北陸と関西エリアを結ぶ特急サンダーバード。2024年3月以降、全列車が敦賀止まりとなり、北陸新幹線と接続しています。
特急サンダーバードはコロナ禍以前はかなり混雑し、30分に1本のペースで運転されていました。この記事では、特急サンダーバードの車内設備や座席の様子に加えておトクな割引きっぷも多数ご紹介していきます。
普通車指定席が8両ないしは11両 普通車もやや混雑することも
特急サンダーバードは9両編成で運転されています。そのうち1号車がグリーン車で残りの9両が普通車となっています。2024年春のダイヤ改正で全車指定席化が行われ、自由席が廃止されました。現在では全席指定席の特急列車として運転されています。
また、さらに増結されて12両編成で運転する日もあります。その場合、10号車〜12号車も普通車指定席となります。
普通車の座席はJR西日本としてはスタンダードな座席
特急サンダーバードに搭載されている座席は、JR西日本の特急列車としてはスタンダードな座席。2015年以降に「リフレッシュ工事」が行われて、座席が一気に新しくなりました。
2021年現在、特急サンダーバードに使用される車両は全てリフレッシュ工事が完了しており、落ち着きのあるブルーを基調とした座席になっています。
北陸と関西圏をつなぐ特急サンダーバードはビジネス需要も大きい。それもあり、座席の背面にはかなり大きなテーブルが備え付けられています。
お弁当を広げるのも、パソコン作業をするのも快適です。ドリンクホルダーに相当するものが2つあります。手前の深い方は缶などを置いておく場所だと思われます。
さらに、JR西日本の特急列車の多くには小さなテーブルも備え付けられています。座席を回転させても利用できるようにとの配慮でしょうが、2021年12月現在、座席を向かい合わせにすることは遠慮するよう放送されます。
普通車にも読書灯があります。夜遅い時間帯の列車に乗る場合はありがいた設備ですが、昼間の時間帯であれば窓から入ってくる光で十分。読書灯をオンにしていたのを忘れたほどでした。
普通車も車両の両端部にはコンセントがある!Wi-Fiの整備が2022年10月から開始
特急サンダーバードにはコンセントがあります。このコンセントの設備も、リフレッシュ工事によって取り付けられたものです。
グリーン車には全席にコンセントが、普通車には最後尾の列と最前列(車両の両端部分)にコンセントがあります。車両の両端部分のコンセントは、通路側座席でも利用できます。
また、車内にWi-Fiの設備はありません→2022年10月から一部列車で順次、Wi-Fiサービスが開始されました。
Wi-Fi回線用の機器の納入が遅れており、2022年10月のサービス開始時点ではまだ一部の列車に限られるようです。サンダーバード号は全列車が683系で運転されるため、Wi-Fiが利用可能か判断する方法は残念ながらありません。北陸新幹線の敦賀延伸開業時(2024年3月16日)以降は、Wi-Fiが利用可能な車両で全列車が統一されると思われます。
2021年末に乗った時、Wi-Fiの機器らしきものが装備されていたのですがWi-Fiの電波は飛んでいませんでした。その時は業務用のものと思ったのですが実際にWi-Fi設備だったみたいですね。JR西日本としてはサンダーバード全列車で同時にサービスを開始したかったのでしょう。
列車内のWi-Fiは、列車がどこを走行しているかによって大きく変わるのであくまで参考値と考えてください。速度はダウンロードが15Mbps程度、アップロードが6.9Mbps程度と、列車内に整備されるWi-Fiとしてはかなり速かったです。
以前は敦賀駅のすぐ北にあった「北陸トンネル」で携帯電話が使えませんでしたが、2024年の北陸新幹線敦賀延伸開業によって、北陸トンネルを特急列車が走ることはなくなりました。
特急サンダーバードに自由席はなし 時間帯によっては満席近くになることもあるので注意
2024年3月の北陸新幹線開業に伴うダイヤ改正に合わせて、全車両が指定席として運転されることになりました。2023年3月の北陸新幹線敦賀延伸以降、自由席が廃止され現在では全席指定席として運転されています。
平日夕方の列車や朝の時間帯の列車はやや混雑します。特に、新快速での通勤圏でもある敦賀までなどで乗車するお客さんも多くなっています。これらの時間帯は、直前の予約だと通路側の座席しか空いていないこともあるので注意が必要です。
金沢まで乗り入れていた時は、北陸エリア(福井・金沢周辺)において、半数近いお客さんが特急定期券を利用していましたが、現在では北陸新幹線にその役割を譲ることになりました。
北陸新幹線開業以降も、敦賀駅までの全区間でやや混雑しています。ただし、かつてのように北陸エリアでの通勤利用がやや少なくなったこと、全席指定となったことによりやや落ち着くと思われます。
車内はお手洗い等含めて設備が充実
特急サンダーバードは、長編成の特急列車らしく、車内設備はかなり充実しています。
お手洗いは普通の特急列車のお手洗い
まずはお手洗いです。お手洗いは普通のお手洗い。なんていったらアレですが、特急列車としてはよくあるタイプのお手洗いです。
蛇口をひねるタイプではなくて、自動で水が流れるタイプになっています。新型コロナウイルスの影響もあって、この方がかなりありがたいですね。
便器もリフレッシュ工事で更新されたと思われます。結構綺麗です。なんと写真を撮り忘れたのですが、ウォシュレットも装備されています。これはかなりの加点ポイント。
車内販売はないが自動販売機は設置→撤去された
特急サンダーバード号には2021年12月現在、車内販売の営業はありません。僕の勝手な予想ですが、今後も車内販売の営業が行われることはないと思います。
また、2022年までは特急「サンダーバード」の車内に自動販売機が設置されていましたが、廃止されました。比較的長距離列車だったため自動販売機があると便利でしたが、北陸新幹線の開業によって短距離特急に変わったため、あまり必要とされなくなったと考えられます。
現在、敦賀駅での乗り換え時間がありますが、乗り換えの時間に余裕があるわけではありません。売店に立ち寄る時間は微妙ですが、ホームの自販機で買い物をする時間はあります。
線形がよく、乗り心地は良い
特急サンダーバードは湖西線を高速で通過します。特に京都を出てしばらくしてから通過する山科から近江塩津までの湖西線は、関西圏と北陸圏の短絡を目的に建設された路線のためかなり線形が良い。琵琶湖を見ながらの特急列車の旅が楽しめます。
特に湖西線を高速で通過する様子は見ものです。新幹線では味わえない、在来線が爆走している感が出ます。
湖西線は琵琶湖を眺めながら走ります。高架となっていることもあり、琵琶湖を眺めることができます。
この高速走行と9両編成にいっぱいのお客さんを見ていると、北陸新幹線の大阪延伸が望まれるのは理解できます。ただ、北陸本線が在来線としてやっていけているのは、大量の特急利用客の恩恵でしょう。並行在来線の問題など、解決せねばならない問題があることも確かです。
サンダーバードの予約はe5489を活用しよう 割引も多数設定
特急サンダーバードを運転するJR西日本は多くの割引きっぷを発売しています。しかし、残念ながらあまり割引切符が多くはないのがこの特急サンダーバード。
特急「サンダーバード」では、交通系ICカードを乗車券として利用できる
JR西日本は、ICカードICOCAの対応エリアをかなり拡大しています。特急サンダーバードでは200kmを超える区間であっても、大阪近郊エリア〜金沢までの停車駅にかぎり、ICカードを乗車券として利用できます。→北陸新幹線の敦賀延伸開業により、この辺りは特に気にする必要がなくなりました。
北陸新幹線も「新幹線eチケット」が利用できます。したがって、関西エリアからICカード1枚で福井・金沢・富山方面へと移動できるようになりました。
オススメは「eチケットレス特急券」
チケットレスサービスを利用することでかなり便利に利用できます。eきっぷと同様に、J-westカード会員限定の「eチケットレス特急券」はかなり便利でおトクです。
チケットレス特急券の種類 | 予約期限等 | お得度 | 備考 |
---|---|---|---|
J-WESTチケットレス特急券 ※関西圏のみ(大阪-近江今津) | 前日・当日のみ | ★★★★★ | |
eチケットレス特急券 | 1ヶ月前から可能 | ★★★ | J-WESTカード会員限定 |
チケットレス特急券 | 1ヶ月前から可能 | ★ | |
WEB早特7チケットレス特急券 | 7日前まで可能 | ★★★★ |
ただし、表で最もお得な欄に書かれている「J-westチケットレス特急券」は注意が必要です。利用できるのは関西エリア完結の場合のみとなっており、北陸方面の特急列車は近江今津までとなっています。なお、「eチケットレス特急券」はJR西日本のほぼ全線で利用可能です。サンダーバードで大阪から金沢まで行こう、の場合は使えないので注意が必要です。
北陸新幹線への乗り継ぎでも「全区間チケットレス利用」が可能
北陸新幹線を利用する場合でも、全区間チケットレス乗車ができるようにシステムが再設計されました。この辺りの柔軟性は、JR西日本が圧倒的に柔軟で、JR他社のシステムを圧倒していますね。
北陸方面のお得なきっぷは、こちらのJR西日本公式サイト「JRおでかけネット」にまとめてありますのでご覧ください。
主要な区間の料金は次のようになっています。「eきっぷ」「e北陸乗継チケットレス」は別途、在来線特急部分の乗車券が必要ですが、この表では乗車券をICカードなどで乗車したという前提で、乗車券料金を含む値段で記載しています。
主な区間 | 通常のおねだん | eきっぷ 【J-WESTカード会員限定】 | WEB早特7 | WEB早特14 | e北陸乗継チケットレス 【J-WESTカード会員限定】 |
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購入期限 | 当日まで | 当日まで | 7日前まで | 14日前まで | 当日まで |
大阪~ 福井 | 7,290円 | 6,620円 | 6,100円 | 5,740円 | 6,600円 |
大阪(市内)~ 金沢 | 9,410円 | 8,740円 | 8,460円 | 7,980円 | 8,500円 |
大阪(市内)~ 富山 | 10,290円 | 9,620円 | 9,250円 | 8,730円 | 9,600円 |
大阪(市内)~ 和倉温泉 | 12,050円 | 10,850円 | 9,300円 | 9,020円 | – |
京都~ 福井 | 5,930円 | 5,260円 | 4,960円 | 4,670円 | 5,020円 |
京都(市内)~ 金沢 | 7,720円 | 7,050円 | 6,940円 | 6,550円 | 7,030円 |
京都(市内)~ 富山 | 8,820円 | 8,150円 | 7,930円 | 7,480円 | 8,130円 |
早い段階で予定が決まっている場合はWEB早特が最もお得です。直前まで予定が決まらない場合は、J-Westカード会員限定の「eきっぷ」などがオススメです。
頻繁に使う北陸圏のユーザーならJ-westカードがオススメ
頻繁に新幹線を使い、そして北陸圏などのJR西日本エリアに住む人ならJ-westカードを発行して「eきっぷ」を利用するのがオススメです。
eきっぷはさまざまなところでご紹介しています。ベーシックカードであれば、1年1回以上の利用で年会費無料で持つことができて「eきっぷ」が利用できます。ただし、特急サンダーバードと北陸新幹線を乗り継いで利用する場合は、「北陸乗継チケットレス(北陸新幹線+サンダーバード)」がおとくです。
特急サンダーバードは対抗する交通機関が高速バスくらいしかありません。湖西線での高速走行や、線形の良さを武器とした圧倒的なスピードで、北陸圏と関西圏の圧倒的なシェアを握っています。それもあって、競合がある他の線区と比べて割引切符があまり充実していないのが残念。
2024年3月には北陸新幹線が敦賀まで延伸開業 現在では全列車が敦賀止まり
2024年3月には北陸新幹線が開業し、特急「サンダーバード」のすべての列車が途中の敦賀止まりとなりました。
敦賀駅での乗り換えは、居眠りできないこと以外に大きなデメリットは感じない
北陸新幹線の敦賀延伸においては、金沢・福井方面から大阪・京都方面への乗り換えが必要になるというデメリットも注目されました。僕自身も実際に敦賀駅での乗り換えを利用しましたが、大きなデメリットは感じませんでした。
敦賀駅での乗り換えは上下の移動を伴いますが、非常に動線がわかりやすく、改札機も多い。駅員さんも多く配置されており、特に困ることはありません。また、エスカレーターやエレベーターが多く配置されているため、大きな荷物を持っていても困ることはありません。
唯一の欠点は「居眠りをしていたら目的地に連れて行ってくれない」ということくらいしか感じなかったです。
敦賀駅で北陸新幹線と乗り換えへ
北陸新幹線が金沢まで開業したことに伴い、富山から金沢までの特急列車は全て廃止されてしまいました。そのため、富山から関西圏へ行くためには乗り換えが必須となってしまいました。
富山と金沢の間は、シャトル便として結ぶ「つるぎ」号が走っています。サンダーバードはつるぎ号と乗り継げるようになっており、乗り継ぎの利便性が図られています。北陸新幹線の列車は、
- 敦賀駅で、特急「サンダーバード」や「しらさぎ」と接続する「つるぎ」が25往復:
- つるぎ(富山〜敦賀間運転列車) 18往復
- つるぎ(金沢〜敦賀間運転列車) 7往復
- 東京から敦賀へ直通する「かがやき」「はくたか」が計14往復運転:
- かがやき(東京〜敦賀間直通列車) 5往復
- はくたか(東京〜敦賀間直通列車) 5往復
となっています。関西方面からは、大阪〜福井間が最速1時間44分(3分短縮)、大阪〜金沢間が最速2時間9分(22分短縮)、大阪〜富山間が最速2時間35分(29分短縮)となります。首都圏からは東京〜福井間が最速2時間51分(36分短縮)、東京〜敦賀間が最速3時間8分(50分短縮)となります。
特急サンダーバードは新幹線つるぎ号と接続へ
なお、JR西日本としては需要を完全に分離するダイヤを設定しました。すなわち、
- 関西圏・中部圏など〜北陸の需要は「つるぎ」で
- 首都圏・長野など〜北陸の需要は「かがやき」「はくたか」で
と、完全に役割を分担しました。そのため、「サンダーバード」や「しらさぎ」が敦賀に到着する数分前に出発する東京行き列車もあります。サンダーバードから北陸新幹線への乗継は「つるぎ」号への乗り継ぎとなります。
なお、つるぎ号は列車によって停車駅が異なります。速達「つるぎ」号は、敦賀・福井・金沢・新高岡・富山と停車駅がかなり絞られています。
在来線特急 | 乗り換え先 | 北陸新幹線停車駅 |
---|---|---|
特急サンダーバード 大阪〜敦賀 | 新幹線つるぎ【速達タイプ】 | 敦賀・福井・金沢・新高岡・富山 |
特急サンダーバード 大阪〜敦賀 | 新幹線つるぎ【停車タイプ】 | 敦賀・越前たけふ・福井・芦原温泉・ 加賀温泉・小松・金沢・新高岡・富山 |
特急しらさぎ 名古屋・米原〜敦賀 | 新幹線つるぎ【停車タイプ】 | 敦賀・越前たけふ・福井・芦原温泉・ 加賀温泉・小松・金沢・新高岡・富山 |
特急「しらさぎ」では停車タイプの新幹線つるぎ号への乗り継ぎしか想定されていないのに対し、特急「サンダーバード」では速達タイプの新幹線つるぎ号への乗り継ぎも想定されています。北陸新幹線つるぎ号には自由席がありますが、サンダーバード号には自由席がないため、必ず確認してから乗車するようにしましょう。
特急「サンダーバード」以外にもJR西日本の各地を走る特急列車についてまとめてあります。こちらの記事も併せてご覧ください。
コメント
<補足>自動販売機は撤去されました。
補足ありがとうございます!