北陸新幹線および上越新幹線の全列車で使用されているE7系・W7系。北陸新幹線の金沢開業と同時にデビューした車両で、日本海沿い方面へ向かう新幹線で使用されています。
そんなE7系・W7系新幹線の車内・座席の様子を、実際に使った際の体験を元に、隅から隅まで紹介していきます。
新幹線最高級の座席 E7系・W7系のグランクラス
まず初めに、最上位の座席であるグランクラスの紹介です。グランクラスについては過去に東京から金沢まで乗車、その記事はまとめてあります。
かなり贅沢な座席・サービスで移動することができるグランクラスは、出発から到着までが特別な時間になります。
車両でも入り口から、普通の新幹線とは全く異なる雰囲気です。東京駅から利用する場合、東京駅でラウンジも利用できます。
新幹線のファーストクラス・グランクラスは革張りの高級座席
グランクラスの座席は最高級の革張り座席になっています。座席の配列は、1+2列という、非常に豪華な配列になっています。
そして床はグリーン車より豪華な、紫色のカーペット敷になっています。「日本建築の美しさ、漆塗りの深い色彩などを取り入れ、上質でゆとりを感じられる空間」(JR西日本公式W7系紹介サイトより)となっています。まさに、高級感の溢れる車内空間です。
グランクラスの座席の様子です。かなり重厚感のある作りになっています。座席自体の幅もかなり広くなっています。
1人がけの座席があるのも、グランクラスの特徴です。東京発の列車では進行方向右側に、東京方面の列車では進行方向左側に1人がけの座席があります。
電動リクライニングでベッドに近い状態に
グランクラスでは、電動式のリクライニングが採用されているのも大きな特徴です。電動リクライニングを利用することで、ベッドに近い状態になります。
リクライニングは全体を「おこす」「たおす」など操作できるほか、背もたれ、座面、レッグレストそれぞれを操作することもできます。
座席は最初はこんな感じ。この姿勢であれば、車内で食事をとったりパソコン作業をしたりするのにも快適な角度。
そしてリクライニングを倒すとこの状態。飛行機のビジネスクラスなどとは異なりフルフラットにはなりませんが、全身を包み込むような、かなり快適な姿勢になります。
グランクラスでは、全席にバックシェルが完備されています。バックシェルが完備されているのはグリーン車との大きな違い。後の人を気にせず、自由にリクライニングを使うことができます。
全席にコンセントを完備 広々としたテーブルも
グランクラスではもちろん、全席にコンセントが完備されています。肘掛けの部分に完備されているので、パソコン・スマートフォンどちらでも利用できます。
各座席の肘掛けの前にあります。各座席に1つづつです。普通車でも全席にコンセントが設置されているのがE7系・W7系。グランクラスは各座席2つくらいは欲しかったな、と思ったり。
また、各座席にはテーブルがあります。グランクラスでは座席間隔が広いため、テーブルは前の座席背面ではありません。折りたたみ式なので、物を書いたりするには向いていないかも。
また、グランクラスでは各座席に読書灯が完備されています。高級感のある車内空間、手元が暗い時は読書灯を利用することができます。
また、グランクラスでは窓枠の部分に飲み物などを置くことができません。そのため、各座席の肘掛けの部分に飲み物を置くことになります。このドリンク置きは開くこともできます。
グランクラスでは食事の提供やアメニティも
一部の列車のグランクラスでは、食事の提供も行われます。北陸新幹線「はくたか」において2020年9月をもって、アテンダントによるサービスが終了しました。これにより、E7系・W7系のグランクラスで食事などのサービスを受けられるのは「かがやき」号のみとなりました。
なお、上越新幹線「とき」「たにがわ」号、および北陸新幹線「あさま」「つるぎ」号ではグランクラス導入当初より、アテンダントによるサービスは行われていません。
座席にはスリッパなも完備されています。車内ではスリッパで過ごすことができるため、とても快適です。
実はとても快適なE7・ W7系のグリーン車
続いてはグリーン車の車内の紹介です。グランクラスが設けられたことによりグリーン車があまり注目されませんが、グリーン車も実はかなり快適です。
グランクラスが「豪華絢爛」であるのに対して、グリーン車は「和風で落ち着いた空間」になっています。
グリーン車は2+2の座席配列でかなり快適
グリーン車は2+2の座席配列となっています。新幹線のグリーン車としてはスタンダードな座席配列で、グリーン車らしくかなり余裕のある座席間隔・幅になっています。
グリーン車の車内の様子です。JRも「様式美の和」と称しているように、和風な、落ち着きのある空間、そして貴賓のある空間になっています。
グランクラスだけではなくグリーン車についても、リクライニングは電動になっています。東海道・山陽新幹線の最新車両であるN700S系でも電動ではないことと比べるとかなり良い。
2人がけの座席の最初の状態はこんな感じです。グランクラスとは異なり、バックシェルなどはありません。
リクライニングを倒した状態です。シートは背もたれと座面が連動するため、かなり包容感があります。
グリーン車でも全席にコンセントを設置 大きなテーブルも完備
グリーン車ももちろん、全席にコンセントが装備されています。2人座席の間、肘掛けの部分にコンセントが設置されています。
スマートフォンなどを充電するのには便利な位置です。が、グリーン車ではテーブルが前の座席背面にあるため、パソコンの充電ではやや使いにくいのも事実です。
テーブルはこのように座席の背面に設置されています。テーブルの背面には座席の使い方などが簡単に、書かれています。
テーブルを広げるとこんな感じです。パソコンを広げたり、書類を広げたりすることもできる大きなテーブルです。
グリーン車は座席の間隔もやや広いため、テーブルは手前にスライドできるようになっています。これは便利。
読書灯や窓枠の物置は実用性を重視
グランクラスとは異なり、読書灯はシートに内蔵されたタイプになっています。実用性が重視されています。
また、各座席には飲み物を置くことができるドリンクホルダーがあります。コップの飲み物などがあっても置くことができるのは、とても助かる。
また、東海道・山陽新幹線のN700S系などと同様に、窓枠には飲み物などを置くことができる物置があります。
僕はここにスマートフォンを置いていました。東海道・山陽新幹線でも設置されていますが、この窓枠の物置はかなり助かる。
普通車にも可動枕、全席にコンセントを装備
最後に、普通車の車内の様子です。山陽新幹線で使用される列車とは異なり、普通車自由席と普通車指定席で座席の仕様は同じです。E7系・W7系は北陸新幹線・上越新幹線で幅広く運用されるため、同じ車両でも指定席として使用される場合、自由席として使用される場合があります。
普通車は2+3の座席配列 赤と黒を基調とした落ち着いた座席
普通車指定席は、2+3列の座席配列になっています。新幹線の車両としてはスタンダードな配列ですが、JR西日本の新幹線としてはちょっとグレードダウンしている。
赤色と黒色を基調とした、落ち着いた座席になっています。「シートに格子柄をあしらい、色彩豊かで明るく楽しさの感じられる空間としました」(JR西日本公式W7系紹介サイトより)とJR西日本は説明していますが、僕は落ち着きのある空間に感じます。
座席の様子です。3人がけの座駅は、中央の座席が少しだけ、幅が広くなるように設計されています。この辺りは東海道・山陽新幹線と同じです。
2人がけの座席の様子です。1人で利用する場合、こちらの2人がけの座席を使う人が多い。開放感がありすぎて、逆に落ち着きがない気もしますが、新幹線はどの車両でも同じです。
座面が沈み込むリクライニングも快適
新幹線の座席ですから当然、リクライニングの機能が全席に付いています。普通車は座席が薄いこともあって思っている以上に倒れます。
そして背もたれが倒れるとの同時に、座面が沈み込む機能も備わっています。これが、かなり快適です。
普通車はグリーン車などと比べて機能性を重視した座席になっていますが、その中でも工夫が見られ、とても快適な座席になっています。
広々としたテーブルと、全席にコンセントを設置
普通車にも全席にテーブルが設置されています、また、新幹線の普通車としては初めて、全席にコンセントが設置されているのも特徴です。
僕はブログ記事の執筆を行うため、新幹線などの移動時間でパソコン作業をすることが多いです。E7系・W7系の普通車は、パソコン作業などをするのにとても適した高さ・位置です。
iPad Air4(10インチほど)を置いた様子です。iPadを置いてもこの感じ。パソコンを置いても十分、余裕のあるテーブルです。
そしてコンセントも設置されています。窓側の座席には、足元の部分に設置されています、N700系やE5系と同じ配置です。
そして窓側の座席以外では、前の座席の下の部分にコンセントが設置されています。座席と座席の間に当たる部分に設置されており、中央席・通路側座席はこちらのコンセントを使用することになります。
普通車でも十分、快適な座席となっています。JR東日本とJR西日本、両者の技術を集結して作った新幹線です。
車内設備も充実 荷物置き場や広々としたお手洗いも
ここまで車内の座席の様子を紹介してきました。最後に各クラスに共通する荷物置き場やお手洗いなどの設備についても解説します。
車内には大きな手荷物置き場を設置
E7系・W7系が運用される北陸新幹線は首都圏から富山・金沢・福井方面へと向かう新幹線です。外国人観光客も多く利用します。上越新幹線もそれほどではありませんが、荷物が多いお客さんもいます。
普通車では、各車両の座席スペースにも荷物置き場が設置されています。スキー板等の固定用のベルトもあり、上越新幹線・北陸新幹線沿線のスキーに行くお客さんのことも配慮されていることがわかります。
普通車のお手洗いでも広い ウォシュレットも完備
E7系・W7系新幹線の車内のお手洗いも最新設備です。普通車のお手洗いであってもウォシュレットが完備されています。
しっかりしたお手洗いになっていて、かなり快適です。また、小さなお子様連れのお客さんでも使いやすいようなお手洗いもあります。
洗面台もしっかりあります。JR東日本系列の新幹線では、水・石けん・ハンドドライヤーが横に並んでおり、とても使いやすい。
グリーン車・グランクラスには専用お手洗いも
グランクラスおよびグリーン車には専用のお手洗いがあります。お手洗いの鏡なども普通車とは異なっています。
ただ、洗面台自体は普通車と同じです。水、石けん、ハンドドライヤーが並んだタイプの洗面台になっています。
また、普通車のお手洗いと比べて茶色をベースとしたお手洗いになっています。普通車より落ち着きのあるお手洗いの内部です。
北陸新幹線・上越新幹線で使用されるE7系・W7系
E7系、およびW7系はJR東日本とJR西日本が共同開発した新幹線車両です。北陸新幹線の金沢開業に合わせて投入され、北陸新幹線・上越新幹線で運用されています。
北陸新幹線向けにデビューしたE7系・ W7系 「かがやき」「はくたか」「つるぎ」「あさま」で使用
E7系とW7系は、北陸新幹線の長野〜富山・金沢開業を前に、JR東日本とJR西日本が共同開発した新幹線車両です。
2024年現在、臨時列車を除く北陸新幹線の全列車がこのE7系・W7系で運転されています。全席指定席の速達列車「かがやき」号から、北陸新幹線の停車タイプ「はくたか」号、首都圏から長野までを結ぶ「あさま」号、関西・中京圏から北陸へのアクセスを担う「つるぎ」号まで、全ての列車で使用されています。
「かがやき」は全席指定 普通車指定席と自由席は同じ座席
北陸新幹線E7系・W7系は、普通車の全ての車両で同じ内装の座席になっています。東北新幹線「はやぶさ」号と同様、最速達便である「かがやき」号は全車指定席となっています。
なお、東北新幹線「はやぶさ」、東海道新幹線「のぞみ」のように、「かがやき」の本数がめちゃくちゃ多いということはありません。かがやき号は1日10往復で、東京直通の列車は「はくたか」号と同等に、メインで設定されています。
なお、最速のかがやき号は、停車駅が金沢-富山-長野-大宮-東京となります。停車駅がかなり絞られます。
「かがやき」号と同じく東京まで直通するはくたか号。はくたか号には自由席が4両も設定されています。
最後に、富山〜金沢・敦賀の間を走り、北陸線特急「サンダーバード」「しらさぎ」と接続して京都・大阪・名古屋方面へのアクセスを担う「つるぎ」号です。敦賀延伸開業前は、12号車(グランクラス)および8〜10号車は使用不可として、1〜4号車を自由席、5〜7号車を普通車指定席、11号車をグリーン車として運転していました。北陸新幹線の敦賀延伸開業に伴い、全車両が利用できるようになりました。
上越新幹線「とき」「たにがわ」にも順次導入 W7系が上越に入ることはない
2019年よりJR東日本は、新潟方面へと向かう上越新幹線にもE7系を導入しました。E7系・W7系の台風による水没で途中、遅れが出ましたが、2023年のダイヤ改正では定期列車を全てE7系に統一しました。
上越新幹線はかつて、「中古の車両しか来ない」とまで言われた路線でしたが、現在では最新のE7系が投入されています。
なお、JR西日本が保有するW7系は、JR東日本が保有するE7系と運用が分けられているようです。そのため、ダイヤが大幅に乱れた際などを除いて、JR西日本・W7系が新潟方面へと入ることはないようです。
最高速度は275km/h E7系・W7系のカッコいいロゴも!
E7系・W7系は北陸新幹線で運用されることを前提に開発された車両です。北陸新幹線は「整備新幹線」という方式で整備されており、最高速度は260km/hです。
一方、上越新幹線の区間(大宮〜高崎)では2023年のダイヤ改正より最高速度が向上、275km/hとなりました。
E7系・W7系は最高速度が275km/hです。東海道新幹線のN700S系の最高速度が300km/h、東北新幹線のE5系・E6系の最高速度が320km/hであることを考えると、やや抑え目です。これは、運用される路線が北陸・上越新幹線しか想定されていないためです。最高速度が遅い一方、北陸新幹線の急勾配や電源の変更に対応できる設計になっています。
今回の記事では、JR東日本のE7系とJR西日本のW7系をまとめて「E7系・W7系」と紹介していますが、この2種類の新幹線には、
- 車体のロゴ下にある会社名
- 車内チャイム
にしか違いがありません。車体側面のロゴも同じで、その下に「JR EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」と書かれている車両がJR東日本所属のE7系、「JR WEST JAPAN RAILWAY COMPANY」と書かれている車両がJR西日本所属のW7系です。
E7系・W7系に乗車!〜北陸新幹線・上越新幹線のVlogも公開中〜
ここまで、E7系・W7系の車内の様子や車内設備の様子などを詳しく紹介してきました。今回紹介した、E7系・W7系に実際に乗車した際の様子は、Vlogでも紹介しています。
新幹線で最高級の座席を体験できるVlog『北陸新幹線グランクラス 最上級の新幹線ファーストクラスで東京から金沢へ』
グランクラスの様子です。東京から金沢まで、2022年12月に北陸新幹線「はくたか」号に乗り通して撮影しました。
東京駅でのラウンジの様子、そして北陸新幹線の車窓の様子などを紹介しています。この時はまだ、北陸新幹線の金沢〜敦賀間は開業していませんでした。
グランクラスについては、車内サービス・座席の様子などを徹底的に解説した記事を作成しました。こちらもご覧ください。
2024年敦賀延伸開業!速達「つるぎ」に乗車 『2024年3月 福井/敦賀延伸!北陸新幹線「つるぎ」速達便で敦賀・福井から富山へ』
2024年3月16日に新たに開業した金沢〜敦賀間についても早速、乗車してきました。今回の北陸新幹線延伸開業で設定された、速達の「つるぎ」号に乗車してきました。
北陸新幹線の延伸開業については、ブログ記事でも紹介しています。関西圏・中京圏からの直通特急がなくなり、乗り換えが必須となりました。
大阪・京都方面や、名古屋方面からは特急「サンダーバード」「しらさぎ」から乗り換えとなりました。
上越新幹線の最速達便「スーパーとき」でラクラク東京へ 『途中駅1駅 上越新幹線E7系 最速「スーパーとき」新潟→東京』
今回の記事でも紹介した通り、E7系・W7系は上越新幹線にも使用されています。上越新幹線「とき」号、特にその中でも停車駅が圧倒的に少ない列車に乗車しました。
上越新幹線が日本海側から首都圏へと駆け抜けていく車窓を紹介しています。途中、大宮にしか停車しない、新幹線の速達性を活かした列車です。
上越新幹線の割引きっぷなどについては、こちらの記事で紹介しています。ネットでの予約で割引を受けることもできます。
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