名古屋と大阪を結ぶ名阪特急を走らせる近鉄特急。近鉄の名阪特急「ひのとり」をはじめとした特急列車については過去に記事で紹介してきました。この記事では、
- アーバンライナーの車内設備がわかる
- アーバンライナー・レギュラーシートの座席の設備がわかる
- アーバンライナーにどこで乗ることができるかがわかる
ような記事になっています!
アーバンライナーについては、デラックスシートについてもまとめてあります。こちらも合わせてご覧ください。
かつての名阪特急の顔は、ゆりかご型シートで快適な車内
名阪特急の顔として30年以上にわたって走り続けているアーバンライナー。今ではその座を最新の特急「ひのとり」に譲りましたが、それでもなお名阪間をはじめとした各路線で走っています。
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近鉄としては特急列車に初めて、特別料金を徴収する「デラックス車両」をつけた列車でもあります。この記事ではレギュラー車両(通常の乗車券+特急料金のみで乗ることができる)について解説します。
デラックス車両の様子については、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧いただければと思います。
コンセントとWi-Fiも設置!テーブルもそんなに大きくはないが…
近鉄特急には、最近ではコンセントが付いている車両が圧倒的に多くなってきました。
最近の名阪特急「ひのとり」には全席コンセントが付いています。伊勢志摩方面の特急である伊勢志摩ライナーは、レギュラーシートには2席に1つであるもののコンセントが付いています。汎用特急として走っているAce(22000系)にも全席コンセントが付いています。
アーバンライナーについても2021年から2022年にかけてコンセントなどの設置工事が行われました。デラックスシートについては全席に、レギュラーシートについては窓側の部分にコンセントが設置されました。また、車内にはWi-Fiが整備され、全席で利用できるようになりました。
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コンセントは後付けされたため、どうしてもここしかなかった、という様子がとてもよく見てとれます。近鉄がシートを新造するのであれば、必ずシートのどこかに設置してる傾向にあります。
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テーブルはこんな感じ。お世辞にも、広いテーブルとは言えませんね。パソコン作業はできるにはできますが、パソコン一台がなんとか置ける程度の広さです。
窓側に飲み物のペットボトルなどをおくことができるスペースが確保されています。おそらくこれは意図的な配慮と思われます。のちに増備された車両である「アーバンライナーネクスト」は、窓側に飲み物が置けないためわざわざドリンクホルダーが装備されているほどです。テーブルはやや狭いとはいえ、リクライニングを倒してでも作業ができる、肘掛けから出てくるタイプのテーブルは僕は嫌いではないですがね。
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Wi-Fiの設備も2021年7月現在はありません。そもそも近鉄は、車内Wi-Fiの整備がかなり遅れた会社でもあります。最初についたのが観光特急「しまかぜ」(2013年)でした。その後、2020年デビューの名阪特急「ひのとり」にもWi-Fiが装備されました。
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その後、現在運用中の特急列車についても「伊勢志摩ライナー」と「アーバンライナー」にWi-Fiの設置工事を行い、特急へのWi-Fi設置を始めました。今後は、多くの列車でWi-Fiが利用可能になるはずなので、快適性が向上することが期待できます。
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実際に四日市駅付近で計測した結果です。列車内のWi-Fiは、列車がどこを走行するかによっても異なるため一概には言えませんが、アーバンライナーのWi-Fiは比較的満席に近い状態であっても、しっかりとした速度が出ていると言えそうです(設置された車内機器はそれなりに強いようです)。
ゆりかご型シートは快適そのもの!
アーバンライナーのレギュラーシートの1番の魅力は、ゆりかご型になっている座席シートです。
座席の形が、左右から包み込むように曲面になっています。この曲面がなかなか快適なのです。このアーバンライナーがデビューした時期から考えるとすごいことに、座面もちゃんと前にシフトするのです。最新の特急「ひのとり」と比べて座面はやや硬いですが、それでもなかなか快適です(座面の硬さが気になることはあまりありません)。同じアーバンライナーの1号車にあるデラックスシートと比べても謙遜のない快適性です。
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なお、2023年に一部の編成で座席のデザインがリニューアルされました。モックアップの変更(布地面の更新)であり、座席自体に変更はないようです。
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リクライニングを最大の角度まで倒すとこんな感じ。かなり倒れます。
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リクライニングもそこそこの角度までできます。ただし、ひのとりとは違ってバックシェルがないので、後ろの座席にお客さんがいる時は配慮せねばなりません。リクライニングを最大まで倒すと、パソコン作業などに支障をきたすくらい倒れてしまうので僕は途中までしか倒しませんが笑
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最新鋭の特急「ひのとり」にも劣らないレベルの揺れの少なさ
近鉄はJR在来線などとは違い、新幹線と同じサイズの線路幅を採用していることもあり揺れはかなり少ないです。最新の名阪特急「ひのとり」では、特にプレミアムクラスにおいてかなり優秀な揺れ防止が導入されました。ひのとりプレミアムシートの乗車記は別途公開していますが、電車に乗っていることを忘れさせるレベルの快適性です。
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アーバンライナーはそこまでではないもののかなり揺れは少なくなっています。ひのとりのプレミアム車両とは違い、物を書いたりするのはやや難しいところがありますがパソコン作業くらいであれば全くもって問題はなく、食事などをするのであれば全然気にならない揺れです。
車内には充実した共用設備
近鉄特急の魅力として、新幹線にも劣らない供用設備があることが挙げられます。特にひのとりでは休憩スペースやコインロッカーなどといった設備も実際に装備されましたが、アーバンライナーには特にそういった設備はありません。
先頭車両からは前面展望も楽しめる!
近鉄特急、特に列車愛称がつく特急列車では、前面展望が楽しめるよう配慮されている車両が多数あります。アーバンライナーも、先頭車両のデッキから流れゆく景色を楽しむことができます。
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名古屋方面行きの場合、先頭車両がデラックス車両になるためデラックス券を持っているお客さん以外の立ち入りが不可能です。ただ、名古屋発の大阪難波方面・伊勢志摩方面の列車では、レギュラーシートが先頭車両になるため、どの座席の特急券でも前面展望を見に行くことができます。
お手洗いも広々して使いやすい!
最近では、新幹線のお手洗いもかなり充実してきましたが、近鉄特急アーバンライナーのお手洗いも充実しています。
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概ね、2両につき1ヶ所を目安にお手洗いが設置されているため、お手洗いを利用するために遠くの車両に行かねばならない、なんてこともありません。
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お手洗いは、壁など周りの設備こそデビュー当時のままです。しかし、便座などは最新のものに交換されています。
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さらに、近鉄特急ではウォシュレットの導入を進めています。個人的な列車トイレの判断基準として「お手洗いがあるか否か」が判断基準なため、これはかなりGoodなポイントです。
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一部の車両では、伊勢志摩ライナーなどと同様のウォシュレットも導入されています。スイッチを押す力で発電するタイプで、電池交換が不要なタイプのウォシュレットスイッチです。
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近鉄特急のお手洗いは、なんと言ってもしっかりしています。駅など地上のお手洗いと同レベルのお手洗いが、車内でも提供されている点が素晴らしい。
電車内のお手洗いでよくあるプラスチック製の便器ではなく、ちゃんとした陶器製の便器があ、お手洗いの数も2〜3両に1つづつあるためよっぽど並ぶこともない。
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もちろん、洗面台もあります。近鉄特急ならではのおしぼりのサービスもあり、アーバンライナーではアテンダントさんが乗務しているわけではないので配ってくれるわけではありませんが、ここお手洗いの洗面台やデッキへ行くと自分で取って持っていくことができます。
近鉄特急ならではの喫煙室も→廃止
2024年3月1日(金)から、特急列車内の全ての喫煙室を廃止されました。近鉄特急ではすべての特急列車に喫煙室が完備されていましたが、東海道新幹線の喫煙室とほぼ同時に喫煙室が廃止されることになりました。
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今後、この喫煙ルームをどう活用するかは不明です。車内販売を停止したことによって、車内販売準備室も空いているはずです。ここをなんとか活用して、何かしらサービスアップに繋げて欲しいところです。
名阪特急の顔・アーバンライナーは伊勢志摩方面へも
アーバンライナーは昨年ごろまでは、名阪特急としての運用がメインであり、間合い運用として近鉄奈良方面へも乗り入れていました。今では、名阪特急に加えて伊勢志摩方面へも乗り入れるようになりました。
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現在は名阪特急は全て「ひのとり」または「アーバンライナー」で統一
2021年春をもって、新型名阪特急「ひのとり」の導入が完了して名阪甲特急と呼ばれる、速達型の名阪特急は全てひのとりに統一されました。特急「ひのとり」が、大阪難波-大阪上本町-鶴橋-津-名古屋と、大阪=名古屋間では津にしか停車しないのに対し、アーバンライナーは主要駅に停車していきます。
主要駅に停車するタイプなので、ひのとりに比べてやや時間はかかります。10分〜最大25分程度所要時間が長くなりますが、それでも後続の「ひのとり」に追い越されることはありません。名古屋駅に行ったら、大阪難波駅に行ったら、そしたら次の名阪特急がアーバンライナーだった、そういった時は僕も迷わずアーバンライナーを使います。
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初期から走る「アーバンライナープラス」と増備された「アーバンライナーネクスト」
アーバンライナーには2種類の車両があります。アーバンライナーが登場した当時から走っているのが「アーバンライナープラス」です。「アーバンライナープラス」は、座席などの改良工事を行なった車両です。一部の車両を改良工事に回すために不足分を追加で導入したのが「アーバンライナーネクスト」です。
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現在、これらは完全に共通で運用されているため、狙って乗ることは難しいです。
名阪特急として走りながらも伊勢志摩方面にも走るようになったアーバンライナー
新型の名阪特急「ひのとり」がデビューしたことに伴い、アーバンライナーは名伊特急(名古屋と伊勢志摩(宇治山田・鳥羽・賢島方面)を結ぶ特急)にも使われるようになりました。
これにより玉突き的に、50年以上近鉄特急として走り続けた「スナックカー」が引退することになります。近鉄特急の顔が名阪特急ですから、どうしてもそれ以外の、特に名伊特急などはお下がりの特急列車が使われがちなんですね(伊勢志摩方面も、やはり名古屋からより大阪方面からの方が収益性が高いと思われます)。
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2020年3月に最新の特急「ひのとり」がデビューして名阪特急の顔はアーバンライナーからひのとりへと変わりました。だからといってアーバンライナーが廃車されたわけではありません。アーバンライナーは名阪特急としては過剰になったため、今では名伊特急(名古屋⇄伊勢志摩方面を結ぶ特急)にも使われています。賢島から名古屋への特急でもアーバンライナーに乗る機会が得られるわけです。
近鉄のチケットレス予約などでは、名阪特急以外でも「アーバンライナー」と表示されます。デラックスシートがある特急であるとの表記なのでしょう。もちろん、名阪間以外でもデラックスシートを購入することができます。実際僕も、伊勢中川から名古屋までアーバンライナーのデラックスシートに乗ったことがあります。
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快適な車両がいっぱい!近鉄特急
今回は近鉄特急・アーバンライナーのレギュラーシートに注目して記事を書いていましたが、これ以外にも近鉄特急には魅力的な車両がたくさん走っています。新型特急・ひのとりや伊勢志摩方面の「伊勢志摩ライナー」。そして、観光特急として「しまかぜ」や「青の交響曲」なども走っています。
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また、ビジネス需要を見据えて汎用特急と呼ばれる、通常の特急も走っています。これらの特急もかなり座席は快適です。近鉄特急を使って、快適な移動をしてみませんか。
このブログでは、近鉄特急についてはほぼ完全に網羅して、まとめてあります。他の記事も気になる方は、こちらのページからご覧ください。
また、Vlogも撮影・投稿していますので、併せてご覧ください。
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