名古屋から四日市・津などを通り熊野古道がある熊野市などを経て新宮・紀伊勝浦へと向かう特急南紀。三重県を縦断する特急列車で、紀伊半島へのアクセス手段として機能しています。
この記事では、特急「南紀」の料金や停車駅、予約方法や自由席の混雑状況を解説。また、2023年から導入されているHC85系の車内についても解説します。
特急南紀は名古屋から紀伊勝浦までを結ぶ三重県縦断特急
まずはじめに特急「南紀」の料金や停車駅、そして予約方法や自由席の混雑状況などについて解説していきます。
特急南紀の料金と停車駅
特急「南紀」の主要区間の料金です。現在、特急南紀号は、普通車のみのモノクラスで運転されています。
区間 | 普通車自由席 | 普通車指定席 |
---|---|---|
名古屋~四日市 | 1,140円 | 1,770円 |
名古屋~津 | 2,270円 | 2,900円 |
名古屋~松阪 | 3,210円 | 3,740円 |
名古屋~尾鷲 | 5,680円 | 6,210円 |
名古屋~熊野市 | 6,450円 | 6,980円 |
名古屋~新宮 | 7,000円 | 7,530円 |
名古屋~紀伊勝浦 | 7,330円 | 7,530円 |
通常の乗車券・特急券の料金です。途中の四日市〜津において、JR線とは異なる会社「伊勢鉄道線」を通るため、伊勢鉄道線分の運賃・料金を含んだ価格になります。なお、JRの一部の企画乗車券(JAPAN RAIL PASSなどの乗り放題きっぷなど)では乗車できないので、注意が必要です。
特急「南紀」にはお得なきっぷも多数設定されています。割引きっぷを利用することでお得に利用することができます。
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」は、往復で特急「南紀」の普通車指定席を利用、そして現地でのJR線・バス路線の乗り放題がついたお得なきっぷです。
特急南紀を使って観光するなら、このきっぷを使わない手はないくらいお得なきっぷです。
また、「南紀特急回数券」は津駅より先(津〜紀伊勝浦)の特急停車駅間に設定されている回数券です。
主に三重県内で特急「南紀」を利用する場合に便利なきっぷです。グループ利用なども可能です。
特急南紀の予約はe5489が便利
次に特急「南紀」の予約方法です。JR線の特急列車は、全国のJR駅の窓口などで予約が可能です。また、ネットでの予約も可能。ネットでの予約はJR西日本の「e5489」がオススメです。
e5489では、座席表を見ながら座席を指定することができます。ただし、JR東海の区間(新宮〜紀伊勝浦の1駅利用の場合を除く)ではいわゆるe5489の「特典」が適用されません。変更はネット上で1回までとなります。
特急「南紀」号は、新宮〜紀伊勝浦の1駅間のみJR西日本の区間を通りますが、この1駅区間において2024年春のダイヤ改正より、ワンマン運転が行われることになりました。この1駅の区間に限っては、e5489でチケットレス特急券が利用できます。
特急南紀の自由席混雑状況 自由席には座れる?
最後に特急南紀の自由席混雑状況です。特急南紀は比較的座席に余裕がある特急列車でした。しかし、2022年頃から、最短2両編成で運転されるようになり、空席はやや少なくなってきました。
自由席はガラガラではないものの、そこまで混雑はしません。名古屋から新宮・紀伊勝浦などへ行く場合、比較的長距離の利用になるので指定席を購入しても良いでしょうか、短距離での利用であれば自由席でも問題ないでしょう。
名古屋〜津の区間のみの利用が少ないこと(この区間は並行する近鉄がかなり優勢)から、名古屋から乗車したお客さんの多くが、津より先まで利用します。つまり、名古屋〜津の間では乗降が少ない。そのため長時間乗ることになる乗客も多く、指定席を確保する人が多いようです。
したがって、繁忙期を含め、自由席でも窓側が空いておらずとも座れないということは少ないように感じます。
JR東海の最新の特急車両HC85系で運転
特急南紀は、2023年7月1日に全列車が新型車両HC85系に置き換えられました。特急「ひだ」に先行して投入されていた車両で、車内の快適性が大幅に向上しています。
JR東海が開発したハイブリット特急車両HC85系 最短2両で運転
特急「南紀」号は、主にJR東海区間を走ります。現在はJR東海のハイブリット特急車両HC85系で運転されています。
特急「南紀」は、基本的には2両編成で運転されます。
基本的には指定席が1両、自由席が1両の2両編成です。名古屋地区を発着する特急列車としては短いですが、編成が長くて本数が少ないよりはよっぽど使いやすい。
一部の繁忙期などや車両運用の都合で、4両編成で運転されることもあります。その際は指定席が3両とかなり増えるものの、自由席は1両のまま変更ありません。
特急「南紀」HC85系の車内の様子 明るい車内は最新の特急列車
続いて特急「南紀」に使われているHC85系の車内の様子です。HC85系は特急「ひだ」と統一されています。特急南紀では普通車のみが設定されているため、車内は全て同じオレンジ色の座席になっています。
車内はこの通り、オレンジ色を基調とした座席になっています。十分な高さがあり、照明も間接照明で明るいながらもやさしい色遣いになっています。
座席は東海道新幹線のN700SやN700Aとかなり統一されています。座席本体はN700系と同じ感じ、肘掛けの部分はコンセントを設置するためN700Sとほぼ同じ感じです。座り心地はキハ85系の時と比べてかなり良くなっているように思います。
各座席にはコンセントを装備 Wi-Fiも完備
各座席には大きなテーブルが設置されています。テーブルは、東海道新幹線とほぼ同じくらいの大きさがあります。
テーブルに貼り付けられている注意書きが、東海道新幹線ととても同じ感じです。
各座席には大きなテーブルが設置されているため、パソコン作業などもできます。お弁当やお酒を広げている人が多かったイメージです。
各座席には、肘掛けの部分にコンセントが設置されています。コンセントをこの配置にすることで、通路側の座席の人がスマートフォンを充電している最中であっても窓側の人が通路に出ることができたりするそう。細かなところまで配慮されて設計されているのがさすがJR東海という感じです。
車内にはWi-Fiも設置されています。トンネル区間など一部繋がりにくい区間もありますが、JR各社の特急列車の中ではかなり繋がりやすい部類だと思います。
特急南紀は伊勢鉄道線を通過 グリーン車はない
最後に、特急南紀についていくつか書いておきましょう。
途中で伊勢鉄道線を通過する特急南紀
特急南紀は、最初にも書いた通り伊勢鉄道線を通過します。伊勢鉄道線は、名古屋方面から伊勢・紀南方面を結ぶために建設されていたものの、国鉄の赤字によって建設が凍結。三重県が負担して完成させた路線です。
特急「南紀」のきっぷを購入すれば自動的に伊勢鉄道線が含まれるためあまり気になることはありませんが、実は伊勢鉄道線分の運賃520円・特急料金320円が料金には含まれています。伊勢鉄道線の特急料金は、指定席・自由席で同額です。
特急南紀にはグリーン車の設定はない
特急南紀では、HC85系が導入される前にグリーン車が廃止されました。昔から特急南紀のグリーン車は空席が多かったそうです。
HC85系のグリーン車については、特急「ひだ」に乗ってきて実際に様子を紹介しています。かなり快適なグリーン車です。
キハ85系時代にはグリーン車も設定されていた
JR東海が発足後、特急南紀にはキハ85系が使用されていました。ワイドビューを名乗る特急列車で、カミンズ社製の強力なエンジンを詰んだ車両でした。
しかしこのキハ85系も2023年6月には引退しました。キハ85系が引退したのち、現在のHC85系が導入されています。
今後は、コンセント・Wi-Fiも備えてサービスアップが行われたHC85系が中心となって、この特急南紀として運用されていくことになります。
特急南紀号の様子についてはVlogを作成しました。こちらの動画も併せてご覧ください。
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