名古屋から中央線の中津川、木曽福島、塩尻、松本を経由して長野までを結ぶ特急しなの号。JR東海の在来線の中でも比較的本数の多い特急列車であり、利用客数も多い列車です。
特急しなの号に乗る上で自由席には座れるのか?座席の様子・車内設備は?お得なきっぷは?などといった疑問にお答えします。
特急「しなの」号についてはVlogも作成しました。特急「しなの」号から見える、雪景色の木曽路の景色をまとめました。
特急しなの号の自由席は、土日は特に混雑する!ネット予約にも注意が必要!
特急しなの号には原則、自由席車両が2両用意されています。ただ、この自由席車両、空席が多い時もあれば時期・時間帯によっては2両とも結構混雑したりするので注意が必要です。
土日は指定席を取る価値あり!平日の昼間であれば自由席も比較的空席がある
特急しなの号の特徴として挙げられるのが、東海道新幹線などと比べて観光需要が非常に高いこと。ビジネス需要を中心に莫大な利益を得ている東海道新幹線とは対照的に、特急しなの号は観光利用や帰省などでの利用が中心になります。
そのため、東海道新幹線と比べて自由席利用が多い傾向にあります。
自由席は、特に土曜日の朝と日曜日の夕方に混雑をします。3月の3連休の初日に特急しなの号に乗ったところ、自由席は名古屋駅発5分前の時点で窓側に空席がありませんでした。
したがって、観光客が多くなる土日や連休前日などに利用する場合、指定席を取ることをオススメします。特に朝8:0や9:00などの便利な時間帯に出発するしなの3号・5号(長野行き)や4号・6号(名古屋行き)などは混雑する印象です。早朝の1号や2号は比較的空席があります。また、平日の昼間などには空席が多くあります。
特急しなの号では、ビジネス需要があまり多くない。あえて言うなれば、東海道新幹線から乗り継いで多治見や中津川までか、中京圏から長野までの通しの需要くらい。東海道新幹線に比べると需要はかなり少なくなります。
そのため、特に平日の昼間などは自由席でも空席が目立ちます。平日昼間(概ね、始発駅を10時〜15時ごろまでに出発する便)では、自由席の窓側も半数程度が空いている状況になります。
平日昼間(概ね、始発駅を10時〜15時ごろまでに出発する便)に利用する場合、自由席でも十分であると考えられます。
土日は指定席も混雑する
なお、土日は指定席も混雑します。3月の3連休初日、朝の下り列車の指定席を確保して乗車したのですが、隣に知らない人がいました。
僕が指定席を確保したのは3日前、この時点で特急しなの号の普通車指定席については、窓側の空席が8割程度埋まっている状況。連休など、場合によっては直前には既に空席がないこともあり得ます。
次節で解説するように、特急しなの号ではネット予約サービスも利用できます。ネット予約サービスも活用して予約を確保したいところです。
特急しなの号をネットで予約する方法
特急しなの号のきっぷはインターネットで予約することができます。2022年4月からJR東日本のネット予約サイト「えきねっと」のきっぷの、JR東海駅での受け取りが可能になりました。これにより、特急しなの号のネット予約はえきねっと1択になったと言っても過言ではありません。
特急しなの号のネット予約は、2022年春まではかなり複雑でした。理由は、しなの号が名古屋から長野と、JR東海エリアからJR東日本エリアまで走る列車だからです。
しかし、2022年4月1日より、JR東海の各駅で「えきねっと」で予約したきっぷの受け取りが可能になったことにより、えきねっとでの予約が最も便利になりました。えきねっとでの指定席予約では、JREポイントも貯まるため是非とも活用したいところです。
特急しなの号の予約にJR西日本のネット予約サービス「e5489」の利用はオススメしません。名古屋駅から木曽福島駅までのJR東海各駅ではJR西日本のネット予約サービスe5489が利用できます。ただし、長野などJR東日本エリア(塩尻駅〜長野駅)では、e5489の受け取りができません(JR東日本エリアでもe5489の受け取り自体は可能ですが、JR東海区間を含む予約は受け取り不可となっています)。
特急しなの号の割引きっぷは少ない
特急しなの号をはじめとしたJR東海の特急列車は割引切符が少ないのが難点です。種類は少ないですが、多少の割引きっぷも用意されています。この章では、特急「しなの」の割引きっぷを紹介します。
特急しなの号の割引きっぷ
特急しなの号で使える割引きっぷは主に次のものがあります。
- 信濃路フリーきっぷ・木曽路フリーきっぷ
- 青空フリーパス
- 回数券
これ以外に、学生であれば学割が、65歳以上などの一定の条件を満たせばジパング割引が使えます。
特急「しなの」号で使えるきっぷは以下の通りです。
きっぷの種類 | 運賃・料金 |
---|---|
自由席特急回数券(1枚あたり) | 12,760円 |
指定席特急回数券(1枚あたり) | 13,400円 |
木曽路フリーきっぷ(1人用・名古屋市内発) | 9,390円 |
信濃路フリーきっぷ | 13,620円 |
通常の運賃・料金(普通車指定席) | 14,920円 |
単純往復なら「信濃路フリーきっぷ」「木曽路フリーきっぷ」
単純に往復するのであれば「信濃路フリーきっぷ」「木曽路フリーきっぷ」がオススメです。また、JR東海が発売している「木曽路フリーきっぷ」は、人数が多くなるにつれてお得になる、という特徴があります。
発駅 | 1人用 | 2人用 | 3人用 | 4人用 |
---|---|---|---|---|
三河エリア(豊川~豊橋・二川~蒲郡) | 10,750円 | 13,880円 | 17,010円 | 20,140円 |
名古屋(市内) | 9,390円 | 12,520円 | 15,650円 | 18,780円 |
岐阜エリア(岐阜~大垣) | 10,220円 | 13,350円 | 16,480円 | 19,610円 |
四日市エリア(四日市~桑名) | 10,020円 | 13,150円 | 16,280円 | 19,410円 |
また、到着エリアではJRの普通列車が乗り降り自由になります。さらに、指定されたバス・タクシー・レンタカーを4,000円分ご利用になれるほか、宿場町などの一部店舗でグルメ&ショッピングにご利用になれる2,000円分のお買い物券やエリアの観光施設入場券が付いた「木曽路エンジョイチケット引換券」などがセットになっています。観光で利用する場合はかなりお得なきっぷです。
複数人で利用するなら「指定席特急回数券・自由席特急回数券(しなの回数券)」
3人で往復する、あるいは複数回にわたって名古屋〜長野間を往復するのであれば「しなの回数券」がおトクです。ただし、ゴールデンウィークにあたる4/27~5/6、お盆にあたる8/10~19、お正月にあたる12/28~1/6の期間は利用できません。
6枚綴りの回数券で、値段は次の通りになっています。
区間 | 利用座席 | 値段(6枚) |
---|---|---|
名古屋(市内)〜長野 | 指定席 | 40,200円 |
名古屋(市内)〜松本 | 指定席 | 32,940円 |
名古屋(市内)〜塩尻 | 指定席 | 31,620円 |
名古屋(市内)〜長野 | 自由席 | 38,280円 |
名古屋(市内)〜松本 | 自由席 | 30,900円 |
各区間で指定席用の回数券も用意されています。特にビジネスなどで頻繁に利用する場合、こういった回数券の利用を考えても良いでしょう。
青空フリーパスは1日フリーきっぷ
青空フリーパスは、JR東海が名古屋地区を中心に発売するフリーきっぷです。価格(大人)は2,620円です。
青春18きっぷとは違い、別途特急券を購入することで特急列車にも乗車することができます。有効期間が1日で、1日で名古屋付近から木曽福島を往復すると元が取れていまいます。逆に、1日で往復する場合限定のきっぷとも言えそう。特急しなの号が走るエリアでは木曽平沢までがフリーエリアとなるため、その先の塩尻などへ行く場合は別途、乗り越し区間の運賃が必要になります。特急しなの号の停車駅では、木曽福島が利用できる端の駅となります。
また、青空フリーパスは東は豊橋まで、西は米原まで有効です。名古屋駅以外からでも使用できるのも大きな魅力です。
さらに、「青空フリーパス」は乗車券部分のみのきっぷなので、指定席特急券はネット予約を利用して別途、あらかじめ押さえておくことも可能です。
新幹線との乗り継ぎ割引を活用しよう
特急しなの号は、全列車が名古屋〜長野の間で運転されています。特急しなの号の大きな特徴は、両端の駅で新幹線と接続していることです。名古屋駅では東海道新幹線と、長野駅では北陸新幹線と接続しています。
在来線特急と新幹線を乗り継ぐ場合、在来線特急の特急料金が半額となる「乗り継ぎ割引」という制度がJRには用意されています。2023年現在、北陸新幹線からの乗り継ぎでも東海道新幹線からの乗り継ぎでも特急しなの号は乗り継ぎ割引の対象となります。
乗り継ぎ割引は、新幹線の特急券と在来線特急の特急券を同時に購入した場合に限り適用されます。新幹線と乗り継ぐのであれば同時に特急券を購入し、乗り継ぎ割引を活用したいところです。
長野エリアでは各種回数券・料金回数券なども発売
JR東日本エリアでは多数の割引きっぷが発売されています(JR東海が消極的なわけではなく、JR東日本エリアでは首都圏〜長野の流動は可能な限り北陸新幹線利用を推進したく、特急しなの号は長野県内完結の需要を増やしたいと考えているのだと考えられます)。
JR東日本の公式サイトに詳しくは掲載されています。
「篠ノ井線特急料金回数券」(2023年3月までの名称は「信州しなの料金回数券」)は、長野~塩尻の任意の区間の特急券として使える回数券です。定期乗車券やフリーきっぷなどと組み合わせて利用することも可能です。4枚綴りで2,080円と、1枚あたり520円、かなり安いです。
特急しなの号の車内を紹介
最後に、特急しなの号の車内の様子をご紹介します。
コンセントやWi-Fiなどの設備はない
特急しなの号には、コンセントやWi-Fiなどの設備は整備されていません。時代の流れを考えると、少し残念な気はしてしまいます。
現在特急「しなの」号で使われている383系電車は1994年製造の車両です。当時、コンセントやWi-Fiなどを整備するという考え方は浸透していなかったので仕方ありません。
また、特急しなの号が走る中央線・篠ノ井線は、特に中津川〜篠ノ井の間で山間の区間となります。この区間では、携帯電話も繋がらないことが多々あります。
特急しなの号は、おそらく10年以内には更新時期に差し掛かるでしょう。調べたところ、JR東海の社長も新型車両を検討する時期に入った、と記者会見で述べています。特急しなの号より先に更新時期に入り、新型車両として発表された特急「ひだ」「南紀」のHC85系には、時代の流れに沿って全席にコンセント・Wi-Fiが整備されるそうです。特急しなの号も、この先どうなるのか楽しみに見守りたいと思います。
普通車は登場当時の古い座席ながらも快適 振り子式特有の揺れはあまり気にならない
特急しなの号の座席は、登場当初のままの座席です。
座席は古いままですが、正直結構快適。1990年代に登場した車両とは思えない快適性です。何より、座席自体に結構高さがあります。そして、JR東海らしい、よくいえば落ち着いた単調な座席、悪くいえば余計な遊び心がない座席です。
もちろん、特急列車ですからリクライニング機構もあります。ボタン式で、押すと倒れるタイプです。
リクライニングをしていなくても座席はそれなりに快適です。
リクライニングをするとこれくらい倒れます。東海道新幹線の座席と比べるリクライニングはやや浅い気もしますが、これでも十分快適です。
フットレストも装備されています。JR北海道の函館から札幌を結ぶ特急北斗号にもフットレストがついています。振り子式の特急には、なぜかついていることが多いですね。振り子式の特急列車が開発された当時の時代の流れなのでしょうか。
座席背面にはテーブルがありますが、あまり大きくはありません。最近では、東海道新幹線をはじめとして座席幅いっぱいまで使った広くて薄いテーブルが主流となっています。
特急しなの号のテーブルはやはり東海道新幹線などと比べると小さい。ただ、食事やパソコン作業などで難を感じることはありません。快適に利用することができます。
車内設備も最低限ではあるが困ることはない
最後に車内設備をご紹介します。
車内設備は、1990年代に作られた列車であることもあり、「ここまでか!」といほどの設備はありません。しかし、繰り返しになりますが1990年代に作られた車両とは思えない設備。お手洗いも綺麗に保たれています。
おむつ交換台などもしっかり整備されています。
特急しなの号は、大阪乗り入れが廃止されてからはそこまで長時間乗るような特急ではなくなりました(それでも長野から名古屋までは2時間半ほどかかりますが)。短いながらも快適な時間が過ごせるでしょう。
これ以外に紹介してほしい設備などがあればコメントで教えてくださいね。さらに特急「しなの」号のVlogも作成しました。合わせてご覧ください。
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