土佐と讃岐を結ぶ土讃線は、香川県・多度津駅から高知県高知駅を経て高知県の窪川駅までを結ぶ路線です。
2020年12月と2021年10月の2回にわたって、この土讃線のう特急「南風」が走る区間、岡山・高松から高知までを走破してきました。2回の山越えをするこの土讃線は景色がよく、見所がたくさん。今回はそんな土讃線の旅にご案内します。
この区間の絶景を活かした、観光特急「四国まんなか千年ものがたり」も運転されています。
多度津駅から土讃線へ
多度津駅は、予讃線(松山方面)と土讃線(高知方面)の分岐駅です。この多度津駅から、列車は進行方向左側へと分岐して、高知方面を目指します。
特急列車でも途中、善通寺・琴平と停車します。善通寺は空海生誕の地として有名な場所です。善通寺はほぼ全ての特急列車が停車します。お客さんの乗り降りもそれなりにあります。琴平は言わずと知れた金比羅山への参拝の駅。JRの特急車内でもその旨、案内がされます。この琴平駅は観光利用も多く、一部の時期では東京からの寝台特急「サンライズ瀬戸」号が延長運転されています。また、駅舎はかなり歴史がある雰囲気です。洋風建築の駅舎で、国指定重要文化財にも指定されている駅舎です。
今まで2回ほど四国に観光に行っていて、金比羅山への参拝をしたことがありません。次の四国旅行の時くらいにはできたらいいな、と思っています。
この辺りから特急列車はどんどんスピードを上げます。振り子装置が付いた特急列車で、車体を傾けながらどんどんカーブを通過していきます。JR北海道の特急では、現在は振り子装置などが使われていないため、四国でこそ味わえるスピード感です。
途中の讃岐財田駅です。ここが香川県最南端の駅となり、ここから先、列車は県境を超えて徳島県へと入っていきます。特急列車は基本、通過してしまいます。観光特急「四国まんなか千年ものがたり」は観光のために停車します。駅前にある「タブの木」は、鉄道建設の際、最初は切り倒そうとしていたものの「タブの木を切ると祟りが起こる」と言われており、実際、工事が始まると不慮の事故での負傷者が相次いだとのこと。ということで、この木は今でもここに佇んでいます。
この村から旅立つ人たちが、大学へ出る時、徴兵されたときにここで村の人たちの見送りを受けたそう。こういった田舎だからこその雰囲気です。
スイッチバック駅・坪尻駅を越えて香川県から徳島県へ
途中の坪尻駅です。ここはスイッチバックの駅として有名です。
そして、現在では1日の平均利用者数が2名と、かなりの秘境駅。今では近くの舗装された道路に上がるために片道20分ほどかかるそうです。昔はここ坪尻駅の駅前にも市場があったとか。今の坪尻駅からは考えられないことです。今では、秘境駅としての人気もあり、観光特急「四国まんなか千年ものがたり」が停車します。逆に、これ以外の列車で坪尻駅に行くのはなかなかハードルが高いのもまた事実です。
坪尻駅の滝です。高速で通過する特急列車からはなかなかみにくいですが…
坪尻駅の駅舎がこちら。木で作られている駅舎です。今では、JR四国も一種の観光地として、観光列車などにも活用しようと考えているようです。シンプルな駅舎ですが、当面はこの駅舎も活用されるものと思われます。
坪尻駅を過ぎてしばらく走ると、阿波池田駅を中心とした三好市の街が見えてきます。土讃線は四国を貫くように走りますが、この土讃線が通るルートでは2回、山越えをすることになります。その山と山の間に位置するのがこの三好市です。吉野川流域は、やや標高が低くなっています。全ての特急列車が阿波池田駅に停車します(「四国まんなか千年ものがたり」は運転停車扱い)。
吉野川を渡ります。今までにはなかった大きな川なので、すぐにわかります。
阿波池田駅からは、徳島線の特急「剣山」が発着しています。2時間に1本程度あり、多くないもののそれなりに利便性は考慮されています。また、「藍よしのがわトロッコ」が1日1往復しています。トロッコ列車から吉野川の雰囲気を眺めることもできます。
阿波池田を過ぎてしばらくしてから、列車は再び吉野川を渡ります。ここから先は、大歩危・小歩危に代表される、土讃線でもかなりの絶景の区間が続きます。
途中の阿波川口駅です。阿波川口駅はたぬきの駅長がいる駅として有名です。
この辺りでは、昔からたぬきに関わる話がよく伝えられています。それもあり、ここ阿波川口駅の駅長はたぬきです。
列車はここから、大歩危・小歩危を通っていきます。「大股で歩いても危ない、小股で歩いても危ない」ということから「大歩危小歩危狭」と名付けられたそうです。
まず初めに、進行方向左側に小歩危峡が見えてきます。左手にしばらく小歩危峡をみながら列車は走っていきます。ただ、土讃線をはじめとしたJR四国の各路線は高速化の中で、トンネルを多く掘ったため多少視界が遮られてしまう感は否めません。
大歩危を越え、またまた山を越えて終点の高知へ
しばらくすると鉄橋を渡ります。この鉄橋を境に、上流が大歩危狭、下流が小歩危峡です。列車から出なければ楽しめない、右手に大歩危狭、左手に小歩危峡という景色です。
列車は進行方向右手に大歩危狭をみながら、スピードを出して走ります。大歩危狭という名前が「大股で歩いて危ない」という語源からわかるように、かなり山がちな区間が続くため大歩危狭は見えたり見えなかったり。
しばらくすると、右手に道の駅や大歩危の観光船乗り場が見えてきます。するとまもなく列車は大歩危駅に着きます。大歩危駅は観光のための駅ですが、全ての列車が停車します。この土讃線は、観光需要も多いので、JR四国としては観光需要を取りこぼしたくないというのが本音でしょう。
大歩危駅にある「祖谷のかずら橋」のモデルです。大歩危駅から車で20分ほど行ったところに祖谷のかずら橋があります。大歩危駅前にはレンタカーなどもなく、祖谷のかずら橋に行くためには1日に10本程度のバスを使うしかありません。
大歩危・小歩危を過ぎると上り坂はかなり緩やかになってきます。でもまだ上り坂、高知駅に近いところまで上り坂が続き、最後に一気に坂道を下って高知の街へと滑り込みます。
大歩危駅を過ぎると川はだんだんと緩やかになってきます。大歩危狭の周辺とは違い、渓谷という感じはありませんが、それでも清流という感じです。
JRの駅としては珍しく、川のうえ、鉄橋上に駅がある土佐北川駅です。トンネルとトンネルの間なのでここにしか駅が作れなかったのでしょう。土佐北川駅に着く直前には、トンネル内に駅の手前のポイントレールがあります。そのため、トンネル内で異様に原則するので土佐北川駅を通過するのがよくわかります。
この先、土佐山田・御免と停車して、終点高知へと向かいます。
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