ANAとJALを比較 毎年20回以上飛行機に乗ってきた経験から

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日本を代表する航空会社2社であるANA(全日空)とJAL(日本航空)。私自身、今まで日本全国を旅し、両社の飛行機を利用してきました。本記事ではその経験から、

  • JALとANAの違いはどんなところにある?
  • JALとANA、どちらのマイルを貯めるべき?
  • JALとANAのサービスの違いはどこにある?

といった疑問にお答えします。日本の空を飛び回る大手2社は競合しているものの、意外と違いがはっきりしているのも事実です。本記事では両社とも使う私が、「ANAとJALの違い」に焦点を当てて解説します。

ANAとJALを比較 毎年20回以上飛行機に乗ってきた経験から
ANAとJAL それぞれの強みを解説

ANA、JAL各社に搭乗した際のレビューなども投稿しています。途中でリンクも貼りつつ解説しますので、気になる記事がありましたらぜひご覧ください。

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ANAとJALのネットワークを比較 何を重視するか?

ANAとJALは日本の大手2社。売上高では2023年現在、ANAの方が高くなっています。しかし、だからといってJALが劣っているのではなく、それぞれの会社がそれぞれ、強みがあります。重視しているものが異なるのです。

ANAとJALの比較 何を重視するか?
成田空港にて-ANAのB787

中堅都市にも強いANA・離島路線に強いJAL

まずは各社の国内線ネットワークの観点から見ていきましょう。語弊を恐れずに端的にいうと、国内線ではANAが中堅都市に強く、離島路線はJALが強い。例えば僕が拠点とする名古屋の中部国際空港の例を挙げましょう。JALはコードシェアを行うフジドリームエアラインズが小牧を拠点とすることもあり、中部国際空港からのネットワークはかなり弱いです。

ANAの就航先JALの就航先
札幌
秋田
仙台
東京・羽田
東京・成田
松山
福岡
長崎
大分
熊本
宮崎(コードシェア)
鹿児島
沖縄・那覇
宮古
石垣
札幌
東京・羽田
東京・成田
高知(コードシェア)
沖縄・那覇
名古屋・中部国際空港からの就航地(通年定期便)

名古屋・中部国際空港は大胆ですが、それにしても就航都市がかなり異なることがわかります。このように、中堅都市からはANAの方が圧倒的に強い。名古屋を拠点として活動する僕が、ANAばかり使うのはこれが理由です。

中堅都市にも強いANA・離島路線に強いJAL
東京・羽田空港にて撮影

一方、JALは地方路線に強いです。ANAしか飛んでいない空港(JALが飛んでいない空港)とJALしか飛んでいない空港(ANAが飛んでいない空港)をそれぞれ挙げます(間違っていたり見落としていたりしたらコメント欄でご指摘ください)。

ANA「のみ」就航している空港JAL「のみ」就航している空港
稚内
利尻
紋別
中標津
大島
三宅島
八丈島
富山
能登
鳥取
米子
佐賀
岩国
帯広
三沢
花巻
山形
南紀白浜
出雲
但馬
隠岐
種子島
屋久島
喜界島
徳之島
沖永良部
与論
久米島
北大東
南大東
多良間
与那国
ANAのみ・JALのみが就航する空港(グループ子会社含む)

という感じで、特に鹿児島・沖縄離島などを中心に「JALグループしか飛んでいない」空港が多くあるのがお分かりいただけるでしょう。

中堅都市にも強いANA・離島路線に強いJAL
各社、特に地方路線で違いが色濃く出る

以上のことをまとめると、

  • ANAは名古屋のような中堅都市からも各都市に飛ばす
  • JALは離島など小さい空港にも飛ばす

ということが言えます。どちらが優っている、劣っているという話ではなく、それぞれに特徴があることがお分かりいただけるでしょう。この観点から、住んでいる場所・最寄り空港により、どちらを使った方が便利かが分かれてくることになるでしょう。

中堅都市にも強いANA・離島路線に強いJAL
JALは名古屋・中部からは少ない

両社ともマイレージプログラムをもつ

ANAとJALは両社とも、マイレージプログラムを持っています。ANAを利用した場合は「ANAマイレージクラブ」、JALを利用した場合は「JALマイレージバンク」となります。

マイルはあくまで「マイル」、距離によって貯まるためどちらの方が貯まりやすい、ということを一概に言うことは難しいです。

あえて比較するのであれば、

  • 国内線を中心に使用するのであればANAのマイルが使いやすい
  • 国際線を中心に使用するのであればJALのマイルが使いやすい

と言えるでしょう。JALは2023年春に国内線運賃を改訂し、マイルの使い方に制限がかかりました。国際線については、ANAは往復でしかマイルを使うことができず、JALは片道でも使用できます。

両社ともマイレージプログラムをもつ
両社ともマイレージプログラムをもち、アライアンスおよび他社と提携

また、2024年よりJALがステータスプログラムを大幅に改訂しました。今まで、1年間でJALに多数搭乗すればステータス(サファイア会員)を取得できたのに対し、1年間に限らない過去の搭乗履歴を元に判定されるようになりました。そのため、2024年現在ではステータスを得るためにはANAの方が圧倒的に有利な状態です(ANAのSFCが1年間で取得できるシステムも、いつまで続くかは不明です)。

それぞれアライアンスに所属 海外利用はANA一択状態

続いて海外、国際線に目を向けてみましょう。現在の国際線ではANA一強の状態となっています。JALは破綻後、国際線の以遠権を全て手放し、大きく縮小しました。JALのヨーロッパ便は就航地がかなり少なく、特にヨーロッパ方面は他社運航のコードシェアに頼っている状態が浮き彫りになっています。

それぞれアライアンスに所属し海外利用も便利
アライアンスをフル活用すれば、地球の裏側でもお得に利用できる

ANAとJALはアライアンスに属しています。アライアンスとは日本語で「航空連合」、他の航空会社と提携するシステムです。ANAの方がこの点では先んじました。世界初のアライアンスである、スターアライアンスにJALより早く加盟。JALはその後、ワンワールドに加盟しました。

ANAが所属するスターアライアンスの方が大きなアライアンスであり、世界各地でANAのマイレージなどが利用できます。

ただし、JALの所属するワンワールドが劣っているわけではありません。ワンワールドの方が加盟会社は少なく、路線網は少ないですが、オーストラリアなどではJALの所属するワンワールドが優勢です。また、日本から見てもっとも近いヨーロッパであるフィンランドを拠点とした、フィンエアーがJALと同じワンワールドに加盟しています。そのため、日本からヨーロッパのマイナーな都市を含めた各地へのアクセスは、ワンワールドのヘルシンキ乗り継ぎが便利です。

ANAが所属するスターアライアンスは、北米にユナイテッド航空・エアカナダという2社を持つため、北米をほぼ全てカバー。さらに、ヨーロッパではルフトハンザドイツ航空が広大なネットワークを持っており、ルフトハンザ系列の乗り継ぎで利用することができます。

それぞれアライアンスに所属し海外利用も便利
アライアンスで強い結びつきをもつ国によっては、一方が圧倒的に強いことも

このように、アライアンスにより各社に強みが出ています。

また、2社間でもANAとユナイテッド航空が日本〜アメリカ路線で、ANAとルフトハンザドイツ航空が日本〜ドイツ路線で、JALとハワイアン航空が日本〜ハワイ各地路線でジョイントベンチャーを行うなど、特定の強い路線もあります。

機内Wi-Fiなどサービスはどちらもほぼ同じ

ANAとJALは両社とも、機内でのWi-Fiサービスを提供しています。両社とも、

  • 国内線は中堅都市以上(B737運航路線以上)で無料
  • 国際線は条件付きで無料

となっています。国内線におけるWi-Fiサービスが無料である点は同じですが、JALの方がWi-Fiのスピードは速い。JALの国内線Wi-FIでは、YouTubeなどの動画ストリーミングサービスも利用可能です。

一方の国際線については、ANAの方がリードしているように感じます。ファーストクラス・ビジネスクラスでは両社ともWi-Fiが無料で利用できる一方、エコノミークラス・プレミアムエコノミークラスでは、

  • ANAはLINEなどのテキストメッセージは無料
  • JALは1時間の時間制限ありで全ての機能が無料

となっています。個人的には時間無制限でテキストメッセージのみが無料のANAの方が使いやすいように感じます。

ANAのWi-Fiサービスについては、こちらの記事でまとめました。JALのWi-Fiサービスについても、現在記事を作成中ですのでしばらくお待ちください。

機内Wi-Fiなどサービスはどちらもほぼ同じ
ANAのB787

ちなみに、Wi-Fiの整備においてはJALが先を行っており、国内線のWi-Fi無料化などはJALが先んじていました。しかし、国際線のWi-Fi整備においてはANAが先手を打ち無料化を発表。その直後にJALも追いかけるように「無料化の準備がある」と発言。この辺りは競合があるからこそのサービスアップですね。

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ANA(全日空)の強みはサービス

ここまでで主要項目について、ANAとJALの強みを解説してきました。続いては、ANAならではの強みをご紹介します。

ANA(全日空)の強みはサービス
サービスが中心のANA

国内線・国際線ともトップの航空会社

ANAは国内線・国際線ともにトップの航空会社です。2010年のJALの経営破綻、そしてその後の税金を投入したJALの復活劇を遂げる一方で、ANAは「1枠あたり売上高で100億円、利益で10億円の価値がある」とされる羽田空港の発着枠の割り当てを優先的に得ました。

国内線・国際線ともトップの航空会社
東京・羽田からロンドン・ヒースロー路線に搭乗した時に撮影

このような背景があり、JALの破綻後、JALが復活を遂げてからも日本トップの座を維持する航空会社がANAです。

ANAの便を見ていると、B787などの国内線最新鋭の機材を岡山や広島、松山などの地方路線にも投入するなどやはり、中堅都市重視の姿勢が見られます。

国内線・国際線ともトップの航空会社
B787などの最新鋭機を地方路線にも投入

2023年現在、国際線就航地でもJALを抜いており、また、政府専用機の整備も請け負っています。世界各社がこぞって導入しているB787のローンチカスタマー(最初に発注した会社)であり、「JALに追いつけ追い越せ」で自力で這い上がってきたANAの社風と実力がよくわかります。

国内線・国際線ともトップの航空会社
ハワイ路線に投入しているA380 Flying Honu

オンラインチェックインを導入

ANAは2023年春から、国内線においても「オンラインチェックイン」を導入しています。オンラインチェックインでは、スマートフォンなどを使用してチェックインを行うことになります。

Skipサービスの廃止・オンラインチェックインの際には懐疑的な意見もありましたが、実際に導入してみるとあまり混乱はないようです。

このように、各サービスにおいてJALを追い越すために既成概念にとらわれない、独自のサービスを開発するのがANAです。

オンラインチェックインを導入
ANAはオンラインチェックインを導入

AirDoやソラシドエア、スターフライヤーなど国内線でも提携

ANAの大きな特徴として、中堅各社と提携していることが挙げられます。特にJALが破綻したタイミングで大手航空会社との提携を模索した会社はANAと提携するしかなく、ANAの方が提携航空会社を多く持ちます。

具体的には、北海道を拠点に就航する北海道の翼「AirDo」や、北九州を拠点に就航する「スターフライヤー」、九州の地方や沖縄を拠点に就航する「ソラシドエア」など、B737やA320などのジェット機を運航する各社はANAと提携しています。

AirDoやソラシドエア、スターフライヤーなど国内線でも提携
国内線の提携航空会社が多い

提携航空会社が多いため、便の選択肢が多くなり、JALより時間の面で制約が少ないというメリットがあるのがANAです。

北海道発着の便ではAirDoとコードシェアを行っています。

北九州や関西、福岡発着の路線ではスターフライヤーとコードシェアを行っています。

さらに、九州南部や沖縄を発着する路線では、ソラシドエアとコードシェアを行っています。

最近ではAirDoとソラシドエアが経営統合するなど、ANAは再編などにも積極的です。

グループのLCCピーチとの連携も

ANAは子会社としてLCC(格安航空会社)であるPeachを運営しています。

元々、ANAはフルサービスキャリア(FSC)とローコストキャリア(LCC)の違いを明確に意識しているようで、子会社のPeachであろうとコードシェアを行なっていませんでした。

しかしコロナ禍で経営が厳しくなった2022年、一部路線に限定してコードシェアが始まりました。しかしこのコードシェアも1年足らずで終了してしまいます。

ANAのグループ会社・Peach

現在は、「ANA WEBサイトで空席照会(時刻検索)を行うと、Peachの便が表示される」というスタイルに移行しています。ANA便名で予約するのではなく、「Peachならこの時間の便もあるよ」と表示し、必要であればそこからシームレスにPeachのWEBサイトへ、予約が完了するというスタイルです。

個人定期にはこのスタイルは画期的でとても良いものだと思っています。やはり「ANA=フルサービスキャリアだと思って乗ったのに、Peachという格安航空で、ドリンクもWi-Fiも電源もなくて、座席も狭かった」というのは避けたいところ。明確に「Peach便」と明示して、その上で「ANAで時間が合わないなら、Peachという選択もありですよ」と示すのはとても良いと感じています。

また、「時間が合うのがPeachなら別にそれでいいけど、格安航空を使うんだったら、できるところまで安くするよ」ということも可能。ANAとのコードシェアのままだと、手荷物オプションなどを外すことができませんが、PeachのWEBサイトに行けば自分でアレンジすることができます。

なお、Peachの乗り方などについては別に記事を作成しています。合わせてご覧ください。

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JAL(日本航空)の強みは座席

JALは2010年の経営破綻を経て、経営状況だけではなくサービスでも生まれ変わっています。経営破綻を機に、今までのマイナス要素を全て一掃することになったのです。

JAL(日本航空)の強みは座席
JALがフラッグシップとして導入しているA350

クラスJというシステム

JALにある特徴的なシステムとして「クラスJ」というシステムが挙げられます。普通席の値段に加えて、1,000円〜3,000円程度でアップグレードできるシステムです。

ラウンジなどの特典は利用できないものの、座席が少し豪華な座席になります。特にそれなりの長距離の場合、疲労感は違います。

普通席は革張りで、布になっているANAの方が個人的には好きですが、クラスJという選択肢があるのはJALだけ。ANAは普通席とプレミアムクラスとなっておりプレミアムクラスでは、食事が付くためかなり値段は上がります。

クラスJというシステム
クラスJという“ちょうどよい”システム

このように、「クラスJ」という、ANAにはない魅力があるのがJALの大きな特徴です。なお、東京・羽田発着の大阪・伊丹や札幌・新千歳、福岡、那覇などの一部幹線にはファーストクラスも設定されており、ファーストクラスでは食事の提供があります。

地方空港ではFDAと提携・LCCとのコードシェアも

ANAと比べ地方路線、特に中堅都市が手薄になっているJALですが、地方都市ではフジドリームエアラインズ、通称FDAと提携しています。

FDAは地方空港を結ぶ航空会社ですが、大きな難点が「他社とは異なる空港を使うことがある」ということ。特に僕が拠点とする名古屋では、中部国際空港ではなく県営小牧空港を拠点としています。そのため、JALと同じ感覚では使えず、利便性にやや難を感じざるを得ません。

ただ、FDAはサービスも良く、あらかじめ日程が決まった上で使うのであれば便利であるのも事実です。

地方空港ではFDAと提携
リージョナル航空会社としての地位を築きつつあるFDA

また、JALはLCCであるジェットスターとコードシェアを行っています。国内線・国際線ともに便名を付与しているものの、国際線への乗り継ぎへの利用を中心に据えているようです。JAL便と思って乗ったのにLCCだった、というのは少し残念。ここはANAの方がやや上をいっていると思います。

沖縄離島路線なども充実したJAL

JALグループの最大の強みは、離島路線がかなり充実していること。「JAL系列しか就航していない空港」も多くあります。

沖縄を拠点とする航空会社2社がJALグループに所属しています。ジェット機を運航し、東京・名古屋・大阪にも就航する「日本トランスオーシャン航空」と、プロペラ機を用いて離島路線を多数運航する「琉球エアコミューター」があります。また、九州を拠点にプロペラ機で地方路線を運航する「日本エアコミューター」が九州(鹿児島や長崎など)の路線や九州〜沖縄路線などを運航しています。

以前、訪問した日本最西端の島・与那国島もJAL系列の琉球エアコミューターのみが就航しています。

これらの路線により、特に九州・沖縄の離島においてJALが強くなるという傾向があります。

沖縄離島路線なども充実したJAL
離島路線にも強いJAL

元々は半国営会社ということもあって、地方路線を多数運航しています。最初にも紹介したように、JAL系列の航空会社しか運航されていない離島路線・地方路線が多いのが強みです。

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