大井川鐵道のアプト式「南アルプスあぷとライン」で絶景を楽しむ

中部
中部鉄道

大井川鐵道の末端部分、千頭駅から井川駅までを結ぶアプト式の路線である井川線、通称「南アルプスあぷとライン」。レールと車輪が軋む音が絶えず、大井川の流れに沿って急勾配を登り続けるこの区間は、まさに絶景が続く区間。

大井川鐵道井川線「南アルプスあぷとライン」のVlog

以前Vlogでも紹介した「南アルプスあぷとライン」、今回はブログ記事にてその様子を紹介します。

スポンサーリンク

「南アルプスあぷとライン」

南アルプスあぷとラインは大井川鐵道・大井川本線の終点の駅である千頭駅から、井川ダムがある井川駅までを結ぶ25.5kmの路線です。わずか25.5kmの路線を約1時間45分の時間をかけて結びます。

南アルプスあぷとラインは予約等不要で乗車券だけで乗ることができる

南アルプスあぷとラインは一部の臨時列車や「きかんしゃトビー号」を除き、全列車で予約が不要です。普通乗車券または大井川鐵道のフリーきっぷなどで乗車することができます。

大井川鐵道線が全線乗り降り自由となる「大井川周遊きっぷ」や、南アルプスあぷとライン(井川線)が乗り降り中となる「井川寸又狭周遊きっぷ」などが設定されています。アプリ「RYDE PASS」による電子チケットも設定されており(僕はこのアプリを利用しました)、利便性は高いです。なお南アルプスあぷとラインでは基本的に、列車内改札となっています。車内に乗ってから車掌さんが順次検札にくるので、きっぷを見せて確認を受けることになります。

南アルプスあぷとラインは予約等不要で乗車券だけで乗ることができる
南アルプスあぷとラインの列車

トロッコ列車であり、建築限界(=車両の大きさ)が小さいものの、6両程度連結されることが多く、よっぽどの繁忙期でなければ座ることができます。

南アルプスあぷとラインの時刻表 本数が少ないので注意

南アルプスあぷとラインの時刻表です。最新の時刻表については、公式サイトもご確認ください。

時刻表 | 大井川鐵道【公式】

大井川鐵道は本数が少ないため、時刻表をしっかり確認してから乗車しましょう。

運転日情報毎日運転毎日運転運転日注意毎日運転毎日運転運転日注意毎日運転
千頭9:2010:2010:4412:3013:3014:0514:40
川根両国9:2410:2412:3413:3414:44
沢間9:2910:2912:3913:3914:49
土本9:3510:3512:4513:4514:55
川根小山9:4310:4312:5513:5415:03
奥泉9:4910:49折返13:0114:01折返15:09
アプトいちしろ10:0211:0413:1414:1315:23
長島ダム10:1411:1713:2514:2415:35
ひらんだ10:1811:2113:3014:2815:39
奥大井湖上10:2311:2613:3514:3315:44
接岨峡温泉10:2911:3213:4114:4015:50
尾盛10:3713:49
閑蔵10:4713:59
井川11:0614:18
千頭→井川方面の時刻表

始発が9:20発であり、この電車は静岡駅を朝7時過ぎに出発し、JR東海道線で金谷駅へ、金谷駅から大井川鐵道大井川本線(現在は家山駅から代行バス)に乗り継ぐことで乗ることができます。

運転日情報運転日注意毎日運転毎日運転毎日運転運転日注意毎日運転毎日運転
井川12:3015:30
閑蔵12:4815:48
尾盛12:5815:58
接岨峡温泉11:0012:0813:0615:1616:06
奥大井湖上11:0812:1413:1415:2516:12
ひらんだ11:1212:1913:1915:2916:16
長島ダム11:2112:2713:2715:3716:24
アプトいちしろ11:3512:3913:3815:4816:36
奥泉折返し11:4412:4813:47折返し15:5716:45
川根小山11:5112:5513:5416:0316:51
土本11:5813:0214:0116:1116:59
沢間12:0313:0814:0616:1617:04
川根両国12:0913:1314:1116:2117:09
千頭11:5412:1413:1814:1615:2516:2617:14
井川→千頭の時刻表

「帰り」に当たる、井川→千頭の時刻表です。最終列車が15:30井川発なので、乗り遅れのないように注意しましょう。

南アルプスあぷとラインの時刻表 本数が少ないので注意
千頭駅にて

アプト式は特に本数が少ないので、計画を立ててから乗る必要がありそうです。

アプト式の電気機関車は、アプトいちしろ駅から長島ダム駅の1駅区間

大井川鐵道井川線、通称「南アルプスあぷとライン」の最大の見どころはアプト式機関車を連結する区間です。アプト式の機関車を連結するのはアプトいちしろ駅から長島ダム駅の1駅区間です。

アプト式の電気機関車は、アプトいちしろ駅から長島ダム駅の1駅区間
アプト式機関車を連結する

アプト式機関車を連結する様子は、駅のホームに降りて見学することができます。なお、アプト式機関車を連結する区間だけは電化区間となります。途中までは電化区間、輸送密度が下がる末端区間が非電化、という路線が多いだけに途中の非電化区間に挟まれた電化区間は新鮮です。

アプト式の電気機関車は、アプトいちしろ駅から長島ダム駅の1駅区間

アプト式機関車は端的に説明すると「線路の歯車と機関車の歯車を噛み合わせ、通常の鉄道では不可能な急勾配を走る方法」です。この区間だけで特殊な電気機関車が連結されるのは、アプト式の歯車を設置した車両を使うためです。

スポンサーリンク

トロッコ列車「南アルプスあぷとライン」で絶景・奥大井を満喫

実際にトロッコ列車に乗って、「南アルプスあぷとライン」を満喫してきました。その様子を、写真を交えてご紹介します。

大井駅を出発する列車に乗車

今回の記事では、「帰り」となる井川駅→千頭駅の列車に乗車します。片道2時間弱の旅です。

大井駅を出発する列車に乗車
乗車する列車

今回乗車する列車です。ディーゼル機関車が先頭で、後方には客車が5両、繋がっています。

大井駅を出発する列車に乗車
車掌さん

「南アルプスあぷとライン」の客車には、電気こそあるものの自動ドアはありません。出発前に車掌さんが全ての車両を回って扉を閉めます。また、降りる駅を聞かれるので、降りる駅で車掌さんが開けてくれる、または自分で開けることもできます。

大井駅を出発する列車に乗車
日本一高い鉄道橋である「関の沢橋梁」

鉄道の橋としては日本一高い「関の沢橋梁」。下を見下ろすと本当に高い。車掌さんが「窓からスマートフォンやカメラなどを落とされますと、文字通り取り返しのつかない事になりますのでご注意ください」との放送。

大井駅を出発する列車に乗車
さらに進んでいく

列車はさらに進みます。この区間は、山間の区間を車輪の軋む音を立てながら少しづつ、下っていきます。

大井駅を出発する列車に乗車
大井川

進行方向左側(井川行きの場合、進行方向右側)には美しい大井川が見えてくるようになりました。

大井駅を出発する列車に乗車

山の奥深くを走っていることがよくわかります。列車は接岨峡温泉駅に到着します。千頭駅から接岨峡温泉駅までの間は、区間列車も運転されており、比較的列車の本数が多く設定されています。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ

列車は、インスタ映えスポットとして人気の奥大井湖上駅へ到着します。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
レインボーブリッジへ

トンネルを抜けるとその先には、レインボーブリッジが。レインボーブリッジの井川駅側は、徒歩で渡ることもできます。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
奥大井湖上駅へ

列車の中から見るとこんな感じ。南アルプスあぷとラインならではの景色を楽しむことができるスポットです。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
接岨湖が美しい

奥大井湖上駅の周辺にあるのは、長島ダムの建設によってできた「接岨湖」。もともと、長島ダムができる以前はこの接岨湖の底に当たる部分に井川線が走っていました。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
奥大井湖上駅

というわけで、列車は奥大井湖上駅へ到着しました。奥大井湖上駅はインスタ映えスポットとして人気です。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
現在ではカフェも建設されている

現在ではカフェも建設されています。今回は時間の都合もあり、降りることができませんでした。次回はここでも降りてみたい。

インスタ映えスポットとして人気の「奥大井湖上駅」へ
ホーム上に設置されているHappy Bell

ホーム上にはHappy Bellが設置されています。海外からきている人も多く、最近は特に混雑している印象です。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結

列車は次の長島ダム駅に到着です。ここ長島ダム駅では、「南アルプスあぷとライン」の最大の見どころであるアプト式区間に入るため、アプト式の機関車を連結します。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
列車の行き違いも

アプト式の機関車はサイズ感が違います。大きい。これは架線の高さを人間が触れにくい、安全な高さにするためだと思われます。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
アプト式機関車

アプト式機関車がやってきました。井川→千頭の列車では先頭に(逆の井川行きの列車の場合は最後尾に)、アプト式機関車を連結することになります。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
アプト式の歯車

線路の中央には、アプト式の歯車が。この歯車に、機関車の下にある歯車を噛み合わせ、通常の鉄道では困難な坂道を登っていきます。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
連結作業

なお、連結作業中は自由にホームに降りることができるため、連結作業をホーム上から見学することも可能。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
動き始めた

列車はアプト式区間に入り、走り始めます。写真ではわかりにくいですが、90‰という、鉄道では普通あり得ない急勾配区間を走っています。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
先頭にはアプト式の機関車

先頭にアプト式の機関車がしっかり見えます。アプト式の機関車は1回りか2回りくらい大きいので、後方から見ていてもよくわかります。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
90‰の標識

90‰の標識があります。普通の鉄道では、なかなか見ることができない標識ですね。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
アプトいちしろ駅に到着

アプトいちしろ駅に到着しました。このアプト式区間はこの「アプトいちしろ駅」から「長島ダム駅」の1駅区間だけです。なお、この「アプトいちしろ駅」では切り離しに時間があること、駅のホームにお手洗いがあることから、ここでトイレに行くことができます。また、自動販売機も設置されています。「南アルプスあぷとライン」を走るトロッコ列車にはお手洗いがないため、必要であればここでお手洗いを利用しましょう。

長島ダム駅でアプト式機関車を連結
アプト式機関車を切り離し

アプト式機関車を切り離し、ディーゼル機関車が牽引する小さなトンネルへと入っていきます。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る

列車はさらに、大井川を眺めながら坂道を降ります。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
大井川の絶景

この辺りが大井川の流れも穏やかで、でも穏やかすぎず、観光としてはとても良いエリア。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
反対列車と行き違い

対抗列車との行き違いです。接岨峡温泉までの間には区間列車も運転されているため、本数は比較的多いですね。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
大井川を眺めながら

大井川の流れは、天気が良ければ本当に美しいです。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
第1大井川橋梁を渡り

第1大井川橋梁を渡りました。列車はかなり千頭駅に近いところまでやってきました。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
ルーシーがいた

列車は川根両国駅までやってきました。ここにはトーマスの仲間・ルーシーがいます。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
終点の千頭駅に到着

ということで、終点の千頭駅に到着しました。絶景続きで、2時間弱乗っていたとは思えない、絶景旅でした。

大井川を眺めながら坂道をゆっくり下る
千頭駅

千頭駅から先、大井川鐵道の井川本線が走っています。この区間の列車に乗って、JRとの乗り換え駅である金谷駅を目指したいところですが、残念ながら2022年の台風により、不通となっています。

スポンサーリンク

「南アルプスあぷとライン」の車内の様子を解説

最後に、「南アルプスあぷとライン」を走るトロッコ列車の車内の様子を紹介します。

基本的にはディーゼル機関車と客車

列車は全て、ディーゼル機関車と客車で運転されます。

基本的にはディーゼル機関車と客車
客車が多数、連結される

客車は小柄であるため、6両ほど連結されます。ちなみに紅葉の期間などでは乗客が増えるため、機関車を増結したりすることもあるそう。他の方のブログを見ていたら、12両編成、うち4両機関車という編成もあったのだとか。小柄な車両のため、ローカル線とは思えないほどの増結が行われることもあります。

小柄な客車を仕様して運転される

先ほどから触れているように、車両自体は小柄です。普通の大人がギリギリ車内で立てる程度の大きさ。とても屋根が低いです。

小柄な客車を仕様して運転される
屋根が低い小柄な車両

ドアは自動ドアではありません。いつでも自分で開けることができてしまう。走行中は触れないようにしましょう。

小柄な客車を仕様して運転される
車内の様子

車内の様子です。座席は全て、ボックス席になっています。景色が美しい、大井川に面する側の座席は2人がけ、4人のボックスシートとなっています。

小柄な客車を仕様して運転される
2人がけのボックスシート

反対側は2人がけのボックスシートです。紅葉の期間などの繁忙期以外は、満席近くになることはほとんどないため、4人がけの座席を使うことができます。

車内にはお手洗いがないので注意

車内にある設備は座席だけ。お手洗いなどはありません。そのため、列車に乗る前にお手洗いは済ませておきましょう。

途中のアプトいちしろ駅でお手洗いを使うことができます。機関車の増解結の間を利用して、お手洗いを済ませたり自動販売機で飲み物を買ったり。逆にアプトいちしろ駅以外ではお手洗いを使うことがなかなか難しいため、やっぱり乗車前に済ませておいたほうが良いでしょう。

大井川鐵道井川線「南アルプスあぷとライン」のVlog

今回もVlogを作成しました。併せてご覧ください。

スポンサーリンク
InstagramとYouTubeも見てね!

コメント

  1. やまだ より:

    奥大井湖上駅はauだと圏外なのですが乗車時にridepassが起動出来なくても千頭まで乗れますか

    • Dolphin Dolphin より:

      アプリで表示できるため、通信ができなくてもフリーパスは表示できますよ!

      • やまだ より:

        すいません。まだ購入はしてないですがためしに電波offにしてアプリ起動したところ「エラーが発生しました」「再読込」と表示されるだけなのでフリーパスも出ないのかなと思いまして。特に問題なかったということですね。

        • Dolphin Dolphin より:

          そうだったのですね。アプリ側のバグの可能性もあるのでなんともいえませんが、購入した後は、アプリでは圏外でも問題なく表示されていました。
          また、車掌さんが少しづつ検札に来る感じだったので、「圏外で表示されなくて…」と正直にいえば、後ほど再度確認に来てくれるなど、何しかしらの対応をしてくれそうな雰囲気でもありました(車掌さんによるので、そう対応してくれるとの保証はできませんが)。