博多から小倉を通り、東九州の中心地である大分・別府までを結ぶJR九州の特急「ソニック」。本記事では、特急ソニックの自由席の混雑度合いや車内の様子、そしてお得なきっぷなどを解説します。
まず初めに特急ソニックの自由席の混雑状況とお得な切符を紹介。後半では、特急ソニックの車内の様子を、写真を大量に交えてご紹介します。
自由席は混雑するものの、座席数が多いので活用したいところ
私自身、過去複数回にわたって特急ソニック号に乗車してきましたが、自由席は特に混雑します。中津から博多の間では、窓側の座席はほぼすべて埋まっています。
ただ、JR九州の在来線特急では自由席の席数が多く設定されています。JR九州は、通勤での特急利用が多いため、自由席を多く設定する傾向にあります。特急ソニックは、3〜4両は自由席が確保されています。自由席もうまく活用したいところです。
特急ソニックの自由席は混雑する ただし、座席数が多いので確保しやすい
特急ソニックの自由席は混雑します。しかし、特急ソニックの自由席が混雑するのは中津・行橋から博多の間。さらに、この区間でも途中で乗客の入れ替わりがあります。
特急ソニック号は、「青いソニック」であれば4号車から7号車が自由席、「白いソニック」であれば4〜6号車が自由席です。
ただし、小倉〜博多間では以下の列車で3号車・4号車が自由席に変わります。
- ソニック2・4号の土曜・休日とソニック48・52・58・60号の3号車
- ソニック8・16・18・20・24・40号の4号車
- ソニック6号の土曜・休日と10・12・14・22・28・32・36・44・50・54・56・202号の3号車
ちょっと多いです。ほぼすべてと言ったら言い過ぎですが、多くの列車が途中の小倉で一部の車両を指定席から自由席に変更します。これは、小倉〜博多間では通勤のために特急を利用する需要が大きいこと、また、小倉〜別府・大分間では新幹線乗り継ぎで指定席を利用する人が多いのが理由です。
多くのお客さんが小倉で下車します。広島・岡山方面へと向かう場合は小倉で乗り換えとなるためです。小倉でのお客さんの入れ替えのタイミングを見計らい、自由席の座席を確保することができる可能性があります。
また、大分・別府からであれば後ほど紹介する指定席タイプの特急割引きっぷがお得なため、指定席に流れる傾向にあります。大分から乗車するのであれば自由席もうまく活用したいところです。
特急ソニックに、博多・小倉から乗車するなら「2枚きっぷ」がオススメ
特急ソニックは、小倉を経由する路線で運転されているためやや時間がかかります。博多から大分までの間は高速バスも走っており、競合しています。
そのため、指定席の特急券でお得な切符を発売しています。それが「2枚きっぷ」と呼ばれる切符です。2枚の切符がセットになっており、2枚の切符をそれぞれ行きと帰りの切符として利用することができます。
発駅 | 着駅 | 大人 | こども |
---|---|---|---|
福岡市内(博多エリア) | 大分・別府 | 6,600円 | 3,300円 |
北九州市内(小倉エリア) | 大分・別府 | 6,600円 | 3,300円 |
通常片道の値段が5,680円(乗車券3,740円 指定席特急料金1,940円)です。つまり、片道の値段に1000円を追加するだけで往復指定席に乗れてしまう、恐ろしく破格の切符です。どういう設定の仕方をしたらこうなるのかイマイチ不明なところは多いですが、大分からであれば小倉まででも博多まででも値段が変わらないというおそろしい切符です。
特急ソニックの「2枚きっぷ(普通車指定席用)」はこれ以外にも、佐伯や臼杵・津久見発着のきっぷも設定されています。
発 駅 | 着 駅 | 大人 | こども | 利用設備 |
---|---|---|---|---|
福岡市内 | 別府・大分 | 6,600円 | 3,300円 | 普通車指定席 |
福岡市内 | 臼杵・津久見 | 9,380円 | 4,690円 | 普通車指定席 |
福岡市内 | 佐伯 | 10,900円 | 5,450円 | 普通車指定席 |
北九州市内 | 別府・大分 | 6,600円 | 3,300円 | 普通車指定席 |
これ以外の途中駅、小倉と行橋から乗車する場合は「2枚きっぷ(自由席)」が利用できます。こちらは普通車自由席の切符が2枚セットになった切符です。お値段は以下の通りです。
発 駅 | 着 駅 | 大人 | こども | ご利用列車 |
---|---|---|---|---|
博多 | 小倉 | 2,940円 | 1,470円 | 普通車自由席 |
博多 | 行橋 | 4,400円 | 2,200円 | 普通車自由席 |
こちらもかなりお得な切符と言えます。ぜひ、活用したいところです。
博多から小倉の間では「特急料金回数券」がおトク
博多から小倉の間では、特急列車を使って通勤するお客さんが多いため、「特急料金回数券」が発売されています。
発 駅 | 着 駅 | 大人 | 有効期間 | ご利用列車 |
---|---|---|---|---|
門司港又は下曽根・小倉 | 博多 | 1,680円 | 14日 | 普通車自由席 |
4枚綴の切符ですが、乗車券は含まれないので別途乗車券を購入、あるいはICカード等で運賃を支払う必要があります。ただし、通勤・通学で利用する際は1回あたり420円とかなりお得な切符になります。
また、通常通りの自由席特急券を購入しても、博多から小倉までの区間は520円で自由席特急券を購入することができます。かなりお得です。指定席券売機等を利用しなくても、小倉駅・博多駅のホームにはすぐに自由席特急券を購入することができる券売機が設置されています(ホームの券売機では指定席特急券は購入できないので注意)。
このように、通勤で利用するお客さんが多いという背景があり、特急ソニックは一部の車両を小倉〜博多間に限って自由席に変更します。小倉〜博多間は新幹線(山陽新幹線の小倉〜博多はJR西日本が運行)との競合区間でもありますから、さまざまな取り組みがされています。
また、この博多から小倉の間は、朝夕の時間帯を中心に「特急きらめき」が走っています。特急きらめきは博多〜小倉〜門司港を結ぶ特急です。通勤需要に特化した特急列車であり、半室グリーン車・半室普通車指定席の1号車を除いて全席が自由席となることもあります。
特急ソニックの座席・車内の様子を徹底紹介!
ここからは写真を多く交えて特急ソニックの車内の様子をご紹介します。JR九州のサイトでも、『「音速」の名にふさわしく、都市と都市を結ぶ東九州のアーバンライナー』と紹介されている特急ソニック。
車両の外観はもちろんのこと、車内の設備や座席も、他社の特急列車とは異なる独特なデザインをまとっています。
特急「青いソニック」の座席はちょっと独特なデザイン
特急ソニックは、「ソニック」、日本語に訳すと「音速」という名の通り高速で走行します。外観も「ソニック」の名にふさわしく、かなりシャープなデザインとなっています。
特急ソニックの車内の様子はこんな感じ。座席は、他のJR各社ではあまりみない、独特なデザインですね。
普通車はデビュー当初から使われている車両だと思われます。座席もそろそろガタが来ていると思います。西九州新幹線の開業と同時に、長崎方面の「かもめ」の一部が余るはず。特急かもめと特急ソニックのうち「白いソニック」は共通で使われているようですから、西九州新幹線が開業後に、青いソニックの改修もしてほしいものです。
フットレストは2021年現在、取り外されているようです。床面が木になっていて快適なため、フットレストがなくても大丈夫ですが。
窓枠には飲み物を置く場所があります。ここに木を使っているのはさすがJR九州だなって思うし、これがあるのとないのとでは利便性が全然違います。
座席背面にはテーブルがあります。しかしこれがちょっと使いにくい。テーブル自体がそんなに大きくないこと、そしてテーブルが結構前にあること。そのため、パソコン作業等をしようと思うと、少し前屈みにならなくてはならないのです。
インアーム式のテーブルもありますが、2021年現在、このテーブルは使えないそうです。僕は知らずにテーブルを出してしまいました。実際出ました。特急ソニックに、2度目に乗車した際に車掌さんが車内放送で「肘掛けのテーブルはご使用になれません」と言っていて、初めて知りました。
というわけで、最前列の座席にはテーブルは無くなってしまいます。ちょっと飲み物を置けるくらい。ここはJR九州お得意の、肘掛けのテーブルを装備して使えるようにし、なんとかしてほしいところです。
読書灯もあります。特急ソニックの車内は十分に明るいため、読書灯を装備する意味はあまりわからないというのが正直なところではあります。
ゴミ箱がインテリアの一部に溶け込んでいるのがなかなかいいです。ここはデザインを重視するJR九州らしいところです。
特急「青いソニック」のグリーン車 普通車とあまり変わらない…?
続いては特急「青いソニック」のグリーン車の座席です。特急「青いソニック」のグリーン車は、普通車指定席の座席を少し広くした感じ。
グリーン車は「グリーン車」と名前がついている通り2+1の配列の座席です。普通車と似たような座席のモックアップでありながらレッグレストなどが装備されています。また、2人がけの座席の、間の部分の肘掛けは1席づつ独立した形になっています。
また、床面が普通車指定席とは違いカーペット敷になっています。ここはグリーン車と普通車を差別化するという意味合いが強いものと思われます。新幹線などもグリーン車は床がカーペット敷になっていますよね。
特急「白いソニック」の座席の様子
885系・特急ソニック号には、グリーン車(1号車)と指定席となる2号車・3号車の全席にコンセントが配置されています。指定席にはほとんど、コンセントが設置されています。
885系は特急「かもめ」用として、2001年にデビューした車両です。初めは特急「かもめ」としてデビューし、その後の特急「ソニック」増発のために増備、特急ソニック号にも導入となりました。振り子式の特急列車で、カーブを高速で通過することができます。西九州新幹線開業前の特急「かもめ」にも導入されており、西九州新幹線が開業した現在でも特急「リレーかもめ」として走っています。
入り口には、JR九州のロゴがあしらわれています。燕をイメージしたエンブレムです。日豊本線系統の特急「ソニック」「きらめき」、西九州系統の特急「リレーかもめ」「かささぎ」「みどり」などにしか使用されておらず宮崎・鹿児島方面などへは乗り入れませんが、Around the Kyushuのロゴがあしらわれています。
車内の様子です。「青いソニック」と比べて明るく、新しい印象です。座席は最近のJR九州の観光列車でも採用されている座席構造です。
背もたれが十分厚くなっているため、快適です。リクライニングも十分、倒すことができます。
テーブルはインアーム式となっており、中央の肘掛けの部分から出すことができます。テーブル自体は、西九州新幹線のN700S系と同じです。なお、座席背面にはテーブルは設置されていません。
座席の肘掛けから出るタイプのテーブルであるにもかかわらず、大きさはかなり広い。パソコン作業などもしっかりできます。
複数人で利用する場合、中央にテーブルが来るようになります。グループで利用する際も使いやすい構造です。
最前列の様子です。最前列には肘掛けから出てくるタイプのテーブルに加えて、運転台の後方にもテーブルがあります。
最初乗った時、先頭の部分は曇りガラスで何も見えないと思っていました。
発車すると前面の様子が見られます。ただ、運転台の窓が少し高い位置にあるため、座ったまま迫力のある前面展望を楽しむ、ということにはあまり向いていない気がします。
「白いソニック」の普通車指定席にはコンセントが!
普通車指定席にはコンセントがあります。ただし、全席ではなく窓側座席限定ですので、コンセントが使用したい場合は窓側の座席を確保する必要があります。
コンセントは、「使い方」がすぐ上に書いてあるのでわかるでしょうが、差し込んでから回すパターンのものです。パソコン電源などであれば利用できます。スマホの充電などが必要となった今日では、かなりありがたいサービスと言えます。
僕のiPhone11 Proに付属していた充電器を使うとこんな感じです。特急ソニックでは小倉で進行方向が変わります。そのため、小倉で自分のコンセントの位置が変わります(つまり、進行方向が変わった際、今まで使っていたコンセントは1つ後ろの座席の人が使うコンセントになります)。
また進行方向最後尾の座席を確保すると、2つ使えます。自分の座席のところにあるコンセントと、それから進行方向が反対になった時に自分の座席のところにくるコンセントです。
特急「白いソニック」は、「青いソニック」より新しい車両であるため、どちらかというと設備が充実しているように感じます。
デッキやお手洗いもおしゃれな感じが演出されている!車内設備を紹介
ここまで、特急「ソニック」の車内設備について紹介してきました。ここからはデッキやお手洗いにも演出されている「おしゃれさ」をご紹介します。
特急ソニック「青いソニック」は7両編成 その車内設備を紹介
最後に、特急ソニックをはじめとしたJR九州の列車の特徴として挙げられる「おしゃれさ」をご紹介します。
車内設備は各座席の、テーブルを広げた時の前面座席の背面に掲載されています。この、車内設備を見てもらってわかるように2両に1つはお手洗いが準備されています。
デッキにはJR九州らしさが(青いソニック)
特急ソニックでは、座席よりデッキにJR九州らしさがあります。そんなデッキはこんな感じです。
デッキには、JR九州の工芸品などが展示してある場所もあります。こういったところがとてもJR九州らしいですね。JR九州は九州という土地柄、どうしても観光需要に頼らざるを得ない部分があります。それを踏まえてこういった取り組みがされています。
特急ソニックには、1号車と2号車の間にフリースペースがあります。携帯電話などで通話をする際に利用できます。JR九州は、九州新幹線開業前に特急「つばめ」を運行していた時にもビジネスマン向けのコンパートメントを設置していました。このコンパートメントは、移動時間を活用してちょっとした会議を行うことを想定していたそう。また、他の列車にも携帯電話スペースが設置されるなど、ビジネスマン向けのサービス設備は充実しているように思います。
もちろん、携帯電話での通話だけではなく、ちょっとした息抜きに使ってみても良いのではないでしょうか。
デッキにあるポスターにも、単なる広告だけではなく観光地の案内があります。九州新幹線つばめ号もそうでしたが、観光地の紹介には力を入れているよう。
ここも携帯電話スペースか?という場所です。僕がこの「青いソニック」に乗車したのは夜だったため外の景色が見られませんでした。しかし、昼の時間帯に乗車すると、この窓から綺麗に上から下まで、見ることができるはずです。
グリーン車へと続く通路です。グリーン車へと続く通路も青を基調としていておしゃれな感じがいいですね。
客室内部は直接照明を使っているのに、なぜかデッキでは間接照明を使っています。間接照明を使ったちょっとおしゃれな照明は、JR九州ではD&S列車で見ることができます。
JR九州の広々としたお手洗い。しかしドアが硬い!(青いソニック)
続いてご紹介するのはお手洗い。特急ソニックは、博多から大分までがおおよそ2時間半と、それなりに時間を要します。お手洗いを使う機会もあるでしょう。
トイレもあまりリニューアルされていないものと思われます。ウォシュレットなどは装備されていません。しかし、整備はしっかりされているため、昔ながらの列車にありがちな「ちょっと不衛生な感じ」はありません。
お手洗いはかなり広く作られています。JR九州の特急列車に多くあるパターン「トイレの個室内に洗面台もある」パターンです。僕は個人的にはこちらが好きです。
トイレ内部にも間接照明が使われています。おそらく、照明の下にあるのはタンクでしょうが、こういった「列車内の限られた空間のために、生々しいけれどおかなくてはならない」ものの上、つまりどうしようもないスペースもフル活用しているのがよく分かります。
そして最後に、1つだけ文句を書きます。この半円形をしたドア、これがかなり固くて苦労しました。ここはなんとか改善してほしい箇所ではあります。
特急「白いソニック」885系の車内設備
続いては特急「白いソニック」の車内の様子です。長崎行きの特急「かもめ」などとして使用されていた885系です。
特急ソニックの中でも「白いソニック」の方が新しい車両であり、車内設備も充実しています。日豊本線と同様にカーブの多い長崎本線を高速で走り抜けるため、振り子を搭載した車両になっています。
特急ソニックのうち、「白いソニック」で運転される列車は6両編成で運転されています。特急「かもめ」としては6両編成が適正な長さだったのでしょう。
JR九州の特急列車らしく、車内は木などもふんだんに活用した、明るくも温かみのある空間です。青いソニックより落ち着きがあるというか。
デッキのスペースでも、木の温もりを感じられるデザインが多用されています。西九州新幹線が開業する前、特急「かもめ」でこのデッキから見る有明海は最高でした。座席に座っていればどうしても、仕事がしたくなる僕にとって、このデッキで有明海を眺める時間は至福のひと時でした。
こちらは携帯電話の通話のためのスペースだそう。僕はよく、気分転換のためにこのスペースを利用していす。
このように気分転換ができる場があるのも、JR九州の特急列車の特徴です。長距離移動でも疲れません。
最後に「白いソニック」のお手洗いの様子です。あまり広くはありません。なお、2号車にはバリアフリー対応の広いお手洗いが設置されています。
特急「白いソニック」の一部には車内のWi-Fi設備あり
主に、長崎方面の特急「かもめ」で使用されいた車両が転属され使用されている「白いソニック」では、車内のWi-Fiサービスが利用できます。
西九州新幹線の開業によって転属してきた一部の「白いソニック」では車内のWi-Fiサービスが利用できます。同時に、コンセントも利用できるので移動時間を有効活用できます。
ただし、「青いソニック」には2022年時点ではWi-Fiが整備されておらず、車内で無料インターネットを利用することはできません。
西九州新幹線の開業によって、885系「白いソニック」には余剰が出たはずです。西九州新幹線の開業では振り子が役割を発揮する区間が新幹線に置き換えられたため、885系を優先的に日豊本線に回して欲しいところです。その際に余剰となった車両を廃車する前に、Wi-Fi設置工事などを行なって欲しいところです。
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