日本最北端の駅・稚内駅と札幌駅を結ぶ特急「宗谷」。そして、札幌方面からの特急とも接続しつつ、旭川から稚内までを結ぶ特急「サロベツ」。これらの特急列車の車内は?座席は?自由席は混雑する?といった疑問に一挙答えます。
特急宗谷は片道5時間以上かかる超ロングラン特急
特急宗谷は、札幌から稚内まで、片道5時間10分(下り列車)・5時間13分(上り列車)で結ぶ特急です。5時間越えのかなりのロングラン特急です。
特急宗谷・特急サロベツの時刻表 札幌直通は1日1往復のみに
特急宗谷は2022年現在、1日1往復のみです。朝に札幌を出発して昼過ぎに稚内へと至る下り「特急宗谷」と、夕方に稚内を出発して深夜に札幌へと至る上り特急「宗谷」です。
2022年1月現在、ダイヤは次のようになっています。
特急宗谷 | 特急宗谷 稚内行き | 特急宗谷 札幌行き |
---|---|---|
札幌発/着 | ↓7:30 | ↑22:57 |
旭川発 | ↓9:00 | ↑21:30 |
名寄発 | ↓9:54 | ↑20:32 |
稚内発/着 | ↓12:40 | ↑17:44 |
2022年現在、1日1往復まで削減されてしまいました。特急宗谷自体が廃止されることは当面は考えにくいですが、特急サロベツは一部(3号と4号)が臨時化されたりと先行きが怪しいです。
特急サロベツ | 特急サロベツ1号 | 特急サロベツ2号 | ※特急サロベツ3号 | ※特急サロベツ4号 |
---|---|---|---|---|
接続札幌発着 | ↓12:00 | ↑11:55 | ↓18:30 | ↑18:25 |
接続 | ↓ライラック15号 | ↑ライラック18号 | ↓ライラック35号 | ↑ライラック36号 |
旭川発/着 | ↓13:35 | ↑10:19 | ↓20:06 | ↑16:49 |
名寄発 | ↓14:29 | ↑9:25 | ↓21:01 | ↑15:50 |
稚内発/着 | ↓17:23 | ↑6:36 | ↓23:47 | ↑13:01 |
このように、特急宗谷は1日1往復のみです。そのため、列車に号数がつきません。JR北海道の他の特急列車を見てもこの特急宗谷だけです。
特急サロベツは、札幌〜旭川の間を走る特急ライラックと接続します。乗り継ぎに便利な時間になるように設定されています。また、旭川で特急ライラックとサロベツを乗り継ぐ場合、特急料金は通算で計算され、指定席特急料金も1回分の値段だけが徴収されます。
札幌から稚内までなら飛行機が便利…
このサイトはJR北海道のサイトではないですから正直に書きます。
ぶっちゃけ、札幌から稚内へと移動する場合は、飛行機の方が圧倒的に便利です。新千歳空港も、そして稚内空港も市街地から少し離れている、それでもです。
特急宗谷は、札幌から旭川まで5時間以上かかります。実際に特急宗谷に乗っていても、始発から終点まで乗り通す人はわずかな印象です。朝の下り特急宗谷で7時半に札幌を出ても、稚内に着くのは12:40です。夕方の上り特急宗谷は18時前に稚内を出て、札幌には23時ごろ到着です。
実際に何度か特急宗谷に乗車していますが、稚内〜旭川までの需要と旭川〜札幌の需要で大きく2分されている印象です。旭川から稚内へは飛行機が飛んでいないものの、札幌から稚内へは飛行機が飛んでいるからです。
ANAは、新千歳空港から稚内空港まで、プロペラ機で毎日運航しています。時間帯によってはANAの道内路線を利用した方が便利なこともありますが、特に札幌側が新千歳空港と、やや札幌中心部から遠いことには注意が必要です。
ロングラン特急のため、遅延が起こりやすいので注意
特急宗谷に乗車する場合、遅延が起こりやすいので注意が必要です。僕自身が今まで5回ほど特急宗谷に乗車して、
- 30分以上の大幅遅延が3回
- 15分程度の遅延が2回
と、まともに時間通りに走っていたことがありません。僕が乗った日にたまたま、かもしれませんが、それでも遅延することが多い印象です。
もちろん、JR北海道側に責任が皆無とはいえませんが、これは宗谷本線の独特な環境が影響しています。名寄以北では「市」になる街が終点付近の稚内市だけ、その手前はとにかく閑散とした区間で単線です。そしてエゾシカなどの野生動物が日常的に線路に現れる。動物などによって片方の列車が遅れると、行き違いのためにもう片方も遅れ、当日中はまず回復できないことがほとんどです。
「えきねっと」がお得 特急宗谷・特急サロベツの割引切符をご紹介
特急宗谷・特急サロベツの割引きっぷをご紹介します。
予定が決まっているなら「えきねっと得だ値」がお得
JR北海道は、JR東日本のネット予約システム「えきねっと」を導入しています。最近では本格的な導入を始め、各種割引きっぷなどが発売されるようになってきました。
JR東日本の「えきねっと」には、飛行機にあるような「早割」が設定されています。それが「えきねっと」を用いた「特急トクだ値」です。
えきねっとトクだ値は片道から利用が可能なので、行きは飛行機で行くが帰りは時間の都合で列車、なんてこともできます。なお、「特急トクだ値1」は前日までに「えきねっと」で予約する必要があります。
発駅 | 着駅 | 「特急トクだ値1」の価格 | 通常価格 |
---|---|---|---|
札幌 | 名寄 | 5,050円 | 7,790円 |
札幌 | 南稚内 | 7,060円 | 11,090円 |
札幌 | 稚内 | 7,200円 | 10,870円 |
旭川 | 士別 | 1,620円 | 2,970円 |
旭川 | 名寄 | 1,950円 | 3,570円 |
旭川 | 音威子府 | 2,490円 | 5,550円 |
旭川 | 南稚内 | 4,440円 | 8,890円 |
旭川 | 稚内 | 4,440円 | 8,890円 |
価格はこのようになっています。場合によっては、更なる割引をしていることもありますので、JR北海道公式サイトやえきねっとをご覧ください。
「えきねっとトクだ値」に関しては、別の記事で予約方法なども徹底的に解説しました。利用方法などについても詳細に扱い、予約方法もスクショを用いて徹底的に解説しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
常に発売されているわけではありませんが、2024年5月11日〜31日までの期間限定で「特急トクだ値スペシャル21」が設定されています。21日前までの予約で札幌市内〜名寄が3,110円、札幌市内〜南稚内が4,340円、札幌市内〜稚内が4,420円と60%割引という脅威の割引率となっています。期間限定ではありますが、閑散期を中心にこのような割引も設定されています。
稚内〜旭川間ではお得な切符が、もちろん旭川〜札幌間での「Sきっぷ」「Rきっぷ」なども使える
えきねっと以外にも特急列車の割引切符が多数設定されています。
まずは「自由席往復きっぷ(Sきっぷ)」。これは、札幌から道央・道北方面へ、特急列車普通車自由席が利用できる往復割引きっぷです。差額を払えば指定席に変更できることも大きなメリットです。
特急宗谷に関しては、札幌から旭川を経由して稚内まで走ります。函館線内(札幌〜旭川間の各駅間)で利用できることに加え、宗谷本線を利用する区間では、
- 札幌〜士別
- 札幌(市内)〜名寄
- 旭川〜稚内
の3区間において「Sきっぷ」が設定されています。値段は次のとおりです。
発駅 | 着駅 | 価格 |
---|---|---|
札幌 | 士別 | 7,870円 |
札幌(市内) | 名寄 | 8,800円 |
旭川 | 稚内 | 10,830円 |
ここに、指定席料金券(片道530円)を追加することで指定席に変更することができます。
さらにJR北海道では、特に長距離区間においては「指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)」を発売しています。特急宗谷が走る区間では、
- 札幌(市内)〜音威子府
- 札幌(市内)〜稚内
の区間において「Rきっぷ」が設定されています。指定席往復きっぷに関しては冬期と夏期で価格が異なっています。
発駅 | 着駅 | 【夏料金】 4月1日~11月30日利用開始分 | 【冬料金】 12月1日~3月31日利用開始分 |
---|---|---|---|
札幌(市内) | 音威子府 | 12,920円 | 13,360円 |
札幌(市内) | 稚内 | 13,310円 | 14,410円 |
特急「サロベツ」には座席に余裕があることがほとんどですが、札幌まで直通する特急「宗谷」は時期によっては、満席近いこともあるので予め予約しておくことをオススメします。
旭川〜名寄間では「快速なよろ」も運転
旭川から名寄までの間では、快速なよろ号が運転されています。名寄は、特急宗谷が走る宗谷本線の中でもかなり大きな駅です。
「快速なよろ」は快速列車であるため、特急料金が不要です。そして、1日に4往復ほど運転されており、特急より本数が多いのが特徴です。札幌方面から名寄まで行く場合、特急宗谷・サロベツに加えて「快速なよろ」も視野に入れると本数が多くなります。
特急だけでは本数が少ないので、快速列車も活用するといいでしょう。今回の特急「宗谷」とは関係ないので詳しくは紹介しませんが、「札幌快得きっぷ」を利用すれば名寄・士別〜旭川までを普通列車または快速列車(快速「なよろ」を含む)、旭川〜札幌までを特急「カムイ」「ライラック」で移動することができます。
特急宗谷の車内を徹底紹介!
最後にこのブログでは恒例となっている、特急列車の車内の徹底紹介です。特急「宗谷」は特に札幌から乗車すると長時間の乗車となる列車であり、その快適性は重要です。
特急「宗谷」「サロベツ」キハ261系のグリーン車
まず初めに、特急「宗谷」号および特急「サロベツ」号で使用されているキハ261系のグリーン車の紹介です。特急「宗谷」「サロベツ」のグリーン車は半室のグリーン車となっています。
半室グリーン車であるため、他の特急列車のグリーン車より落ち着いた印象です。座席は特急「おおぞら」「北斗」「とかち」などのグリーン車の一部(キハ261系6次車以前)と同じです。なお、ここから座席の写真は一部、特急「おおぞら」「北斗」などで撮影したものも含みます。
2人がけの座席の様子です。牛革張りの座席になっており、落ち着いた紺色が特徴的です。2人がけの中央の肘掛けは上げることができません。
1人がけの座席は上り(稚内発の札幌・旭川行き)で進行方向左側に、下り(札幌・旭川発の稚内行き)で進行方向右側になるように設置されています。
パソコン電源が窓側に設置されています。ただし、窓側の座席にしか設置されていないため、通路側の座席しか取れないとパソコン電源が使いにくい場合があります。
読書灯が座席の上の荷物棚に設置されています。手元全体を照らす配置になっていますが、スイッチが手元にないのがちょっと不便。
各座席のテーブルは肘掛けから出てくるタイプのテーブルになっています。グリーン車は座席同士の間隔が広いため、座席の肘掛けから出てくるタイプのテーブルは便利です。
テーブルは折りたたみ式になっていて、2つに折りたたんだ状態でも使用できます。折りたたんだままの状態でも、お弁当や飲み物くらいは置くことができます。
広げるとさらに広くなります。特急「おおぞら」「北斗」などで使用されている「リニューアル腰掛け」のようなドリンクホルダーはないため、飲み物を置いてお弁当を食べる、などといった場合は完全に広げた方が便利そう。
さらにグリーン車にはフットレストが完備されています。最初の状態では、邪魔にならないように折りたたまれています。
フットレストは床のカーペットと同じデザインの面(靴を履いたまま利用する面)と座席モケットと同じデザインの面(靴を脱いで利用する面)があります。どちらでも利用できるで便利です。
長距離特急でありながら、グレードアップ座席ではないのが残念
特急宗谷は、2000年にデビューした車両です。JR北海道では、国鉄時代に開発された車両もまだ使われているため、JR北海道の中ではやや新しい列車といえます。
そのため、まだリニューアル工事等は行われていない模様です。普通車指定席・普通車自由席ともに、特急ライラック・特急カムイや快速エアポートの指定席uシートと同じ座席が使われています。グレードアップされたuシートの座席ではないのが残念ですが、それでもこの座席もふかふかなので快適です。
JR北海道の特急列車では標準で装備されるようになった大きなテーブル。唯一の欠点が、やや列車が揺れる宗谷本線でドリンクホルダーがないこと。缶コーヒーを置いて滑って落ちそうになったことがありました。
食事をするにも、パソコン作業をするにも十分な広さがあります。宗谷本線の特急宗谷はかなりのロングラン特急。朝の下り便なんて、7:30に札幌を出発して12:40に稚内に到着するので、朝食と夕食の2食が車内で食べられてしまったりします。食事ができる大きなテーブルは必須です。
お手洗いの設備もしっかりある
これだけのロングラン特急ですから当然、お手洗いの設備もしっかり整っています。残念ながらウォシュレットなどは装備されていませんが、それでも洋式便所で綺麗な便所になっています。
お手洗いはこんな感じ。まあ、普通の特急列車って感じですね。
洗面台はこんな感じ。JR北海道の特急列車では、冬期には決まって蛇口からお湯が出ます。蛇口をひねるタイプではなく、自動で出るパターンの洗面台なのもGOODなポイントです。
乳幼児用のベッドもしっかりあります。お手洗い自体がものすごく広いわけではないので、広げると洗面台を覆う形になってはしまいますが、特急宗谷ほどのロングラン特急では、幼児連れのお客さんにとっては絶対に必要な設備ですね。
長距離移動はやはり鉄道
今回は特急宗谷についてご紹介してきました。
北海道の冬は厳しい。寒さはもちろんなんですが、雪が積もる。そしてそこを車で運転して旅行しようとするともちろん、事故の危険性は大きくなる。
また、北海道はかなり広い。車で5時間以上も運転するのはいいですが、しんどいことは容易に想像できるでしょう。寝ていても、食事をしていても目的地まで連れて行ってくれる特急列車を是非とも、フル活用したいところです。
僕はここ3年で6回ほど北海道へ行き、そのうち5回では特急列車を使って都市間の移動をし、3回はJRを本格的に活用した北海道周遊旅行をしてきました。JR北海道の特急列車についてはこちらの記事でまとめてありますので、こちらもあわせてご覧ください。
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