名古屋と東京は東海道新幹線で1時間半ちょっとで行ける距離。この距離は空港から都心部への移動や保安検査を考えると飛行機より鉄道の方が圧倒的に速い。
それでも名古屋・中部〜東京・羽田の路線はANA・JALともに毎日運航しています。名古屋・中部国際空港(セントレア)から東京国際空港・羽田へのNH86便、また東京国際空港・羽田から名古屋・中部への便NH85便に搭乗してきましたので、その様子を紹介します。
今回の記事で紹介する、名古屋・中部〜東京・羽田のフライトについては、2024年5月のヨーロッパ渡航の際にVlogを撮影しました。富士山の絶景を見ながらの旅をVlogでもぜひ、お楽しみください。
国際線への乗り継ぎを考慮した東京〜名古屋の路線
東京と名古屋の間の路線は、飛行機に乗るより新幹線に乗った方が早く目的地に着くことができます。
国際線乗り継ぎの需要がメイン
東京・羽田と名古屋・中部の間に便が開設されている理由は、国際線への乗り継ぎ需要を拾うため。ANAは東京における国際線の拠点空港を明確に、成田から羽田へと移しています。羽田の方が日本国内からの乗り継ぎアクセスがよく、日本全国の顧客をターゲットにできるためです。
名古屋の中部国際空港・セントレアは、ANAの国際線の運航がありません。コロナ禍直前には上海・香港の2路線のみがありましたが、現在では上海・香港の路線も運休中。名古屋発着の海外需要は羽田と成田での乗り継ぎか、スターアライアンスパートナーなどとのコードシェアに頼っている状態です。
全米各地へと乗り継ぎができ、かつビジネス需要も見込める名古屋・中部〜デトロイト路線をデルタ航空が開設していました。デルタ航空は日本国内にパートナーを持たないため日本国内線航空券を発券できず、名古屋にネットワークを持つための苦肉の策だったと考えられますが、こちらも採算が合わず撤退。名古屋は東京と大阪に挟まれた場所にあり、微妙な立ち位置になっているのですね。
名古屋から東京へ日帰り旅行では意外と使える
コロナ禍以前からANAは、名古屋・中部を朝出発、そして東京・羽田を夕方出発する便をそれぞれ1便ずつ運航しています。
便名 | 出発 | 到着 |
---|---|---|
NH85 | 東京・羽田18:05 | 名古屋・中部19:05 |
NH86 | 名古屋・中部 7:20 | 東京・羽田 8:25 |
そのため、名古屋を早朝に出発し、名古屋に夕方に帰着する日帰り旅行にも使えます。飛行機は新幹線と比べて、早割などが充実しているのも魅力です。ただし、新幹線と比べて本数が少ないことには注意が必要です。
そのため、名古屋から東京に日帰りで利用することも可能です。朝夕それぞれの時間帯にJALは反対方向の便を含む1日2便を設定しているため、その点ではJALが有利かも。
本来、この時間に設定されているのは午前の早い時間帯に羽田空港に到着すれば、欧米各地への乗り継ぎに対応できるため。また、夕方には欧米各地からの到着便が連続するため、夕方に羽田から名古屋に飛ばせば欧米各地からの乗り継ぎに対応できるためです。実際、ロンドン路線との乗り継ぎはとても良い。
新幹線の運休時に臨時で運航される場合も
東京〜名古屋の需要は大半が東海道新幹線で賄われています。しかし、大雨などで東海道新幹線が運休すると、臨時で東京・羽田〜名古屋・中部のフライトが運航されることもあります。
2024年の台風10号では、静岡地区を中心に大雨が降り、東海道新幹線が運休。以下のフライトが臨時で運航されました。
9/1
ANA1306 名古屋中部発 6:50/東京羽田着 7:55
8/30
ANA1305 東京羽田 発08:20/名古屋中部 着09:20
ANA1317 東京羽田 発15:55/名古屋中部 着16:55
ANA1306 名古屋中部 発10:00/東京羽田 着11:05
ANA1316 名古屋中部 発17:30/東京羽田 着18:35
これらの便も全便がB737-800での運航となりましたが、どうしても東京〜名古屋を移動しなくてはならない人には便利なフライトです。
東京・成田国際空港から名古屋・中部国際空港へも
今回は東京・羽田空港から名古屋・中部国際空港への便を紹介していますが、東京の主要国際空港である成田国際空港からも名古屋・中部国際空港には便が設定されています。
こちらの成田国際空港も世界各地への乗り継ぎが可能です。ANAとしては、海外から海外への乗り継ぎ、いわゆる3国間乗り継ぎに力を入れているのが成田です。
かつては間合運用でB787などの大型機が運航され、ビジネスクラスの座席が普通席として開放されていました。現在はB737などに置き換えられているようですが、成田発着の国内線にはそんな魅力もあります。
2024年7月現在のダイヤはこのようになっています。
便名 | 出発 | 到着 |
---|---|---|
NH493 | 東京・成田 17:25 | 名古屋・中部 18:35 |
NH494 | 名古屋・中部 14:10 | 東京・成田 15:30 |
コロナ禍以前は1日3往復もが運航されていたものの、羽田路線とは異なりコロナ禍の期間、2年ほどにわたって完全に運休。現在も2便が運休扱いとなっているようです。最新情報はANAの公式サイトもご確認ください。
名古屋・中部→東京・羽田ANA86便搭乗記
2020年3月にロンドンへと向かう際や、2024年5月にドイツ・オーストリア・トルコに向かう際に名古屋・中部から東京・羽田の便を利用しました。その様子を写真を用いて紹介します。
国際線乗り継ぎカウンターでチェックイン
国際線乗り継ぎの場合、中部国際空港でのチェックインは国際線乗り継ぎの専用のチェックインカウンターで行います。ここで荷物を預ければ最終目的地まで運んでくれます。
羽田空港で国際線に乗り継ぐ場合、コロナ禍以前は名古屋・中部のチェックインカウンターで「ターミナル間シャトルバス」のチケットがもらえました。しかし現在はチケットなしで乗車できるようになっています。なお、コロナ禍で運休していたターミナル間シャトルバスは2024年現在は運行を再開しています。
なお、ANAなどの大手航空会社では、国際線と同時に発券(購入)した国内線においては、受託手荷物の制限は国際線に合わせられます。ANA国内線ではkgで荷物の制限が設けられている一方、国際線ではポンドで荷物の制限が設定されています。そのため、受託手荷物の条件が少し異なりますが、国際線乗り継ぎの場合の国内線の手荷物の制限は国際線の制限に合わせられるというルールになっています。
なお、国際線でもオンラインチェックインが使用できますが、その場合でもパスポートなどのチェックがあるので基本的には紙の搭乗券が発券されることがほとんどです。この場合、国内線区間についても同時に発券されます。
保安検査場へ 各地への国内線が集中する時間帯に羽田便も設定
チェックインを終えたら保安検査場を通り、出発待合室へ。名古屋・中部〜東京・羽田の便は国内線なので、出国審査は必要ありません(ただし、国際線の航空券も名古屋・セントレアで発行するため、チェックイン時にパスポートが必要です)。
国際線でビジネスクラスもしくはファーストクラスに搭乗する場合、中部国際空港の国内線エアラインエアラインラウンジが使えます。プレミアムエコノミークラスは国際線出発空港のみですのでこちらでは使えません。
中部国際空港はラウンジがなくても待合スペースが充実
中部国際空港は、世界の空港の中でもトップレベルに設備が充実しています。空港ラウンジを使わずとも、出発までの時間を快適に過ごすことができます。中部国際空港の待合室の様子は、こちらの記事で紹介しています。
セントレアには保安検査通過後にエアラインラウンジ(ANAとJAL共用のラウンジ)があります。ANAの場合、国際線区間でビジネスクラス以上を利用する場合、乗り継ぎ便利用空港でもラウンジが利用できます。
また、保安検査通過前にカードラウンジも完備されており、セントレアではアルコールも含めて無料ドリンクが用意されています。
ただし、東京・羽田便は中部国際空港を早朝に出発するため、ラウンジなどをゆっくり使う時間はあまりないでしょう。
飛行機に搭乗 機材は主にANAのB737
搭乗の時間になったら搭乗します。通常の国内線の出発のパターンです。
機材は主にB737
ANAの東京・羽田〜名古屋・中部便は主に、B737が使用されています。ANA国内線の機材としては標準的で、中部国際空港のANA便ではこのB737とA320くらいしか見なくなりました。
ANAが運航するB737については、こちらの記事で詳しくまとめてあります。こちらの記事もあわせてご覧ください。
なお、JALでは名古屋・中部〜東京・羽田路線ではB777やB787も運用されています。国際線の間合い運用で使用しやすためですが、ANAは羽田発着国内線の機材を国際線に回しているようです。
コロナ禍ではめちゃくちゃな機材運用になっていましたが、現在は毎日、B737-800での運航で安定しています。
飛行機は富士山などの絶景を見ながら東京・羽田空港へ
名古屋から東京の間は、新幹線に乗っていても富士山を綺麗に見ることができる区間です。天気が良ければ飛行機からはさらに美しく、富士山を見ることができます。
中部国際空港を離陸した飛行機は、愛知県豊橋市〜田原市付近の渥美半島、そして浜名湖周辺の太平洋沖を通過して静岡県へ。この辺りから天気が良ければ、富士山が見えてきます。
この日は、少しモヤがかかっていたもののしっかり富士山を見ることができました。駿河湾上空を飛び越え、伊豆半島を通過。この頃には着陸態勢に入ります。短距離路線なのであっという間です。
横浜の景色などを見ながら、飛行機は東京・羽田空港へと着陸していきます。羽田空港の使用状況にもよりますが、A滑走路に着陸することが多いように感じます。
富士山を見ながらやがて東京・羽田空港へ
中部国際空港を離陸し、飛行機は羽田空港へと向かいます。短距離路線ともあって低空飛行をします。帰国した際は天気が悪かったため、雲の中を飛行していました。
中部→羽田・成田間では晴れていればきれいに富士山が見えます。富士山を見たい場合は、名古屋→東京の場合は左側の座席を選びましょう。東京→名古屋の場合は逆、右側の座席を選びましょう。
機内サービスについても基本的に通常の国内線です。プレミアムクラスでのお食事の提供もあります。また、機内Wi-Fiサービスも利用できます。
ただし、通常の国内線と同様、一部利用できない機材もあります→2023年現在、ボンバルディアDHC-Q-400以外の機材には全てWi-Fiの設置が完了しました。ロンドンの帰りの羽田から名古屋の路線は利用できませんでした。
サービスは通常の国内線サービスが行われると思えばOK!
ほとんどのお客さんが国際線への乗り継ぎだったが国内線利用もいた
名古屋・中部→東京・羽田線に乗ってみると多くが国際線乗り継ぎのお客さんでした。加えて、東京・羽田空港で国内線へと乗り継ぐお客さんも一定数います。北海道の釧路や帯広など、一部の区間では羽田空港で乗り継ぐまたは新千歳空港で乗り継ぐしかルートがない場合があります。
羽田空港到着後の動きを見ていれば分かります。この中部→東京(羽田・成田)路線は元々国際線乗り継ぎのために運航されている路線ですからね。
ただ、まわりを見ていると少しは国内線のみのお客さんもいるようでした。取り方や到着後の行き先によっては新幹線より安くなりますからね。
羽田空港での乗り継ぎ
ANAは羽田を国内線と国際線の乗り継ぎ空港(内際ハブ)、成田を国際線と国際線の乗り継ぎ空港(際際ハブ)として位置づけようとしています。今後羽田空港で国際線と国内線とを乗り継ぐ機会は増えていくと考えられます。
ANAの羽田空港発着国際線は2ターミナル併用へ
羽田空港は国内線と国際線でターミナルが分かれています。ただし、今後羽田国際線大増便に伴い、ANA国際線は第2ターミナルも利用しますので、必ずターミナルを確認しましょう。
コロナ禍で第2ターミナルの国際線発着便が全面停止されていましたが、2023年7月から再開しました。第2ターミナルはANA系列の航空会社の国内線が発着するターミナルで、第2ターミナルに国際線が乗り入れることにより、名古屋・中部も含めた国内各路線からの乗り継ぎが便利になります。
ANAは第2ターミナルと第3ターミナルの間でシャトルバスを運転しています→2023年現在、コロナ禍での運休が現在も続いています。
ANAの第2ターミナル・第3ターミナル連絡バスで第3ターミナルへ
ANAの専用バスもあります。この場合、国際線乗り継ぎの看板に沿って行きます。専用バス乗り場へ行くことができます。
2024年に実際に羽田空港での国際線乗り継ぎルートを使用した際、コロナ禍が開けてこの乗り継ぎバスも復活していました。ただ、ANAとしては今後は国際線を含めて第2ターミナルに集約する方針らしいので、いつまで続くかも不明です。
第3ターミナル(旧「国際線ターミナル」)へはバスで移動します。通常のターミナル間移動バスも使えます。その場合、通常の到着客と同様のルートを通って到着ロビーに出ます。そしてターミナル間バスに乗ります。
第3ターミナルに到着後、制限エリア外に出ることになります。ANA国際線乗り継ぎバスを利用する場合、国内線ターミナルの制限エリア外へは出ないので注意が必要です。
なお、乗り継ぎにある程度の時間がある場合、第2ターミナルで到着客と同じ動線で移動、一旦第2ターミナルで制限エリア外に出ることも可能です。
羽田空港第3ターミナルは「日本の玄関口」として機能
羽田空港の第3ターミナルは、羽田空港の再国際化に伴い共用が開始されたターミナルです。「日本の玄関口」として、各国の飛行機が行き来します。
第3ターミナルにも数多くの飲食店が入店しています。特に、国際線のターミナルであるため日本食が充実しているイメージ。展望デッキからはスカイツリーを望むことができます。
ここ羽田空港から世界へ、直行便が設定されています。今回はANA便を利用したので、ANAラウンジを利用しました。
第3ターミナルのANAラウンジについてはこちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。これ以外にも羽田発着の路線については、さまざまな記事を公開していますのでご覧ください。
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