東北新幹線と北海道新幹線を結ぶJR東日本のE5系とJR北海道のH5系。E5系とH5系は車両自体の性能などは全く同じ。しかし、ちょっとした違いがたくさんあります。
この記事では、JR東日本のE5系とJR北海道のH5系の違いについて写真を用いて解説。さらに「乗った瞬間から北海道を感じることができる」というH5系の車内について、詳しく解説します。
H5系の外観の特徴は「紫の帯」-E5系の外観との違い
外観における最大の違いは帯の色の違いとロゴの違いです。まず初めに、これらの違いについて詳しく解説していきます。
車体の帯の色が異なる
外からわかりやすい大きな違いがこれ。E5系はピンク色のラインが入っているのに対し、H5系は紫色が入っています。
H5系はJR北海道所有の編成として、ライラックやルピナス、ラベンダーなどをイメージした紫色が採用されています。ちなみにE5系のピンクのラインは「つつじピンク」をイメージしたものだそう。
帯の上下の色は、JR東日本のE5系と同じです。ボディ上部はJR東日本のコーポレートカラーを意識した「ときわグリーン」、ボディ下部は「飛雲ホワイト」を配色しています(JR東日本公式サイトより)。ボディ上部はJR東日本のコーポレートカラーがイメージされているため、せっかくならJR北海道のコーポレートカラーを意識したカラーリングに変更して欲しかったところ。
車体側面に掲載されたロゴが異なる
さらに車体側面に掲載されたロゴが異なります。E5系「はやぶさ」では、高速で飛ぶ「隼」をイメージたロゴが掲載されているのに対し、北海道のマーク・シロハヤブサをモチーフにしたロゴが掲載されています。
このロゴは、「北海道の雄大さ」と北海道への飛来する「シロハヤブサ」をモチーフに、北の大地と本州が新幹線で結ばれることによる「速達性と利便性」、「地域間交流の拡がり」を表現しているそうです(JR北海道公式サイトより)。
一方のJR東日本所有「E5系」に掲載されたロゴはこちら。空を飛ぶ隼をイメージしたスピード感のあるデザインになっています。
帯・ロゴ以外のデザインは同じH5系とE5系
ここまで、外観における違いとして「車体の帯」と「ロゴ」について解説してきました。外観で見分ける方法は主に、この2つになります。
H5系はもともと、E5系をカスタマイズして導入された車両です。E5系とは、デザインなど以外の性能面で全く同じです。もちろん、秋田新幹線用のE6系新幹線と連結して走ることもできます。
H5系とE5系では、内装には細かな違いが多数
さらに、内装にも小さな違いがいくつかあります。実際に乗車してきて、その違いを撮影してきました。
ドア周辺の塗装が異なる
乗車すると最初に違いとして現れるのがドアの色。もちろん、ドアを外から見た状態は帯の色を除いて、E5系とH5系で変わりません。
しかし、車内のデッキに行くとそれが違う。車内のデッキから見ると、扉の内側は黄緑色のデザインになっています。
床のデザインとシェードのデザインが異なる
さらに、床のデザインが異なるという点もE5系とH5系で大きく異なる点です。E5系では床のデザインが横しまになっているのに対して、H5系では雪の結晶を連想させるデザインになっています。
JR北海道の島田社長(H5系の登場当時)も、「乗った瞬間から北海道を感じてほしい」とコメントしていました。その1つがこれ。
さらにわかりにくい箇所では、窓のシェード。窓のシェードはアイヌの文化や縄文土器を連想させるデザインになっています。ここまでアイヌの文化がそのまま再現されているのに、新幹線のシェードとして意外と違和感がない。
デッキと客室の間のドアの高さ・幅が異なる
さらにかなり細かい点として、デッキと客室の間のドアが異なるという点が挙げられます。E5系と比べてデッキと客室の間のドアに設置された窓の幅が狭い。
E5系とH5系の違いなのですが、E5系の写真がありません。また次に乗車した際に撮影して、写真をアップしますのでお待ちください。
H5系の登場以降に、E5系にも全席コンセント・間接LED照明を採用
H5系新幹線には、普通車にも全席にコンセントが設置されています。E5系・H5系には、全ての車両の窓側座席にコンセントが設置されていますが、窓側以外の座席にコンセントが設置されているか否かは運次第。E5系・H5系は主に次のように分けられます。
編成 | 導入時期 | 窓側座席以外のコンセント |
---|---|---|
U1編成〜U28編成 | 2010年〜2014年 | なし |
H1編成〜H4編成 | 2014年 | あり |
U29編成〜 | 2015年〜 | あり |
E5系のうち初期に導入された車両にはなく、H5系以降に導入された後のE5系にはあるのが「全席にコンセント設置」。
E5系とH5系の最大の欠点が、「普通車の通路側席・中央席にコンセントがあるか否か、列車が来るまでわからない」ということ。これはあまりにも大きすぎる欠点です。
- E5系のうち、初期に導入された車両→コンセントは窓側のみ
- H5系→全席にコンセントを設置
- H5系以降に導入されたE5系→全席にコンセントを設置
となっています。E5系のうち初期に導入されたものについても、是非とも全席にコンセントを設置してほしいところです。
車内のWi-Fiは同じJR-East Free Wi-Fiを使用
H5系・E5系には全ての列車に車内Wi-Fiが設置されています。なお、H5系はJR北海道所有の車両ですが「JR-EAST FREE Wi-Fi」が設置されています。車両メンテナンスの統一化などの問題で、JR北海道の特急や快速エアポートに設置されているWi-Fiではなく、JR東日本のWi-Fiが採用されたものと考えられます。
新幹線車内のWi-Fiサービスは、お世辞にも速いとは言い難い。2024年現在、全国の全ての新幹線トンネルにおいて携帯電話のネットワークが利用できるようになり、車内のWi-Fiも途切れることはほとんどなくなりました。ただ、接続している人数によってはすぐにパンクしてしまいます。
新幹線のWi-Fiについては別の記事でも紹介しています。新幹線の車内でのWi-Fi強化は、各社にとてつもなく取り組んでほしい施策です。
H5系の運用を紹介 現在は「やまびこ」としての運用もあり
今回は東北新幹線・北海道新幹線で活躍するH5系について紹介してきました。東北・北海道新幹線の「はやぶさ」「はやて」号(北海道新幹線直通の列車)は全てE5系とH5系で運転されています。
H5系の運用ダイヤ(2024年9月現在)
最後に、H5系がどの列車で運用されるか解説します。北陸新幹線のE7系・W7系の場合は運用が決まっていませんが、東北新幹線・北海道新幹線のE5系・H5系の場合はほとんど決まっています。
ただし、急遽使用する車両が変更になることもあります。H5系は2022年の地震の影響で1編成が廃車となっており、3編成しかありません。そのため、検査などによっては運用が減る可能性があります。
まずは下り・東京発の列車のダイヤです。
列車名 | 発着駅・時刻 |
---|---|
はやぶさ95号 | 仙台6:40→新函館北斗10:07 |
はやぶさ17号 | 東京11:20→新青森14:43 |
はやぶさ29号 | 東京17:20→新函館北斗21:48 |
やまびこ223号 | 東京21:44→仙台23:47 |
1日4本とかなり少なく、そのうち1本は東京発・仙台着、1本は仙台発・新函館北斗着のため、実質的に3本といえます。
列車名 | 発着駅・時刻 |
---|---|
はやぶさ10号 | 新函館北斗6:35→東京11:04 |
はやぶさ22号 | 新函館北斗12:44→東京17:04 |
はやぶさ32号 | 新青森17:44→東京21:04 |
上りのH5系の運用です。「はやぶさ」号として3本が運用されています。そのうち「はやぶさ32号」は新青森から東京の間で運用が完結する、東北新幹線内完結の列車です。
H5系の運用表 原則2編成しか使用されていない
続いてH5系の運用(1日の編成の動き)です。新函館北斗駅まで開業の段階では、H5系は2編成で運用されています。僕はこの運用を参考に、朝の「はやぶさ10号」にH5系が充当されているのを確認したうえで、「やまびこ223号」に乗りに行きました。
編成 | 充当列車 |
---|---|
編成① | はやぶさ10号→はやぶさ17号→はやぶさ32号*→やまびこ223号 |
編成② | はやぶさ95号*→はやぶさ22号→はやぶさ29号 |
「*」の後に一旦車庫に引き上げるため、車両入替の可能性あり
H5系は2編成で運用がまかなわれています。JR北海道は北海道新幹線の新函館北斗開業時に4本のH5系を新造、そのうち1編成は地震で廃車されています。また、1編成は青函トンネルで異常事態があった際の救援用車両として使われているため、実質的に2編成しか使用できる編成がありません。
2022年3月の地震が起こった後、北海道新幹線の「はやぶさ22号」(所定ではH5系での運転)に乗車した際、H5系ではなくE5系が使用されていました。編成が少なくなった現在は特に、代替としてE5系が使用されることもあるので注意が必要です。
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