札幌から旭川を経由し、石北峠を越えて北見・網走までを結ぶ特急「オホーツク」、札幌〜旭川間の特急と接続して旭川から北見・網走を結ぶ特急大雪。この特急の割引切符や自由席の混雑状況などを解説します。
えきねっとをはじめとした割引きっぷが多数設定!
特急オホーツク・大雪は石北峠を越えるためには必須の移動手段。割引切符も多く発売されています。
えきねっとトクだ値をフル活用しよう
最も安いのはインターネット予約サイト「えきねっと」のトクだ値を使うこと。「えきねっとトクだ値」は乗車券と特急券がセットになったタイプのネット予約限定のきっぷで、割引率がそれなりに高いのが特徴です。
設定区間 | 特急トクだ値1 | 通常価格 |
---|---|---|
札幌(市内)〜遠軽 | 5,550円 | 8,030円 |
札幌(市内)〜北見 | 6,270円 | 9,660円 |
札幌(市内)〜網走 | 7,360円 | 10,540円 |
こちらが「えきねっとトクだ値」の運賃表。30%前後のかなりの割引率になっていることがわかるでしょう。また、2024年5月11日〜5月31日乗車分までの期間限定で「特急トクだ値スペシャル21」として60%オフの大幅割引が販売されています。札幌市内発着で遠軽まで3,420円、北見まで3,850円、網走まで4,200円という超破格で販売されています。閑散期にはこのような大幅な割引が販売されることもあります。
「えきねっとトクだ値」に関しては、別の記事で予約方法なども徹底的に解説しました。利用方法などについても詳細に扱い、予約方法もスクショを用いて徹底的に解説しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
なお、学生の場合、学割が利用できますが学割は「乗車券部分のみ2割引」となります。特急券と乗車券の値段比率にもよるので正確なことは言えませんが、特急を利用する場合はおおよそ1割程度の割引であることが多いです。したがって、学割を使うよりは「えきねっとトクだ値」を利用した方がお得だと言えるでしょう。
指定席往復きっぷ「Rきっぷ」で安く乗れる
指定席往復きっぷ「Rきっぷ」が石北本線の特急にも設定されています。「えきねっとトクだ値」と比べて割引率は低く、やや高くはなりますが、
- 駅窓口で購入できる
- 直前に座席指定等ができる
などといった、通常の特急券と同じ扱いができるのが大きなメリットです。
発駅 | 着駅 | 【夏料金】 4月1日~11月30日 利用開始分 | 【冬料金】 12月1日~3月31日 利用開始分 |
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札幌(市内) | 遠軽 | 9,270円 | 10,380円 |
札幌(市内) | 北見 | 15,140円 | 16,240円 |
札幌(市内) | 網走 | 17,500円 | 17,940円 |
実際に乗車し、チケットホルダーにチケットを入れている人を見るとこの「Rきっぷ」を使っている人が多いような印象でした。
この「Rきっぷ」は往復での販売で、往復あわせて6日以内に利用する必要があります。発売箇所については「JR北海道の主な駅の指定席券売機・話せる券売機、みどりの窓口及び主な旅行会社」となっており、どちらかでも利用できます。
自由席往復きっぷ「Sきっぷ」も一部区間で設定
また、旭川発着では「Sきっぷ」も設定されています。「Sきっぷ」は往復で特急列車の普通車自由席が利用できる割引きっぷです。
発駅 | 着駅 | 大人料金 | 有効期間 |
---|---|---|---|
旭川 | 北見 | 11,670円 | 6日間 |
旭川 | 網走 | 14,070円 | 6日間 |
先ほど紹介した「Rきっぷ」が比較的長距離に設定され、指定席で発売されるのに対してこの「Sきっぷ」は、旭川から先の石北本線区間で完結する場合に発売されます。
自由席の混雑状況(後ほど解説します)によっては、追加料金で指定席に変更することもできます。
割引きっぷでは、通常の特急券を買い直さねば指定席に乗れないことが多い中で、「料金券」いわば普通料金の「指定席」と「自由席」の差額を払うことで指定席・グリーン席に変更できる、かなりありがたいシステムです。
自由席は混雑することもあればそうでないこともある
続いて、特急オホーツク・大雪の自由席混雑状況について書いていきます。自由席は札幌・網走側(遠軽で進行方向が変わります)の1両のみで、やや少ない印象です。
列車名・区間 | 混雑状況 |
---|---|
特急「オホーツク」札幌〜旭川 | 朝は特に混雑 自由席が満席近くになることも |
特急「オホーツク」旭川〜北見 | 混雑 通路側座席ならば座れることが多い |
特急「大雪」旭川〜北見 | やや空いている 窓側座席でも確保できることが多い |
特急「オホーツク」北見〜網走 | やや混雑 窓側座席は埋まることも |
特急「大雪」北見〜網走 | 空いている 比較的自由に座席を選べることが多い |
過去に何度も乗車した経験から自由席の混雑状況をまとめますが、あくまで参考としてください。コロナ禍が収まり、インバウンド客が大幅に増加しているため、時期によっては全く参考にならないこともある旨、ご理解ください。
自由席は北見までは混雑する 特に朝の下り(網走行き)は注意
特急「オホーツク」「大雪」は、特に札幌に直通する「オホーツク」で、札幌〜旭川の区間で混雑します。2022年・2023年のダイヤ改正で減車が行われ、その後のインバウンドの戻りの中で増車が行われていないこと、また2024年のダイヤ改正で特急「ライラック」「カムイ」などで自由席の減車が行われたことが原因です。
石北本線の中で圧倒的に需要が大きい駅が北見です。北見駅でそれなりに乗車・下車があります。そのため、網走・女満別などから乗車する場合は問題ないのですが、北見から乗車する場合は注意が必要です。
朝の下り特急オホーツクは札幌から旭川の間での需要も大きいです。札幌から旭川の間には特急カムイ・ライラックが走っていますが、これらの特急列車の代わりとなるためです。特急ライラック・カムイには自由席が多めに設定されていますが→自由席が大幅に減車されてしまいましたこの特急オホーツクには自由席が1両半しかありません。そのため、自由席がかなり混雑します。札幌から旭川までの間では、自由席の窓側はほぼ埋まるくらいになることが多いようです。
旭川で多少の下車がありますが、ここからも確実に座れるとは限りません。旭川を出ると上川に停車し、いよいよ石北峠越えが始まります。ここからは停車駅が少ないながらも駅間にかかる時間が長くなります。この区間でもまだ、北見方面まで抜けるお客さんはそれなりにいるようで自由席はそこそこ埋まります。
北見でまとまった下車があり、北見から先の網走までは窓側の半分が埋まっている、という程度になります。
夕方の特急オホーツクや、特急大雪の各便では空席がそれなりにある
続いて夕方の特急オホーツクです。夕方の特急オホーツクは自由席でも比較的空席が目立ちます。夕方のオホーツク号以前にある大雪号で札幌や旭川へ向かう人も多いと思われます。
ただし、下り列車と同様に北見での需要が相当数あります。そのため、北見より先で乗車する場合は指定席を確保した方が確実だと思われます。
特急オホーツク号には、普通車指定席が通常の普通車自由席の料金より安くなる切符も設定されています。普通車指定席は普通車自由席と比べて座席が快適になっていることも多いですから、こういったきっぷも活用したいところです。
特急「大雪」なら自由席にも座れる
昔は4往復あった特急オホーツクは現在、2往復まで削減されてしまいました。その代わりに、特急ライラックと旭川で接続、対面乗り換えもできる旭川=網走間の特急「大雪」が走っています。乗り継ぎ便を合わせれば合計4往復が確保されています。
なお、2025年3月15日のダイヤ改正で特急「大雪」は廃止されることが決まりました。今後は、特別快速「大雪」として運転されます。
しかし、やはり今でも朝夕の特急「オホーツク」の方がお客さんが多い傾向にあります。乗り換えを敬遠するのか、そもそも乗り通すお客さんが少なかったのか、両方あるでしょうが逆に特急大雪は穴場です。特急大雪を狙って乗ると、意外と座れることが多いです。
車内の様子を徹底紹介
最後に特急オホーツク号の車内をご紹介します。「キハ183系」は2023年3月をもって引退しました。全列車がキハ283系に置き換えられ、所要時間が短縮します。
「キハ283系」は石勝線・根室本線の特急で使われていた車両です。グレードアップ座席を中心に流用されていますが、一部、グレードアップ座席ではない座席も残っているようです。
特急「おおぞら」などで使用されていたキハ283系を導入
特急「オホーツク」では現在、かつて特急「おおぞら」で使われていたキハ283系が使用されています。ここからご紹介する写真は特急「おおぞら」として走っていた時のものがメインになりますが、ご紹介します。
なお、特急「おおぞら」で使用されていた振り子機能は、特急「オホーツク」「大雪」に投入される際に停止されました。
キハ283系の特急「おおぞら」「とかち」引退から1年ほどの時間をあけてからの「オホーツク」「大雪」導入となったものの、車内設備が大幅に変更されることはありませんでした。個人的にはやっぱり、電源設備くらいは設置してほしかったところです。
また、キハ283系の導入によって特急「オホーツク」「大雪」からはグリーン車が廃止されました。全席普通車のモノクラスとなりました。
特急「オホーツク」「大雪」の普通車指定席は「グレードアップ座席」
特急「オホーツク」および特急「大雪」の普通車指定席では、JR北海道が長距離特急を中心に導入している「グレードアップ座席」が採用されています。
なお、普通車自由席はここで紹介している「グレードアップ座席」となっている場合と、次に紹介する特急「カムイ」と同じ座席になっている場合があります。どちらの車両かは当日までわかりません。
紫色を基調とした座席で、枕なども付いているためかなり快適です。コンセントが設置されていない点を除いて、JR各社の特急列車の普通車座席の中では最高レベルの座り心地だと感じています。
座席の様子です。大きな枕が装備されているのが非常に印象的です。この枕は上下に移動することができる構造になっています。また、座席は身体にフィットするような構造になっているので、(お尻の耐性不足を除いて)長時間座っていても疲れにくい構造になっています。
座席はもちろん、リクライニングします。このリクライニングがかなり倒れるので、車内で休む際も快適に休むことができます。
リクライニングボタンは各座席の肘掛けの部分にあります。肘掛けもそれなりに幅があり、普通に腕を置くことができます。
さらにグレードアップ座席では、ドリンクホルダーが備え付けられています。JR北海道の特急は線区によってはやや揺れるので、こういったコップなどの飲み物を持ち込む場合にドリンクホルダーがあるとかなりありがたいもの。
JR北海道の特急のリニューアル座席には、広いテーブルも備え付けられています。また、検札が楽なようにチケットホルダーまで。ただし、特急オホーツク・特急大雪は途中の遠軽で進行方向が変わります。降りるときはもちろんのこと、進行方向が変わる駅で座席回転のときにチケットホルダーに入れっぱなしにしてしまうと2つ前の座席の方へ行ってしまうので注意が必要です。
テーブルはパソコン作業をしたり、あるいは食事をすることが楽々できる広いテーブルです。普段から、旅をしながらブログを書いている僕はありがたく使わせてもらっています。
特急「オホーツク」「大雪」の自由席の一部は、特急「カムイ」の座席
特急「オホーツク」「大雪」の一部の編成では、特急「ライラック」の普通車と同じ座席が使用されています。事故で廃車となった特急「カムイ」の座席を流用しているようです。
先ほど紹介した「グレードアップ座席」またはここで紹介する特急「カムイ」と同等の座席のどちらが充当されるかは、当日列車がくるまでわかりません。
こちらの写真は特急「カムイ」に乗車した際に撮影した写真です。座席はこの写真の座席ですが、荷物棚など一部異なるところがあります。
座席の様子です。座席は少し古い座席ではありますが、ふかふかでかなり快適です。グレードアップ座席と比べるとややグレードダウンした感じがするのは事実ですが、身体にフィットする座席になっており快適。
各座席には、広々としたテーブルが設置されています。少し前までの列車とは異なり、座席幅いっぱいまでテーブルがあるため、パソコン作業をしたり食事をとったりするにも便利です。
繰り返しになりますが、自由席の車両で「グレードアップ座席」または「特急カムイと同等の座席」のどちらが充当されるかは、当日列車がくるまでわかりません。
車内設備は少し古さも感じさせる
続いては車内設備です。車内設備はやや古さを感じさせるものの、以前のキハ183系よりはまだいい、という感じでしょうか。
JR発足後に製造されたともあって、和式ではなく洋式です。この辺りは、JR発足後のサービスアップが反映されています。
洗面台は自動の蛇口が備え付けられています。JR北海道の特急列車は、冬季はどの列車でも蛇口からお湯が出てきます。
最後に車内の電光掲示板です。特急「オホーツク」「大雪」に転属されてから、この走行位置の表示はなくなったようです。通常のJR北海道で行われる、停車駅の案内など飲みに使われています。
旧・キハ183系 特急「オホーツク」の車内の様子
ここから先は、以前に使われていた特急「オホーツク」の車内の様子です。2023年3月をもってキハ183系は完全に引退し、283系に置き換わっています。
【現在はグリーン車なし】昔はハイデッカーのグリーン車だった
2024年現在、特急「オホーツク」にはグリーン車の設定がありません。キハ283系に置き換えられる際、グリーン車は廃止となってしまいました。
かつて特急「オホーツク」「大雪」で運用されていたキハ183系のグリーン車はハイデッカーの構造になっていました。
特急オホーツクのグリーン車はどこかで見覚えがあるような…特に通路側の肘掛けの周りなどが山陽新幹線・九州新幹線の「みずほ」「さくら」号N700系の普通車指定席に近いです。少なくとも、ドリンクホルダーは山陽新幹線・九州新幹線「みずほ」「さくら」号N700系と同じです。
グリーン車は普通車とは異なり、床はカーペット敷になっています。また、座席の配列は1列+2列となっています。
2列の座席にも、耳元には比較的大きな仕切りがあってプライベート感は保たれています。
座席の肘掛けの部分にはコンセントとドリンクホルダーがあります。普通車のコンセントについては後ほど詳しく解説しますが、簡単に言うと普通車でコンセントがあるかは運次第。グリーン車では必ずコンセントがあるので、特にロングランである札幌〜網走間の特急オホーツクでは重宝します。
もちろん、テーブルもあります。グリーン車は座席間隔が広いため、テーブル本体が前後にシフトするタイプのテーブルになっています。
そして、新幹線をはじめとしたJR特急のグリーン車で恒例となっているフットレスト。この特急オホーツクにもちゃんとあります。また、読書等もしっかり備えられています。
普通車指定席のシートは更新されていて快適
続いて普通車指定席の車内の様子です。
普通車指定席はJR北海道の特急列車によくある、新しいタイプの座席に更新されています。特急カムイの「uシート」座席と同様の座席で、最近では特急北斗号にも使われるようになってきた座席です。
ドリンクホルダーが備え付けられています。JR北海道の特急は線区によってはやや揺れます。こういったコップなどの飲み物を持ち込む場合にドリンクホルダーがあるとかなりありがたいもの。
もちろん、広いテーブルも備え付けられています。さらに、検札が楽なようにチケットホルダーまで。ただし、特急オホーツク・特急大雪は途中の遠軽で進行方向が変わります。降りるときはもちろんのこと、このときにチケットホルダーに入れっぱなしにしてしまうと2つ前の座席の方へ行ってしまうので注意が必要です。
テーブルはパソコン作業をしたり、あるいは食事を摂ったりすることが楽々できる広いテーブルです。普段から、旅をしながらブログを書いている僕はありがたく使わせてもらっています。
自由席はチグハグ 昔は一部のキハ183系にコンセントがあった
自由席は座席が本当にチグハグ。3号車は車両の半分で区切られており、1号車側は指定席、4号車側は自由席となっています。3号車半室の自由席を狙えば、快適なuシートを使うことができます。また、特急オホーツクの普通車自由席の一部にはコンセントが装備されていました。
僕が知る限りでは現在、特急オホーツクに使われる183系は3編成あるはずです。このうち1編成のみには、4号車普通車自由席のみにコンセントが装備されていました。
自由席は、一部は特急ライラックと同じ座席になっています。この座席であれば、座席もふかふかなので多少の長距離特急でも快適です。
特急ライラックや特急カムイ、そして特急宗谷などをはじめとした特急と同様の新しい座席もあれば、古い座席を搭載している車両もあります。
一部編成の4号車の普通車自由席はこんな感じ。現在でも特急北斗の一部編成の普通車自由席で使われている座席です。ただ、2人がけの間に肘掛けはなく、快適性では先ほどの3号車に大きく劣ると言わざるを得ません。
古さを感じさせる座席です。テーブルも、現在のJR特急の中では大きい方とは言い難い。
パソコン作業くらいはできますが、他の特急列車と比べるとやはり小さい。ここは早いうちにリニューアルして欲しいところですね。
車内の設備は最低限しか更新されていない
最後に車内の設備のご紹介です。車内の設備は最低限のものしか用意されていません。
トイレは洋式便所です。古さを感じさせるもので、ウォシュレットなどの機能は当然、ついていません。
洗面台はこんな感じ。JR北海道の特急列車では当たり前となっている、蛇口からお湯はしっかり出てきます。
昔、特急北斗号として走っていた頃は車内販売が行われていたようです。その跡が今でもあります。特急オホーツクや特急大雪で使われることは一切なく、現在はカーテンが閉められたままです。
売店の前のところにはジャンプシートがあります。売店で購入した飲み物を、ちょっとその場で飲む、なんてことができたのでしょうが、今ではこのシートを使う人は見たことありません。
特急大雪・特急オホーツクが通る石北本線の魅力についても別途、記事でまとめてありますので興味のある方はこちらもご覧ください。
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