首都圏の普通列車には一部列車に「グリーン車」が付いています。指定席ではないものの、普通車とは異なりリクライニングシートとなっており快適性は全然違う。本記事では、
- 首都圏で走る「普通列車グリーン車」とは何かを解説
- 普通列車グリーン車への乗り方、特にSuicaでの乗り方などを詳しく解説
- 普通列車グリーン車の車内の様子を詳しく解説
していきます。この記事を読めば、普通列車のグリーン車に乗るために必要な知識や、その快適性がよくわかります。
また、宇都宮線の普通列車に、東京から宇都宮まで乗車してその様子をまとめたVlogも公開しています。あわせてご覧ください。
首都圏の一部路線の普通列車についているグリーン車
普通列車のグリーン車は、首都圏の普通列車の一部に連結されています。ただし、指定席はなく全席自由席となっています。
首都圏の全路線で走っているわけではないので注意!
注意しなくてはならないのが、首都圏の全ての列車にグリーン車が付いていることではないということです。
2023年現在、首都圏の普通列車でグリーン車が付いているのは、
- 高崎線・宇都宮線
- 湘南新宿ライン
- 常磐線
- 予告河川・総武線快速
- 東海道線
- 上野東京ライン(上記各路線との直通列車)
中央線快速については、グリーン車設置に向けた工事が進み、2025年3月15日から正式に、全列車でグリーン車の営業を開始することが発表されました。混雑路線である中央線でもグリーン車が利用可能になります。
2025年春には中央線でグリーン車のサービスが開始
2024/09/10、JR東日本の社長会見において中央線グリーン車サービス開始についての詳細が発表されました。首都圏におけるグリーン車導入について、『2024年10月13日以降順次導入』すること、『2025年春のサービス開始までの間は、グリーン料金不要(普通車扱い)の「グリーン車お試し期間」となること』が発表され、実際に「グリーン車お試し期間」が設定されています。
また、2025年春のサービス開始後についても詳細が発表されました。料金体系は他の首都圏グリーン車と同じになる予定ですが、首都圏の他のグリーン車との乗り継ぎができません。また、中央線内に100km以上となる区間はありません。
https://www.jreast.co.jp/press/2024/20240910_ho02.pdf
2024/09/10のプレスリリースについては、JR東日本の公式サイトにおいて公開されています。詳細についてはこちらをご覧ください。
普通列車のグリーン車には指定席はなく、全席が自由席
首都圏普通列車のグリーン車は全車自由席です。指定席は設置されていません。首都圏の普通列車は次から次へと列車が来る場合が多いため、列車を指定してグリーン券を購入するのが現実的ではない、ということが背景にあると思われます。
自由席であるため、場合によっては満席になることもあります。朝の通勤ラッシュ時間帯は特に満席になりがちです。
なお、満席の場合はグリーンアテンダントに申告の上で普通車に移動すると全額返金の処理が行われます。駅での申告などでは返金されないので注意が必要です。
JR東日本では首都圏発着の特急列車に「新しい着席サービス」を導入しています。東海道線特急「踊り子」「湘南」、高崎線特急「草津・四万」「あかぎ」、常磐線特急「ひたち」「ときわ」などです。これらの特急列車の普通車指定席は、定期乗車券で乗ることができスマートフォンを使ったチケットレス乗車ができます。着席保証をしたい場合は、これらの特急列車を使うと良いでしょう。
青春18きっぷなどでも別途グリーン券を購入すれば乗車可能
首都圏の普通列車グリーン車は、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」などの「普通列車限定」のきっぷでも別途グリーン券を購入することで乗車可能です。
特急や新幹線が利用できないため、リクライニングシートなどを使わないで長距離移動になりがちな「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」。グリーン券を購入することでリクライニングシートでの移動が可能なため、これはかなりありがたいサービスです。
首都圏の普通列車グリーン車の乗り方を解説!グリーン券はSuicaで
首都圏のグリーン車は、グリーン券を事前に購入するか車内で購入するかで値段が異なります。よっぽどの事情がなければ、事前にホームまたはスマートフォンなどのモバイルSuicaで購入しましょう。
グリーン料金はSuicaと紙のきっぷで異なる 距離も3段階
普通列車グリーン車を利用する場合のグリーン料金についてです。2024年のダイヤ改正で、グリーン料金が「Suicaか否か」で分けられ、また平日・休日別の料金もなくなりました。また、101km以上が新設されました。
営業キロ | Suicaグリーン料金 | 通常料金 |
---|---|---|
50kmまで | ¥750 | ¥1,010 |
100kmまで | ¥1,000 | ¥1,260 |
101km以上 | ¥1,550 | ¥1,810 |
なお、グリーン車の車内は通路を含めて「グリーン車」の扱いのため、デッキ等で立っている場合もグリーン券が必要です。
先ほども書きましたが、満席で普通車へ移動する場合、必ずアテンダントに申告が必要です。満席であったことの証明書を発行してもらい、これを窓口などにもっていくことで払い戻し(満席による払い戻しは、全額払い戻し)が受けられます。アテンダントに申し出ないと払い戻し手数料が必要になるので注意しましょう。
モバイルSuicaでの購入が便利でオススメ!
グリーン券の購入は、モバイルSuicaの利用が圧倒的に便利です。「モバイルSuica」のアプリから購入することができ、アプリ経由で購入すると自動的にモバイルSuicaにグリーン券情報が書き込まれます。
駅で購入する場合、改札外の券売機またはホームの券売機で購入できます。ただしホームに設置されているのはSuica専用のもので、Suicaに情報を書き込むことしかできません(東京モノレール・東京臨海高速鉄道のSuica、PASMO・Kitaca・TOICAでも購入可能だが、それ以外(ICOCAなど)は利用できないので注意)。実際に乗車していると紙のきっぷを購入している人はごくわずかです。
券売機であらかじめグリーン券の情報をSuicaに書き込みます。これによってSuica料金が適用されます。車内での扱いについては後ほど解説します。
Suicaで購入し乗車したら、頭上の読み取り機にタッチを
Suicaでグリーン券を購入しグリーン車に乗車したら、頭上の読み取り機にタッチをすればOKです。読み取り機にタッチした上で乗車すると、頭上の読み取り機の色が変わります。
紙のグリーン券を購入した場合、巡回してきたアテンダントさんに見せればOKです。アテンダントさんが確認の上、アテンダントさんの操作で頭上のランプの色を変えてくれます。
乗り継ぎもできるが一部条件があるので注意
Suicaグリーン券では乗り継ぎでの利用ができます。ただし順方向に利用するなど、一部条件があります。
1枚のグリーン券で2つの列車のグリーン車を乗り継ぐ場合は、改札口を出ずに同一方向であれば可能です。例えば、小田原→(東海道線)→戸塚乗り換え→(横須賀線・総武線快速)→津田沼といった行程を小田原→津田沼のグリーン券でご利用いただけます。
JR東日本公式サイトより引用
つまり、改札内での乗り換えであれば何度でも乗り換えが可能です。列車内にも掲載がありますが、下車する際に再度Suicaなどをタッチしておかないと「下車」が記録されないので注意してください。
また、Suicaグリーン券は改札を通過するとグリーン券の情報は消去されます。逆に、紙のフリーきっぷなどSuicaとは異なる乗車券と組み合わせて使うのであれば、例えば熱海→高崎のグリーン券を購入し、フリーきっぷを乗車券としつつ数駅ごとに途中下車をしながら旅する、なんてのもありですね。
もし乗り継ぎができるか不安であれば、乗務されているグリーンアテンダントさんに確認すると確実です。
なお、2025年春から運用を開始する中央線のグリーン車では、他の路線との乗り継ぎ利用ができないと発表されました。中央線については、別途グリーン券を購入する必要があります。
東海道線には、熱海から高崎までなど、長距離走る普通列車も設定されているので、こういったシステムは途中下車の旅をする際はありがたい。
首都圏普通列車グリーン車の車内を徹底紹介!
続いては首都圏の普通列車グリーン車の車内の様子をご紹介します。2階建グリーン車の車内は、特急列車のような快適性です。
2階建てになっているグリーン車
首都圏の普通列車のグリーン車は原則、2階建になっています。ちなみに大きな荷物を持っていると、この階段を上るのに一苦労です。
2階と1階の両方が自由席となっています。1階席と2階席で値段が違う、などもありません。空席が圧倒的に多い時間帯には2階が先に埋まりますが、満席に近い状態では、どちらが混雑するなど、あまりありません。
1階席はホームの高さより低い位置にあるため、1階席へは階段を降りることになります。スペース確保の観点から、階段は螺旋状になっているので大きな荷物があるとちょっと大変です。
写真がありませんが、車端部には平屋構造の部分があります。各車端部に8席ほどあり、大きな荷物がある場合や車椅子を利用している場合はこちらを使うことになります。
続いてお手洗い。首都圏の普通列車には、お手洗いがグリーン車にあります。お手洗いはかなり狭く、曲がりなりにも快適とは言えません。
もともと首都圏の普通列車は長時間乗車をあまり想定していないため、これくらいのお手洗いの設備でも仕方ないところですね。
総武線・横須賀線のE235系1000番台グリーン車はコンセントやWi-Fiを装備し圧倒的快適性!
最近、総武線・横須賀線には新型のE235系1000番台が導入されました。記事を作成するためにグリーン車に乗ったところ、たまたまこのE235系1000番台がやってきたので車内の様子を丁寧に撮影してきました。
車内は今までの普通列車グリーン車と比べて灰色が明るいイメージ。照明も最新のLEDが使われているため、開放感ある車内空間です。
座席は特急列車のようなリクライニングシートになっています。なお、首都圏のグリーン車はE235系以外でもほぼ同等の座席になっています。
座席は特急列車の普通車指定席とほぼ同程度、といったイメージでしょうか。リクライニングシートになっているものの、新幹線のグリーン車のように特別豪華というわけではありません。
E235系の新しいグリーン車の最大の特徴が、各席のコンセント。全席にコンセントが設置されています。
これはE235系に限らない話ですが、ドリンクホルダーも設置されています。コーヒーなどを持ち込んでも置く場所があるのはかなりでかい。
車内の案内も液晶モニターになりました。さらに、E235系にはWi-Fiを設置。コンセントとWi-Fiが設置されるのはかなり大きな進化です(2022年現在、E235系以外にはWi-Fiもコンセントも設置されていません)。
また、グリーン車には大きなテーブルが設置されています。僕は鎌倉から成田空港へ向かう際、このテーブルで食事をし、そして記事執筆の作業も行なっていました。テーブルがあるとできることがかなり広がるのでかなりありがたい。
東海道線や宇都宮線、高崎線など、それ以外も快適で静かな車内
ここで紹介した、総武線・横須賀線の新型車両であるE235系1000番台以外には2022年現在、コンセントやWi-Fiの設置はありません。Wi-Fiなどの設置は比較的容易でしょうから進めてほしいところです。
グリーン車の特徴は、なんと言っても快適で静かな車内環境が与えられることです。グリーン車は普通車と違いとても静か。逆におしゃべりはしにくいですが。
東海道線や宇都宮線、高崎線、そして湘南新宿ラインなどで使用される普通列車グリーン車は、1階が青を基調とした座席。そして2階が赤を基調とした座席になっています。
1階の座席の様子です。特急列車よりややグレードは下か、という感じのリクライニングシートが並んています。リクライニングもするため、快適に移動することができます。
各座席の背面にテーブルがあります。ここには「Suica」を使ったグリーン車における車内検札について説明書きがあります。この説明書きの通りにSuicaをかざせばOKです。
テーブルを広げるとこんな感じ。E235系5000番代とテーブル自体は同じです。ただし、少し古さを感じさせます。
パソコン作業などをするのにも十分な、広いテーブルが設置されています。写真はMacBook Proの13インチを置いた様子です。
2階の座席の様子です。2階の座席と1階の座席で、座席の構造自体はほとんど同じです。2階は窓の上部が歪曲しています。
1階の座席と同様、パソコン作業をしたりご飯を食べたりするのにも便利な、広々としたテーブルが設置されています。
さらにドリンクホルダーも設置。普通列車や快速列車でグリーン車を利用する場合、比較的長距離になることが多い。ドリンクホルダーは長距離の列車旅では必須ですよね。
朝から通勤ラッシュを避けてグリーン車に乗るのもよし。休日にちょっと贅沢してグリーン車に乗るのもよし。いろいろ使い道はあります。「50kmまで」と「50km以上」で運賃が分けられているため、特に長距離乗るにはお得です。
ちょっと疲れた日に、ちょっと遊びに行く日に、グリーン車を使ってちょっと贅沢な、快適な旅をしてみるのはいかがでしょうか。
このブログでは、これ以外の特急列車や新幹線、普通列車についても車内の紹介をしています。あわせてご覧ください。
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