近鉄は特急が大量に走っていることで有名です。今回は、近鉄特急の中でもビジネスや通勤目的での利用者をターゲットにした一般的な近鉄特急をご紹介していきます。近鉄特急は、豪華な観光列車ばかりに目が行きがちですが、実は“汎用特急”、すなわち普通の特急列車も十分豪華な設備なのです。
観光列車を含む、近鉄の各特急についてはこちらの記事でもまとめていますのでご覧ください。今回は、通勤需要やビジネス需要にも重きを置いた“汎用特急”に焦点を当てて解説していきます。
近鉄特急の車種や座席の徹底解説ー特急ならではの快適な座席
近鉄の両端で接する名鉄と南海は“一部指定席”の列車も用意されています。しかし近鉄では、そういった車両は一切走っていません。特急とそれ以外が明確に区別されているのです。
特急列車らしく、リクライニングが利用できる快適な座席
近鉄では、特急列車が普通列車として運用されることもありません。つまり、特急は特急として、特急らしい設備が備えられているのです。
こちらが近鉄としては最新の22000系 ACEのリニューアル車両です。座席がゆりかご型になっていてとても快適。もちろんリクライニングも使用できます。
この近鉄特急22000系については、別の記事で詳細に解説しています。この記事では、近鉄特急の一般的な車両の設備について詳しく解説していきます。
22000系は、鮮やかなグレーの配色の座席になっています。座席は十分高く、かなり深く腰掛けられて快適です。
近鉄特急には早い時期からコンセントが設置されていました。一部の列車には設置されていない場合もありますが、順次コンセントの設置なども行われています(最近では、アーバンライナーへのコンセント取り付けがはじまったそうです)。
特急列車にはテーブルも完備されています。食事をしたり、パソコン作業をしたりすることもできます。
一部の列車(アーバンライナーや伊勢志摩ライナー、さくらライナーなど)にはデラックスシートが設定されています。デラックスシートは普通車より座席幅が広く、座席間隔も広くなっています。
アーバンライナーの一般車両です。一般車両でも、座席はゆりかご型の座席になっており十分快適であるといえます。
2020年にデビューし、名阪特急を中心に運用されている「ひのとり」は、かなり快適な座席です。
全席にバックシェルを備えたため、後ろの人に気兼ねなくリクライニングをすることができます。これは正直、かなり助かる。
「ひのとり」の両端先頭車には「プレミアムシート」が設定されています。レギュラーシートよりさらに上をいく座席で、JR東日本を中心に設定されている「グランクラス」と同等です。
多くの列車に電源を装備 車内へのWi-Fi設置がだんだんと進む近鉄特急
一部の列車を除いてWi-Fiは利用できませんがコンセントが利用できる車両が増えつつあります。2023年現在、僕が知る限りで車内でWi-Fiが使える特急列車は、
- ひのとり(全列車)
- しまかぜ(全列車)
- あをによし(全列車)
- アーバンライナー(まもなく全列車に設置完了)
- 伊勢志摩ライナー(まもなく全列車に設置完了)
です。最近のスマホやノートパソコンは高性能で、電源はあまり必要ない。インターネットが利用できたらな、ということは思うのですが… まあ、それは仕方ないですよね。
なお、近鉄特急ではコンセントが使用できる列車が多くなっています。2023年現在、コンセントが使用できない特急は「ビスタカー」および「サニーカー」のみです。これらの特急列車の見分けかたについては、別の記事で解説していますので、ご覧ください。
近鉄特急にはお手洗い、そして喫煙室も完備
近鉄特急には、お手洗いなどもしっかり完備されています。これは、特急列車ではスタンダードな設備ですよね。
そして近鉄特急には一つ大きな特徴として喫煙ルームが完備されています。名鉄や南海などにはありませんし、東海道・山陽新幹線を除くJRの各特急列車からもほぼ全廃されています。→東海道・山陽・九州新幹線とともに、ついに全廃されることが決まりました。
聞くところによると、近鉄の幹部にヘビースモーカーが多いから、近鉄にはほぼ全ての列車に喫煙ルームが完備されているんだとか。それが本当にせよ嘘にせよ、実際使っている人が一定数います。だんだんと肩身が狭くなるヘビースモーカーの方にとっては有難いのかも。
各地に張り巡らされた特急網 乗り継ぎも便利に
近鉄特急は基本的に一部指定席というものはありません。特急とそれ以外が明確に区別されています。中には、デラックスシートがあるものもありますが、これらは基本的にはJRの特急グリーン車の位置づけです。
そう考えるとスピードの面でも特急料金を支払う価値はあると言えるでしょう。特に名古屋と大阪の間を結ぶ特急は、特急料金を払う価値が大いにあると思います。
甲特急・乙特急で停車駅が異なるので注意
近鉄特急は、列車によって停車駅が異なります。停車駅の少ないタイプの特急列車を甲特急、停車駅の多いタイプの特急列車を乙特急といったりしますが、案内で使われることはありません。
名阪特急では、停車駅の少ないタイプの特急列車が「ひのとり」に統一され、停車駅の多いタイプが「アーバンライナー」に統一されています。それ以外の系統の特急では、甲乙による車種の違いはありません。
乗り継ぎの特急券を活用しよう 近鉄特急は素晴らしい接続も見もの。
近鉄特急のもう1つの大きな特徴として、「接続が素晴らしい」ことが挙げられます。関西圏から中京圏まで張り巡らされた広大な路線網を縦横無尽に走る特急列車をフル活用できるよう、特急同士の乗り継ぎを意識したダイヤが設定されています。また、最大3列車までであれば乗り継ぎの特急券を発券でき、通しの特急料金で特急に乗ることができます。
乗り継ぎの駅として主に、
- 伊勢中川
- 大和八木
- 大和西大寺
- 橿原神宮前
などがあります。それ以外にも、名古屋〜津の停車タイプ特急停車駅各駅から、伊勢志摩方面の特急に乗車して津駅で下車、その後、数分後の大阪難波行き特急「ひのとり」に乗り継ぎ、なんてことまで考えられています。使えば使うほど利便性がよくわかるダイヤです。
ビジネス需要も
近鉄にはビジネス需要も一定数あります。ビジネス客も意識した特急列車が多数、運転されています。
特に最近リニューアルされた「22000系ACE」はかなり快適です。座席が快適であることはもちろん、全席にコンセントが設置されています。近鉄特急ならではの快適性を誇る車両と言えそうです。
京都から奈良方面への需要は近鉄がかなり強い。また、名古屋から伊勢志摩方面や、大阪から伊勢志摩方面へのアクセスも近鉄のほぼ独占状態です。これらの区間では、天皇陛下や総理大臣も近鉄特急を使います。ビジネス需要も多くが近鉄です。
名阪間を走る特急列車もビジネス需要に支えられています。会社の経費などでは新幹線で出ることが多いようですが、交通費支給の場合はアーバンライナーのデラックスシートなども人気です。
伊勢志摩ライナーは主に観光目的での需要を見据えて投入された車両です。しかし、実際には朝夕のラッシュ時の特急列車に投入されることもあります。
近鉄特急はチケットレス乗車がとても便利!
近鉄は早くからチケットレス特急券を導入しています。紙の特急券不要で特急に乗車することができます。
チケットレス特急券で10%のポイント還元
近鉄特急はネット予約ができます。とても便利です。
実際に僕もネット予約を使ってみたことが何度もありますが、駅へ行くとすでに売り切れているってこともあるんですよね。近鉄特急はなんだかんだで通勤需要も多いため、結構売り切れることがあります。
そのため、電車の時間が決まった時点で自分で予約できるのはとても大きなメリットだと思います。
ただし、別途乗車券等が必要です。近鉄では全線でICカードが利用可能なため、ICカードを乗車券として使用すれば完全にチケットレスで乗車することができます。
近鉄特急チケットレスサービスで特急券割引も
近鉄では、チケットレス特急券を対象とした割引も発売しています。
「伊勢志摩チケレス割」「吉野チケレス割」は、伊勢志摩エリア・吉野エリア限定で、チケットレス特急券が320円とかなり安くなります。
これ以外にも、名古屋から伊勢志摩方面へのチケットをJR東海の「EX予約」と連携してQRコードで発売したりと、チケットレスに積極的です。
また、2022年には「20%ポイント還元」のキャンペーンも行っていました。新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広まり、経済が停滞した2020年春には、「50%ポイント還元」という太っ腹企画も行っていました。
近鉄特急で学割が利用できるのは乗車券のみ
近鉄は広大なエリアに路線網を持ちます。100kmを超える区間も、名古屋から大阪難波・鶴橋・大阪上本町に代表されるように数多くあります。
近鉄では学割が利用できます。JRと同じく、学割証と学生証を提示することで利用できます。ただし、これはJRについても言えることですが学割で割引対象となるのは乗車券のみです。特急券は割引対象とならないことに注意が必要です。
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