2020年春にデビューした近鉄の名阪特急「ひのとり」。既にレギュラーシートについては記事を書きましたが、ついにプレミアムシートも利用しました。全然揺れない車内、そして快適なリクライニング。徹底的にレビューしていきます。
既にレギュラーシートは乗っています。車内設備についてはこちらもご覧ください。
プレミアムシート乗車記
実際に、近鉄特急「ひのとり」のプレミアムシートを、今まで何度か利用してきました。
特急「ひのとり」プレミアムシートの料金
特急「ひのとり」の座席は後ほど紹介する通り、新幹線のグリーン車より上級の座席。しかしながら、料金はかなり安く設定されています。
名阪特急の最も主たる利用区間となる、大阪難波・大阪上本町・鶴橋〜近鉄名古屋での料金は、「ひのとりプレミアムシート」で定価5,240円です。
・上段( )内はおとなの普通運賃、中段は特急料金、下段は「ひのとり」特別車両料金。
*印の駅は、一部の列車のみ停車。
新大阪~名古屋間を東海道新幹線で移動する場合と比べてみましょう。運賃+特急料金等を含む料金は、
- 自由席:5,940円(運賃3,410円+自由席特急券2,530円)
- 「ひかり」「こだま」指定席:6,470円(運賃3,410円+指定席特急券3,060円)
- 「のぞみ」指定席:6,680円(運賃3,410円+のぞみ速達指定席特急券3,270円)
で、所要時間は約50分です。
一方の「ひのとり」は大阪難波~近鉄名古屋間を約2時間8分で移動。
- ひのとりレギュラーシート:4,990円(運賃2,860円+指定席2,130円)
- ひのとりプレミアムシート:5,690円(運賃2,860円+指定席2,830円)
となっています。プレミアムシートを利用しても新幹線の自由席より安くなることがお分かりいただけるでしょう。
また、特急「ひのとり」は近鉄路線内での完結列車です。そのため、近鉄の株主優待券(金券ショップで最安の時期で1,200円程度〜、高い時期でも2,000円以下で販売)を利用すれば、乗車券部分についてはさらに安く利用することができます。
あり得ないくらい、揺れない
まず乗ってみて一番感じたのが「全然揺れない」ということ。近鉄特急は全体的に揺れがなく快適です。「ひのとり」は、単に揺れないのに加えてプレミアムシートとなっている先頭車1号車と6号車(一部編成では8号車)は電動の揺れ防止装置(フルアクティブサスペンション)がついているそうです。
その辺のことは僕も詳しいことが分からないのでここまでにしておきますが、とにかく素人でもレギュラーシートとの違いが分かるほど揺れが軽減されています。レギュラーシートは「ひのとり」に乗って大阪へ、名古屋へといった感じですがプレミアムシートは「ソファーに座ってたら大阪に・名古屋に着いていた」という感じ。これははっきり言って以前に乗った「しまかぜ」より快適です。
ほんとにソファーっていった感じなので、全く気にすることなくご飯を食べられます。行きは11時名古屋発、13時過ぎに大阪難波着だったので普通にお昼ご飯を食べていました。揺れないから電車内であることを気にする必要がありません。
揺れ防止がかなり効いていて、「座ってたら、気づけば大阪だ、名古屋だ」っていう感じ!
ハイデッカーならではの景色
そしてそんな「気づいたら大阪に・名古屋に着いていた」という車内で素晴らしい景色が楽しめます。「ひのとり」はプレミアムシートがある先頭車がハイデッカーになっています。
残念ながら最前列は予約できませんでした。そしてさらに残念なことに、最前列でないとそこまで前面展望は楽しめませんでした。
最前列以外では思っていたほど前面展望が楽しめないのは乗ってちょっとがっかりしたことですが、それ以上に横の窓からの景色も素晴らしい。ハイデッカーになっているため、特に鶴橋到着前、布施あたりでの高架での景色はとても素晴らしかった。もちろん、それ以外も景色は素晴らしかった。
ということで、前面展望の期待は裏切られましたが、ハイデッカーなので前面展望を楽しめなくても十分という感じ。
後日乗車した際、いちばん後ろの車両の一番後ろの座席を取りました。運転席が一望できます。また、機会があったら最前列も取ってみたい。
最前列でないと前面展望は期待できない、けど横からの景色は最高!
朝夕の名阪移動ラッシュ時間帯には混雑するので注意!それ以外の時間は直前でも取れる
名阪特急は近鉄の中でも利用者が多い路線です。新幹線と競合していますが、近鉄特急は快適性と安さで勝負しており、特に観光利用では近鉄特急を使う人が多いです。
朝夕のラッシュ時間帯(平日ではなく特に土休日)はプレミアムシートは混雑します。観光利用で使う場合、せっかくならプレミアムシートを使ってみよう、となるようです。
プレミアムシートは快適なぶん、ほとんど満席。特に進行方向先頭車。レギュラーシートのほうが空いているっちゃあ空いている…
最高のリクライニングシート 写真を交えて徹底紹介!!!
今回の「ひのとり」は全席バックシェルを採用しているのがウリのひとつ。ということで気兼ねなくリクライニングができる最高の座席。
仮眠したくなくてもしてしまう リクライニングが最高のシート
ひのとりプレミアムシートの座席です。東北新幹線・北海道新幹線・北陸新幹線・上越新幹線に設定されている「グランクラス」とほぼ同程度の座席です。
革張りの座席になっており、リクライニングがとてつもなく倒れます。ほぼベッドになります。
リクライニングを倒すとこんな感じ。本当に、まさにベッドです。
座席の背後にはバックシェルを備えているため、後ろの人に気兼ねなくリクライニングを使用することができます。リクライニングをどれだけでも好きなタイミングで倒すことができます。
2人がけの座席もあります。中央の肘掛けは動かすことができません。真ん中にはドリンクホルダーがあります。
プレミアムシートは電動リクライニング。ここはレギュラーシートとは違います。こういったところで差をつけているんですよね。冬にはありがたい座席ヒーターもあります。
レギュラーシートにはない、しっかりした枕があります。上下に動く。上下に調整できる機能はすごいのですが、他の機能が凄すぎて「まあ、このレベルの座席を作ってくるなら当然できるよな…」という感じがする。
そして何より、このまくら、形が変えれるんです。逆三角形の形にすると本当に頭の乗りがいいんですよね。また、フットレスト(足を載せる部分)はレッグレストから出てくるタイプ。前の座席との間隔が広いため、その方が正解。
まくらが逆三角形になるのがめちゃくちゃ快適
広いテーブル コンセントも当然完備で快適な車内
そしてプレミアムシートには広いテーブルもついています。アーバンライナーのデラックスシートとは違って奥行きもちゃんとあります。
レギュラーシートは前の座席の背面に大きなテーブルがついています。が、プレミアムシートは前の座席の背面にテーブルをつけてしまうと遠すぎる。おそらくそういった理由から、ひじ掛けから出すタイプになっています。
お弁当も気兼ねなく広げられます。パソコン作業とかも余裕。
真ん中で折りたたむタイプになっており、折りたたんだままでも使えます。
中央の肘掛けの下にはコンセントがあります。パソコン作業をしたり、スマートフォンを充電したりできます。
かなり広くて快適なテーブル!
贅を尽くした車内は色の演出 最前列では全面展望も楽しめる!
大阪難波・名古屋に到着する時には照明が青くなります。荷棚の忘れ物を防ぐためなのか、演出なのか、ちょっとよくわかりませんが「こんな色に変わるんだ〜」って感じです。
なんというか、アーバンライナーのデラックスシートとは異なり贅沢感を演出しています。2時間走っている真っ最中は意外と落ち着いた空間ではあるものの、ところどころに落ち着きとは逆の豪華さがあるのです。
また、「ひのとり」は先頭車両がプレミアムシートとなっています。このプレミアムシートの最先頭列からは前面展望も楽しむことができます。
運転席が綺麗に見えます。運転手さんが運転をしているところが丸っと見えてしまうのが「ひのとり」です。
特急「ひのとり」の車内の設備 ハード面ではまさに「近鉄特急の完成形」
特急「ひのとり」は、名阪間の移動2時間をくつろげる時間とするためにさまざまな車内設備が設けられています。その様子はまさに、特急に惜しまず投資してきた近鉄の「特急の完成形」ともいえる設備です。
カフェスポットは…設備改善を期待
まずカフェスポット。完成形といっておきながら、ここは少し改善を期待したいところではあります。
コーヒーは淹れたてを飲むことができるのですが、それ以外のココアや紅茶などは粉のものを購入して、それを無料のお湯にとかして飲むというスタイル。最近駅にある自動販売機も、結局は同じことをやっているのだとはいえ、インスタント丸出しがちょっと微妙な感じも。
また、キャッシュレス決済が使えないのが最大の難点。交通形のICカードすら使えず、完全に現金のみです。コインロッカーはICカードを鍵の代わりにできる、よくできてるなあという感じ。なのに、カフェスポットは交通系ICカード含めてキャッシュレス決済が一切できません。これもちょっと残念なポイント。
休憩スペースも、そして大きな荷物を持っているとありがたいコインロッカーも無料
ひのとりでなかなか画期的だなと思うのがこの「休憩スペース」。とにかく人数を乗せたい東海道新幹線とは違い、居住性を重視したからこそできたことでしょう。繁忙期を含めて「自由席」という切符の発売がないこともこういったことを実現できるポイントだったのかもしれません。
このようなベンチスペースがあります。ベンチスペース自体は長居することはあまり想定していませんので、そこまでベンチがふかふかってわけでもありません。
ただ、携帯電話で通話したいなどといった場合はかなり重宝します。流石に車内で通話するわけには行かないからデッキへ出るんですが、デッキでは座る場所がありませんからね。それ以外にも、ちょっとデッキに出てきて飲み物を飲みながら、なんてのは落ち着きますよ。
ベンチスペースの目の前はコインロッカーになっています。コインロッカーはかなりの数があるのでよっぽど埋まることはないでしょう。交通系ICカードを鍵がわりにすることができます。インバウンド客向けに(結局新型コロナウイルスと重なって、ほぼインバウンドのお客さんなしで走っていますが…)、交通系ICカードなしで使うことができる鍵式のものもちゃんとあります。
自動販売機もあり、冷たい飲み物等を購入することができます。これもまた、基本的には交通系ICカードなどには対応していないのが△。この辺りの改善は期待です。
広々としたデッキに、お手洗いも充実
特急「ひのとり」は、ただただ定員を増やそうという考えからは脱却しています。今回の特急「ひのとり」のキャッチコピーにもあるように「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとしています。
そのため、デッキも広く設けられています。もちろん、トレイなどの設備も充実しています。
トイレは驚きの、2両に1つの配置で、それぞれの場所に
男子トイレ1つ+女子トイレ1つ+男女共用トイレ1つ=合計3つ
あります。8両編成だと12個。8両編成の全車特別車ミュースカイでも合計4つしかトイレがない名鉄とは大違いですね。今までレギュラーシート含めて10回以上特急「ひのとり」に乗ってきて、トイレで待たされたことはありません。これだけあれば当然か。
編成の中央付近に多目的トイレも設けられています。もちろん、一般の人でも利用できます。近鉄特急の多目的トイレは、車両の幅を使い切るほどに大きなスペースを設ける車両が多い。吉野線を走る観光列車「青の交響曲」をはじめとした観光列車や、アーバンライナーなどもそうでした。多目的トイレを使わざるを得ない人にとっては非常にありがたいことでしょう。
特急「ひのとり」プレミアムシートについてはVlogも作成しましたのでご覧ください。
ひのとりのレギュラーシートはの乗車記はこちら!
最近、ちょっと本腰を入れて近鉄特急の記事を拡充しています。
コメント
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2023年4月1日より、近鉄で運賃値上がりがありました。大阪難波から近鉄名古屋のレギュラーシートが4540円から4990円に、プレミアムシートが5240円から5690円に変わりました。
ご指摘ありがとうございます。その通りですね。訂正させていただきます。