函館本線・山線 小樽から長万部まで、のんびりローカル鉄道旅

北海道
北海道鉄道

JR北海道の幹線でありながらローカル線でもある函館線は函館から長万部、小樽、札幌を経て旭川までを結ぶ路線です。そのうち、ローカル路線でありながら景色が最高なのが通称「函館山線」と呼ばれる小樽~長万部の区間です。

北海道新幹線の延伸により廃止が決まった函館線・山線区間。廃止前にこの「函館山線」に乗ってきました。今回はこの函館山線をご紹介します。

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函館本線・山線区間は山間の区間

まず初めに、函館本線の山線区間について解説します。

北海道新幹線延伸によって廃止が決定

北海道新幹線開業に伴う並行在来線分離において、2021年9月時点で長万部から余市の区間では地元自治体が廃止を容認。「函館山線」と呼ばれる、小樽から長万部までが140kmほど、そのうち小樽~余市はたったの約20km。

この20kmの区間については輸送密度も高く、バスでの代替も困難な利用者がいたため、最後まで決まりませんでした。しかし、北海道庁からの支援がないことが最大の原因で廃止しか道がなくなりました。

今後はバス転換となる予定ですが、北海道庁の見込みがあまりにも甘すぎて、バス会社と交渉してもバスドライバー不足などの理由で断られる始末です。

沿線自治体の協議会では「廃止で合意」したため、覆る可能性は低いですが今後どうなるかは気になるところです。

JR北海道としては、H100系“DECMO”で統一して運用

現在、函館山線は全て新型車両のH100で統一されました。JR東日本が開発したGV-E400を元にJR北海道のデザインに塗り替えたものです。ハイブリット式の気動車で、JR北海道では「DECMO」の愛称がついています。

JR北海道としては、H100系“DECMO”で統一して運用
JR北海道のH100系

JR北海道のH100系は、最初はここ函館本線の山線などを中心に導入されました。現在は函館本線全線、そして根室本線や富良野線、石北本線、宗谷本線などにも投入され、全道で見られる車両になっています。

今後、JR北海道の非電化区間の普通列車は、このH100系に統一されることになるでしょう。このH100系の車内についてもまとめました。こちらの記事もご覧ください。

函館本線・山線区間で使うことができるフリーきっぷも

JR北海道は広大な路線網を有しており、観光利用がとても多いためフリーきっぷなどの企画乗車券が充実しています。

日本全国の普通列車が利用可能な「青春18きっぷ」のほか、JR北海道とJR東日本の普通列車が利用可のうな「北海道・東日本パス」もあります。これ以外にも「北海道フリーパス」をはじめとしたフリーきっぷがあります。

小樽から倶知安へ
今回使用した「1日散歩きっぷ」

また、函館山線を乗り通すことが最大の目的ならば「一日散歩きっぷ」がお得です。ただし、このきっぷは特急列車等には乗車できません。従って、函館山線を乗り継いで、その後札幌方面まで帰らなくてはならないという場合に、帰りだけ特急北斗で帰ってこよう、なんてことができません。注意してくださいね。

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小樽から倶知安へ

函館本線は、函館から長万部、倶知安、小樽、そして札幌を経由して、さらにそこから途中は滝川などを経由し旭川まで至る路線です。このうち、特急列車が走っていないのが札幌から長万部の間です。ただし、札幌から小樽までの間は一部指定席を繋いだ「快速エアポート」が走っています。電化されており、ここの区間は札幌圏の通勤・通学需要もあります。

ということで、正真正銘”山線”区間と言えるのは小樽から長万部まで。今回はここの区間を走破します。

比較的本数も多い小樽駅から倶知安駅へ

旅の始まりは小樽駅からです。

小樽から倶知安へ
小樽駅から

小樽から、途中の余市駅までは通学需要も少しあるため本数が多いのですが、余市から先は列車の本数がほぼ半減してしまいます。そしてさらにその先、倶知安から長万部まではさらに半減、その後も一部列車が蘭越止まりで、蘭越から長万部の下り列車に至っては一日4本という始末です。札幌から小樽とは全然事情が違いますので、必ず乗り換え時間等を調べてから出発しましょう。さもないと大変なことになります。

小樽から倶知安へ
小樽駅から出発

JR北海道の縦の駅看板は全てサッポロビールですね。スポンサーなのでしょう。

小樽から倶知安へ
小樽から1駅、塩谷駅に到着

小樽から1駅、塩谷駅に到着です。小樽からは10分ほど。かなり駅間があります。小樽駅を過ぎるとすぐに結構な上り坂になります。この上り坂が10分弱続いて、塩谷駅に到着します。途中、1駅も通過していないのに10分走り続ける、そんなスピードが遅いわけでもない。駅間距離が長い傾向にある北海道ではよくあるパターンです。

小樽から倶知安へ
函館山線の中では最大の駅・余市駅

函館山線の中では最大の駅である余市駅に到着です。ここ余市駅までの鉄道は維持できないかという議論が続いていましたが、残念ながら断念となりました。

余市から倶知安へ 田畑の区間と山間の区間が続く

列車は余市駅を発車し、倶知安駅へと向かいます。余市駅を出ると田畑の区間が続きます。余市駅周辺なんかは比較的民家も多く農業など産業も確立されていそうな雰囲気。でも、函館線の場合は海線があまりに直線的でスピードが出しやすいことが影響したのでしょう。

小樽から倶知安へ
余市を過ぎてしばらくは、田園風景が続く

余市を過ぎてしばらくは田園風景が続きます。余市周辺はまだ、平地の部分もあります。

小樽から倶知安へ
然別でしばらく停車

然別駅で列車行き違いのためにしばらく停車です。函館山線に特急列車も走っていた昔の名残でしょうか、行き違いの設備が非常に長くなっています。

小樽から倶知安へ
だんだん山の中に入ってく

然別駅を過ぎるとだんだんと山の中に入ってきます。余市周辺では田んぼがそこそこあった景色から、山がちで周りが木ばっかりという景色に変わります。

小樽から倶知安へ
鉄道らしい雰囲気

雰囲気がいいですね。昔は幹線だったこともあり、そこまで線形が悪いわけではありません。やっぱりそれでも、海岸線沿いを通りほぼ一直線に進める海線(室蘭線)と比べるとやや線形は悪いのでしょう。

小樽から倶知安へ
旧な坂道を登っていく

さらに進み銀山・小沢あたりではかなり山がちになってきます。小沢を過ぎるとちょっと長いトンネル「倶知安トンネル」があります。

小樽から倶知安へ
倶知安トンネルを抜けると羊蹄山が見えてくる

ニセコトンネルを抜けると羊蹄山(ようていざん)、通称「蝦夷富士」が見えてきます。遠くに見える、富士山みたいな形をしています。ここからはだんだんと山を降っていきます。山を降るとまもなく倶知安駅に到着です。

小樽から倶知安へ
倶知安駅に到着

倶知安駅に到着

倶知安駅に到着しました。小樽からおおよそ1時間半、函館山線・小樽〜長万部のちょうど半分くらいきました。

倶知安駅に到着
倶知安はこの周辺の在来線の一つの拠点となっている

倶知安駅はこの辺りの在来線で一つの運転上の拠点となっています。半数以上の列車がこの倶知安止まりとなっています(一部、長万部方面から小樽方面へ直通する列車もあります)。

倶知安駅に到着
やや古びた倶知安駅

少し時間があるので倶知安駅で下車します。昔から使われている、やや古びた倶知安駅です。北海道新幹線開業に向けて駅の改修工事が進められています。北海道新幹線が開業すれば、もちろん駅数は今より少なくなります。ここ倶知安駅は、この周辺のエリアの交通結節点となることでしょう。今でも、それなりのバス路線が走っており、バスはこの倶知安駅前を発着しています。

倶知安駅に到着
ニセコアンヌプリが駅前から見えるが…

駅前から羊蹄山が見えます。が、僕が行った日は雲に隠れて途中から見えなくなってきました。

倶知安駅に到着
羊蹄山から湧き出た水

倶知安駅前には「日本一の湧水」といわれる、羊蹄山からの湧水があります。自由に飲むことができます。どんどん漏れ出ている感じなので、僕は水筒にたっぷりくんできました。

倶知安駅に到着
先へと進みます

ここから先もまた普通列車に乗ります。H100系で運転される普通列車に乗って、長万部駅を目指します。

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倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ

倶知安駅から長万部駅までの区間は、さらに列車の本数・両数ともに少なくなります。

倶知安駅を発車 北海道の一大観光エリア・ニセコを通過

30分ほどで乗り継ぎ、さらに長万部方面へと向かいます。ここ倶知安から長万部方面はさらに乗客が少なくなります。ということで、列車は今まで乗っていた2両編成ではなく1両編成に。また、途中の然別まではまだ乗客数があるものの、然別から長万部はかなり乗客が少なくなることもあり、然別止まりの列車も設定されています。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
残念ながら頂上は見られなかった

残念ながら、羊蹄山(蝦夷富士)は山頂まで見られませんでした。羊蹄山の山頂まで見られるとかなり綺麗だろうと思います。

羊蹄山-ヒルトンニセコビレッジから撮影

2023年、羊蹄山の絶景を見てきました。ニセコにある「ヒルトンニセコビレッジ」から見てきました。ニセコ観光の魅力については、こちらの記事でレビューしています。

さて、函館線の話に戻りましょう。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
山線という愛称が、さらに似合う場所へ

函館本線「山線」という愛称がさらに似合う場所へと入っていきます。周りは民家がありません。本当に山です。もともとこの函館本線は、本州方面と札幌を繋ぎ、北海道内各地から札幌の集結した農作物などの貨物をはじめ、乗客などを本州方面へと送り出す役割でした。今では海線にその役割を奪われてしまった。赤字ローカル路線になるのは必至でしょう。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
ニセコ駅

ニセコ駅にはSL機関車が置かれています。昔使われていたものです。この辺りはかなり山がちでありながら、昔この辺りを通ったのは貨物列車や寝台列車などの重たい列車。つまり、最新鋭の機関車を、場合によっては複数繋げて引っ張らなくてはならないので、この辺りに機関車の拠点ができたのも納得です。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
転車台も

ニセコは今ではスノーリゾートとなっています。JR北海道も観光需要の取り込みを目的に「ニセコエクスプレス」というリゾート列車を製造しました。しかし、思うほどの観光需要は伸びず、廃車となってしまいました(昨年、ニセコ駅に持ち込まれ展示されています)。

蘭越駅を通過して長万部へ

ニセコを出るとさらに山間の区間へ。レンタカーなどを使えば、ニセコから噴火湾側に出る際、洞爺湖やルスツなどといった観光地を通過できるのに対し、本州からの玄関口・函館を中心に線路が敷かれているこの函館線は、やや南を通ります。沿線の観光資源などがやや希薄。これもこの倶知安〜長万部で乗客が少ない理由の1つだと思われます。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
蘭越駅

途中の蘭越駅です。この蘭越で乗客が一気に減ります。ここから先、大きな集落はほとんどありません。長万部も特急停車駅でありながら、北斗停車駅としてはそんなに大きくありません。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
乗客がやや減った車内

車内の乗客がやや減りました。道内を移動している家族か、鉄道が好きな旅行者だけ、といった感じです。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
だんだんと長万部へ近づいてきた

昼過ぎに小樽を発ったのに、夕方になってきました。夕日がとてもきれい。小樽からははるばる3時間以上の旅です。

3時間以上の旅が完結 長万部駅に到着

3時間以上の旅が完結、まもなく終点の長万部駅に到着します。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
平野になる

山線の名の通り、山を走ってきた列車がやや平坦な場所を走るようになってきました。平坦な場所が多くなってきた、つまりは海に近づいてきたということです。ここまで来ると長万部は近いです。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
通称「海線」、室蘭本線と合流

進行方向左手から室蘭本線が見えてきました。特急北斗はここを通って長万部へと入ってきます。名目上はこちらの函館線が本線ですが、見た目は完全に室蘭本線がメインルートです。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
長万部駅に到着

長万部です。長万部駅周辺は正直、何もありません。特に僕がいった夕方の時間帯だと、もうすでにほとんどのお店が閉まっています。最寄りのコンビニは長万部駅から歩いて10分ほど。その後の列車への乗り換えに時間があればコンビニまで行くのもありなんじゃないかなと思います。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
そのまま函館へ

僕はそこから特急北斗に乗り換えて函館へと向かいました。ここから先は特急北斗も函館本線を走ります。

倶知安からニセコを通り、室蘭本線との合流地点・長万部駅へ
函館本線の起点・函館駅

函館駅に到着です。函館本線は名前の通り、函館を起点とする路線です。この函館駅には「0キロポスト」と呼ばれる、起点から0.0kmの看板があります。

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