宮崎県・日南線を経由して宮崎駅から南郷駅までを走る特急「海幸山幸」。JR九州らしく地元の木材をふんだんに使用した車両で、宮崎の美しい海を眺めながら旅することができます。
日南線を走るこの観光特急に、実際に乗ってきました。車内の様子や乗り方などを詳しく解説していきます。
特急「海幸山幸」は観光名所の多い宮崎市・日南市を経由して南郷へ
特急「海幸山幸」は宮崎駅を起点として運転されている観光列車です。海沿いの非電化路線である日南線を通り、日南市を経由して南郷へと向かいます。
特急海幸山幸の停車駅と時刻表
まず初めに、特急海幸山幸の停車駅と時刻表です。停車駅は、この手の観光列車としては比較的多く設定されています。
宮崎・南宮崎・田吉・子供の国・青島・北郷・飫肥・日南・油津・南郷
です。日南線の主要駅に停車しながら、終点の南郷駅へと向かう列車として設定されています。
1日最大2往復が設定されていますが、通常は平日は運休、通常の土日は1往復が設定、連休中など繁忙期は2往復が設定というスケジュールになっています。最新の運転スケジュールは、公式サイトの運転日カレンダーもご確認ください。
2024年のダイヤ改正で繁忙期を含めて1往復化、時刻が変更されることが発表されました。まず2024年3月15日までのダイヤです。
駅名 | 下り | 駅名 | 上り | ||
停車駅 | 1号 | 3号 | 停車駅 | 2号 | 4号 |
宮崎 | 10:13発 | 13:53発 | 南郷 | 11:52発 | 15:30発 |
南宮崎 | 10:19発 | 14:01発 | 油津 | 12:11発 | 15:43発 |
田吉 | 10:23発 | 14:06発 | 日南 | 12:14発 | 15:47発 |
子供の国 | 10:34発 | 14:18発 | 飫肥 | 12:21発 | 15:53発 |
青島 | 10:39発 | 14:23発 | 北郷 | 12:30発 | 16:03発 |
北郷 | 11:05発 | 14:48発 | 青島 | 12:59発 | 16:29発 |
飫肥 | 11:22発 | 15:00発 | 子供の国 | 13:02発 | 16:31発 |
日南 | 11:28発 | 15:06発 | 田吉 | 13:19発 | 16:44発 |
油津 | 11:32発 | 15:10発 | 南宮崎 | 13:23発 | 16:48発 |
南郷 | 11:45着 | 15:23着 | 宮崎 | 13:27着 | 16:51着 |
主に「1号と4号」が運転される土日と、「1号・2号・3号・4号の全列車」が運転される繁忙期に分けられます。1号で宮崎から日南や南郷へ、4号で宮崎へ戻るということを考えると、比較的使いやすい時間帯に設定されています。
2024年3月のダイヤ改正以降(2024年3月16日以降)は次のダイヤで運転されます。1日1往復のみとなります。
停車駅 | 下り特急 「海幸山幸」 | 停車駅 | 上り特急 「海幸山幸」 |
---|---|---|---|
宮崎 | 10:28発 | 南郷 | 13:52発 |
南宮崎 | 10:33発 | 油津 | 14:11発 |
田吉 | 10:37発 | 日南 | 14:15発 |
子供の国 | 10:53発 | 飫肥 | 14:29発 |
青島 | 10:56発 | 北郷 | 14:39発 |
北郷 | 11:28発 | 青島 | 15:09発 |
飫肥 | 11:50発 | 子供の国 | 15:12発 |
日南 | 11:56発 | 田吉 | 15:24発 |
油津 | 11:59発 | 南宮崎 | 15:27発 |
南郷 | 12:13着 | 宮崎 | 15:31着 |
特急「海幸山幸」の料金と割引きっぷ
そんな海幸山幸号ですが、意外とお手頃な値段で乗車することができます。宮崎〜南郷からの場合の料金は、
乗車券:1,310円+特急券1,330円=合計2,940円
となります。乗車券に加えて指定席特急券で乗車する形になります。特急「海幸山幸」は、観光列車としては珍しく自由席があります。ベンチスペースが自由席という扱いになっています。ただ、自由席は地元の方などが利用されているイメージで、座ることができない可能性が高いです。
また、宮崎〜南宮崎〜宮崎空港の区間は、特急列車の普通車自由席に特急券なしで乗車できる区間となっています。特急「海幸山幸」では、宮崎駅〜南宮崎駅のたった1駅5分だけであれば、特急券なしで乗車できます。
特急「海幸山幸」で使用できる割引きっぷはあまり多くありません。JR九州は、需要に応じて割引きっぷを発売することが多いので日南線でも割引きっぷが販売される可能性は大いにあります。通年で発売されている切符を使う方法は、
- eきっぷ(カード会員限定)を使う
- JR九州のフリーきっぷを使う
という方法です。「eきっぷ」を使う方法については、次の節で解説します。JR九州のフリーきっぷは、JR九州全線が乗り降り自由で、かつ特急券を別途購入することで特急・新幹線にも乗車できる「ぐるっと九州きっぷ」などがオススメです。
これ以外にも、閑散期を中心に日南線内のみのフリーきっぷなどが販売されることもありますので、JR九州の公式サイトにある「きっぷ一覧」もご確認ください。
特急「海幸山幸」の予約方法 ネットでの購入がオススメ
続いて、特急「海幸山幸」の予約方法です。
特急「海幸山幸」は通常の特急列車として運転されており、全国のJR窓口で購入することができます。また、一部の指定席券売機などでも購入できます。
また「JR九州ネット予約」を利用すれば、インターネット経由で申し込みも可能。ネットで予約しておき、当日、宮崎駅の券売機で受け取ることが可能です。
また、インターネット限定&カード会員限定の割引として「eきっぷ」があります。特急券のみの部分に適用され(運賃部分は通常料金)、割引を受けることができます。
「eきっぷ」は、自由席特急料金と同額で指定席を利用できるきっぷです。JQカード(JR九州提携カード)をもっていれば「JR九州ネット予約」で、J-westカード(JR西日本提携カード)を持っていればe5489で利用することができます(eきっぷはJR西日本・四国・九州共通のカード会員限定割引切符で、J-westカードさえあれば九州エリアの「eきっぷ」も購入できてしまいます。)。
特急海幸山幸の車内 飫肥杉などをふんだんに使った温かい車内
特急海幸山幸は、宮崎から南郷を1日1往復〜2往復している特急です。元々、宮崎から高千穂までを結ぶ高千穂鉄道で走らせるための列車として製造された車両ですが、その数年後に高千穂鉄道は台風で被災。地方ローカル線ではよくあることですが、その後の復旧のための費用などで目処が立たず、そのまま廃線となってしまいました。わずか2年しか活躍できなかった車両を観光特急に魔改造してしまう、JR九州の荒技です。
特急「海幸山幸」の1号車「山幸」車両 茶色を基調とした落ち着いたデザイン
1号車が「山幸」、2号車が「海幸」で、2号車の後ろ(宮崎寄り)に9席だけ自由席があります。これは「宮崎の海の幸」≒海鮮をイメージしているのではなく、古代神話を元にしています。
1号車の「山幸」(南郷寄り)は茶色を基調としたモックアップになっています。茶色を基調としているので、周りにふんだんに使われた木との相性がいい感じ、とても落ち着きがあります。
座席自体は、JR九州の他の特急列車(特急「リレーかもめ」や九州新幹線800系・西九州新幹線N700S系)などで使われている座席に近いながらも、特に背もたれのあたりは少し違います。座席の座り心地自体は他の九州特急と同じくそれなりに快適です。
特急「海幸山幸」の2号車「海幸」車両 茶色を基調とした落ち着いたデザイン
2号車の「海幸」(宮崎寄り)は青を基調としたモックアップになっています。宮崎の美しい海を、落ち着いた雰囲気で丁寧に再現しています。
青を基調としているので、茶色を基調とした山幸の方が落ち着きがあるんじゃないかと思って僕は山幸を予約しました。しかし、青色のモックアップとなってる海幸もこれはこれで落ち着きがあっていい感じ。暗めの青がなかなかいいのです。
「山幸」の座席もそうでしたが、座席は2-1の配列となっています。グリーン車とほぼ同じ配列ですね。ただし、通路をそれなりに確保しているためか、それとも車両の幅自体がそこまで広くない(他の特急と違って、ホームより上の部分で横に歪曲して飛び出していませんね)のか、座席自体が広いとは感じませんでした。それどころか、少なくとも座席の背面(背もたれ部分)以外は他の九州特急と同じものを使っていると思われます。
カーテンも単なるカーテンではなく、雰囲気を出すために和風の簾(すだれ)が使われています。JR九州の観光列車ではよくあるデザインですね。
車内の設備も充実 ただし車内販売カウンターはない
他のJR九州の観光特急にはよくある売店等はなく、乗務されているアテンダントの方に申し出ることで車内販売の購入をすることができます。車内販売は原則、カゴを持って回ってきてくれる形です。
車内には飾りもあります。九州の特急にはよくありますね。特急「海幸山幸」が走る日南線沿線の木材を使ったおもちゃが展示されています。
そして最大の特徴は、外装にも木材が多用されていること。JR九州が走らせる特急列車では、車内の装飾に木材が使われることは多々あります。ただ、外装にまで木材が使われるのは滅多にない。
沿線には魅力がたくさん
僕はこの「海幸山幸」に乗ったときに初めて宮崎に足を運びました。が、宮崎という地はかなり魅力が詰まっています。特に、この特急「海幸山幸」が走る日南線沿線は海が綺麗で見るところがたくさんあります。
青島は歩いて渡ることができる離島 南国を味わうことができる
青島神宮が島の真ん中にあり、周りは長年かけて海水によって削られた、通称「鬼の洗濯板」があります。島へは橋で渡ることができ、この「鬼の洗濯板」の上を歩くこともできます。また、宮崎は亜熱帯に近い気候であり、雨量も多いことから宮崎ならではの植物も見ることができます。
特急「海幸山幸」も青島駅に停車します。青島駅から徒歩10分ほどで青島まで行くことができ、参道もあるのでお土産などを購入することもできます。僕はここで海鮮丼をお昼ごはんとして食べました。
鵜戸神宮で運試し!宮崎ならではの南国の海を体感しよう!
鵜戸神宮は、宮崎の綺麗な海に面した神宮です。洞窟というほど深くはないですが、少し窪んだところにあります。
鵜戸神宮から見る海は、特に晴れていれば絶景です。ただし、夏に行くとめちゃくちゃ暑くてしんどいです。ちゃんと飲み物を持っていきましょう。
南郷ではグラスボートなどを楽しもう
最後に南郷です。僕は南郷までは行っていませんが、南郷は宮崎の海を堪能することができる観光地です。
海中を見ることができる観光船は有名ですね。南郷駅から歩いてすぐです。それ以外にも、宮崎の綺麗な海を楽しむことができる名所が各地にあります。
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