旧高千穂鉄道線の廃線跡を使用し、絶景アトラクションを運営する「高千穂あまてらす鉄道」。日本の鉄道としては最高の高さを誇った高千穂鉄橋からの景色はまさに絶景です。
高千穂の観光スポットについてはこちらの記事で解説しています。この記事では、この「高千穂あまてらす鉄道」の乗り方や景色などに絞り、徹底的に紹介します。
高千穂観光へ行くなら絶対!高千穂あまてらす鉄道
高千穂あまてらす鉄道は、高千穂峡から絶景を眺めることができる。高千穂観光へ行くなら必ず乗りたいアトラクションです。
高千穂鉄道の廃線を活用したアトラクション「グランドスーパーカート」
今回紹介する「グランドスーパーカート」は、高千穂鉄道の廃線跡を利用したアトラクションです。実際に昔は列車が走っていた線路です。
先頭には空港で荷物を飛行機まではこぶためにカートを引っ張る「トーイングカー」を改造して使用。最近ではバイオ燃料を使用するようになり、環境にも優しいものになっています。
グランドスーパーカートは、窓がないどころか屋根がない。本当に吹きさらしです。この吹きさらしのベンチに座り、のんびりと眺める高千穂の景色は最高です。
グランドスーパーカートの旅は、約30分。30分間で高千穂鉄橋までの区間を往復します。
高千穂駅は今でも、国鉄時代の面影を残しています。ちなみに、グランドスーパーカートに乗車しない場合、駅構内に入るためには100円の入場券が必要です。
高千穂峡から車で10分で高千穂駅へ
今回紹介している高千穂あまてらす鉄道は、高千穂で最大の観光地である高千穂峡からすぐです。車で10分ほどの場所にあります。
高千穂峡は手漕ぎボートなどが人気。渓谷が作り上げる景色はまさに絶景です。
高千穂峡から高千穂駅までは車で10分ほどですが、途中にはかなり急な坂道もあるため、歩いて移動するのはなかなか体力が必要です。高千穂峡から高千穂駅(高千穂あまてらす鉄道)までは、バスを利用するのが良いでしょう。
高千穂鉄橋の最高地点(105m)ではきれいなシャボン玉も
高千穂あまてらす鉄道の最大の見どころはなんといっても、鉄道橋として最高の高さを誇った高千穂鉄橋です。現在、この高千穂あまてらす鉄道は「アトラクション」(=遊園地)扱いのため、鉄道橋には数えられていません。
高千穂鉄橋の上では、シャボン玉を飛ばしてくれます。ちゃんとした機械式のもので、多数のシャボン玉を飛ばしてくれます。風の状況によってはすぐに飛んでいってしまいますが、ちょっと風がおさまったときのシャボン玉の飛び具合はなかなか美しいです。
高千穂あまてらす鉄道は現在、アトラクションとして営業しているのでこのようなことにも積極的なんですね。
高千穂あまてらす鉄道の乗り方や料金・時刻表などを解説
ここからは「高千穂あまてらす鉄道」の乗り方や料金・時刻表などを解説していきます。
料金と乗り方 予約はできない
まずは料金です。高千穂あまてらす鉄道の料金は次のようになっています。
- 高校生以上 1,800円
- 小・中学生 1,100円
- 未就学児 600円
高千穂あまてらす鉄道はアトラクション扱い、すなわち途中下車や片道利用などができません。高千穂駅から高千穂駅までの利用のみで、それ以外の区間での利用はできません。
2023年現在、グランドスーパーカートは個人での利用の場合予約ができません。当日窓口でチケットを買うのみで、チケットが売り切れていた場合、乗ることができません。
実際、十分なチケットが用意されているので売り切れることはほとんどないようですが、予約ができないのは観光アトラクションとしてはやや痛手です。団体利用の場合に限定して予約できるようになったようですので、このまま予約システムを導入し予約できるようにしてほしいところです。
グランドスーパーカートに乗車しない場合、入場のみは入場料100円がかかります。なお、グランドスーパーカートに乗車する場合、特に追加料金などなく駅構内の列車などを見学することができます。
グランドスーパーカートの時刻表 1日10便が運転される
グランドスーパーカートの時刻表です。グランドスーパーカートは減速、1日10便が運転されています。
グランドスーパーカート時刻表 | |||
---|---|---|---|
臨時便 | ※9:00 | ||
第1便 | 9:40 | 第2便 | 10:20 |
第3便 | 11:00 | 第4便 | 11:40 |
第5便 | 12:20 | 第6便 | 13:00 |
第7便 | 13:40 | 第8便 | 14:20 |
第9便 | 15:00 | 第10便 | 15:40 |
臨時便 | ※16:20 |
初便が朝9時40分、最終便が15時40分です。これ以外に、団体の予約があった場合、始発便の前または最終便の後に臨時便が運転されることがあります。
臨時便の運転有無については、高千穂あまてらす鉄道の公式サイトをご確認ください。
高千穂鉄道TR-200形気動車「TR-202」
高千穂あまてらす鉄道ではさらに、列車の運転体験を行なっています。台風で廃線となる前にこの区間を運転していた「高千穂鉄道」で運用されていたTR-202の体験運転を行なっています。
2ヶ月に1回程度の定期開催では、1日10名限定で12,000円です。実際の列車を運転することができる、貴重な機会です。
なお、普段はこの車庫を見学することができます。今回の記事で紹介している「グランドスーパーカート」に乗車される方は追加料金なしで自由に車庫に入ることができます。グランドスーパーカートに乗車しない場合、入場券100円が必要になります。
実際にすぐ近くまで行くことができるのがとても魅力的です。実際に使われていた車両であり、一部は他の第3セクターに売却されていたりします。
ちなみに、JR九州の日南線で運転されている観光特急「海幸山幸」では、高千穂鉄道のトロッコ列車が原型となっています(この車両は完全にJR九州に売却されたため、現在、高千穂あまてらす鉄道にはありません)。
高千穂あまてらす鉄道「グランドスーパーカート」に乗ってきた
実際にグランドスーパーカートに乗ってきました。写真を交えて、その様子を紹介します。
グランドスーパーカートは高千穂駅から発車
グランドスーパーカートは、先ほども解説した通り高千穂駅から乗り、高千穂駅で降りることになります(出発と到着が同じでないと「アトラクション」扱いにできず、鉄道の法律に則った安全対策や整備などが必要となるため)。
グランドスーパーカートがやってきました。2両編成のカートです。
グランドスーパーカートは到着後、次の便までに整備を行います。スタッフの方が車内に消毒をかけ、整備をしてくださいます。
グランドスーパーカートは、座席のみが設置されたシンプルな構造です。なお、安全上の理由から雨であっても傘などを使うことはできません。日傘も同様です。
JR西日本の新幹線各駅で聞くことができる「ひかりチャイム」を耳にしながら、グランドスーパーカートは高千穂駅を発車します。
高千穂駅を発車します。駅のスタッフさんたちが手を振って見送りをしてくださいます。
のどかな風景とトンネルではライトアップも
グランドスーパーカートは、高千穂駅を発車します。発車して早々のどかな景色の中を走っていきます。
高千穂エリアは比較的山地にあるため、僕たちが利用したのは9月初めでしたが涼しい。そして風が心地よい。
グランドスーパーカートはトンネルへと入ります。高千穂鉄橋までの区間には、2本のトンネルがあります。
トンネル内では、天井にライトアップをしてくださいます。トンネル内は涼しく、真っ暗ですがトンネルをも活用するのがさすが観光鉄道です。
トンネルを抜けた時の緑と青い空が、なかなかいい感じの絵になります。
1つ目のトンネルを抜けると、進行方向左側に「荒立神社」が見えてきます。芸能の神様を祀っている神社です。
グランドスーパーカートは再びトンネルへ。2回目のトンネルです。
だんだんと壮大な景色になってきました。グランドスーパーカートは、高千穂の大自然を感じながら進んでいきます。
列車は木をかき分けて進んでいきます。この辺りはとてもいい感じで、雰囲気があります。
コンクリートで作られた谷間。コンクリートで作られた壁には植物が生えており、最近はあまり手入れされていないようです。
この、都会ほどの人工物感がない、でもちょっとした人工物。これがなかなかいい感じですね。
天岩戸駅が見えてきました。JR九州・高千穂鉄道時代は高千穂駅から1駅の場所にあり、グランドスーパーカートが通る唯一の途中駅でもあります。
現在、ここ天岩戸駅は乗り降りすることができません。ただし、天岩戸駅のすぐ先にある高千穂鉄橋を渡るために、風速を確認する必要がある。そのため、ここ天岩戸駅のホームで一旦停車します。
天岩戸駅のホームは、苔などが生えています。待合室こそ、高千穂あまてらす鉄道の道具置き場として使用されているものの、ホームにはあまり人が立ち入っている様子はありません。
高さ105mの高千穂鉄橋へ
高千穂鉄橋は、105mの高さを誇る鉄橋です。強風が吹いていると危険なため、風速によっては高千穂鉄橋を渡ることができません。ここで確認をします。
一旦停車して風速を確認。大丈夫そうなので、列車は進みます。
日本の原風景とでもいえそうな、広大な景色が広がっています。高い崖があり、その両サイドに棚田。本当に、絵になります。
高千穂鉄橋を渡り始めました。最初のうちは、田畑などが多い感じです。そのすぐ先が崖というのがやっぱり、面白い。
列車は、川の上の部分までやってきました。最初のうちはちょっとわかりにくかった、高千穂鉄橋の高さがだんだんとわかってきます。
グランドスーパーカートは、高千穂鉄橋を渡っていきます。天気が良ければこんなにも壮大な景色を楽しむことができます。
グランドスーパーカートは、高千穂鉄橋上で停車します。高千穂鉄橋で停車中は、グランドスーパーカートの車内で立ち上がって写真などを撮ることができます。
グランドスーパーカートの車内からは壮大な景色を楽しむことができます。高千穂鉄橋からは、遠くに高千穂の市街地が見えているのもなかなか良い。
下を見下ろしてみると、かなりの高さがあるのがよくわかります。なかなかスリリングな景色です。
グランドスーパーカートが停車している間は、車内で自由に立つことができるので、反対側の様子も撮影できます。
運転手さんによって、シャボン玉の演出があります。
シャボン玉がこれまた美しい。なかなかいい感じです。風があるとすぐに遠くに飛んでいってしまいますが、風がややおさまっているときは本当に美しい。
遠くに飛んでいくシャボン玉が、なかなかいい感じです。高千穂の集落に向けて飛んでいきます。
鉄橋のうち、高千穂駅側に当たる部分には田畑があります。そして、この高千穂鉄橋と並行するように、道路橋がかかっています。
グランドスーパーカートには、車体の下部にも透明な窓になっている部分があります。高千穂鉄橋は鉄道用の鉄橋であるため、下がスケスケ。実際に真下を見下ろすこともできます。真下を見下ろしてみると、なんだか意外と高くなさそうな感じもする。
高千穂駅へと戻る
高千穂鉄橋で10分ほど停車した後、高千穂鉄橋を渡りきり反対側へ。高千穂鉄橋を渡り切った先には「大平山トンネル」があるのですが、このトンネルがとても長い。2938mあり、長さとしてはここまで走ってきた高千穂駅から高千穂鉄橋の間の距離と同じくらい。このトンネルの先の深角駅までは線路も続いているのですが、あまりに長いという理由からグランドスーパーカートは運転されていません。
高千穂鉄橋を渡り切ったところでグランドスーパーカートは進行方向を変えます。高千穂鉄橋は通過し、高千穂駅を目指します。
列車は、高千穂駅を目指します。帰りは運転手さんによる解説放送などもほとんどなく、のどかな高千穂の街をゆっくりと走っていきます。
高千穂駅に帰ってきました。
高千穂あまてらす鉄道は、元々、高千穂峡の廃線跡を活用しています。国鉄時代に建設された「高千穂線」は延岡から高千穂へ、そしてその先さらに高森駅までを結ぶ計画でした。しかし、国鉄の財務悪化に伴い、建設は高千穂駅でストップ。JR九州に継承されてから、JR九州から廃線の話があり、第3セクターへ移行。台風の影響で不通となり、復旧せずに終わったものを、現在では観光鉄道として活用しています。
国内の各地方を回ってきましたが、利用者の低迷から廃止に至った路線(災害から復旧できなかった区間を含む)でここまで観光利用ができている鉄道は他にありません。
鉄道が役目を終えた地域において、その施設利用の先駆けとなるベク、今後とも、頑張ってほしい会社です。
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