北海道の道東への玄関口・帯広。この帯広からかつて、広尾まで伸びていたのが国鉄の旧広尾線。
1987年、国鉄再建の中で廃止となりましたが、現在でもその一部駅舎などは保存。観光地となっています。「愛国駅」や「幸福駅」など、特徴的な駅名もあり、現在では列車こそこないものの観光地となっています。
今回、帯広で車を借りておの広尾線廃線跡を回ってきました。その様子を写真を入れついつご紹介します。
帯広駅から広尾駅を結んでいた旧広尾線
国鉄の広尾線は、帯広から広尾を結んでいた国鉄路線です。元々は、苫小牧から日高山脈を迂回して襟裳岬へ、襟裳岬を回って帯広へと至る路線として計画されました。
苫小牧側からは日高本線が様似まで開業。そして帯広からは広尾線が広尾まで開業しましたが、結局、様似から広尾までの間が路線でつながることはありませんでした。様似から広尾までの間は国鉄バスで結ばれ、その名残として現在でもJR北海道バスが運行されています。
このような経緯から盲腸線であり、国鉄の経営が悪化した際に全線廃止となりました。日高本線も災害から復旧せず、2019年4月をもって鵡川〜様似が廃止、8割方廃止という形に追い込まれました。
広尾線(ひろおせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線(地方交通線)。北海道帯広市の帯広駅で根室本線から分岐し、十勝平野を南下して広尾郡広尾町の広尾駅に至る路線であった。
国鉄再建法の制定により1984年に第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年2月2日に全線廃止となった。
wikipediaより引用
一時期は通勤・通学需要で賑わった時期もあるようですが、北海道の人口減少には逆らえませんでした。
先ほども書いたように、本来は襟裳岬を回って苫小牧へと至る路線の計画でしたが途中の区間は結局、開業することなく終りました。盲腸線でありながらも、それなりに乗客で賑わっていたようです。
途中には「愛国駅」と「幸福駅」があります。2022年春の旅でこの2駅の廃駅跡を訪れました。この記事では、この2駅の様子を中心にご紹介します。
「愛国駅」「幸福駅」という幸せを呼ぶ駅名から、この「愛国駅から幸福駅へのきっぷ」が、「愛の国から幸福へ」として有名になりました。
今回の広尾線廃線跡巡りではカーシェアを利用しました。広尾線は廃線後、バス転換されましたが乗車率は低迷。バスの本数もあまり多くはないので、レンタカーなどを利用できるのが最高です。
帯広ではレンタサイクルを借りることもできますが、風が強いことがある上、結構な距離もあるのでなかなか大変です。サイクリングが好き、などでないかぎりあまりおすすめはしません。
恋人の聖地・旧愛国駅
まずは旧愛国駅。「愛国」は地名です。
国鉄時代によくあった駅舎が今でも現存しています。オレンジ色の駅舎が、国鉄感がありますね。
駅舎の中では国鉄広尾線についての紹介がされています。
今では使われなくなったタブレットなど、貴重な資料も多く展示されています。もちろん、入館に際して料金などはかかりません。
駅前はこんな感じ。駅があり、その前にはロータリー。そしてその周辺には飲食店なども並ぶ、駅があったんだなあという感じが漂います。
明らかに再現されたものではありますが、国鉄時代の駅名標が再現されています。
愛国駅には、広尾線が現役時代に活躍したSLが展示されています。が、僕が行った時は冬だったためか、ブルーシートで覆われていました。
愛国駅はその駅名から「恋人の聖地」とされています。
映画「鉄道屋」も思い出させる国鉄キハ22系 旧幸福駅
続いてさらに先へ行ったところ、幸福駅です。幸福駅は愛国駅よりさらに雰囲気がある。北海道らしい鉄道の駅という感じがするので、時間がない時は幸福駅を優先するのがおすすめです。
幸福駅は名前の通り、「幸福」という縁起の良い言葉から、観光地となっています。駅舎があり、この駅舎の中は…
願い事でいっぱい。駅の前の売店で、この「幸福行き」のきっぷ台紙が販売されています。もちろん、廃線になった路線ですから切符は使えませんし、実際の硬券でもありません。
愛国駅以上に観光地化されており、「こうふく」の鐘もあります。
幸福駅にはSLではなく、国鉄のキハ22系が保存されています。
高倉健・大竹しのぶの映画「鉄道屋」の情景を思い出します(なお、映画「鉄道屋」で使われていたのはキハ12、別形式の車両だそうです。僕には違いは分かりません)。北海道らしい原野が広がっているのがなかなかいい。
キハ22系は2両保存されています。本来ならば車内に入ることができるようですが、新型コロナウイルスの影響で現在は入ることができません。もし、新型コロナウイルスによる制限が解除されていた場合、コメントで教えていただけると記事を更新できるので助かります。
プラットホームも木製です。木製の場合、痛むのがかなり早いはずなのでこれは配線後、観光地として整備するために作られたものかな?少なくともこの痛み具合から、定期的に整備されているものと思われます。
この雰囲気、映画「鉄道屋」にはまった自分としてはいくらでも見ていられます。
今回は帯広で車を借りるなら回りたい!旧広尾線の廃線跡のご紹介でした。
コメント