて、テーブル背面のドリンクホルダーが採用されました。これを考えると、ANAはかなり早い時期からドリンクホルダーを導入していました。
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テーブルを出さなくてもドリンクホルダーが利用できるのはかなり便利です。手元を広く使うことができます。
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さらに同様のドリンクホルダーが、テーブルを広げた後の座席背面の部分にも設置されています。つまり、テーブルを占領することがないので、テーブルを広々と使用出来るのです。
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ANAが国内トップの航空会社に躍進するタイミングで導入された機材ともあって、攻めた設備が多数導入されています。
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今回は国際線・国内線共用仕様のB767を詳しく紹介してきました。国内線のB767についても機会があれば紹介したいと思っています。
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