日本の在来線特急として最長の特急にちりんシーガイア。この特急は博多から宮崎空港を毎日1往復しています。片道約5時間、かなりのロングラン特急です。
今回はこの特急にちりんシーガイアに、宮崎空港から小倉まで乗車しました。特急にちりんシーガイアはかなり自由席が多いため、自由席でも余裕で座ることができます。今回はこの特急「にちりんシーガイア」を徹底的にレビューしていきます。
特急にちりんシーガイアは自由席でも座れる
まず初めに、特急「にちりんシーガイア」の空席状況について解説します。
自由席が圧倒的に多い、特急「にちりんシーガイア」
特急にちりんシーガイアは自由席がほとんどです。JR九州の特急列車は指定席より自由席が多く、自由席でも座席を確保できる可能性が高いです。
特急にちりんシーガイアは、途中の小倉で進行方向を転換します。宮崎空港・宮崎よりの1号車はグリーン車となっています。この特急にちりんシーガイアに使われる787系には、グリーン個室があります。グリーン個室のレビューなどについては、YouTubeなどを見ているとたくさんあるので気になる方は見てみてください。
特急にちりんシーガイアの場合、2号車が普通車指定席で、3号車から6号車が普通車自由席となります。一部の特急「にちりん」では3号車が普通車指定席となることもあります。特に繁忙期でなくかつ、複数人での旅行であれば3号車がオススメ。コンパートメント座席が自由席として解放されています(後ほど詳しく解説します)。
最大の需要があるのは小倉〜博多
特急「にちりんシーガイア」が走る区間のうち最も端の区間である、小倉から博多の間では通勤需要が大きいです。JR九州は「ホームライナー」などは走らせていない代わりに特急料金が安いため、自由席を多くしておくことで着席保証に近い形で利用する通勤客の便宜を図っているものと思われます。
この区間は、30分に1本程度とかなりの本数を誇る特急「ソニック」が走っています。特急ソニックや特急にちりんも一部の車両が、小倉〜博多間では指定席が自由席に変更されます。
特急にちりんシーガイアは、早朝と深夜に走るため需要が極めて大きいわけではありません。それでも一定の通勤需要があり、自由席でも混雑することがあります。
大分〜延岡〜宮崎は比較的空席が目立つ
特急ソニックの終点ともなっている大分。大分から旭化成の城下町として知られる延岡を通り、宮崎までの間は比較的空席が目立ちます。この区間は沿線人口が圧倒的に少なく、宗太郎峠など普通列車が極端に少ないエリアもあります。宗太郎峠のエリアでは、僕が乗った際(上りの特急にちりんシーガイア)は1両に5人程度しか人がいませんでした。
また、宮崎から宮崎空港の間は、乗車券だけで特急列車の普通車自由席に乗車することができる「特例区間」となっています。宮崎空港へのアクセス路線としての役割を持っているため、宮崎から宮崎空港の間では乗客がかなり多いです。一方、特例区間を抜けると乗客は少なくなります。
この区間ではもともと、普通車指定席の方がかなり車両数が少ないこともあり、普通車指定席の方が混雑する傾向にあります。JR九州の特急列車ではよく見られる光景です。そのため、あえて指定席を確保する必要はないのではないか、と思います。
特急「にちりんシーガイア」の車内の様子を紹介
続いては特急「にちりんシーガイア」の車内の様子を紹介します。JR九州では各地で走る「787系」が使用されています。
詳しくはこちらの記事でも紹介していますので、ご覧ください。
普通車の車内の様子-座席は落ち着いた雰囲気
特急「にちりんシーガイア」に使われるJR九州787系特急電車の座席は、薄い構造ながらも快適性が担保された座席です。元々はJR九州の看板特急として博多〜熊本〜鹿児島間の特急「つばめ」で使われていただけあって、かなり快適です。
リクライニングが使えて、フットレストも使える。そして、座席のテーブルも使えます。前の座席の背面に設置されているタイプの座席です。
テーブルでは、パソコン作業などもそこまで大変ではありません。ただし、新幹線などと比べてやや細長なテーブルとなっているので、書類などを大量に広げて確認、ってことは新幹線と比べると難しいんじゃないかなと思います。
なお、コンセントは一部の車両、原則として2号車(大抵の場合は普通車指定席)のみにあります。また、787系には2023年現在、車内でのWi-Fiサービスは整備されていません。
また、普通車にも読書灯が配置されています。すぐ横の、この写真でいうとすぐ右側のちっちゃな黒い丸の部分にスイッチがあります。このスイッチを操作して読書灯をつけたり消したりすることができます。
3号車には座席間隔が広い普通車と個室タイプの普通車も
元々この787系は特急「つばめ」として、博多から鹿児島の間を運転されていました。現在、九州新幹線が通っている区間です。
特急つばめとして運転されている際、3号車は半分が個室に近い(厳密には扉があるわけではないので個室ではない)セミコンパートメント座席、残りの半分が食堂となっていました。現在では、食堂がなくなっています。
なお、この3号車にあるコンパートメント座席が自由席となるのは「にちりん4号の土曜・休日と6号・にちりんシーガイア5・18号」(2021年9月現在)です。これ以外の列車では指定席となり、3人以上での利用に限定されます。また、自由席として運転される際は、名前の通り「自由席」ですので他の方と相席となる可能性があります。
特急にちりんシーガイアは、特に上りの博多行き列車において、通勤客が比較的多い小倉=博多間で帰宅時間帯と重なります。帰宅ラッシュにストライクではありませんが、小倉から乗ってくるお客さんは多いように思いました。
なんと787系が使用される一部の特急列車では普通車自由席として運転されています。つまり、「コンパートメント座席として、プライベートな空間は約束しないけど自由席特急券で使っていいよ」ってことですね。
このセミコンパートメント座席、日本国内最長の昼行特急である「特急にちりんシーガイア」でも自由席として運転されています。コンパートメント座席は当たり前に指定席だろうと思っていて僕は使わなかったのですが、まさかのこの座席は自由席です。自由席特急券で乗れてしまうのです。それも博多から宮崎空港までの5時間以上、自由席特急券で個室に乗れてしまう。恐ろしい、JR九州の特急です。
中央には大きなテーブルがあります。この写真は折り畳んだ状態で、このままでも使えます。もちろん、広げればもう少し大きなテーブルとなっていろいろ広げることができます。グループでちょっとお酒とおつまみを広げて、ってことだってできます。
さらにこの3号車は残りの半分も特徴的な座席になっています。
デビュー当時の、食堂車だった頃を思い出させる、レストランのような構造の入り口になっています。
3号車は元々は食堂車だったので、天井がドーム状になっています。全席グリーン車となっている特急「36ぷらす3」では、ここが再度食堂車として活用されるようになったそう。
この車両は、グリーン車よりシート間隔が広い普通車として有名です。網棚がないため、大きな荷物を含めて足元に置くようにとの配慮から座席間隔が広げられているようです。
また、元々はビュッフェスペースとして用意された空間であるため、特徴的なドーム型天井があります。他の車両と比べて、開放感のある車内空間になっています。
お手洗いや自動販売機などの車内設備も充実!
座席以外の車内の設備もご紹介していきます。
JR北海道はJR九州よりさらにロングラン特急が多いですが、自動販売機は無かったりします。それを考えるとJR九州が、車内販売は中止したものの自動販売機を維持しているのはいいことだと思います。2022年春のダイヤ改正で、JR九州在来線の特急列車および新幹線から自動販売機が撤去されました。個人的に“安心感”としてバストの差別化を考えて評価していただけに残念です。
お手洗いの様子です。トイレは、おそらくこの車両がデビューする頃から同じものを、綺麗に整備して使っているようでそこまで新しくはありません。
広々としたお手洗いでありながらも、少し古さを感じさせるのもまた、事実です。
洗面台周りには木が使われています。この辺りはJR九州らしく、列車1つでも遊び心がありますね。
ぐるっと九州きっぷなどのフリー切符を使えばお手頃に乗れる!
JR九州は、特急料金が他のJR各社と比べて安いです。新幹線特急料金こそはそこそこ高くなるものの、在来線特急は総じて安い。
新幹線との乗り継ぎ割引を採用していないJR九州は、特急や新幹線通勤を促進するために比較的安い特急料金を設定しています。特急にちりんシーガイアの主要区間における自由席特急料金は、
となっています。宮崎からであれば、博多までも小倉までも特急料金が変わらないと言うのも驚きですが、とにかく安い。
さらに、JR九州が発売している魅力的な企画乗車券として「ぐるっと九州きっぷ」があります。このきっぷは、14,300円で3日間JR九州全線が乗り降り自由となります。JR全線が乗り降り自由となる「青春18きっぷ」とは違い、別途特急券を購入することで特急列車や新幹線にも乗車することができてしまうお得なきっぷです。このきっぷを利用すれば、名前の通り「ぐるっと九州」を一周することだってできちゃいます。
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