その名の通り、大分・別府から九州を横断して熊本へと走る「九州横断特急」、そしてその途中の区間、熊本から観光地・阿蘇を経由して宮地までを走る特急「あそ」。
これらの特急は原則、共通の車両で運転されていますがその車内は?そして、ダイヤと空席状況は?自由席は座れる?といった、実際に乗らない疑問にもお答えします。この記事ではそれに加え、料金は?お得な予約方法は?といった疑問にもお答えします。
九州横断特急のダイヤと料金、そして空席状況や予約方法
九州横断特急は、熊本から阿蘇・宮地を経由して大分・別府までを結ぶ特急列車です。
同一区間を特急「あそ」が走っています。今回の記事では、「九州横断特急」と特急「あそ」も両方についてご紹介します。
九州横断特急は1日2往復、特急あそは1日1往復
「九州横断特急」は朝夕の1日2往復、特急「あそ」は昼間の時間帯の1往復が運転されています。
JR九州には、特急「ソニック」「かもめ」など1時間あたり2本近くのペースで運転されていたり、「にちりん」「きりしま」など、博多発着でないにも関わらず1時間あたり1本近い本数が運転されている列車などがあります。
この「九州横断特急」はJR九州の中でもやや需要が少ないため本数が少なくなっています。計画的に乗らないと帰って来られないということになりかねません。
まずは下り列車の時刻表です。
下り列車 | 九州横断特急81号 | 特急あそ3号 | 九州横断特急3号 |
---|---|---|---|
熊本 | 9:09 | 11:45 | 15:05 |
肥後大津 | 9:40 | 12:21 | 15:35 |
阿蘇 | 10:31 | 13:04 | 16:13 |
宮地 | 10:37 | 13:08着 | 16:17 |
大分 | 12:21 | – | 18:03 |
別府 | 12:32 | – | 18:14 |
続いて上り列車の時刻表です。
上り列車 | 九州横断特急2号 | 特急あそ4号 | 九州横断特急84号 |
---|---|---|---|
別府 | 7:51 | – | 15:12 |
大分 | 8:07 | – | 15:25 |
宮地 | 9:52 | 13:32 | 17:05 |
阿蘇 | 10:04 | 13:39 | 17:11 |
肥後大津 | 10:44 | 14:17 | 17:54 |
熊本 | 11:12 | 14:46 | 18:29 |
また、単純に熊本から大分まで移動するのであれば、九州新幹線・山陽新幹線で熊本から小倉まで、小倉から特急ソニックに乗り換えて大分まで行くのが早かったりします。こちらの方が本数も多くなります。なお、e5489やJR九州ネット予約で予約する際、通常は最速のルートが出てきます。「新幹線を利用する」のチェックを外すと九州横断特急が検索結果として出てきます。
「九州横断特急」と特急「あそ」の料金は?
特急あその主要区間の料金は次のとおりです。
区間 | 合計 | 運賃 | 自由席特急料金 |
---|---|---|---|
熊本〜別府 | 4,710円 | 3,300円 | 1,410円 |
熊本〜大分 | 4,550円 | 3,300円 | 1,250円 |
熊本〜宮地 | 1,970円 | 1,130円 | 840円 |
熊本〜阿蘇 | 1,130円 | 1,760円 | 630円 |
JR九州の特急列車は自由席が多めに設定されており、さらに自由席特急料金も安く設定されています。熊本から大分方面へと抜ける場合、小倉周りの方が早いですが直接、九州横断特急で行った方が安上がりです。小倉周り(熊本〜小倉を新幹線、小倉〜大分を特急ソニック)のルートでは、新幹線を使うため高くついてしまいます。
お得なきっぷは「eきっぷ」がオススメ
九州横断特急と特急あそが走る豊肥本線は並行する他の交通手段が少ないです。産交バスが特急バスを運転していますが、JRがメインの移動手段になってきます。
そのため、JR九州が特段お得なきっぷを設定しているわけではありません。原則、定価かそれに近い金額と思うべき。
オススメは以前、別の記事でも紹介した「eきっぷ」です。eきっぷは、JR西日本が発行するクレジットカード「J-westカード」とJR九州が発行するクレジットカード「JQカード」会員限定で、年間を通して特急列車の特急券がお得に予約できるきっぷです。
JR西日本が発行するクレジットカード「J-westカード」とJR九州が発行するクレジットカード「JQカード」のいずれかを持っていれば、相互に利用できます。つまり、JR西日本が発行するJ-westカードを持っていれば、JR九州エリアでもカード会員限定のeきっぷが予約できるのです。
豊肥本線の特急にももちろん、「eきっぷ」が設定されています。他の公共交通機関と競合していない区間では、原則「指定席特急券が自由席特急券と同額」で発売されます。ただし、別途乗車券が必要です。
乗車券部分は、通常通りきっぷを購入するか、もしくは「ぐるっと九州きっぷ」がオススメ。「ぐるっと九州きっぷ」は、連続する3日間、JR九州全線が乗り降り自由となります。日本一周旅行の際に利用しました。別途特急券を購入すれば、九州新幹線や特急列車(全席指定のD&S列車を含む)にも乗車できます。もちろん、特急料金券部分の「eきっぷ」と組み合わせて利用することができます。
「九州横断特急」「特急あそ」の車内設備 確保したいオススメの座席
「九州横断特急」と「特急あそ」の車内の設備をご紹介します。
オススメの座席は南側座席
オススメの座席は、
別府・大分→熊本方面なら進行方向左側奇数番号席
熊本→別府・大分方面なら進行方向右側偶数番号席
です。。九州横断特急は、よくあるタイプの「2席で1つの窓」となっています。そのため、2つの窓のうち、後ろ側の座席に座ることができると景色の楽しみやすさが断然上がります。
特に景色がいいのは、阿蘇から熊本までの区間です(特急「あそ」も走っている区間ですね)。この区間では、是非ともここに書いた座席を確保したいところです。途中では阿蘇山が綺麗に見えます。一部の区間では反対側に外輪山も見られて、これも綺麗。
阿蘇から大分までの間、「九州横断特急」しか走っていない区間ではいよいよ、上に書いた側、つまり地図で言うと、日本地図を書いたときの下側の景色がよくなってきます。
途中で川が流れていて、これが綺麗。うまく写真が撮れませんでしたが、断崖絶壁の下を通ったりと、見どころがたくさんあります。
座席にコンセントはない 車内のWi-Fi設備もない
「九州横断特急」「特急あそ」の車内にはコンセント等はありません。
JR九州はコンセントの設置にはあまり積極的ではないようで、ついていない列車が多い印象です。800系新幹線にも、一部の座席にしかコンセントがありません。
また、車内のWi-Fiなどのサービスもありません。一部の土休日ダイヤの日には「九州横断特急」が運休となり、特急「あそぼーい」が運転されます。この特急「あそぼーい」には車内Wi-Fiが整備されています。JR九州は力を入れている「D&S列車」、いわゆる観光列車にはWi-Fiを整備していますが、それ以外の特急にはまだ整備していません。こちらも今後に期待です。
自由席が空いていて、指定席の方が混雑することすらある
九州横断特急と特急あそは2両編成で運転されています。そのうち熊本寄りの1両が自由席、大分寄りの1両が指定席となっています。
実際に特急あそと九州横断特急の両方に乗車しました。九州横断特急の指定席は混雑します。一方、特急あそは、昼間の1往復しか設定がなく、この時間帯は使う人が少ないためかやや空いている印象でした。
僕は九州横断特急は指定席を確保しました。が、隣にお客さんがいてそれも僕の椅子に足を乗っけて座っていたので諦めて自由席へいきました。
朝の熊本行き九州横断特急は、指定席・自由席ともに混雑します。早めに指定席を確保しておくことをオススメします。一方で、夕方の九州横断特急は大変に混雑する、ということはありません。自由席でも十分快適に移動することができます。
座席の様子や車内の様子を徹底紹介!
最後に、このブログで列車の紹介をする時には恒例となりつつある車内の様子の徹底紹介です。
座席周りはやや古い座席
座席周りはやや古い感じが否めません。元々はJR四国で特急列車として使っていた車両、その一部を譲渡してもらって使用しているそう。
九州横断特急・特急あそにはグリーン車はありません。全車普通車であり、普通車自由席と普通車指定席で座席タイプが変わる、ってこともありません。
JR四国から譲渡してもらった車両をそのまま使う、ということは流石になくて、車内などは特にJR九州仕様に改造されています。JR九州の列車は、普通列車も特急列車も、木をふんだんに使用しています。
座面はあまり明るくない色を基調としていて落ち着きがあります。その座面に対して、肘掛けはやや明るめな木の素材。これがなかなかいい。
全面のテーブルです。テーブルには「TRANS-KYUSHU LIMITED EXPRESS」と書かれています。九州横断特急で使用されることが前提となっています。
テーブルは広げるとこんな感じ。正直、そこまで大きくはありません。僕はブログ執筆の作業をよくするのですが、パソコンを広げるとほぼ埋まってしまいます。
パソコンをテーブルに置いてしまうと飲み物等をおく場所がなくなってしまいます。しかし、飲み物であれば窓枠におく場所がちゃんとあるのでOK。JR九州の特急列車は、窓枠に飲み物を置ける場所を意図的に作っているのでしょうか。ほとんどの特急列車にあるので本当にありがたい。
荷物だなも木でできています。ここはJR九州らしく、落ち着きがあります。ただし、荷物だなに荷物を置いておく、特にお土産などを置いておくと忘れていってしまう可能性があります。それだけは気をつけましょう。
デッキは落ち着いた雰囲気 荷物置き場も完備されている
車内の様子はかなり落ち着いた雰囲気でしたが、デッキもかなり落ち着いた雰囲気です。
この九州横断特急・特急あそは阿蘇山をはじめとした観光地も通ります。また、熊本空港の最寄駅である肥後大津駅も通ります。そのため、大きな荷物を持ったお客さんのことも想定し、荷物置き場があります。
デッキは黒で統一されています。デッキにもかなり気を配っているのがJR九州らしい。車内が良くても、デッキに少し汚さを感じさせる列車は数多くありました。
一番最前面には、ちょっとしたテーブルらしきものが。JR九州は、特急ソニックでも全面展望を楽しめるように配慮したりと、鉄道ファンに優しい会社です。ここにも、全面展望が楽しめるようにとテーブルが設置されています。
もちろん、運転台には立ち入り禁止となっています。
お手洗いも木を活用しているものの古さを感じさせる
最後にお手洗いの様子のご紹介。
お手洗いはやや古さを感じさせます。国鉄時代からそのまま使っているわけではないでしょう。しかし、ちょっと狭く、ウォシュレットなどもない。
所々、具体的には洗面台の周りなどに木を配置しています。でも、それ以外の部分、壁面が真っ白でちょっと古さを感じさせる。JR九州はこの辺りにも気を配ることが多いので、ここもちょっと気を配って欲しかったかなあ。
蛇口の使い方が、最初は分かりませんでした。下にあるちょっと出っぱった部分を上に押すと出てきます。これは、国鉄時代から使っているものと思います。
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